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■ テンプスタッフ社長の水田氏が人材不足への決め手を語る! 女性・シニア・AI・ロボ。ある意味ダイバーシティが重要!?

経営管理会計トピック

労働者派遣・人材サービス大手のテンプスタッフ水田社長へのインタビュー記事があり、少子高齢化により今後の労働力不足への処方箋は? というやり取りがありました。その記憶を新たなまま、日経新聞記事を眺めていると、実例が出てきましたので、ワンテーマにつなげてここにまとめます。
(注:水田氏の記事は、東京地方版への掲載です)

2016/1/29付 |日本経済新聞|朝刊 (景気に聞く)労働市場、デフレ完全脱却 テンプHD社長 水田正道氏

「景気の緩やかな回復を受け、雇用情勢の改善が続いている。有効求人倍率は東京で1.8倍台と極めて高い水準が続く。人手不足は企業にとって深刻な経営課題になっている。テンプホールディングスの水田正道社長に労働市場の現状と今後の見通しを聞いた。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

質問1:人材サービス分野の景気の現状はいかがですか。

「2013年以降、高止まりの状態だ。背景には構造的な人手不足がある。1番の理由は少子高齢化で若年労働力が減少傾向にあること。加えてアベノミクスによる景気回復だ。人手不足がここまで続くというのは記憶にないくらいだ」

 「アルバイトや転職の市場も同様だ。転職サービス『DODA(デューダ)』の調べでは、転職求人数は15年12月まで13カ月連続で調査開始以来の最高値を更新している。アルバイト情報『an』でも求人数は前年同月比で35%も増えた。関東エリアのコンビニの求人の平均時給は15年12月で946円、ファストフードは934円。それでも人が集まらない」

質問2:企業経営にどう影響しているでしょうか。

「これまではサービス業中心に、売り上げを増やすため休日を減らしたり営業時間を長くしたりしてきた。しかし、人が集まらず、長時間の営業を見直す動きが出てくるだろう。時給も大幅に下がることはない。労働市場ではデフレは完全に脱却したと言っていい。安価な労働力が前提では事業はもう回らない」

質問3:どう対応していけばよいでしょうか。

「解決策はいかに多様性を確保するかだろう。眠れる1番の資源は女性だと思っている。そしてシニアだ。長時間労働はもうあり得ない。働きやすい環境を作ることに加え、ITやロボットの活用も一つの手だ」

質問4:一方、非正規雇用の労働者の増加も問題になっています。

「再雇用される高齢者が増えていることが要因の一つだ。若年層で見れば正規雇用者は増えている。非正規労働者が増えたら格差拡大などという短絡的な話ではない。もうこの呼び方はやめて『有期雇用』『無期雇用』という分け方にすべきではないか。『非正規』という言葉は実情を表すのに適切ではない」

人材不足を解消する手立てはこの一言に尽きます。

『多様性(ダイバーシティ)』

女性、シニアも、非正規雇用者(有期雇用者)、果てはAIやロボに至るまで。働いてもらえるパワーがあるならなんでも有効活用しよう! 「非正規雇用」の問題については、最近、安倍政権が「同一労働同一賃金」というメッセージを出し始めましたが、これはまた別の機会にお話しするとして、ここでは、ダイバーシティの一端を担う「AI」「ロボ」について、今はここまで来ている! という実例をご紹介します。

この1冊でポイントがわかる ダイバーシティの教科書

■ ソフトバンクのペッパー君だけじゃないよ、接客できるロボットは!

実は、すでにコンペチタのビックカメラでは、コーヒーマシン売り場で、ペッパー君が実戦配備されています。負けじと業界No.1のヤマダ電機でも、というのが一つ目のお話です。

2016/2/2付 |日本経済新聞|朝刊 (ビジネスTODAY)歩くロボ店員は即戦力 ヤマダ電機が接客の実証実験、業務効率化の切り札に

「ロボットの店員の働く場が広がっている。家電量販最大手のヤマダ電機は1日、自律走行するロボットを接客に使う実証実験を始めた。売り場の案内など簡単な業務はロボットに任せ、丁寧な対応が求められる商品の説明に販売員が専念できるようにする。集客の話題づくりとみられがちだったロボット店員。人手不足が続くなか、戦力として期待が高まっている。」

(下記は同記事添付の自走型の写真を転載)

20160202_ヤマダ電機_ロボットが店内を案内する_日本経済新聞朝刊

「ヤマダ電機のテックランド青葉店(横浜市)に1日、身長150センチメートルほどの接客ロボット「ナビー」がお目見えした。
 「テレビはどこ?」と来店客が話しかけると、本体前面に据え付けられたタッチパネルに液晶テレビの商品一覧が映し出される。気になる商品を来店客が選ぶと、くるりと向きを変え、ゆっくりと動き出した。前方に人が飛び出せば、いったん停止。障害物をよけながら、お目当ての商品まで案内する。」

ナビー君は、日米合作のロボットです。

「ナビーは米ベンチャー企業のフェロウロボッツ(カリフォルニア州)が開発し、日本ユニシスがヤマダ向けにシステムを構築した。クルマの自動運転に使われる基本ソフト(OS)を搭載し、頭部と胴体、足元の3つのセンサーが障害物などを検知する。店内の簡単な地図情報を入力すれば、売り場を回るうちにより正確な地図を作り上げていく。誤差はわずか1センチメートルという精度の高さだ。」

Fellow Robotsのホームページ(当然英語ですよ)
 (http://fellowrobots.com/

日本ユニシス 米Fellow Robots社の自律移動型サービスロボットの取り扱いを開始
  (http://www.unisys.co.jp/news/nr_151210_robot.html

「自律走行するロボットを売り場の案内に使うのはヤマダが国内では初めて。3月には人工知能(AI)を活用した会話機能も盛り込む予定だ。3月中旬までの実験結果を踏まえ、今夏をめどに本格導入を検討する。フェロウロボッツのマルコ・マスコロ最高経営責任者は「ロボットで小売業の生産性を革新したい」と意気込む。」

フェロウロボッツ×日本ユニシス 対 ソフトバンク。 どちらの接客ロボットがデファクトスタンダードになるんでしょうか?

「「今後の家電販売は良くても横ばい」と話すヤマダの山田昇社長。2020年3月期の連結営業利益を15年3月期の5倍の1000億円強に引き上げる目標達成には店舗の運営効率を大幅に引き上げる必要がある。」

店舗の運営効率とはズバリ、販売人件費。これから感情回路も組込み、接客サービスに「お・も・て・な・し」要素が盛り込まれる方向でホスピタリティ重視の進化をさせるのか、中国語やハングル、英語といった翻訳機能や、スマホをかざすだけで決済までできるフィンテックばりの機能性重視の進化をさせるのか、これからの接客ロボットの機能向上が楽しみです。

同記事では、接客だけではなく、在庫管理など、バックヤード業務にもロボットを活用しようとするイオンの試みも紹介されています。

 人手不足が続く小売りやサービスの現場で自ら動くロボットの導入が広がっている。イオンは15年12月、ロボットと無線ICタグを組み合わせた在庫管理の実験を千葉市内の大型スーパーで始めた。閉店後に店内をロボットが巡回し、商品にとりつけたICタグの情報を読み取る。」

(下記は、同記事添付の歩くロボットの主な事例集を転載)

20160202_歩くロボットの主な事例_日本経済新聞朝刊

「法人向けの販売も始まったソフトバンクグループのヒト型ロボット「ペッパー」。販売店約100店への導入を進めている日産自動車は2日、ペッパーに新しい機能を追加する。世界で初めてという「自律移動」だ。椅子などを避けながら、来店客を追い掛ける。自動運転技術をわかりやすく紹介する。」

おっと、ペッパー君に「自律移動」機能追加。それはそうですね、もう自動車は自動走行技術開発も佳境だから、店内の障害物を避けながらの歩行スピードの移動ぐらいなら、実現可能性は高いですもんね。

「経済協力開発機構(OECD)によると、14年の日本の労働生産性は加盟34カ国中21位。仕事の効率は決して高いとはいえない。少子高齢化による労働人口の減少に直面する企業は生産性の向上と労働時間の短縮の両立が課題となっている。ロボット店員を「客寄せ」から「実戦力」にどう育てるかが経営の先行きを左右する。」

何もをって日本の労働生産性は低いと断じているのか、常日頃、はなはだ疑問に思っているのですが、、、そもそも欧米社会と「労働」に対する考え方が違うと思うんですよね、日本社会における「労働」は。日本人(とステレオタイプにひとくくりにはできない時代になりましたが)は「労働」自体を楽しみや神事と同一視している文化がありました。堺屋太一氏のいうところの、「職縁社会」「社縁社会」ですね。職場にいる方が楽しいし、職場の人間関係が現役サラリーマン時代の人間関係のほぼ大半を占めると言っていい。そうしたどっぷりつかった人間関係の中で、QCサークルもそう、カイゼンもそう、暗黙知もそう、インテグラル型製品もそう。濃密な人間関係によるアウトプットが日本企業の強みだった(これは強く過去形)。。。

閑話休題

ロボティクス 最前線

■ 次はAI搭載の産業ロボットやIoTのお話し。 今度は生産現場がどう変わるのか?

人手不足は生産現場でも等しく問題になっています。特に、匠の技の伝承が難しくなった昨今、そもそも匠の技を不要にする生産技術の開発か、逆に匠の技をAIに徹底的に教え込んで、人間並みの職人に育て上げるかの2方向が考えられています。

2016/2/7付 |日本経済新聞|朝刊 (そこが知りたい)産業用ロボットどう進化? ファナック社長 稲葉善治氏 自学自習、工場働きやすく

「製造現場の人手不足が深刻化する中、産業用ロボットの技術進歩が著しい。人と隣り合って作業する協調型や、人工知能(AI)の活用により、動作プログラムを人が入力するティーチングの負担を軽減した製品が浸透し始めた。ロボットの活用が広がることで製造現場はどう変わるのか。ファナックの稲葉善治社長に聞いた。」

(下記は、ファナックの稲葉善治社長の写真を同記事より転載)

20160207_稲葉善治_日本経済新聞朝刊

(いなば・よしはる 73年(昭48年)東工大工卒、いすゞ自動車入社。83年ファナック入社、01年副社長。03年6月から現職。研究肌で専務時代に東大の工学博士号を取得した。67歳。)

「安倍内閣が成長戦略の一環にロボット産業の振興を位置付けて後押ししていることもあり、注目が高まっていると肌で感じている。ソフトバンクグループの『ペッパー』のようなサービス型の登場はロボットを身近に感じてもらう機会になるだろう。産業用ロボットでも顧客が導入を検討する機運は高まっている」

産業用ロボットの進化の方向性について聞かれると、

「2つの流れがある。一つは表面を柔らかい素材で覆い、人と接触するとセンサーで感知して停止する協調型ロボットの登場だ。これまでは作業員の安全確保のため、柵の中に隔離しなければならなかった。協調型は人とロボットが同じ作業を分担するなど柔軟にラインを組めるようになる」

「AIのソフトを導入することによる進化も顕著だ。自ら見て、学ぶことで動き方を改善する。人間に一歩近づいた存在になる。ネットワーク接続により、ロボット同士がコミュニケーションをとり、作業の分担を相談するような機能の開発も進めている」

まあ、実装ではこの2つには大きな差があると認識されていらっしゃるのかもしれないけど、技術面では同じ。生産現場の動線として、人間と協調して同じラインに入るか、AI同士が連携してラインを維持するか。いずれにせよ、生身の人間がまだまだ得意な作業と、AIに任せた方が効率的な作業と、AIの進化のスピードに合わせて、適用するプラクティスの問題。そこに、まだ人間の知恵を働かせる余地がありそう。AIの自律的学習(機械学習、ディープラーニング)にはできること、できないことがはっきりしているので。

稲葉社長によると、今後の技術目標は、
「ロボットは正確な動きはできるが不器用だ。柔らかいケーブルをつかみ、ねじりながら差し込むような動きはまだできない。繊細な動きを実現することを目標に置いている」
「米シスコシステムズとロボットの故障予知に取り組んでいる。産学連携を強め、外部の技術でプラスになるものはどんどん使う」

前者は、まだメカトロ技術の問題でAI特有の課題ではない。後者は、センサー機器の進化によるIoT推進の課題。

「製造現場は今後2、3年で大きく変化するだろう。昨年発売した協調型ロボットは最大35キログラムの部品を持ち運びでき、女性や高齢者が働きやすくなる。AIの活用により、煩雑なティーチングの負担が減り、工業製品の製造だけでなく食品や物流などの産業でロボットの導入が進む」

人間の補助作業ロボットの話題はずいぶん前からあります。
⇒「熟練工の技、ロボで伝承 オムロン、サイバーダインと開発

最後におきまりの問答がありました。

「ロボットは雇用を奪いませんか?」

「ロボットは生活を豊かにする道具だ。人間の作業時間を短くすることで、工程管理などロボットができないことに充てる時間を増やせるようになる。ひとの仕事はなくならない」

ロボットやAIの可能性が大きいけど、そして労働力不足の心配をしながら、同時にロボットやAIに生身の人間の職場が失われる恐怖を感じている。この葛藤がいつもあるんですよね、この話題には。 まあ、このロボット・AI失業問題については、過去何度も投稿しているので、下記に直近のモノだけご紹介しておきます。

⇒「AI・ロボ・IoT影響は? 雇用の増減を試算 経産省、今春にも職種ごとに
⇒「(経済教室)人工知能は職を奪うか(上)日本、生産性向上の好機に 労働者の再教育カギ オックスフォード大学准教授 M・オズボーン、オックスフォード大学フェロー C・フレイ
⇒「(経済教室)人工知能は職を奪うか(下)意思疎通能力、一層重要に 労働市場の整備カギ 柳川範之 東京大学教授

ロボットの脅威 ―人の仕事がなくなる日

AI・ロボットを人材不足の解決策にするか、失業の脅威と受け取るか。それはあなたの仕事への取り組み方次第!

 

ダイバーシティマネジメントの実践 豊富な事例で学ぶ、多様な雇用の実際

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人手不足の処方箋 AI・ロボットの活用はどこまで実用化されているのか ファナックとヤマダ電機の例を見る!http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭テクノロジーソフトバンク,IOT,人工知能,AI,ファナック,テンプスタッフ,水田正道,ダイバーシティ,ビックカメラ,ペッパー君,ヤマダ電機,ナビー,フェロウロボッツ,日本ユニシス,産業用ロボット■ テンプスタッフ社長の水田氏が人材不足への決め手を語る! 女性・シニア・AI・ロボ。ある意味ダイバーシティが重要!? 労働者派遣・人材サービス大手のテンプスタッフ水田社長へのインタビュー記事があり、少子高齢化により今後の労働力不足への処方箋は? というやり取りがありました。その記憶を新たなまま、日経新聞記事を眺めていると、実例が出てきましたので、ワンテーマにつなげてここにまとめます。 (注:水田氏の記事は、東京地方版への掲載です) 2016/1/29付 |日本経済新聞|朝刊 (景気に聞く)労働市場、デフレ完全脱却 テンプHD社長 水田正道氏 「景気の緩やかな回復を受け、雇用情勢の改善が続いている。有効求人倍率は東京で1.8倍台と極めて高い水準が続く。人手不足は企業にとって深刻な経営課題になっている。テンプホールディングスの水田正道社長に労働市場の現状と今後の見通しを聞いた。」 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 質問1:人材サービス分野の景気の現状はいかがですか。 「2013年以降、高止まりの状態だ。背景には構造的な人手不足がある。1番の理由は少子高齢化で若年労働力が減少傾向にあること。加えてアベノミクスによる景気回復だ。人手不足がここまで続くというのは記憶にないくらいだ」  「アルバイトや転職の市場も同様だ。転職サービス『DODA(デューダ)』の調べでは、転職求人数は15年12月まで13カ月連続で調査開始以来の最高値を更新している。アルバイト情報『an』でも求人数は前年同月比で35%も増えた。関東エリアのコンビニの求人の平均時給は15年12月で946円、ファストフードは934円。それでも人が集まらない」 質問2:企業経営にどう影響しているでしょうか。 「これまではサービス業中心に、売り上げを増やすため休日を減らしたり営業時間を長くしたりしてきた。しかし、人が集まらず、長時間の営業を見直す動きが出てくるだろう。時給も大幅に下がることはない。労働市場ではデフレは完全に脱却したと言っていい。安価な労働力が前提では事業はもう回らない」 質問3:どう対応していけばよいでしょうか。 「解決策はいかに多様性を確保するかだろう。眠れる1番の資源は女性だと思っている。そしてシニアだ。長時間労働はもうあり得ない。働きやすい環境を作ることに加え、ITやロボットの活用も一つの手だ」 質問4:一方、非正規雇用の労働者の増加も問題になっています。 「再雇用される高齢者が増えていることが要因の一つだ。若年層で見れば正規雇用者は増えている。非正規労働者が増えたら格差拡大などという短絡的な話ではない。もうこの呼び方はやめて『有期雇用』『無期雇用』という分け方にすべきではないか。『非正規』という言葉は実情を表すのに適切ではない」 人材不足を解消する手立てはこの一言に尽きます。 『多様性(ダイバーシティ)』 女性、シニアも、非正規雇用者(有期雇用者)、果てはAIやロボに至るまで。働いてもらえるパワーがあるならなんでも有効活用しよう! 「非正規雇用」の問題については、最近、安倍政権が「同一労働同一賃金」というメッセージを出し始めましたが、これはまた別の機会にお話しするとして、ここでは、ダイバーシティの一端を担う「AI」「ロボ」について、今はここまで来ている! という実例をご紹介します。 この1冊でポイントがわかる ダイバーシティの教科書 ■ ソフトバンクのペッパー君だけじゃないよ、接客できるロボットは! 実は、すでにコンペチタのビックカメラでは、コーヒーマシン売り場で、ペッパー君が実戦配備されています。負けじと業界No.1のヤマダ電機でも、というのが一つ目のお話です。 2016/2/2付 |日本経済新聞|朝刊 (ビジネスTODAY)歩くロボ店員は即戦力 ヤマダ電機が接客の実証実験、業務効率化の切り札に 「ロボットの店員の働く場が広がっている。家電量販最大手のヤマダ電機は1日、自律走行するロボットを接客に使う実証実験を始めた。売り場の案内など簡単な業務はロボットに任せ、丁寧な対応が求められる商品の説明に販売員が専念できるようにする。集客の話題づくりとみられがちだったロボット店員。人手不足が続くなか、戦力として期待が高まっている。」 (下記は同記事添付の自走型の写真を転載) 「ヤマダ電機のテックランド青葉店(横浜市)に1日、身長150センチメートルほどの接客ロボット「ナビー」がお目見えした。  「テレビはどこ?」と来店客が話しかけると、本体前面に据え付けられたタッチパネルに液晶テレビの商品一覧が映し出される。気になる商品を来店客が選ぶと、くるりと向きを変え、ゆっくりと動き出した。前方に人が飛び出せば、いったん停止。障害物をよけながら、お目当ての商品まで案内する。」 ナビー君は、日米合作のロボットです。 「ナビーは米ベンチャー企業のフェロウロボッツ(カリフォルニア州)が開発し、日本ユニシスがヤマダ向けにシステムを構築した。クルマの自動運転に使われる基本ソフト(OS)を搭載し、頭部と胴体、足元の3つのセンサーが障害物などを検知する。店内の簡単な地図情報を入力すれば、売り場を回るうちにより正確な地図を作り上げていく。誤差はわずか1センチメートルという精度の高さだ。」 ● Fellow Robotsのホームページ(当然英語ですよ)  (http://fellowrobots.com/) ● 日本ユニシス 米Fellow Robots社の自律移動型サービスロボットの取り扱いを開始   (http://www.unisys.co.jp/news/nr_151210_robot.html) 「自律走行するロボットを売り場の案内に使うのはヤマダが国内では初めて。3月には人工知能(AI)を活用した会話機能も盛り込む予定だ。3月中旬までの実験結果を踏まえ、今夏をめどに本格導入を検討する。フェロウロボッツのマルコ・マスコロ最高経営責任者は「ロボットで小売業の生産性を革新したい」と意気込む。」 フェロウロボッツ×日本ユニシス 対 ソフトバンク。 どちらの接客ロボットがデファクトスタンダードになるんでしょうか? 「「今後の家電販売は良くても横ばい」と話すヤマダの山田昇社長。2020年3月期の連結営業利益を15年3月期の5倍の1000億円強に引き上げる目標達成には店舗の運営効率を大幅に引き上げる必要がある。」 店舗の運営効率とはズバリ、販売人件費。これから感情回路も組込み、接客サービスに「お・も・て・な・し」要素が盛り込まれる方向でホスピタリティ重視の進化をさせるのか、中国語やハングル、英語といった翻訳機能や、スマホをかざすだけで決済までできるフィンテックばりの機能性重視の進化をさせるのか、これからの接客ロボットの機能向上が楽しみです。 同記事では、接客だけではなく、在庫管理など、バックヤード業務にもロボットを活用しようとするイオンの試みも紹介されています。  人手不足が続く小売りやサービスの現場で自ら動くロボットの導入が広がっている。イオンは15年12月、ロボットと無線ICタグを組み合わせた在庫管理の実験を千葉市内の大型スーパーで始めた。閉店後に店内をロボットが巡回し、商品にとりつけたICタグの情報を読み取る。」 (下記は、同記事添付の歩くロボットの主な事例集を転載) 「法人向けの販売も始まったソフトバンクグループのヒト型ロボット「ペッパー」。販売店約100店への導入を進めている日産自動車は2日、ペッパーに新しい機能を追加する。世界で初めてという「自律移動」だ。椅子などを避けながら、来店客を追い掛ける。自動運転技術をわかりやすく紹介する。」 おっと、ペッパー君に「自律移動」機能追加。それはそうですね、もう自動車は自動走行技術開発も佳境だから、店内の障害物を避けながらの歩行スピードの移動ぐらいなら、実現可能性は高いですもんね。 「経済協力開発機構(OECD)によると、14年の日本の労働生産性は加盟34カ国中21位。仕事の効率は決して高いとはいえない。少子高齢化による労働人口の減少に直面する企業は生産性の向上と労働時間の短縮の両立が課題となっている。ロボット店員を「客寄せ」から「実戦力」にどう育てるかが経営の先行きを左右する。」 何もをって日本の労働生産性は低いと断じているのか、常日頃、はなはだ疑問に思っているのですが、、、そもそも欧米社会と「労働」に対する考え方が違うと思うんですよね、日本社会における「労働」は。日本人(とステレオタイプにひとくくりにはできない時代になりましたが)は「労働」自体を楽しみや神事と同一視している文化がありました。堺屋太一氏のいうところの、「職縁社会」「社縁社会」ですね。職場にいる方が楽しいし、職場の人間関係が現役サラリーマン時代の人間関係のほぼ大半を占めると言っていい。そうしたどっぷりつかった人間関係の中で、QCサークルもそう、カイゼンもそう、暗黙知もそう、インテグラル型製品もそう。濃密な人間関係によるアウトプットが日本企業の強みだった(これは強く過去形)。。。 閑話休題 ロボティクス 最前線 ■ 次はAI搭載の産業ロボットやIoTのお話し。 今度は生産現場がどう変わるのか? 人手不足は生産現場でも等しく問題になっています。特に、匠の技の伝承が難しくなった昨今、そもそも匠の技を不要にする生産技術の開発か、逆に匠の技をAIに徹底的に教え込んで、人間並みの職人に育て上げるかの2方向が考えられています。 2016/2/7付 |日本経済新聞|朝刊 (そこが知りたい)産業用ロボットどう進化? ファナック社長 稲葉善治氏 自学自習、工場働きやすく 「製造現場の人手不足が深刻化する中、産業用ロボットの技術進歩が著しい。人と隣り合って作業する協調型や、人工知能(AI)の活用により、動作プログラムを人が入力するティーチングの負担を軽減した製品が浸透し始めた。ロボットの活用が広がることで製造現場はどう変わるのか。ファナックの稲葉善治社長に聞いた。」 (下記は、ファナックの稲葉善治社長の写真を同記事より転載) (いなば・よしはる 73年(昭48年)東工大工卒、いすゞ自動車入社。83年ファナック入社、01年副社長。03年6月から現職。研究肌で専務時代に東大の工学博士号を取得した。67歳。) 「安倍内閣が成長戦略の一環にロボット産業の振興を位置付けて後押ししていることもあり、注目が高まっていると肌で感じている。ソフトバンクグループの『ペッパー』のようなサービス型の登場はロボットを身近に感じてもらう機会になるだろう。産業用ロボットでも顧客が導入を検討する機運は高まっている」 産業用ロボットの進化の方向性について聞かれると、 「2つの流れがある。一つは表面を柔らかい素材で覆い、人と接触するとセンサーで感知して停止する協調型ロボットの登場だ。これまでは作業員の安全確保のため、柵の中に隔離しなければならなかった。協調型は人とロボットが同じ作業を分担するなど柔軟にラインを組めるようになる」 「AIのソフトを導入することによる進化も顕著だ。自ら見て、学ぶことで動き方を改善する。人間に一歩近づいた存在になる。ネットワーク接続により、ロボット同士がコミュニケーションをとり、作業の分担を相談するような機能の開発も進めている」 まあ、実装ではこの2つには大きな差があると認識されていらっしゃるのかもしれないけど、技術面では同じ。生産現場の動線として、人間と協調して同じラインに入るか、AI同士が連携してラインを維持するか。いずれにせよ、生身の人間がまだまだ得意な作業と、AIに任せた方が効率的な作業と、AIの進化のスピードに合わせて、適用するプラクティスの問題。そこに、まだ人間の知恵を働かせる余地がありそう。AIの自律的学習(機械学習、ディープラーニング)にはできること、できないことがはっきりしているので。 稲葉社長によると、今後の技術目標は、 「ロボットは正確な動きはできるが不器用だ。柔らかいケーブルをつかみ、ねじりながら差し込むような動きはまだできない。繊細な動きを実現することを目標に置いている」 「米シスコシステムズとロボットの故障予知に取り組んでいる。産学連携を強め、外部の技術でプラスになるものはどんどん使う」 前者は、まだメカトロ技術の問題でAI特有の課題ではない。後者は、センサー機器の進化によるIoT推進の課題。 「製造現場は今後2、3年で大きく変化するだろう。昨年発売した協調型ロボットは最大35キログラムの部品を持ち運びでき、女性や高齢者が働きやすくなる。AIの活用により、煩雑なティーチングの負担が減り、工業製品の製造だけでなく食品や物流などの産業でロボットの導入が進む」 人間の補助作業ロボットの話題はずいぶん前からあります。 ⇒「熟練工の技、ロボで伝承 オムロン、サイバーダインと開発」 最後におきまりの問答がありました。 「ロボットは雇用を奪いませんか?」 「ロボットは生活を豊かにする道具だ。人間の作業時間を短くすることで、工程管理などロボットができないことに充てる時間を増やせるようになる。ひとの仕事はなくならない」 ロボットやAIの可能性が大きいけど、そして労働力不足の心配をしながら、同時にロボットやAIに生身の人間の職場が失われる恐怖を感じている。この葛藤がいつもあるんですよね、この話題には。 まあ、このロボット・AI失業問題については、過去何度も投稿しているので、下記に直近のモノだけご紹介しておきます。 ⇒「AI・ロボ・IoT影響は? 雇用の増減を試算 経産省、今春にも職種ごとに」 ⇒「(経済教室)人工知能は職を奪うか(上)日本、生産性向上の好機に 労働者の再教育カギ オックスフォード大学准教授 M・オズボーン、オックスフォード大学フェロー C・フレイ」 ⇒「(経済教室)人工知能は職を奪うか(下)意思疎通能力、一層重要に 労働市場の整備カギ 柳川範之 東京大学教授」 ロボットの脅威 ―人の仕事がなくなる日 AI・ロボットを人材不足の解決策にするか、失業の脅威と受け取るか。それはあなたの仕事への取り組み方次第!   ダイバーシティマネジメントの実践 豊富な事例で学ぶ、多様な雇用の実際現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します