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■ 税務は法人単位、会計は連結単位、モノを考える器の大小がいろんなひずみを生む要因

経営管理会計トピック

税務はまだ原則として、「法人(リーガルエンティティ)」単位の課税※、会社法は親会社単体の決算に基づく剰余金処理(配当金の決定とか)、そして会計だけが、連結・グループ単位を基礎とする歪みが現れている一例が今回のグループ内取引に関する税務訴訟のお話です。

※ 厳密には、事業所単位の課税もあります

2016/3/7付 |日本経済新聞|朝刊 グループ戦略「税」の逆風 企業に不利な判決相次ぐ 租税回避の認定厳しく

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「企業グループに対する「税」の逆風が強まりそうだ。最近の主な税務訴訟で、組織再編や子会社の増資・減資を「租税回避」、「利益移転」とした国(税務当局)側の勝訴が目立つ。今後は税務調査が厳しくなるうえ、企業グループの経営戦略にも悪影響を与えそうだ。取引の段階から税務リスク軽減の十分な対策が必要になる。」

これは会計実務担当、経営戦略担当の共通の悩みなのですが、事業戦略を最大限効率的に追求できる組織・体制の構築と、税務上、グループで税金というキャッシュアウトを最小化する組織・体制デザインとは相反することが大半なのです。それが、「カンパニー制」なるものが日本で流行している一因となっているわけですが、改めて申し上げるまでもなく、そうした組織編制は、経営管理の二重化、課税や会計報告と、経営管理実態が乖離するというデメリットと背中合わせの組織デザインとなります。

⇒「トヨタ、次世代経営者育成 カンパニー制導入発表 ポスト1000万台、意思決定迅速に

今回は、「税務」目線で、グループ・連結の組織体制の編成についてみていきたいと思います。

 

■ IBM訴訟 -税務当局はIBMには負けはしたが、産業界には勝利した!

IBM訴訟のあらましは、同記事添付の解説図を下記に転載します。

20160307_IBM訴訟の争点/神鋼商事訴訟の争点_日本経済新聞朝刊

事の発端は、当局から追徴課税された日本IBMの持ち株会社が訴訟を起こしました。同持ち株会社は日本IBM株の売買で生じた3995億円の損失を、連結納税で日本IBMの利益と相殺しましたが、当局は「租税回避」として否認したが一審、控訴審とも敗北。国側の上告も最高裁が不受理として、日本IBM側の勝利で決着しました。それでもなぜ、「企業全体が負けた」との見方が出るのでしょうか。上告不受理で確定した控訴審判決が「企業に不利になる可能性がある」(弁護士の太田洋氏)内容を含むからです。

「租税回避かどうかの判断基準には「目的」「手段」「結果」の3つがある。まず目的。判決は「事業の目的の有無は、租税回避の判断の決め手にならないとの考え方を示した」(法人税に詳しい朝長英樹税理士)。従来は「税金を減らす以外の目的を少しでも主張すれば、当局は反論できないとの見方が有力だった」(同)。今後は通用しなくなりそうだ。」

つまり、租税回避以外のビジネス上の理由があれば、訴訟対象となったグループ内取引の正当性が従来は通っていたのが、この判例が出たおかげで、そうしたビジネス上の目的の有無は、税務訴訟では考慮ポイントから外れたことが明確になった、ということです・

「判決は「手段」についても「独立した当事者間の通常取引か否かで判断する必要がある」とした。税務訴訟に詳しい弁護士らは「独立当事者間取引の物差しを当てはめると、グループ企業間取引の多くが租税回避とされてしまう」と話す。」

アームズ・レングス原則 (arm’s length principle :ALP) とは、取引関係にある当事者間の独立性や、競争を行う際の諸条件を平等にする条件、またはそれらが実現している事実のことを言います。つまり、グループ内部の内輪同士の取引にも、「アームズ・レングス原則」の色眼鏡で観察し、少しでも原則に外れるおかしい所があれば、課税対象とする、ということです。これは、課税対象が法人、会計報告が連結、その管理粒度の違いから、グループ連結で事業運営する経営者にとっては、頭痛のタネがさらに大きくなりました。

■ ヤフー訴訟 -「買収で税額圧縮」は認められず!

(下記は、同記事添付の企業に不利な判決が目立つ税務訴訟のリストを転載)

20160307_企業に不利な判決が目立つ主な税務訴訟_日本経済新聞朝刊

「ヤフー訴訟では先月29日、最高裁がヤフーの上告を受理したうえで棄却し、同社の敗北が確定した。約540億円の繰越欠損金のあるグループ会社をヤフーが買収して合併、税額を圧縮したことが租税回避とされた。」

これも、会計報告単位が「連結」であるため、「法人(個社)」」の組み合わせをグループ内で最適化したつもりなのですが、そこに税務当局のストップがかかったわけです。

「最高裁は「法の趣旨・目的を逸脱した乱用」を租税回避としたうえで、取引の「結果」が乱用に当たるかに言及。「通常は想定されない手順や方法に基づいたり、実態とは乖離(かいり)した形式を作り出したりするなど不自然なこと」「事業目的に合理性がないこと」を考慮して乱用の判断基準とし、ヤフーの取引を租税回避と断じた。
租税訴訟学会理事で税理士の藤曲武美氏は「当局から取引が不自然とされれば、法の乱用として否認される可能性が大きくなった」と指摘する。ただ「何が不自然なのかは当局の考え方次第の面がある」(企業税務関係者)との見方も強い。」

グループ経営として、会社組織の編成だけで、余計な租税というキャッシュアウトが回避できるなら、組織体制の枠組みを変えることは、経済合理的でかつ株主利益最大化にも沿った意思決定です。それを「租税回避の濫用(乱用は誤用ですよネ、本来は)」と見るのは、課税当局側の見解にすぎません。いっそのこと、経済実態に合わせて、すべて「連結納税」に税体系も統一しませんか。
(ああ、我慢できずに、今回の筆者持論の結論を言ってしまいました、、、)(^^;)

■ 神鋼商事訴訟 -「買収で税額圧縮」は認められず!

子会社の増・減資に絡む訴訟でも相次いで国側に軍配が上がりました。

「同社は2007年3月にタイ子会社の増資を額面で引き受けたが、当局は「時価を大幅に下回る引き受けであり、差額は神鋼商事の利益(受贈益)になる」として追徴課税した。
納得できない同社は「タイ子会社の現地株主が株式を売却する場合は額面であり、現地株主からの利益移転はあり得ない」と争っていた。しかし昨年9月の一審は敗訴。今月24日に控訴審判決が出る。」

グループで見れば、行って来いの関係取引。親会社株主から見ればどうでもいい話。ただし、これは、従前指摘した課税対象の粒度の違いではなく、今度は、課税当局の守備範囲の問題。すなわち、日本の課税当局の課税対象か、それともタイの課税当局の課税権の範囲か。これぞ国際税務の根幹の問題の一つ。

これについては、国際事務超入門の解説記事を過去に書いたので、そこを参照してください。
⇒「(真相深層)「結局は増税?」企業警戒 国際課税新ルール、強まる懸念 主要国、はや足並み乱れ -国際税務の超入門

ちょっとシニカルに言うと、日本の課税ルールが国際標準的に遅れていたことが露呈したのと、タックスインバージョン(租税回避)が世界的な大問題になっていることの重大さがお分かりになられるはず。

(参考)租税回避とは
「▼租税回避 企業が合法的だと考えていても、税務当局の判断で課税できる取引を指す。法人税法132条などが包括的に規定。抵触すると、当局は企業の適法な取引や組織再編まで税務上はなかったとするなどして課税できる。」

 

■ 日産自動車訴訟 -子会社減資を旧商法上の限度額での払い戻しは寄付金か?

「減資についての日産自動車の訴訟も昨年9月、日産の敗北が確定。当局は子会社の減資に伴い、日産に払い戻された金額が時価を下回るため、時価との差額を日産による子会社への利益移転(寄付金)とした。
日産は「旧商法では、一定の限度額を超える払い戻しができなかったので利益移転ではない」と反論したが、認められなかった。」

既に存在していない旧商法での争いなんですがね、、、

税法最前線:日産の税務訴訟、時価純資産額-減資払戻し額へ (下記引用元)

———————————————–
国側は、日産自動車が各子会社の株式の消却にあたり、「消却される株式の価値」に相当する金額の払い戻しを各子会社から受けなかったことについて、「経済的利益を無償で移転させた」と指摘している。そして、こうした経済的利益の無償移転は、「経済的にみて相当の理由があったものとは認められず、日産自動車から各子会社に対する贈与というべき性格のものである」とし、寄付金に該当するとしている。なお、国側は、「適正な譲渡対価(=消却される株式の価値)」は「株式の消却の日に最も近い日におけるその株式の発行法人の事業年度終了時における1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」としている
———————————————–

(専門家の間では、この日産の事例は、組織再編税制の訴訟というより、有価証券の譲渡対価を巡る寄付金訴訟、と見る向きが多いそうです)

でも、新聞はこうまとめてきます。

「この2つの判決の影響も大きい。もともと親子会社間では時価より低い価格での取引で利益操作が行われやすいとして、寄付金の損金(税務上の必要経費)への算入を制限している。ただ増資や減資にまで寄付金課税をすることに批判は多い。「企業の資本政策や財務基盤強化に悪影響を与えかねない」(朝長氏)からだ。」

グループ内取引では寄付金課税自体をとりやめ、連結納税制度に完全移行すればいいじゃん、と思うのは筆者だけなのでしょうか。税務署の横車で、会社組織再編のタイミングとい形態が左右されるなど、経済的自由を損ないます。

「最近では「タックスヘイブン(租税回避地)対策税制」による子会社所得の合算課税の是非を争うデンソーが控訴審で一転敗北。企業税務関係者に衝撃が走った。企業の税務戦略は大幅な見直しが必要かもしれない。」

タックスヘイブンについても、つい最近、英国の法人税率下げが、日本のタックスヘイブン課税の上限値に引っかかり、改正したばかり。英国がタックスヘイブンだなんて常識では考えられないかもしれませんが、ケイマン島だけの話ではないわけですよ。課税当局は、一方で法人税減税を行い、もう一方で上記のような縛りを入れてくる。まあ、インフレターゲットを設定しておきながら、マイナス金利を導入するくらいですからね。税務当局も、金融当局も、一流大学出身の頭の切れる秀才・天才が運営しているはずなのですが、その知性、最近曇っていやしませんか?(^^;)

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グループ戦略「税」の逆風 企業に不利な判決相次ぐ 租税回避の認定厳しく -IBM、ヤフー、神鋼商事、日産の事案についてhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭経済動向を会計で読むアームズ・レングス原則,グループ戦略,タックスインバージョン,タックスヘイブン,ヤフー,寄付金,日本IBM,日産自動車,神鋼商事,租税回避,組織再編税制,繰越欠損金,連結納税■ 税務は法人単位、会計は連結単位、モノを考える器の大小がいろんなひずみを生む要因 税務はまだ原則として、「法人(リーガルエンティティ)」単位の課税※、会社法は親会社単体の決算に基づく剰余金処理(配当金の決定とか)、そして会計だけが、連結・グループ単位を基礎とする歪みが現れている一例が今回のグループ内取引に関する税務訴訟のお話です。 ※ 厳密には、事業所単位の課税もあります 2016/3/7付 |日本経済新聞|朝刊 グループ戦略「税」の逆風 企業に不利な判決相次ぐ 租税回避の認定厳しく (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 「企業グループに対する「税」の逆風が強まりそうだ。最近の主な税務訴訟で、組織再編や子会社の増資・減資を「租税回避」、「利益移転」とした国(税務当局)側の勝訴が目立つ。今後は税務調査が厳しくなるうえ、企業グループの経営戦略にも悪影響を与えそうだ。取引の段階から税務リスク軽減の十分な対策が必要になる。」 これは会計実務担当、経営戦略担当の共通の悩みなのですが、事業戦略を最大限効率的に追求できる組織・体制の構築と、税務上、グループで税金というキャッシュアウトを最小化する組織・体制デザインとは相反することが大半なのです。それが、「カンパニー制」なるものが日本で流行している一因となっているわけですが、改めて申し上げるまでもなく、そうした組織編制は、経営管理の二重化、課税や会計報告と、経営管理実態が乖離するというデメリットと背中合わせの組織デザインとなります。 ⇒「トヨタ、次世代経営者育成 カンパニー制導入発表 ポスト1000万台、意思決定迅速に」 今回は、「税務」目線で、グループ・連結の組織体制の編成についてみていきたいと思います。   ■ IBM訴訟 -税務当局はIBMには負けはしたが、産業界には勝利した! IBM訴訟のあらましは、同記事添付の解説図を下記に転載します。 事の発端は、当局から追徴課税された日本IBMの持ち株会社が訴訟を起こしました。同持ち株会社は日本IBM株の売買で生じた3995億円の損失を、連結納税で日本IBMの利益と相殺しましたが、当局は「租税回避」として否認したが一審、控訴審とも敗北。国側の上告も最高裁が不受理として、日本IBM側の勝利で決着しました。それでもなぜ、「企業全体が負けた」との見方が出るのでしょうか。上告不受理で確定した控訴審判決が「企業に不利になる可能性がある」(弁護士の太田洋氏)内容を含むからです。 「租税回避かどうかの判断基準には「目的」「手段」「結果」の3つがある。まず目的。判決は「事業の目的の有無は、租税回避の判断の決め手にならないとの考え方を示した」(法人税に詳しい朝長英樹税理士)。従来は「税金を減らす以外の目的を少しでも主張すれば、当局は反論できないとの見方が有力だった」(同)。今後は通用しなくなりそうだ。」 つまり、租税回避以外のビジネス上の理由があれば、訴訟対象となったグループ内取引の正当性が従来は通っていたのが、この判例が出たおかげで、そうしたビジネス上の目的の有無は、税務訴訟では考慮ポイントから外れたことが明確になった、ということです・ 「判決は「手段」についても「独立した当事者間の通常取引か否かで判断する必要がある」とした。税務訴訟に詳しい弁護士らは「独立当事者間取引の物差しを当てはめると、グループ企業間取引の多くが租税回避とされてしまう」と話す。」 アームズ・レングス原則 (arm's length principle :ALP) とは、取引関係にある当事者間の独立性や、競争を行う際の諸条件を平等にする条件、またはそれらが実現している事実のことを言います。つまり、グループ内部の内輪同士の取引にも、「アームズ・レングス原則」の色眼鏡で観察し、少しでも原則に外れるおかしい所があれば、課税対象とする、ということです。これは、課税対象が法人、会計報告が連結、その管理粒度の違いから、グループ連結で事業運営する経営者にとっては、頭痛のタネがさらに大きくなりました。 ■ ヤフー訴訟 -「買収で税額圧縮」は認められず! (下記は、同記事添付の企業に不利な判決が目立つ税務訴訟のリストを転載) 「ヤフー訴訟では先月29日、最高裁がヤフーの上告を受理したうえで棄却し、同社の敗北が確定した。約540億円の繰越欠損金のあるグループ会社をヤフーが買収して合併、税額を圧縮したことが租税回避とされた。」 これも、会計報告単位が「連結」であるため、「法人(個社)」」の組み合わせをグループ内で最適化したつもりなのですが、そこに税務当局のストップがかかったわけです。 「最高裁は「法の趣旨・目的を逸脱した乱用」を租税回避としたうえで、取引の「結果」が乱用に当たるかに言及。「通常は想定されない手順や方法に基づいたり、実態とは乖離(かいり)した形式を作り出したりするなど不自然なこと」「事業目的に合理性がないこと」を考慮して乱用の判断基準とし、ヤフーの取引を租税回避と断じた。 租税訴訟学会理事で税理士の藤曲武美氏は「当局から取引が不自然とされれば、法の乱用として否認される可能性が大きくなった」と指摘する。ただ「何が不自然なのかは当局の考え方次第の面がある」(企業税務関係者)との見方も強い。」 グループ経営として、会社組織の編成だけで、余計な租税というキャッシュアウトが回避できるなら、組織体制の枠組みを変えることは、経済合理的でかつ株主利益最大化にも沿った意思決定です。それを「租税回避の濫用(乱用は誤用ですよネ、本来は)」と見るのは、課税当局側の見解にすぎません。いっそのこと、経済実態に合わせて、すべて「連結納税」に税体系も統一しませんか。 (ああ、我慢できずに、今回の筆者持論の結論を言ってしまいました、、、)(^^;) ■ 神鋼商事訴訟 -「買収で税額圧縮」は認められず! 子会社の増・減資に絡む訴訟でも相次いで国側に軍配が上がりました。 「同社は2007年3月にタイ子会社の増資を額面で引き受けたが、当局は「時価を大幅に下回る引き受けであり、差額は神鋼商事の利益(受贈益)になる」として追徴課税した。 納得できない同社は「タイ子会社の現地株主が株式を売却する場合は額面であり、現地株主からの利益移転はあり得ない」と争っていた。しかし昨年9月の一審は敗訴。今月24日に控訴審判決が出る。」 グループで見れば、行って来いの関係取引。親会社株主から見ればどうでもいい話。ただし、これは、従前指摘した課税対象の粒度の違いではなく、今度は、課税当局の守備範囲の問題。すなわち、日本の課税当局の課税対象か、それともタイの課税当局の課税権の範囲か。これぞ国際税務の根幹の問題の一つ。 これについては、国際事務超入門の解説記事を過去に書いたので、そこを参照してください。 ⇒「(真相深層)「結局は増税?」企業警戒 国際課税新ルール、強まる懸念 主要国、はや足並み乱れ -国際税務の超入門」 ちょっとシニカルに言うと、日本の課税ルールが国際標準的に遅れていたことが露呈したのと、タックスインバージョン(租税回避)が世界的な大問題になっていることの重大さがお分かりになられるはず。 (参考)租税回避とは 「▼租税回避 企業が合法的だと考えていても、税務当局の判断で課税できる取引を指す。法人税法132条などが包括的に規定。抵触すると、当局は企業の適法な取引や組織再編まで税務上はなかったとするなどして課税できる。」   ■ 日産自動車訴訟 -子会社減資を旧商法上の限度額での払い戻しは寄付金か? 「減資についての日産自動車の訴訟も昨年9月、日産の敗北が確定。当局は子会社の減資に伴い、日産に払い戻された金額が時価を下回るため、時価との差額を日産による子会社への利益移転(寄付金)とした。 日産は「旧商法では、一定の限度額を超える払い戻しができなかったので利益移転ではない」と反論したが、認められなかった。」 既に存在していない旧商法での争いなんですがね、、、 ● 税法最前線:日産の税務訴訟、時価純資産額-減資払戻し額へ (下記引用元) ----------------------------------------------- 国側は、日産自動車が各子会社の株式の消却にあたり、「消却される株式の価値」に相当する金額の払い戻しを各子会社から受けなかったことについて、「経済的利益を無償で移転させた」と指摘している。そして、こうした経済的利益の無償移転は、「経済的にみて相当の理由があったものとは認められず、日産自動車から各子会社に対する贈与というべき性格のものである」とし、寄付金に該当するとしている。なお、国側は、「適正な譲渡対価(=消却される株式の価値)」は「株式の消却の日に最も近い日におけるその株式の発行法人の事業年度終了時における1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」としている ----------------------------------------------- (専門家の間では、この日産の事例は、組織再編税制の訴訟というより、有価証券の譲渡対価を巡る寄付金訴訟、と見る向きが多いそうです) でも、新聞はこうまとめてきます。 「この2つの判決の影響も大きい。もともと親子会社間では時価より低い価格での取引で利益操作が行われやすいとして、寄付金の損金(税務上の必要経費)への算入を制限している。ただ増資や減資にまで寄付金課税をすることに批判は多い。「企業の資本政策や財務基盤強化に悪影響を与えかねない」(朝長氏)からだ。」 グループ内取引では寄付金課税自体をとりやめ、連結納税制度に完全移行すればいいじゃん、と思うのは筆者だけなのでしょうか。税務署の横車で、会社組織再編のタイミングとい形態が左右されるなど、経済的自由を損ないます。 「最近では「タックスヘイブン(租税回避地)対策税制」による子会社所得の合算課税の是非を争うデンソーが控訴審で一転敗北。企業税務関係者に衝撃が走った。企業の税務戦略は大幅な見直しが必要かもしれない。」 タックスヘイブンについても、つい最近、英国の法人税率下げが、日本のタックスヘイブン課税の上限値に引っかかり、改正したばかり。英国がタックスヘイブンだなんて常識では考えられないかもしれませんが、ケイマン島だけの話ではないわけですよ。課税当局は、一方で法人税減税を行い、もう一方で上記のような縛りを入れてくる。まあ、インフレターゲットを設定しておきながら、マイナス金利を導入するくらいですからね。税務当局も、金融当局も、一流大学出身の頭の切れる秀才・天才が運営しているはずなのですが、その知性、最近曇っていやしませんか?(^^;)現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します