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脚本家・加藤 陽一 2015年3月22日 クリエイター体験講座 AnimeJapan 2015

所感
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■ シナリオを描く前にコンセプトを共有する

コンテンツガイド
すでにカミングアウトしている通り、アニオタ親子なので、中学生の息子と東京ビックサイトで年一回催される「AnimeJapan 2015」に今年も行ってきました。
私は、アニメに接する際に3つの視点を持っています。
① 純粋にアニメ作品を鑑賞するのが好きなファンの視点
② クールジャパンの格好の商材としてどのように海外市場に拡販していくか、
アニメ制作工程の「カイゼン」はどうしたら推進できるか、と経営コンサルの視点
③ クライアントに喜ばれる成果物をどのように作成できるか(パワポ資料やITシステム、経営管理制度など)、クリエイターの視点
今回は、③の視点から、ビジネスパーソンにも役立つと思われるワークショップ参加(見学)の体験をお伝えします。
放送作家から転じて脚本家になられた加藤陽一さんのシナリオ作成術・心構えをお聞きしてきました。
まず、加藤さんのご紹介から。読者の方々にお子さんがいらっしゃったら、「妖怪ウォッチ」「アイカツ!」「宇宙兄弟」のどれか知っている? と聞いてみてください。すべて、加藤さんのシナリオによる作品です。幼稚園生から高校生、女子か男子、どこかのセグメントにこの3作品のいずれかがミートするはずです。
加藤さんいわく、シナリオを描く際の秘訣は次の3つ。
① コンセプト中心主義
台詞回しのテクニックとか、キャラ立てなどは二の次。どういうコンセプトの作品にしたいか、それを監督、プロデューサー、演出家などの関係者と徹底的に議論・共有することに努めます。
② すべてのコンセプトは一つの作品には入らない
前向きになれる、親子愛を描く、悲しい、楽しい、人間ドラマ、ユーモア、怖い、友情、努力、、、
作品を作る際に、いろんなコンセプトが思いつきますが、決して全てを盛り込むことは事実上できない。何かを捨てなければならない。何を捨てるか、その判断基準が重要。
③ コミュニケーション重視
参加者からこういう質問がありました。
「シナリオ改稿を求められたとき、監督とプロデューサーから全く別々のことを言われたらどうしますか? 自分の持っている世界観・価値観をどこまで崩して妥協してシナリオを直しますか?」
いたって、ものづくり現場では当たり前になっている疑問だと思います。
この問いに対する加藤さんの回答は?
「監督とプロデューサーとで別々の指示が出ること自体がすでにおかしい。関係者全員で意思統一を図る会議体を運営しておけば、そこで多種多様な意見を収斂させることができる。」
「そもそも、二人から別々の指示がでてしまうということは、最初に固めたはずの『コンセプト』が弱かったということ。コンセプトをしっかり見つめ直し、必要があれば修正することで、全関係者の思いは共通解にもっていけるはず。」
①も②もふくめて、この加藤さんの回答に、アニメの脚本(シナリオ)作成に限らず、広く一般的に「ものづくり」に携わっている人たちに対する強烈な教えは無いですか?
「妖怪ウォッチ」や「アイカツ!」は、おもちゃ会社(ホビー、トイズとか呼ばれている)のキャラクターグッズの拡販戦略にまで目配りしてシナリオが描かれます。そういう芸当ができるのも、最初にしっかりとした「コンセプト」を固め、関係者との意思疎通が阻害されないような「コミュニケーション」の場を設定しておく。
まず「商品コンセプト」
次に「現場のコミュニケーション」
だって世界に通用するジャパニメーション。それを作っている人達は、その世界では一流ですよ。その分野の一流の人の意見を参考にしない手はありません。
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