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■ 兵站(ロジスティクス)まで気配りして新事業を始める

経営戦略(基礎編)
巧みに軍(組織)を運用する者は、国内の民衆に二度も軍役を課したりせず、食糧を三度も前線へ補給したりしません。戦費は国内で調達しますが、食糧は敵地で確保します。
戦争を起こして、国家が貧しくなるのは、遠征軍が遠くまで補給物資を輸送するからです。
① 遠い敵地にいる外征軍に補給物資を輸送することを民衆に強いることは民衆の負荷が高まり生活が困窮する
② 補給物資用にモノを調達すると、民衆の生活物資が欠乏する
③ 商工業者たちは、物資の大量調達による物不足につけ込んで、モノの値段をつり上げる
④ 物価が上がれば、政府は平時よりも高価で軍需物資を調達しなければならず、国庫の負担が増す
⑤ 国庫の負担が増すと、国家財政が枯渇してしまい、民衆に対する税金も高くなり、民衆の生活費が削られる
だからこそ、遠征軍を率いる智将は、できる限り敵地で食糧を調達するように努めるのです。
・敵方の穀物一鍾(しょう)を食べるのは、自国から補給される二十鍾に値する
・牛馬の飼料一石は、自国から供給される二十石にも相当する

孫子 (講談社学術文庫)


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敵地を占領後、自国に併合する場合、戦時の現地における略奪が、新政権(占領軍)へのロイヤリティを失墜させ、併合後に上手く統治できない、という政治・軍事上の都合はいったんここでは忘れておきます。
孫子が言いたいのは、「兵站(ロジスティクス)の重要性」です。現代ビジネスにおいては、新規事業を立ち上げた後に、新製品が二の矢、三の矢と次々に投入できるか? 過重労働になって残業が常態化し、継続的な事業として正常運営不能に陥るリスクは無いか? 売上高が増大するということは、売掛金や在庫も比例して増えるため、必要とする運転資金増の手当ては済んでいるか?
牽強付会のひとつかもしれませんが、孫子の言葉に「戦費は国内で調達するが、食糧は敵地で確保する」というものがありましたね。これは、設備投資など、イニシャルにかかる資金はとりあえず用立てるが、事業が軌道に乗ったら、自事業のビジネスで資金回収し、運転資金は、いわゆる「セルフ・ファンディング」で賄ってくださいね、という資金管理のオーソドックスなセオリーに聞こえて仕方ありません。
PPM理論風に言えば、「金のなる木(Cash Cow)」に早くなってね、ということ。他事業に資金提供するほど、極端でなくてもいいですが、自分の事業で必要な資金は自分の事業で儲けた分で賄って欲しいものです。
「敵に食む」とは、現代ビジネス的には、「対象市場からきっちり先行投資分を含めた運転資金を回収する」と読んで頂いてかまわないと思います。
孫子の兵法(入門編)_第2章 作戦篇 6 智将は努めて敵に食(は)む

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孫子 第2章 作戦篇 6 智将は努めて敵に食(は)むhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/ab47f6b60b2243be5165d08fde098dfb-e1428423948658.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/ab47f6b60b2243be5165d08fde098dfb-150x150.jpg小林 友昭孫子の兵法(入門編)兵法,孫子,戦略■ 兵站(ロジスティクス)まで気配りして新事業を始める 巧みに軍(組織)を運用する者は、国内の民衆に二度も軍役を課したりせず、食糧を三度も前線へ補給したりしません。戦費は国内で調達しますが、食糧は敵地で確保します。 戦争を起こして、国家が貧しくなるのは、遠征軍が遠くまで補給物資を輸送するからです。 ① 遠い敵地にいる外征軍に補給物資を輸送することを民衆に強いることは民衆の負荷が高まり生活が困窮する ② 補給物資用にモノを調達すると、民衆の生活物資が欠乏する ③ 商工業者たちは、物資の大量調達による物不足につけ込んで、モノの値段をつり上げる ④ 物価が上がれば、政府は平時よりも高価で軍需物資を調達しなければならず、国庫の負担が増す ⑤ 国庫の負担が増すと、国家財政が枯渇してしまい、民衆に対する税金も高くなり、民衆の生活費が削られる だからこそ、遠征軍を率いる智将は、できる限り敵地で食糧を調達するように努めるのです。 ・敵方の穀物一鍾(しょう)を食べるのは、自国から補給される二十鍾に値する ・牛馬の飼料一石は、自国から供給される二十石にも相当する 孫子 (講談社学術文庫) ----------------- 敵地を占領後、自国に併合する場合、戦時の現地における略奪が、新政権(占領軍)へのロイヤリティを失墜させ、併合後に上手く統治できない、という政治・軍事上の都合はいったんここでは忘れておきます。 孫子が言いたいのは、「兵站(ロジスティクス)の重要性」です。現代ビジネスにおいては、新規事業を立ち上げた後に、新製品が二の矢、三の矢と次々に投入できるか? 過重労働になって残業が常態化し、継続的な事業として正常運営不能に陥るリスクは無いか? 売上高が増大するということは、売掛金や在庫も比例して増えるため、必要とする運転資金増の手当ては済んでいるか? 牽強付会のひとつかもしれませんが、孫子の言葉に「戦費は国内で調達するが、食糧は敵地で確保する」というものがありましたね。これは、設備投資など、イニシャルにかかる資金はとりあえず用立てるが、事業が軌道に乗ったら、自事業のビジネスで資金回収し、運転資金は、いわゆる「セルフ・ファンディング」で賄ってくださいね、という資金管理のオーソドックスなセオリーに聞こえて仕方ありません。 PPM理論風に言えば、「金のなる木(Cash Cow)」に早くなってね、ということ。他事業に資金提供するほど、極端でなくてもいいですが、自分の事業で必要な資金は自分の事業で儲けた分で賄って欲しいものです。 「敵に食む」とは、現代ビジネス的には、「対象市場からきっちり先行投資分を含めた運転資金を回収する」と読んで頂いてかまわないと思います。現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します