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有利子負債400億円削減 今期末 川重、将来投資に備える

経営管理会計トピック 会計で経営を読む
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■ フリーキャッシュフローを負債返済の原資へ

経営管理会計トピック
川崎重工業の財務戦略の記事が日経新聞の15面に掲載されました。

2014/9/11付 |日本経済新聞|朝刊
有利子負債400億円削減 今期末 川重、将来投資に備える

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます。

前期末の有利子負債が4421億円だったので、これを4000億円とすることで前期末比400億円の削減ということです。
悪い癖が出て、また自分で数字を確認しました。(EDINET
経営管理会計トピック_川崎重工業のBS
そうですか。有利子負債にはリース債務は含まれていないのですね。

 

■ 将来投資の原資確保はファイナンス戦略が大事

似たような設備投資の原資確保の取り組みについては「運転資金1500億円圧縮 日立、投資余力を高める」にて、想定シナリオの注意点を指摘させて頂きました。
今回のシナリオは次のように整理させて頂きました。

  1. 「製品納期の短縮(→たな卸資産の削減)」、「支払い条件の緩和(→買入債務の削減)」により、営業キャッシュフローを増大させる
  2. 「(フリーキャッシュフロー) = (営業キャッシュフロー) - (投資キャッシュフロー)」なので、フリーキャッシュフローが増大する
  3. フリーキャッシュフローを使い、有利子負債を返済する
  4. 有利子負債を圧縮させると(ネット)DEレシオが改善する
  5. (ネット)DEレシオが改善すると、格付が上がり、有利な条件で設備投資用の長期資金の調達ができる

(フリーキャッシュフローとDEレシオの使い方と注意点は別の機会に)
同様の財務戦略は、日経新聞15面の隣の東芝のCFOインタビュー記事でも窺(うかが)い知ることができます。

2014/9/11付 |日本経済新聞|朝刊 CFO投資家に語る①
東芝 純現金収支の黒字上積み

両社と日立との大きな違いは、

  • 長短の資金調達の違いを資本コストの面から考慮していること
  • せっかく作ったキャッシュフロー計算書を活用していること

 

■ 営業キャッシュフロー増大の打ち手

最後に、川崎重工業の営業キャッシュフロー増大の施策が適切か見てみることにしましょう。
経営管理会計トピック_川崎重工業のCF
「たな卸資産」は総資産に占める割合が29.5%と最大なので、まず手を付けるべきでしょう。しかも、FY13のキャッシュフロー創出には貢献していません。ここまでは記事内容に諸手(もろて)を挙げて賛成です。しかし、買入債務の圧縮にも言及していますが、売上債権の方が、総資産に占める割合(26.7%)が大きくなっています。我流の指標をキャッシュフローの右側に単に「貢献度」と記載しています。この数字を見る限りでも、仕入債務圧縮の方は既に十分効果を出しているので、通常、取り組み努力に比例して効果が逓減すると考えれば、次は売上債権の早期回収の方が効果が出やすいと思うのですが。。。
この「貢献度」は、表にある数字の組み合わせで算出できます。いつも種明ししているとつまらないので、計算式は各自でご確認ください。
最後に蛇足ですが、会社によって「たなおろししさん」の漢字仮名の表記が微妙に異なります。今回の川崎重工業と前回の日立製作所とそれぞれどういう科目表示になっているかもあわせて確認してみてください。

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