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■ 企業が直面する3つの市場

会計(基礎編)
このシリーズの目的は、平易な解説で会計の基礎知識を会得(えとく)することです。そのためには思いきって単純化した説明が必要になります。
あなたが経営している(勤めている)会社は、下表にあるとおり、3つの市場との間で常日頃、商取引を行い、会計ルールに従って、会計帳簿(かいけいちょうぼ:預金通帳みたいなもの)にその取引を記録して、利害関係者(ステークホルダー)へ報告することになります。
会計(基礎編)_会社と3つの市場_v01
《金融市場》
銀行などの金融機関から会社設立資金や運転資金を借り入れます。会社を作るにも、会社経営を続けていくうえでも、まず手元にお金がないとどうにもなりません。
「金融取引」とか、法律用語的に小難しく言うと「金銭消費貸借契約」に基づいてお金の貸し借りをします。当然、借りたお金は返済してください。
《財・サービス市場》
供給業者(サプライヤー、お取引先)から、原材料や売りたいと思う商品を買います。
お客様に、商品・製品・サービスを提供して、対価を頂戴します。
供給業者から買った値段とお客様から頂いた対価の差額が『儲け』=『利益』となります。
《労働市場》
会社には通常、働いてくれる従業員がいます。社長一人の会社でも、その社長が働く人です。当然、働いてくれる人とは「雇用契約」を結んで、お給料を払ってあげる必要があります。

■ 金融機関との取引

会社が経営のためにお金を金融機関に用意してもらうやり方は、ざっくり分類すると2つあります。
会計(基礎編)_金融取引_v01
《融資》
「ゆうし」と読みます。一般的な事例だと、いわゆる銀行が、既に設立された会社に対して、預金者から集めたお金を貸し付けることをいいます。銀行は、会社に対してお金を貸している立場になるので、そういう人たち(法人含む)を「債権者(さいけんしゃ)」と呼びます。
債権者が貸し付けたお金は、会計帳簿には、「負債(ふさい)」という名前で記録されます。
《出資》
「しゅっし」と読みます。一般的な株主会社を例にとると、会社の持ち主として、自らの財産(お金)を提供して、「株主」となって会社を設立する行為です。
株主が拠出したお金は、会計帳簿には、「資本(しほん)」という名前で記録されます。

■ お客様やサプライヤーとの取引

会社が儲けるためには、何かを買ったり売ったりして、その差額を会社に留めておく必要があります。一般概念でいう商売の相手、取引先とのやり取りがここでとりあげる売買取引です。
会計(基礎編)_売買取引_v01
《購入》
サプライヤー(供給業者)から、流通業だと販売したい商品を、製造業だと生産したい製品の材料を買ってくる取引のことをいいます。見方を変えると、会社が元々持っている現金とサプライヤーが持っている商品や材料を交換する取引とも解釈することができます。
《販売》
流通業だとサプライヤーから事前に購入しておいた商品を、製造業だと自社工場で生産した製品を、お客様の元にお届けして、代金をもらってくる取引のことをいいます。見方を変えると、会社が元々持っている商品や製品とお客様が持っている現金を交換する取引とも解釈することができます。
会社が持っている「現金」や「商品」「製品」は、いつでも交換可能な会社の財産です。そのような会社が所有している財産は、会計帳簿には、ひとまとめにして「資産(しさん)」という名前で記録されます。

■ 従業員との取引

よく、「『従業員』は我が社にとって貴重な財産である」と社長が訓示されたりします。しかし残念ながら、会計の世界では、従業員は、いかに「人的資産」とか「人財」と勿体(もったい)づけられて呼ばれたとしても、資産として記録されることはありません。
その代り、会社を辞める時にもらえるであろう「退職金」や、ある年齢に達した時にもらえるであろう「年金」の、現在時点の積立分は「負債」として記録されます。本来は、現在の従業員の働きに対して、報酬(現金給与とかの形で)として報いなければいけないところ、あなたが、会社を辞める時まで(ある一定の年齢に達するまで)、会社からのあなたへの支払いが猶予(ゆうよ)されていると考えるからです。
会計(基礎編)_退職金積み立て
会社はあなたが受給条件を満たす時まで、支払いをストップさせて会社の中にお金をとどめておきます。しかし、条件が発動すると、支払う法的義務が生じます。これは、銀行からの借金と同じです。銀行の目線からすると、「100億円を会社に貸し付けた。×月×日までに、100億円を返してもらう(支払ってもらう)権利を有している」と解釈できることと同じです。
あなたは、会社を辞めた時に、退職金???円を支払ってもらう権利を有していますが、今は支払いを猶予してあげているということで、???円分は会社があなたから借りていてまだ返済していない債務(さいむ)という認識ができるということです。
お給料やストックオプションは会計帳簿にどう記録されるか?疑問をお持ちなられた方がいらっしゃると思います。お給料はこのシリーズの後の記事で、ストックオプションは「会計(基礎編)」の範囲を超えているので、別シリーズで説明します。
ここまで、「会計として記録される取引」を説明しました。
会計(基礎編)_会計として記録される取引

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http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/07/3c971502de75240f1831fd45c1169d291.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/07/3c971502de75240f1831fd45c1169d291-150x150.jpg小林 友昭会計(基礎編)■ 企業が直面する3つの市場 このシリーズの目的は、平易な解説で会計の基礎知識を会得(えとく)することです。そのためには思いきって単純化した説明が必要になります。 あなたが経営している(勤めている)会社は、下表にあるとおり、3つの市場との間で常日頃、商取引を行い、会計ルールに従って、会計帳簿(かいけいちょうぼ:預金通帳みたいなもの)にその取引を記録して、利害関係者(ステークホルダー)へ報告することになります。 《金融市場》 銀行などの金融機関から会社設立資金や運転資金を借り入れます。会社を作るにも、会社経営を続けていくうえでも、まず手元にお金がないとどうにもなりません。 「金融取引」とか、法律用語的に小難しく言うと「金銭消費貸借契約」に基づいてお金の貸し借りをします。当然、借りたお金は返済してください。 《財・サービス市場》 供給業者(サプライヤー、お取引先)から、原材料や売りたいと思う商品を買います。 お客様に、商品・製品・サービスを提供して、対価を頂戴します。 供給業者から買った値段とお客様から頂いた対価の差額が『儲け』=『利益』となります。 《労働市場》 会社には通常、働いてくれる従業員がいます。社長一人の会社でも、その社長が働く人です。当然、働いてくれる人とは「雇用契約」を結んで、お給料を払ってあげる必要があります。 ■ 金融機関との取引 会社が経営のためにお金を金融機関に用意してもらうやり方は、ざっくり分類すると2つあります。 《融資》 「ゆうし」と読みます。一般的な事例だと、いわゆる銀行が、既に設立された会社に対して、預金者から集めたお金を貸し付けることをいいます。銀行は、会社に対してお金を貸している立場になるので、そういう人たち(法人含む)を「債権者(さいけんしゃ)」と呼びます。 債権者が貸し付けたお金は、会計帳簿には、「負債(ふさい)」という名前で記録されます。 《出資》 「しゅっし」と読みます。一般的な株主会社を例にとると、会社の持ち主として、自らの財産(お金)を提供して、「株主」となって会社を設立する行為です。 株主が拠出したお金は、会計帳簿には、「資本(しほん)」という名前で記録されます。 ■ お客様やサプライヤーとの取引 会社が儲けるためには、何かを買ったり売ったりして、その差額を会社に留めておく必要があります。一般概念でいう商売の相手、取引先とのやり取りがここでとりあげる売買取引です。 《購入》 サプライヤー(供給業者)から、流通業だと販売したい商品を、製造業だと生産したい製品の材料を買ってくる取引のことをいいます。見方を変えると、会社が元々持っている現金とサプライヤーが持っている商品や材料を交換する取引とも解釈することができます。 《販売》 流通業だとサプライヤーから事前に購入しておいた商品を、製造業だと自社工場で生産した製品を、お客様の元にお届けして、代金をもらってくる取引のことをいいます。見方を変えると、会社が元々持っている商品や製品とお客様が持っている現金を交換する取引とも解釈することができます。 会社が持っている「現金」や「商品」「製品」は、いつでも交換可能な会社の財産です。そのような会社が所有している財産は、会計帳簿には、ひとまとめにして「資産(しさん)」という名前で記録されます。 ■ 従業員との取引 よく、「『従業員』は我が社にとって貴重な財産である」と社長が訓示されたりします。しかし残念ながら、会計の世界では、従業員は、いかに「人的資産」とか「人財」と勿体(もったい)づけられて呼ばれたとしても、資産として記録されることはありません。 その代り、会社を辞める時にもらえるであろう「退職金」や、ある年齢に達した時にもらえるであろう「年金」の、現在時点の積立分は「負債」として記録されます。本来は、現在の従業員の働きに対して、報酬(現金給与とかの形で)として報いなければいけないところ、あなたが、会社を辞める時まで(ある一定の年齢に達するまで)、会社からのあなたへの支払いが猶予(ゆうよ)されていると考えるからです。 会社はあなたが受給条件を満たす時まで、支払いをストップさせて会社の中にお金をとどめておきます。しかし、条件が発動すると、支払う法的義務が生じます。これは、銀行からの借金と同じです。銀行の目線からすると、「100億円を会社に貸し付けた。×月×日までに、100億円を返してもらう(支払ってもらう)権利を有している」と解釈できることと同じです。 あなたは、会社を辞めた時に、退職金???円を支払ってもらう権利を有していますが、今は支払いを猶予してあげているということで、???円分は会社があなたから借りていてまだ返済していない債務(さいむ)という認識ができるということです。 お給料やストックオプションは会計帳簿にどう記録されるか?疑問をお持ちなられた方がいらっしゃると思います。お給料はこのシリーズの後の記事で、ストックオプションは「会計(基礎編)」の範囲を超えているので、別シリーズで説明します。 ここまで、「会計として記録される取引」を説明しました。現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します