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■ 人工知能(AI)の能力とは何か? きちんと見極めよう!

経営管理会計トピック

本稿は、日本経済新聞掲載の経済教室にて、人工知能(AI)全盛時代の機運高まる中、人間の脳を超越して諸問題が起こりうることはない、と断言する論説の紹介となります。特に、巷のAI信奉論とアンチAI論の対立については、西洋文明からの「神」「知能」に対する理解のアングルからのものと、冷静な分析を加えられています。

2016/9/7付 |日本経済新聞|朝刊 (経済教室)人工知能の光と影(下)「人間の脳を超越」あり得ず 機械知より生命知に強み 西垣通・東京経済大学教授

「囲碁の名人を米グーグルの人工知能(AI)「アルファ碁」が破ったことで、AIに対する世間の期待は高まる一方だ。人間はチェスや将棋ではもう歯が立たない。組み合わせ数が膨大な囲碁は最後の牙城だったが、ついにこれも攻め落とされてしまった。
 それだけではない。AIが大学入試問題を解く能力も年々上がっている。近々、外国語の翻訳もスマートフォンが自動的にしてくれるらしい。「コンピュータが人間より頭が良くなるのは、もう時間の問題だ」という確信に満ちた声も聞こえてくる。
 だが、そうなると困ることもある。ホワイトカラーの仕事が奪われるかもしれない。やがて国内労働人口の約半分の仕事がAIに代替されるという調査報告も昨年発表された。未来のAI社会は一体、幸福なのか、不幸なのか……。」

(下記は、同記事添付の西垣通教授の写真を転載)

20160907_西垣通_日本経済新聞朝刊

にしがき・とおる 48年生まれ。東京大工学博士。専門は情報学。東大名誉教授

<ポイント>
○過去のAIブーム失敗の反省から始めよ
○深層学習でも調整作業に相当の手間必要
○AIよりもIA(人知の増幅器)をめざせ

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

教授はまず、「人間」対「AI」の対立構造の中で議論されている脅威論の正体からひも解いて解説されています。

「アルファ碁」などが、人間に勝ったからと言っていますが、囲碁や将棋のAIソフトもまた人間が制作したもの。つまり、普通の人間でも、コンピュータの力を借りれば、囲碁や将棋の名人に勝てるという構造で考えてはという筆者には新鮮な視点を与えてくれました。

教授によれば、
「百科事典を丸ごと記憶しているコンピュータが入試用の暗記問題を解いたところで驚くことはない。
 とうの昔から、機械の能力は部分的には人間をしのいでいる。だが自動車とマラソンをして負けたからといって、騒ぐ人がいるだろうか。「頭が良い」とは本当はどういうことなのか、きちんと考えてみなければならない。」

AIの能力と、本当の人間の知力の違いを理解せねば、教授のおっしゃる「AI脅威論は的外れ論」を理解できないようです。それは次章へ。

 

■ 人工知能(AI)ブームの歴史とAIが知能を発揮する仕方の変遷とは!?

下記は、同記事添付の「人工知能ブームの歴史」をまとめたチャートを転載したものです。

20160907_人工知能ブームの歴史_日本経済新聞朝刊

(1)第1次ブーム(1950~60年代)
「コンピュータは論理機械だ。正確な論理操作をすれば、答えが誤ることはない。だからこそ優れた「人工の知能」に値するというのが第1次AIブームの時の発想だった。だが純粋な論理操作だけで解決できる問題は、簡単なゲームやパズルくらいしかない。」

(2)第2次ブーム(1980年代)
第1次ブームの挫折を糧に、
「多くの「知識」をメモリーに蓄積しておき、それらを組み合わせて推論するという発想が出てきた。」「例えば医学知識をデータベースに貯蔵し、患者の検査データと組み合わせて病名を診断しようというわけだ。医者のような人間のエキスパートの代わりをAIが務めるので「エキスパートシステム」という名がついた。」

なぜ、この第2次ブームが潰えたのか? 知識の活用でAIの応用範囲が広がったのに反比例して、答えの精度が落ちたことにあります。人間のエキスパートはいわゆる「直観」を働かせて大きな誤差を調整する能力を備えていますが、所詮AIはプログラムです。人間が所与として与えたロジックを超える命題に突き当たった時、柔軟に考え方・発想を変えたり、論理の飛躍的改善がそもそも不可能なのです。

(参考)
⇒「AI、弱点は「常識知らず」状況把握が苦手、活用に課題
⇒「(真相深層)中国も「東大合格ロボ」開発  人工知能研究の世界競争激化 米先行、日本は官民連携を(1)
⇒「(真相深層)中国も「東大合格ロボ」開発  人工知能研究の世界競争激化 米先行、日本は官民連携を(2)
⇒「人工知能(AI)の研究者2人に聞く! AI研究の方向性とこれからの人間教育について(後編)日経新聞より

この時代、日本のAI研究の失敗の原因は、ただひたすら「推論操作の高速化だけに取り組んだ点」にあり、上記のような難問に正面から取り組まなかったことにあるそうです。

(3)第3次ブーム(2010年代~)
「第3次AIブームを起こしたのは「深層学習」という技術だ。画像や音声などのパターン認識は昔からコンピュータの苦手な分野だったが、深層学習はここに画期的なブレークスルー(技術突破)をもたらした。従来のパターン認識では通常、人間が外部から、パターンの特徴を機械に与える。だが深層学習を用いるAIは、自分で特徴を抽出してしまうのだ。」

こうした「深層学習(ディープラーニング)」のためのプログラムは、脳神経に似た構造を持っており、研究者もこぞって人間の脳認知学を取り入れたことにより、「人間の脳に近い機能を持つAIが誕生し、自分で概念を把握できる」という思い込みが世間に流布したと、教授は指摘されています。

 

■ 深層学習を駆使したAIは決して万能ではない!

教授によりますと、
「深層学習は優れた技術だが、あくまでパターン認識において有用であるにすぎない。実際に行っているのはビッグデータの統計処理であり、人間の脳における社会的・言語的な概念の処理と直接関係づけるのは困難だ。例えば自由とか国家といった概念を、統計処理のみから導き出すことなど不可能だろう。さらに統計処理はデータ群の全体的特性を抽出することはできるが、個別のケースでは間違える場合もある。」

つまり、現段階で注目されているAIの能力というのは、ベイズ統計学の理論に基づく統計処理の確からしさの範疇のものであり、確からしさというのは、ベイズ定理の推論の範囲内で、その応用範囲は思ったより限定的だ、ということなのです。

・「確率」は、原因(前提条件など)→結果を推論する(順問題)
・「統計」は、「結果」→原因を推論する(逆問題)

・従来型の統計学は、「大数の法則」から、確率論的に確からしさを求める
・ベイズ統計学は、「仮説検証」から、確率論的に仮説をより確からしさに近づける

所詮、従来のAIはこういう統計処理をしているにすぎず、グーグルの画像認識でも、人間なら一目で分かる人と猫の違いでも、珍妙な間違いを繰り返して、より確からしい猫を選び出してくるだけの技術、ということです。

教授によれば、
「深層学習の応用の現場では、AIが行った分類を、人間の概念分類に合致させるチューニング(調整)作業にかなりの手間がかかる。」
とのことで、まだまだ深層学習によるAIが汎用的なAIになるにはテクノロジーの進化がまだまだ必要とのこと。

 

■ “シンギュラリティー”は西洋の価値観から生まれた概念だ!

教授によれば、AI万能論の的外れさを指摘し、
「AIが2045年に人間の脳を上回るという「シンギュラリティー(技術的特異点)仮説」は、そうした妄想の典型だ。これは米国の発明家レイ・カーツワイル氏が主張している仮説で、約30年後にコンピュータが自我を持ち、人間の代わりに知的作業をこなしてくれるという。一方、これは機械による人間の支配であり、阻止すべきだという論者もいる。」

と一刀両断です。

「だがシンギュラリティー仮説や汎用AIなどは、西洋の宗教的伝統を背景とするものだ。神の論理は絶対であり、理想的なAIはそれに近づけるというわけだ。われわれ日本人が、そういう伝統に追従する必要はない。研究予算獲得のために欧米のまねをしても、大した成果は望めない。」

そもそも、サイエンスとは、神(イエス)の全知全能さを証明するために、宇宙や万物の物理法則がきれいに数学的に証明されることを求めて発達してきました。キリスト教への信心が科学を生み出したこの逆説的な秘話、筆者が大学生の時に、「現代思想論」という授業で知ってたいそう感心した記憶があります。ケプラーに始まって、、、

教授の切れ味鋭い洞察はこの小稿の最後まで続きます。

「人間は論理機械でなく多細胞生物だ。だから人間の思考は論理矛盾を含んでいることも多いし、身体的な直観に支えられている。AIという機械知は過去のデータに基づくので、安定状態での作業効率は良くても、全く新しい環境条件には対応できない。生物は激変する地球環境の中で生き抜いてきた。この柔軟性こそ生命知の本質ではないか。」

筆者は、経営コンサルタントを生業としており、コンサルティングの現場で、クライアントのお困りごとに対して、自信が持っているこれまでの経験値に照らして、現場で得た情報を解析して、ソリューションを新たに生み出してクライアントに提供することを毎日行っています。似たような悩み、似たような解決策は多々ありますが、どれもこれも唯一のもので、問題解決の度に、頭の中で論理的飛躍を行って新説を生み出しています。これがAIに取って代わられるか、については、「いつまで持つか?」という心配はしていますが、今すぐAIに代替されるとは思っていません。

「よって大切なのは、自我を持つ汎用AIといった幻を追わず、実用的な専用AIの精錬にまい進することだ。応用分野は自動運転、農業、スマート工場など数多い。目ざすべきはAIではなく、「IA」つまり人知(インテリジェンス)の増幅器(アンプリファイアー)なのである。」

それゆえ、上記のような西垣教授の「増幅器」として、AIを自身のコンサルテーションに組み込むことを企図して日々、研鑽を続けています。どうして経営管理・管理会計のコンサルタントがAIに関する投稿をブログに数多くUPしているか、これでお分かりになったでしょうか。(^^;)

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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(経済教室)人工知能の光と影(下)「人間の脳を超越」あり得ず 機械知より生命知に強み 西垣通・東京経済大学教授 - 今のAIでは論理的飛躍は不可能だ!http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭テクノロジーAI,アルファ碁,エキスパートシステム,シンギュラリティー,ディープラーニング,ベイズ統計学,人工知能,深層学習,西垣通■ 人工知能(AI)の能力とは何か? きちんと見極めよう! 本稿は、日本経済新聞掲載の経済教室にて、人工知能(AI)全盛時代の機運高まる中、人間の脳を超越して諸問題が起こりうることはない、と断言する論説の紹介となります。特に、巷のAI信奉論とアンチAI論の対立については、西洋文明からの「神」「知能」に対する理解のアングルからのものと、冷静な分析を加えられています。 2016/9/7付 |日本経済新聞|朝刊 (経済教室)人工知能の光と影(下)「人間の脳を超越」あり得ず 機械知より生命知に強み 西垣通・東京経済大学教授 「囲碁の名人を米グーグルの人工知能(AI)「アルファ碁」が破ったことで、AIに対する世間の期待は高まる一方だ。人間はチェスや将棋ではもう歯が立たない。組み合わせ数が膨大な囲碁は最後の牙城だったが、ついにこれも攻め落とされてしまった。  それだけではない。AIが大学入試問題を解く能力も年々上がっている。近々、外国語の翻訳もスマートフォンが自動的にしてくれるらしい。「コンピュータが人間より頭が良くなるのは、もう時間の問題だ」という確信に満ちた声も聞こえてくる。  だが、そうなると困ることもある。ホワイトカラーの仕事が奪われるかもしれない。やがて国内労働人口の約半分の仕事がAIに代替されるという調査報告も昨年発表された。未来のAI社会は一体、幸福なのか、不幸なのか……。」 (下記は、同記事添付の西垣通教授の写真を転載) にしがき・とおる 48年生まれ。東京大工学博士。専門は情報学。東大名誉教授 <ポイント> ○過去のAIブーム失敗の反省から始めよ ○深層学習でも調整作業に相当の手間必要 ○AIよりもIA(人知の増幅器)をめざせ (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 教授はまず、「人間」対「AI」の対立構造の中で議論されている脅威論の正体からひも解いて解説されています。 「アルファ碁」などが、人間に勝ったからと言っていますが、囲碁や将棋のAIソフトもまた人間が制作したもの。つまり、普通の人間でも、コンピュータの力を借りれば、囲碁や将棋の名人に勝てるという構造で考えてはという筆者には新鮮な視点を与えてくれました。 教授によれば、 「百科事典を丸ごと記憶しているコンピュータが入試用の暗記問題を解いたところで驚くことはない。  とうの昔から、機械の能力は部分的には人間をしのいでいる。だが自動車とマラソンをして負けたからといって、騒ぐ人がいるだろうか。「頭が良い」とは本当はどういうことなのか、きちんと考えてみなければならない。」 AIの能力と、本当の人間の知力の違いを理解せねば、教授のおっしゃる「AI脅威論は的外れ論」を理解できないようです。それは次章へ。   ■ 人工知能(AI)ブームの歴史とAIが知能を発揮する仕方の変遷とは!? 下記は、同記事添付の「人工知能ブームの歴史」をまとめたチャートを転載したものです。 (1)第1次ブーム(1950~60年代) 「コンピュータは論理機械だ。正確な論理操作をすれば、答えが誤ることはない。だからこそ優れた「人工の知能」に値するというのが第1次AIブームの時の発想だった。だが純粋な論理操作だけで解決できる問題は、簡単なゲームやパズルくらいしかない。」 (2)第2次ブーム(1980年代) 第1次ブームの挫折を糧に、 「多くの「知識」をメモリーに蓄積しておき、それらを組み合わせて推論するという発想が出てきた。」「例えば医学知識をデータベースに貯蔵し、患者の検査データと組み合わせて病名を診断しようというわけだ。医者のような人間のエキスパートの代わりをAIが務めるので「エキスパートシステム」という名がついた。」 なぜ、この第2次ブームが潰えたのか? 知識の活用でAIの応用範囲が広がったのに反比例して、答えの精度が落ちたことにあります。人間のエキスパートはいわゆる「直観」を働かせて大きな誤差を調整する能力を備えていますが、所詮AIはプログラムです。人間が所与として与えたロジックを超える命題に突き当たった時、柔軟に考え方・発想を変えたり、論理の飛躍的改善がそもそも不可能なのです。 (参考) ⇒「AI、弱点は「常識知らず」状況把握が苦手、活用に課題」 ⇒「(真相深層)中国も「東大合格ロボ」開発  人工知能研究の世界競争激化 米先行、日本は官民連携を(1)」 ⇒「(真相深層)中国も「東大合格ロボ」開発  人工知能研究の世界競争激化 米先行、日本は官民連携を(2)」 ⇒「人工知能(AI)の研究者2人に聞く! AI研究の方向性とこれからの人間教育について(後編)日経新聞より」 この時代、日本のAI研究の失敗の原因は、ただひたすら「推論操作の高速化だけに取り組んだ点」にあり、上記のような難問に正面から取り組まなかったことにあるそうです。 (3)第3次ブーム(2010年代~) 「第3次AIブームを起こしたのは「深層学習」という技術だ。画像や音声などのパターン認識は昔からコンピュータの苦手な分野だったが、深層学習はここに画期的なブレークスルー(技術突破)をもたらした。従来のパターン認識では通常、人間が外部から、パターンの特徴を機械に与える。だが深層学習を用いるAIは、自分で特徴を抽出してしまうのだ。」 こうした「深層学習(ディープラーニング)」のためのプログラムは、脳神経に似た構造を持っており、研究者もこぞって人間の脳認知学を取り入れたことにより、「人間の脳に近い機能を持つAIが誕生し、自分で概念を把握できる」という思い込みが世間に流布したと、教授は指摘されています。   ■ 深層学習を駆使したAIは決して万能ではない! 教授によりますと、 「深層学習は優れた技術だが、あくまでパターン認識において有用であるにすぎない。実際に行っているのはビッグデータの統計処理であり、人間の脳における社会的・言語的な概念の処理と直接関係づけるのは困難だ。例えば自由とか国家といった概念を、統計処理のみから導き出すことなど不可能だろう。さらに統計処理はデータ群の全体的特性を抽出することはできるが、個別のケースでは間違える場合もある。」 つまり、現段階で注目されているAIの能力というのは、ベイズ統計学の理論に基づく統計処理の確からしさの範疇のものであり、確からしさというのは、ベイズ定理の推論の範囲内で、その応用範囲は思ったより限定的だ、ということなのです。 ・「確率」は、原因(前提条件など)→結果を推論する(順問題) ・「統計」は、「結果」→原因を推論する(逆問題) ・従来型の統計学は、「大数の法則」から、確率論的に確からしさを求める ・ベイズ統計学は、「仮説検証」から、確率論的に仮説をより確からしさに近づける 所詮、従来のAIはこういう統計処理をしているにすぎず、グーグルの画像認識でも、人間なら一目で分かる人と猫の違いでも、珍妙な間違いを繰り返して、より確からしい猫を選び出してくるだけの技術、ということです。 教授によれば、 「深層学習の応用の現場では、AIが行った分類を、人間の概念分類に合致させるチューニング(調整)作業にかなりの手間がかかる。」 とのことで、まだまだ深層学習によるAIが汎用的なAIになるにはテクノロジーの進化がまだまだ必要とのこと。   ■ “シンギュラリティー”は西洋の価値観から生まれた概念だ! 教授によれば、AI万能論の的外れさを指摘し、 「AIが2045年に人間の脳を上回るという「シンギュラリティー(技術的特異点)仮説」は、そうした妄想の典型だ。これは米国の発明家レイ・カーツワイル氏が主張している仮説で、約30年後にコンピュータが自我を持ち、人間の代わりに知的作業をこなしてくれるという。一方、これは機械による人間の支配であり、阻止すべきだという論者もいる。」 と一刀両断です。 「だがシンギュラリティー仮説や汎用AIなどは、西洋の宗教的伝統を背景とするものだ。神の論理は絶対であり、理想的なAIはそれに近づけるというわけだ。われわれ日本人が、そういう伝統に追従する必要はない。研究予算獲得のために欧米のまねをしても、大した成果は望めない。」 そもそも、サイエンスとは、神(イエス)の全知全能さを証明するために、宇宙や万物の物理法則がきれいに数学的に証明されることを求めて発達してきました。キリスト教への信心が科学を生み出したこの逆説的な秘話、筆者が大学生の時に、「現代思想論」という授業で知ってたいそう感心した記憶があります。ケプラーに始まって、、、 教授の切れ味鋭い洞察はこの小稿の最後まで続きます。 「人間は論理機械でなく多細胞生物だ。だから人間の思考は論理矛盾を含んでいることも多いし、身体的な直観に支えられている。AIという機械知は過去のデータに基づくので、安定状態での作業効率は良くても、全く新しい環境条件には対応できない。生物は激変する地球環境の中で生き抜いてきた。この柔軟性こそ生命知の本質ではないか。」 筆者は、経営コンサルタントを生業としており、コンサルティングの現場で、クライアントのお困りごとに対して、自信が持っているこれまでの経験値に照らして、現場で得た情報を解析して、ソリューションを新たに生み出してクライアントに提供することを毎日行っています。似たような悩み、似たような解決策は多々ありますが、どれもこれも唯一のもので、問題解決の度に、頭の中で論理的飛躍を行って新説を生み出しています。これがAIに取って代わられるか、については、「いつまで持つか?」という心配はしていますが、今すぐAIに代替されるとは思っていません。 「よって大切なのは、自我を持つ汎用AIといった幻を追わず、実用的な専用AIの精錬にまい進することだ。応用分野は自動運転、農業、スマート工場など数多い。目ざすべきはAIではなく、「IA」つまり人知(インテリジェンス)の増幅器(アンプリファイアー)なのである。」 それゆえ、上記のような西垣教授の「増幅器」として、AIを自身のコンサルテーションに組み込むことを企図して日々、研鑽を続けています。どうして経営管理・管理会計のコンサルタントがAIに関する投稿をブログに数多くUPしているか、これでお分かりになったでしょうか。(^^;) (注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します