企業成長手段の賢い選択とは アンハイザー・ブッシュ・インベフとカルソニックカンセイの例からM&Aか内部成長かの二者択一問題について(2)ケイレツの外販促進と100%子会社 (ビジネスTODAY)日産、次世代車シフトで系列解体 カルソニック売却発表 トヨタと別の道

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■ カルソニックカンセイを手放す決断をしたゴーン流の判断基準とは?

経営管理会計トピック

グループ経営を実践する場で、「モノ」「カネ」「ヒト」の3大経営資源をどのように有効活用すれば、企業価値が最大になるのか、世の経営者は皆、この本質的でかつ根源的な課題に日々取り組んでいるものです。そのひとつの判断を、ルノー・日産のカルロス・ゴーンのカルソニックカンセイの売却を事例に、見ていきたいと思います。

2016/11/23付 |日本経済新聞|朝刊 (ビジネスTODAY)日産、次世代車シフトで系列解体 カルソニック売却発表 トヨタと別の道

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「日産自動車は22日、系列最大の自動車部品メーカー、カルソニックカンセイを米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に売却すると正式発表した。仏ルノーから1999年に日産に乗り込んで以来、「系列解体」の大なたを振るうカルロス・ゴーン社長が中核部品メーカーまで手放す。自動運転や電気自動車(EV)の技術開発に向けた決断は、系列とともに新技術へと向かうトヨタ自動車と一線を画している。」

カルソニックカンセイは、日産がその41%の株式を有し、経営者派遣があることから、決算上の連結子会社扱いとなっています。また、日産のケイレツに位置する部品供給会社で、コックピットモジュール、ラジエーター、エアコン、コンプレッサー、排気システム(マフラー)を開発製造しています。その約8割以上が日産グループを売り先としており、日産が持つ世界に点在するグローバル主要工場の全てに直接収めています。

それゆえ、日産グループの中核中の中核ケイレツ部品会社とも言える存在なのですが、EV車の普及をにらむと、カルソニックカンセイで培われてきた熱交換器や排気部品の市場縮小が予想よりも早く到来するとルノー・日産首脳陣が見込み、早め早めにカルソニックカンセイの企業価値が毀損する前の売却による新技術開発(EVや自動運転など)のための原資を手に入れようと算段した模様です。

製造業というのは、技術(製品技術と生産技術の両方)の塊で、それば知財権という無形資産として保有されているだけでなく、そこで働く従業員の暗黙知、言い換えると「組織知」の形で保持されています。それは、漸進的なカイゼンには強靭なものの、なかなか創造的破壊的な技術進歩にいち早く追いつくには不向きなものです。その見解はあくまで相対的なものなのですが、新技術を人の知恵または知財権で持っている企業をM&Aで取得してきたほうが、てっとり早いというのが、昨今のビジネス流儀として当たり前の風景となってきました。

 

■ ケイレツよりメガサプライヤーからの部品調達戦略を選んだゴーン流の選球眼

「「サプライヤーの潜在能力を生かす巧拙が競争力を左右する」。日産の西川広人共同最高経営責任者(CEO)は話す。カルソニックを手放す一方、自動運転をにらんで独ボッシュや独コンチネンタルなど「メガサプライヤー」と呼ばれる欧米部品大手との連携を強める方針。彼らの先端技術に日産のノウハウを加え、効率的で競争力のあるクルマづくりを目指す。」

(下記は、同記事添付の「カルロス・ゴーン社長は中核会社の売却を決めた(10月の記者会見、東京都港区)」を引用)

20161123_カルロス・ゴーン社長は中核会社の売却を決めた(10月の記者会見、東京都港区)_日本経済新聞朝刊

ルノー・日産は、金と人を内部で抱え込み、「ケイレツ」という形で内部リソースを有効活用して新技術(EVや自動運転)の競争を乗り越えることより、外部のサプライヤーにそこは割り切って頼り、カルソニックカンセイ売却資金で、先端技術を買うことを選択しました。

一方で、ライバルとなるトヨタ自動車の動きはどうなのでしょうか。

「日産向け売上高比率が8割超のカルソニックと対照的なのがトヨタ自動車系部品会社だ。デンソーはトヨタグループ以外への比率が半分を超える。トヨタは他流試合も奨励して系列メーカーの収益力を高め、自動運転など先進分野への投資を促そうとしている。
かつてのトヨタはグループ内で利害対立が表面化することもあったが、近年は連携を強めようとする動きが目立つ。愛知県蒲郡市にグループの研修施設を置き、各社の新任役員が互いの歴史を学ぶ機会を設ける。12月に新設するEVの企画開発組織にはデンソーなど主要3社の社員も加わる。」

(下記は、同記事添付の「車部品2社の収益力には差がある」を引用)

20161123_クルマ部品2社の収益力には差がある_日本経済新聞朝刊

トヨタは、デンソーというケイレツを含む内部リソースで、新技術競争に打ち勝つ方針を採用し、ルノー・日産連合とは、真逆のケイレツ戦略をとっています。どちらが正しいかは、現時点では軽々に軍配を明らかにすることはできませんが、ここでは、ケイレツを有効活用するに至った判断ポイントを簡単に2つ、筆者独断で挙げさせて頂くと、

① デンソーは、外販比率も高く、資本関係だけケイレツ扱いだが、そもそもメガサプライヤーの資格を兼ね備えている
② 新技術開発は中長期にわたる営みであることから、資本的に同じグル―プに入り、中長期的な人間関係の基礎の上に、技術もすり合わせていく創発的な研究開発を用意するには、ケイレツは格好の場である

ということで、デンソーは、ケイレツのいい点と、メガサプライヤーのいい点のいいどこ取りをしていると思われます。それゆえ、単純に、ルノー・日産連合とトヨタが正反対のケイレツ戦略を採っていると言えるほど、コントラストが強い比較分析にはならない。これが筆者の見解です。

では、そう考える筆者の頭の中にあるケイレツを含む、グループ企業運営の軸はどうなっているのか。次章でご紹介したいと思います。

 

■ “ケイレツ”と一括りでは語れない。グループ運営戦略は、7つの子会社を使い分けることから

下図は、縦軸に資本関係、横軸に子会社の販売先(相手にしている市場)をとって、子会社を7分類、子会社に入らないパートナー企業をいれると8分類に、したマトリックスになります。

経営管理会計トピック_グループ企業の市場と資本の選択問題

1.完全支配
資本も販売先も全てグループ内で抱え込む戦略。子会社が有する経営資源(従業員の暗黙知や組織値など)を保持したまま有効活用して、親会社のビジネスに100%使い切ることがグループで最も賢いやり方と考えらえた時に採用します。

2.資金調達
これは、子会社の有する経営資源のほぼ全量を使い切りたいのですが、お金がない場合に、外部資金を、エクイティファイナンスで調達した場合に採られる形態です。この選択を採る理由は2つ。

上場子会社の場合、コーポレートガバナンスが非公開会社より強く働くので、それを良しとする場合はメリットとなります。また、親会社が資金不足の場合は、株式市場から資金を調達する必然性がある場合もこの策が採られます。上場企業である知名度で優秀な従業員を採用する狙いもあったりします。

ただし、副作用もあります。外部資本が入るということは、その子会社が稼得した利益の一部は、外部株主に配分する必要があること。仮に、100%出資子会社だった場合、極論ですが、内部留保や内部留保になる前の、税金を払う前の親会社との営業取引の中で、親会社の自由になるお金(余剰)が、親会社の裁量で次の開発投資に回せます。しかし、航海会社となり、外部株主がいた場合、その少数株主にも利益還元せねばならず、さすれば株式市場から資金調達しているのが本当に賢い選択なのか、怪しくなるところです。

3.外部支配
これは、ケイレツや子会社とった資本関係はないのですが、その企業にとっての最大顧客(場合によっては唯一の顧客)である優越的地位を利用して、ほぼその企業の運営について主導権を握ってしまうケースを意味します。親会社(最大顧客主)のメリットは、上記1.2.と同じ。ただ、資金を投下していないので、ROE等の投資収益性指標でみると、抜群の投資効率を示すであろうと思われますが、その一方で、外部支配していた会社が他所にスポンサーを見つけたら、それで有利な立場は一瞬で失われるリスクも同時にはらんでいることは忘れてはいけません。

4.親孝行
このカテゴライズに入る子会社は、ここに分類されるともれなく「親孝行」と呼ばれるのではありません。100%親会社のお金でグループ貢献のためにお仕事をするのですが、それでも余剰資源が生まれてしまう。その余剰資源を親会社とは別の顧客に活かして、グループ収益力最大化に貢献して初めて、「親孝行」と呼べます。大概は、親会社と共同開発した技術を元に、外販ビジネスも行い、多額の先行開発投資の回収を早める、経営資源(知的資産等)の多重利用をする、というケースでこの形態を採るメリットが最大化されます。

5.外部利用
上述のデンソーがここにカテゴライズされるかもしれません。ビジネスの元になる資本も外部市場から調達し、通常ビジネスの稼得もグループ外から稼得する。一見して、どうしてグループ内に居なくてはいけないのか、一番議論が巻き起こる難しいポジションには違いありません。一番中途半端だからこそ、少ないお金で外貨を稼ぎ、同時にグループのために、技術と人的リソースを共同利用する。いいとこどりの戦略です。これは、グループ経営の選択肢の中でも、難易度が最も高いが同時に効果も抜群の選択肢とも言えます。これを採用して、かつ成功しているトヨタグループのグループ統治能力には脱帽です。

6.外貨獲得
この形態は、親会社から見れば、資本(お金)を出して、勝手にビジネスで稼いでもらって、上りはもらう。そういうイメージの子会社管理となります。比較的、その子会社がやっているビジネスは親会社のビジネスとか無関係なことが多く、いつでもスピンアウトや売却対象となる可能性が高いとも言えます。しかし、親会社(資本主)が余剰資金をかかえているので、その有効利用として買収した企業だとか、ソフトバンクの孫氏のように、非関連事業への投資でグループ成長を加速するといった狙いがある場合だとか、積極的に採用されることも多い選択肢です。

ただ言っておきます。凡人の経営者では、この種の展開は非常にリスクが高い。筆者としてはあまりお勧めできない選択肢であることは間違いありません。

7.内部資源活用
地道な内部研究活動により、親会社の本業には関係ないのだけれど、ものになるビジネスのタネがグループ内で生まれた。じゃあ、そのネタを活かさないわけにはいかないよね。というパターンです。子会社の中で眠っていた異端児がいきなり花開いて、親会社ビジネスにはない新しい事業の元を創ってしまった。だけど、親会社の株主を説得して、お金を出し続けるわけにもいかない。得てしてそういう新規ビジネスはリスクが高く、既存株主は嫌がるものです。そこで、新規に株式市場から一部資金を調達して、内部のリソースを使って一丁やってみるか。これはそういう選択肢です。

上記の6.とはビジネスの性質は似ていますが、異なる点は、内発的であること。そして、過渡的であること。この選択肢も、やがては、スピンアウトや事業売却の対象となり得ます。親会社のビジネスが立ち行かなくなり、グループがこぞってこの新事業にシフトしない限りは。。。

8.外部パートナー
この分類は資本関係がなく、取引も独占的ではないので、グループ経営における子会社管理の類型には入りません。ファーストリテーリングと東レの共同開発など、中長期的なアライアンスも採り得ますので、いつでも不安定で都度的とは言いませんが、その傾向は一番強く、グループ経営の外にあるものと考えても差し支えありません。

「1.完全支配」が最も「求心力」が高く、「7.内部資源活用」さらには、「8.外部パートナー」が最も「遠心力」が高い管理形態となります。どれが最も賢い選択か、それは、そのグループが対峙した市場、経営者の資質によるところが多く、ここではこういう整理方法があるよ、という筆者の経営コンサルティングから来る知見をご紹介するにとどまらさせて頂きます。

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(76)自分の不完全性を認め、相手の不完全性を許す

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■ 社会的寛容さが大事! そのためのキーワードは「許す」ということ

コンサルタントのつぶやき

自分の不完全さを認め、受け容れなさい。
相手の不完全さを認め、許しなさい。

—————————————————–
人生を幸福に過ごすには、「共同体感覚」を養うことが大事になります。前回は、

① 自分と異なる意見を許容する
② 自分の意見を相手に押しつけない

ことで、共同体感覚を高める術を説明しました。

今回は、それと同様に「共同体感覚」を養うのに大切なヒントをもうひとつ。

「自分と相手の不完全さを認めること」

本書では、お食事会に招かれた一部の客が、ホストを無視して勝手に盛り上がっていることに腹を立てて、騒いでいる人たちに注意をしたうえで、無視されたため、非常識なやつらだと思った人たちを睨みつける良識派の人の事例が紹介されていました。ホストを立てずに大騒ぎしている人たちも非常識ですが、そういう人多を許せずに睨みつけている人もまた不完全な人間のひとりです。

そこに、登場している人たちはみな不完全。お互い様、ということです。

この世の中は、私を含めて、不完全な人間の方がどちらかというと多いはず。大多数の不完全な人間の集まりであるこの社会において、不完全な人間であることの方が通常です。この人間臭さがあるから、それも含めて社会なのです。だからこそ人間っていいな、です。そんな、度量の広い、許容性の高い人間関係や社会構造の方がみんな生きやすくなると思いません?

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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(75)自分と異なる意見を持つ人は、あなたを批判したいのではない

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■ 異なる意見を受け入れる寛容性が大事である!

コンサルタントのつぶやき

自分と違う意見を述べる人は
あなたを批判したいのではない。
違いは当然であり、だからこそ意味があるのだ。

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人生を幸福に過ごすには、「共同体感覚」を養うことが大事になります。共同体感覚を高めるには、無償の愛、キリスト教が説く「隣人愛」、「隣人が私を愛してくれていなくても、私から隣人を愛する」という見返りを求めない愛を持つことと同義です。

アドラー流では、ただ隣人を愛するだけではなく、さらに、自分と違う意見や価値観を許容すると効果は倍増すると考えます。自分と同じ意見や価値観を持っている人だけを愛するのではなく、異なる価値観や意見を持っている人をも愛情の対象にします。人の価値観は十人十色。持っている意見は異なって当然だと考えるのです。

ただね、自分と異なる意見を耳にすると、内心穏やかでなくなる事は、私にだってよくあることです。自分と異なる意見を持つ人と対峙すると、まるで自分が非難されているような、被害者のような気持ちになり、時には、攻撃的になったり、競争的な関係に持ち込んでしまったりしがちです。だって、自分の意見と違う人を目の前にすると、その人の顔を見るだけで、不快感が生じしまうのは仕方のない性なのかもしれません。

異なる意見の存在を許容するだけでなく、積極的に異なる意見を求めるのです。違う意見があるから社会は健全なのである、多様性を認める社会こそ二枚腰を備えた柔構造のデュラビリティのある集団となり得ます。そして、それと同じくらい大切なのは、自分の相手とは異なる意見を、その相手に決して押しつけないこと。

異なる意見の存在を認める。
異なる意見を持つ人の尊厳を尊重する。
異なる意見を相手に押しつけない。
異なる意見が複数存在する多様性のある、寛容性の高い社会は健全である。

そう感じることで、共同体感覚はさらに高まり、社会への所属感が強まり、やがては幸福感が増えて、幸せな人生にまた一歩近づくに違いありません。

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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(74)人生の苦しみは他人を喜ばせることで解決できる!

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■ 共同体感覚を高めるためには、周囲の人間を喜ばせるだけでよい!

コンサルタントのつぶやき

苦しみから抜け出す方法はたった一つ。
他の人を喜ばせることだ。
「自分に何ができるか」を考え、それを実行すればよい。

—————————————————–
人生の苦しみから逃れるためにどうすればよいかの処方箋を、アドラーがどのように語ったかについて、本書では次のように説明しています。

神経症、不眠症で悩む患者が問いました。「どうすればこの苦しみから抜け出すことができるでしょうか?」アドラーは答えました。「他の人を喜ばせることです。『自分に何ができるだろうか? どうすれば他の人に喜んでもらえるだろうか?』と考え、それを行動に移すことです。そうすれば、悲しい思いや不眠はなくなり、すべてが解決するでしょう」

なんだか頓智(とんち)問答のように、つかみどころのない回答と感じられる向きもあろうかと思いますので、私なりの解釈を付け加えたいと思います。

自分が生きるのに苦しい思いをしている場合、アドラー的には、その苦しみの原因は全て人間関係の悩みから発せられるものである、という彼の論理の大前提があります。それは、この連載をお読みいただければご理解いただけると思います。その人間関係から来る悩みを解決するには、その相手、「家族」「友人」「同僚」「顧客」いずれの立場の相手であろうが、その相手を喜ばせることにまず集中します。

人間関係から来る悩みを解決するために、直接その原因に触るのは、難しいことの方が多いです。直接手を打つことが難しいからこそ、課題としてあなたの悩みとして、心中に深く突き刺さるのです。

じゃあ、発想を転換して、その人間関係を形成する相手の喜ぶことを、直接の悩みの解決にならないにしても、まずやってみませんか。遠回りのように思えて、実は、間接的にあなたの悩みを解決してくれるかもしれません。

あなたの周囲を取り巻く複雑な人間関係の誰か、その相手を喜ばせると、相手から感謝の言葉をかけられるかもしれません。また、感謝の意を表して、あなたに何かの見返りがあるかもしれません。その見返りの有無、またはその見返りの内容の是非を問わず、感謝の言葉をもらったり、見返りたる言動を示してもらったりすることで、あなたは逆に嬉しく思えるはずです。その「嬉しい」が、あなたの幸福感につながり、その幸福感は、あなたが属する社会の中に、あなたの居場所がしっかりあることを再認識・再確認させてくれます。

社会の中に居場所を見つけられるということは、共同体感覚を養うことができる、ということです。共同体感覚が高まるだけで、あなたの人生における幸福感がそれだけで増します。やがて、従前の人間関係から起因している悩みは、その幸福感で打ち消されているかもしれないし、悩みに隣接した領域での他者貢献により、相手から感謝されるだけで、その悩み自体が既に悩みでなくなっている可能性も出てくるのです。

一度、騙されたと思って、人間関係から来る悩みに悩むのを一休みして、その周辺に存在する交友関係の相手を喜ばす言動をやってみてください。思いがけない方向から、幸福感があなたの人生に訪れることでしょう。

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企業成長手段の賢い選択とは アンハイザー・ブッシュ・インベフとカルソニックカンセイの例から(1)M&Aによる事業ポートフォリオ組成の成功の秘訣 (GLOBAL EYE)個性派企業の買収相次ぐ 消費成熟「革新」取り込む

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■ 食品や日用品業界ではブランドによる事業ポートフォリオを組成して、企業成長を狙う

経営管理会計トピック

日本経済新聞にて相次いで、企業成長のためのM&AやTOBの記事が目に飛び込んできましたので、改めて、企業成長の賢い選択について考察してみたいと思います。どうして企業成長しなくてはいけないのか、という命題については、別途議論するとして、ここでは、企業成長することが所与の前提条件として、そのための賢い企業戦略について、若干の管理会計リテラシーを用いて解説を試みます。

2016/11/22付 |日本経済新聞|朝刊 (GLOBAL EYE)個性派企業の買収相次ぐ 消費成熟「革新」取り込む

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「食品や日用品で世界大手が伸び盛りの個性派企業を買収するケースが相次いでいる。各地で消費が成熟化し、強いブランドを効率的に量産するだけではシェアを落としてしまう危険性が出てきたからだ。業界の勢力図を塗り替える「ゲームチェンジャー」を早めに抱え込む狙いだが、そこには未知の課題もある。」

本記事で取り上げられていたのは、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)が米テキサス州でクラフトビールを製造するカーバック・ブリューイングを傘下に収めることを決めた事案からでした。インベブはカーバックの設備投資を強化し、2019年までに生産量を14年の3倍超に伸ばす計画ということで、インベブが米国で買収したクラフトビール会社はカーバックで9社目になります。米国だけでなく、9月にはベルギーの地ビール会社ボスティール・ブルワリーを買収し。15年にはメキシコ、ブラジル、コロンビアでもクラフトビールの会社を獲得しています。

(下記は、同記事添付の「「グースアイランド」(右)も「バドワイザー」などを持つインベブが買収したクラフトビールだ(ニューヨーク)=ロイター」を引用)

20161122_「グースアイランド」(右)も「バドワイザー」などを持つインベブが買収したクラフトビールだ(ニューヨーク)=ロイター_日本経済新聞朝刊

インベブが買収を加速する背景には「バドライト」など強力なブランドを持っているにもかかわらず、北米では地ビールにシェアを奪われつつあることが背景にあります。もとから地場ブランドが乱立する欧州でも激しい競争にさらされており、10兆円を超える規模で業界2位だった英SABミラーを買収した先に待ち受けるのは、個性派クラフトビールブランドとの戦いです。 それゆえ、個性派の地場・クラフトブランドをつぶさに拾っていくM&A(合併・買収)戦略に方向転換をしてきました。

 

■ 大企業が資本力に物を言わせてM&Aによる企業成長を目指す手法は本当に賢いのか?

同記事では、日用品世界大手の英蘭ユニリーバが今夏、カミソリの通信販売を手掛ける米ダラー・シェーブ・クラブを買収した事案も紹介されています。買収額は欧米メディアの推定で10億ドル(約1100億円)。ダラーは、2012年に創業し、カミソリと替えのカートリッジを低価格で定期購入できるビジネスモデルで躍進した企業です。

「「当社のような大企業には文化やノウハウがなく、確立するのが難しいモデルだ」。ユニリーバのポール・ポールマン最高経営責任者(CEO)は買収をこう説明した。定期購買の仕組みは同社の既存ブランドにも生かせるとみている。」

ユニリーバも開拓中の分野でこうしたM&Aをここ数年来多く手掛けており、特にスキンケア部門では2015年に高級ブランドを4社も買収しました。小さな会社を傘下に収め、世界大手ならではの資金力と販路で伸ばそうというM&A戦略はインベブと共通します。

なぜ、インベブやユニリーバは、比較的つぶが小さいものの、きらりと光る個性派企業の買収に走るのか?

それには理由が2つあります。

(1)株主がより高い投資利回りを経営者に求めた帰結
上場企業であるが故に、常に投資家の高い期待利回りに答え続ける必要があります。従来のボリュームゾーンにおける自社ブランドの市場認知度もほぼ上限に達し、飽和状態にあり、投資家の期待する高い投資利回りと、利益成長に応えきれず、もっと別の市場にまで手を伸ばさないと、「利益率」と「利益成長」の二兎を追えなくなったのです。そこで、内部リソースで新ブランドを立ち上げて、一から育て上げる時間的余裕と、資金的余裕を投資家から与えてもらえないので、てっとり早く、外の投資機会(M&A対象企業の買収)に触手を伸ばすということになります。

(2)同質的な大企業からは、新規ブランドが生まれにくい
個性派企業は、例えば創業者の強い個性とリーダシップや、大手との差別的ブランドの確立、大手にはない経営リソースの活用(そのニッチな世界で必要とされる特殊技能や専門知識を持った従業員や知的財産など)に特化した企業体質・特質を有していることが多く、一般的に、そういった個性は、大企業が大企業に成長する過程の中で既に淘汰されていることの方が多いと考えられています。それゆえ、大企業に同質化していない特化型のブランドや技術を外に買い求めるのです。ただし、買収後の統合作業(いわゆるPMI:post-merger integration)に失敗し、その個性故に買収したブランドを既存大ブランドを確立したのと同じ論理で同質化させてしまってダメにしまう(その特殊ブランドに着いていたお客様の支持を失う)と、元も子もありません。

買収したくなる理由はわかるのですが、買収を意思決定した当初のブランドの魅力を、買収後に消失してしまっては、買収後の利益成長の果実を得られなくなり、本末転倒の事態を招いてしまいます。

 

■ M&Aに代表される事業ポートフォリオの組成で成功するためには?

そもそも事業ポートフォリオについての認識を確認する必要があります。

(参考)
⇒「事業ポートフォリオ管理(1) - 経営者が管理したがる理由
⇒「事業ポートフォリオ管理(2) - 分散投資に勝つ方法
⇒「事業ポートフォリオ管理(3) - ポートフォリオ組み換え方法

筆者は、投資家が本当に効率的な投資ポートフォリオを組成して、最大効率の投資リターンを得るためには、2つのポイントがあると考えています。

(1)事業の目利き力:どの事業が成長し、どの事業が超過利益を得ることができるのかを判断する能力
(2)事業の運営能力:傘下に入れた事業を最も効果的に事業運営するマネジメント能力

ここで、下図により、誰のポートフォリオか、ポートフォリオを成長させる手段に何があるかをざっと考えて見てください。

経営管理会計トピック_ポートフォリオの組成方法

<投資ポートフォリオ>
投資家(株主)が、例えば投資信託など、投資ポートフォリオマネージャーの投資対象選別の目利き力を信じて、自分のお金を託すことで、投資対象企業の選別を行う。投資家が自分の選球眼に自身があれば、自己で複数の個別銘柄を判断して購入することで、自分勝手ポートフォリオを組むことができる。

但し、あくまで、「株主」としての立場でしか経営参加できないので、持ち株を売却して、さらに魅力的な投資対象に自己資金を振り向けるか、経営参加権を行使して、もっと魅力的な経営者を外部招聘(内部昇格でもよい)して、自分の虎の子のお金を託す相手を選別することもできます。

<事業ポートフォリオ>
経営者が、株主から託されたお金を元手に、また、その元手ありきで、有利子負債で資金調達して、経営者として、関連する事業における経験値や専門的知識を生かし、事業選別の目利き力を最大限発揮し、外部企業(一部事業)をM&Aで買収したり、既存事業の内部成長(有機的成長:organic growth)の策を駆使したりして、事業運営の範囲と規模を拡大しつつ、より高い投資収益性を目指す。

ここでよく議論されるのは、「コングロマリット・ディスカウント」の問題。規模と範囲の経済性を追求して、とある経営チームに比較的大規模な事業組織の運営を託してみたものの、ひとつひとつの事業をバラバラに、それぞれの専門家に経営させた方が、最終的な収益性が高まる場合、無理にひとつの経営チームの下ですべての事業を経営させる必然性は失われます。

これに対抗して、経営チームは、「事業シナジー」を持ち出し、ひとつの経営チームで多角的な事業を有機的・統合的に運営することで、バラバラで経営するよりもより大きな収益性を生み出すことができると主張することがあります。

事業シナジーは、
① 特定の顧客から、二重三重に、複数のサービス・販売機会を得られる
② 特定の顧客に対し、複合的なサービスを提供することが、競合との差別化になる
③ 事業規模が大きくなることで、共通固定費の多重利用により、コスト削減が図れる
ことにより、財務的な利益が生み出されます。

 

■ もうひとつの論点:内部成長よりM&Aが本当に有利かの判断基準とは?

経営者が、より高い利益率とより速い利益成長率の二兎を追うために、M&Aや内部成長で事業の拡大を目指すことはわかりました。では、一気呵成の外部成長(M&A)と、持続的努力の果実である内部成長(有機的成長)とでは、どっちが有利なのでしょうか?

ここでは、「競争戦略理論」的ではなく、「業績管理会計論」的に論じるならば、シナジーに頼ることなく、

A事業に用いられるA資産(知的財産や従業員の持つ暗黙知、A事業特定の顧客層等)と、B事業に用いられるB資産が、単純合計でプラスにのみ働き、収益性が相殺されて減衰されない場合は、M&Aの方をお勧めします。

一方で、経営チームの特質において、既存事業における運営能力が高く、現状(既存市場における競争状態)からの延長線上での事業戦略を有利に展開できる場合は、内部成長を助長する施策を中心に採用されることをお勧めします。

筆者の見るところ、シナジー効果というのは、あまり実現しないというのが皮膚感覚です。

ただし、経営チームの事業目利き力の評価としては、IBM、ソフトバンク、楽天の経営チームは結構いけるんじゃないかと思います。一方、日本電産の経営チームは事業目利き力も相当のものですが、買収後の事業運営能力の方が相対的にもっと優れていると思います。つまり、M&Aで成功するには、繰り返して恐縮ですが、(1)事業の目利き力と、(2)事業の運営能力のいずれか両方を備えていればよいということになります。

冒頭の新聞記事は次のような一節で締められています。

「ユニリーバはここ数年、開拓中の分野でこうしたM&Aを多く手掛けている。特にスキンケア部門では15年に高級ブランドを4社も買収した。小さな会社を傘下に収め、世界大手ならではの資金力と販路で伸ばそうという姿勢はインベブと共通する。
もっとも、買われた会社が大企業の傘下でベンチャー精神やブランドの個性を維持できるかどうかは未知数だ。消費者、とりわけ熱心なファンに対するイメージが変わってしまうリスクもある。
テキサスの地元紙ヒューストン・クロニクルはカーバックがインベブに買収されたことに反発し、品ぞろえから外すバーもあると報じた。「巨人」でありながら、個性をどう生かすか。グローバル企業の新たな課題になりそうだ。」

大きい資本力で、根こそぎ市場(顧客)ごと、企業グループ内部に取り込んでも、1+1=2ならば、単純合算。利益率も落ちないなら、それで株主からマイナス評価は下されないでしょう。しかし、個別ブランドの特性を失うことや専門性の高い従業員の離職を招けば、1+1<2となれば、その市場(事業)を内部に取り込んだ意味は失われてしまいます。

そこに、経営チームの自己尊厳を高めるだけ(より規模の大きい経営体の経営者である地位に意味を感じてしまうこと)の企業買収は、株主にとっても、被買収先の従業員と顧客にとって、マイナスだけが残ります。それは、会計的には、バカ高い「のれん」だけが後に残り、待っているのは、多額の減損損失の発生です。それは、株主の虎の子のお金を経営チームに託したのに、経営チームの自尊心を高めるために、「支配権プレミアム」を経営者に与えるだけで、企業価値増大には全くつながらず、高いプレミアム付与は、減損という代償として、株主利益にマイナスとなって、投資家の損失と経営チームはその地位を追われるという誰も得しない状態となって帰って来るだけです。

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(73)感謝するのと褒めることはどう違うのか?

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■ 共同体感覚を高めるためには、褒めるのではなく感謝するべし!

コンサルタントのつぶやき

「よくできたね」とほめるのではない。
「ありがとう、助かったよ」と感謝を伝えるのだ。
感謝される喜びを体験すれば、
自ら進んで貢献を繰り返すだろう。

—————————————————–
どうすれば、社会に居場所があると感じることができて、自分の人生の幸福と周囲の環境に貢献意欲を高く持てるようになるのでしょうか。

それは、人々の「自己信頼」と「他者信頼」の体験をひとつでも多く積ませることです。その体験はどうすれば積むことができるのか? 単純にあなたの「感謝」の意を相手に伝えればよいのです。感謝されれば誰でも嬉しいものです。さらに、自分が行った貢献に対して感謝の気持ちが返ってきたときに、人は初めて自己効力感が満たされ、強い自己信頼を心のうちに築くことができます。同時に、その感謝の意を示してくれた相手に対しても、信頼感を持つようになります。これが他者信頼につながります。

アドラーはこのことを、次のように身近な例でシンプルに説明してくれています。

「感謝する」のと「ほめる」のは違います。例えば、子供が片付けのお手伝いをした時に「ありがとう。とっても助かるよ」と言うのと、「偉いね。よくできたね」と言うのでは、受け取る際の印象が違うことがおわかりでしょう。「感謝」は横から目線。「ほめる」は上から目線です。現に、新入社員が社長に対して「よくできたね」とほめることはしないでしょう。それをされたら社長はむっとするはずです。なぜならば「ほめる」は上から目線であり、なおかつ相手に対して「期待していない」ことが前提だからです。

よく、「褒めて伸ばす」をスローガンにする教育論があります。また、「私は褒められて伸びるタイプなんです」なんていう言葉もよく耳にします。でも「褒める」というのは、褒める人と褒められる人の間に、上下関係があることが前提だったんですね。そう聞けばとてもシンプルな人間関係なのですが、言われるまで気付かなかった、、、

アドラー流にいえば、「褒められたら伸びる」というのは、他者に対する「承認欲求」があるということです。他人に認められることを第一の価値観、行動規範にしているということの裏返しです。他人に褒められるかどうかで、自分の行動を決める。それは、本来あるべき主体的な人生の生き方ではありません。

私も、仕事上の立場で、若い人たちに、「褒めている」のか「感謝している」のか、はっきりと自覚を持ってから、かける言葉を選び直したいと思います。とはいえ、本当に、コンサルタントとして、現在進行中のプロジェクトでは、プロジェクトメンバの頑張りで一仕事終えたばかりで、感謝の気持ちでいっぱいなのです。こういう時、きちんと「感謝」の気持ちを口にできているかな~。上から目線で褒めていないか、今一度、慎重にならねば。(^^;)

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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(72)相手の権利に土足で踏み込んではいけない

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■ 自分の自由意思で行動する機会が増えれば増えるほど、共同体感覚を養うことができます!

コンサルタントのつぶやき

相手の権利に土足で踏み込んではならない。
権利を尊重し、自分で決めさせるようにすれば、
人は、自分を信じ、他人を信じるようになるだろう。

—————————————————–
親子とか、上司部下とか、先輩と後輩。一見して、上下関係が存在しているように見える人間関係だったとしても、その優越的地位に甘んじて、相手の権利の土足で踏み込めば必ずその相手と対立が生じます。その時、二人の間に発生している状況は、どっちがより力を持って相手を屈服させるかを誇示し合う権力闘争の状態です。

アドラーはこの対立構造について、次のように知恵のある対処方法と為になる示唆を本書で与えてくれています。

強制すると対立と権力闘争が起きます。そうではなく、相手に自分で決めさせ、相手の権利を認めると、対立が消え、相手は冷静に判断できるようになります。そして、冷静に考えて片付けが必要であれば、自分の意思で片付けるようになるでしょう。

このように、強制と対立を繰り返していると相手の共同体感覚は育ちません。叱られ強制されることで劣等感が強まり、自己信頼がなくなります。そして、強制してくる相手を敵だと思い、他者信頼がなくなります。その結果、社会での居場所もなくなるのです。

みなさん、家庭や職場や交友関係の場において、相手に無自覚に強制力を行使して、我を通していませんか? その瞬間は、自分の思い通りに相手をコントロールできているように表面上は見えているかもしれませんが、長い目で見れば、そういう人間関係は砂上の楼閣で、いずれ崩壊します。やがて、誰もあなたの主張を受け入れることは無くなるでしょう。

相手をして、自分が望む通りの行動をしてほしいと思ったら、相手を支配するのではなくて、相手が自分であなたの意に沿うような行動を採るように、自分で決めさせてはどうでしょうか? 人は、自分の自由意思で行動する時ぐらい、強い行動力を示さない時はありません。

そして、相手の権利を尊重するように、あなたの言動を持っていくのです。そうすれば、相手は、子供だろうが部下だろうが徐々に自己信頼と他者信頼を醸成して、家庭や職場に居場所を見つけて、共同体感覚を養うことができるようになるでしょう。

アドラーは最後にこう締めくくっています。

共同体感覚を養う第一歩は強制をやめること。人から尊重される体験を増やすことなのです。

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KPI経営入門(3)KPIあえて1つ パーク24のカーシェア躍進 - 日経情報ストラテジー2016年8月号より

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■ 駐車場運営のパーク24がカーシェアリング事業で業績拡大している様子から

管理会計(基礎編)

本稿は、筆者のKPI経営のセオリーを、事例を使って検証するものです。日本経済新聞電子版:すごい現場で紹介されていた、日経情報ストラテジー2016年8月号記事再構成版を元に説明していきます。

2016/8/15付 |日本経済新聞|電子版 KPIあえて1つ パーク24のカーシェア躍進

「時間貸し駐車場最大手のパーク24は、カーシェアリングサービスでも国内最大手。このカーシェア事業の躍進を裏で支えるのは、あえて1つに絞ったKPI(重要業績評価指標)だ。一般にKPIの数値はサービス提供の「結果」であると同時に、自分たちのサービスが今どのレベルにあるのか、顧客からどう評価されているのかを正確につかむ「指針」であるとも言える。何をKPIに定め、現場でどう運用していけば、数値が改善し、サービス品質は向上するのか。パーク24の取り組みを深掘りする。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

KPI経営の成功は業績成長に現われます。パーク24の直近の業績予想記事を下記に引用します。

 

2016/11/23付 |日本経済新聞|朝刊 パーク24営業益最高、今期240億円 カーシェア好調

「駐車場運営のパーク24の2017年10月期はカーシェアリング事業が収益をけん引しそうだ。拠点数は今期中に初めて1万を突破しそうで、会員数や利用率が順調に拡大する。本業の駐車場事業も拠点数の増加で成長が続く見込み。今期の連結営業利益は前期推定(215億円前後)に比べ1割増の240億円前後と過去最高になる見通しだ。」

(下記は、同記事添付の「平日昼間は法人のカーシェア利用が多く、クルマは出払っている(22日、都内)」を引用)

20161123_平日昼間は法人のカーシェア利用が多く、クルマは出払っている(22日、都内)_日本経済新聞朝刊

ブランド名「タイムズカープラス」で展開するカーシェア事業の部門営業利益は、14年10月期に黒字転換して以降好調で、今期、25億円前後になったとみられる前期の2倍近い水準に拡大する見通し。拠点数は10月末時点で東京都心を中心に約8600拠点あり、今期中には1万超を射程に入れている。カーシェア2位のオリックスカーシェアの約1400、レンタカー最大手のトヨタレンタカーの1200を大きく上回り、コンビニ大手のローソンの店舗数(約1万2000)に迫る規模です。

そのビジネスモデルの強みは、

「利用者は車体にカードをかざすだけで車を借りられる。15分単位で借りられ、給油せずに返却できる手軽さが特徴だ。拠点数の増加で「どこでも借りられる」という利便性が加わり、会員数の伸びが加速している。10月末時点で前年同月比31%増え約72万人になった。会員数ベースでの業界シェアは7割を超える。」

(下記は、同記事添付の「パーク24の連結業績」を引用)

20161123_パーク24の連結業績_日本経済新聞朝刊

いわゆる「関連多角化」による事業横展開。既存事業のビジネス基盤と組織内情報資源を十二分に活用できる、効率的な多角化戦略のひとつで見事狙いが当たり、成功を収めました。では、その新規事業の運営でどのようなKPI経営が実践されているのでしょうか。

 

■ 新規事業を軌道に乗せるためには、分かりやすい管理指標で担当者の気分を乗せること!

筆者の「KPI マネジメント成功のコツ」は次のとおり。

業績管理会計(入門編)_KPI マネジメント成功のコツとは

⇒「KPI経営入門(1)適切で分かりやすいKPIを設定する - 経営目標への達成水準と貢献度から経営ボトルネックを探る!

この4つの視点から、パーク24のカーシェアリングサービスにおけるオペレーション改善にてKPI経営がどのように実践されているかを見ていきます。

(1)分かりやすさ
カーシェア事業の躍進を裏で支えるのは、あえて1つに絞ったKPI(重要業績評価指標)。一般的にKPI数値はサービス提供の「結果」であると同時に、自分たちのサービスが今どのレベルにあるのか、顧客からどう評価されているのかを正確につかむ「指針」でもあります。何をKPIに定め、現場でどう運用していけば、結果数値が改善すると同時に、サービス品質も向上させることができるのか。その取り組みに秘密がありました。

その前にカーシェアリングビジネスの概要をご紹介。
「パーク24が提供するカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」は、2009年5月にサービスを開始。現在までに車の台数は1万4000台を超え、国内シェアの約7割を握る最大手にまで成長。パーク24の業績向上に貢献している。
全国に約1万6500カ所ある時間貸し駐車場「タイムズ」に車を置くことで顧客の利便性を高めたうえ、ガソリン代と保険料込みで15分206円からという低料金で、日本では当時まだ珍しかったカーシェアを定着させてきた。会員数は約60万人と着実に増えている(いずれも2016年3月末時点の数字)。」

そんなカーシェアの躍進を裏で支えるのがKPI。同社はKPIの設定と追求を徹底することでサービス品質の向上を図り、持続的成長を可能にしてきました。主力の貸し駐車場なら「出庫当たりの入電数」を駐車場の入電率ととらえ、カーシェアとは別のKPIとして管理しています。

カーシェアリングサービスのコールセンターが追いかけるKPIは、『入電率』だけと宣言し、コールセンターでのサービス対応の全ての課題洗い出しとサービス品質向上の結果評価も、このKPIだけに頼ることにしました。

パーク24は、グループ会社(タイムズコミュニケーション)で電話応対業務を手がけており、同社が追求するKPIを1つに絞り、一点突破でサービス改善につなげようとしたのです。

『入電率』:カーシェアの利用件数当たりのコールセンターへの入電数
(1回のサービス利用で、顧客から何回電話がかかってくるかを見る指標)

「パーク24が入電率にこだわるのは「お客様が電話(コールセンター)に頼らないと困るような、ストレスの大きいサービスを提供していること自体が“悪”と考えているため。入電率が高いうちはお客様の評価は低い」(齊藤執行役員)。」

 

■ そもそも「顧客が電話に頼ることを「悪」と考える」ことからサービスを始める

(2)適切性
こうした一点突破のKPI管理は功を奏したのでしょうか? パーク24では、約3年半でこのKPIをほぼ半減し、それに比例して、パーク24が提供するカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」は、2009年5月にサービスを開始した以降、現在までに車の台数は1万4000台を超え、国内シェアの約7割を握る最大手にまで成長。パーク24の業績向上に貢献しています。

(下記は、同記事添付の「パーク24がKPIに設定した「入電率」の推移」を引用)

20161123_パーク24の連結業績_日本経済新聞電子版

パーク24の最大の特徴は無人サービスを提供していること。駐車場には専用の装置がありますが、管理者はいません。そのため駐車場でもカーシェアでも、サービス現場で何か問題が起きれば、利用者は必ずと言っていいほど、電話を架けてきます。

特にカーシェアはまだまだ日本ではなじみが薄いサービスのため、不慣れな顧客が多く、今も電話は鳴り止まないそうです。サービスを始めて数年のパーク24自身も“勉強中”の部分が多とのこと。

「お客様に指摘を受けて気づくことがたくさんある。電話を“お腹いっぱい”受け止め、細かいところまで改善しながらKPIを引き下げていく」(タイムズコミュニケーションの中川寛智サービス推進部運用推進チームスーパーバイザー)。

しかし、ビジネス拡大に反比例して、その入電数が約3年半で半減したということは、簡明にサービス品質はもとより顧客満足度が向上した以外の何物でないことを証明しています。

 

■ 「入電率50%」からの苦い船出。正しい方向に頑張る担当者の努力を無駄にしない!

(3)達成感
KPIを「入電率」一つに絞って集中管理した結果は確実に出てきました。2012年11月を100としたときの入電率の相対比較では、2016年春までにほぼ半減。しかし、サービス開始から現在までの約7年間を振り返ると、最初はまさに手探り状態。

「当初は2回利用があると1回電話がかかってくるほどだった。つまり、入電率は50%。利用者の半数が電話をしなければ、スムーズに使えない“不完全”なサービスだった」(齊藤執行役員)。

このサービスはカーシェアをよく知らない人が、試しに1回使ってみたところから全てが始まります。当初、かかってきた電話の内容は次の通り。

「レンタカーとはどこが違うの?」
「車の返却時にガソリンは満タン返しでなくてもいいの?」
「車内にゴミが落ちているんだけれど、掃除はしないの?」など。

しかも、普段車を運転しない人がたまに利用するのもカーシェアの大きな特徴であるため、そもそも車に詳しくないため、駐車場サービスより多種多様な質問が出やすい傾向にあるそうです。

「電話を受けるオペレーターはカーシェアだけで顧客の声を100種類強に分類し、コールセンターのシステムに入力。オペレーターが対応しきれないものは、優先順位に沿ってスーパーバイザーや管理職などが対応に当たる。事故など急を要するものは即対応が必要だし、「汚れがひどい」との声が寄せられれば、現場に清掃にも駆け付けることがある。」

こうして、様々なお客様からの声を集めて蓄積し、ウェブサイトには「お客様の声」として掲載。メール配信も併用しながら、改善できた案件は内容をいち早く公開し、「お客様の声に基づく変更点を素早くお知らせすることに注力」しているのだそうです。

<ポイント>
「せっかく改善しても顧客にきちんと伝わらなければ、変更が加わったことがかえって混乱を招き、別のクレームにつながる。それではいつまでたっても顧客満足度は高まらず、入電率も下がらない。」

 

■ 「自動アナウンスで、ETCカードの取り忘れを防止」地道な創意工夫がビジネスを伸ばす!

(4)継続的改善
「入電率」という一つに絞ったKPIの低下(改善)は、カーシェアリングサービス改善の地道な積み上げの結果とも言えます。なかでも大きな成果を上げたものが2つあるそうです。

①「車内に忘れ物をした」ときの対応
②「ETCカードを取り忘れた」ときの対応

①「車内に忘れ物をした」ときの対応
この対応話にはそれなりのドラマがありました。
サービスを始めて分かったことは、返却時に車内に忘れ物をする人が非常に多いということ。そこでパーク24は車の返却が完了すると、利用者のスマートフォン(スマホ)に「返却証メール」を配信。そのメールの記載に従えば、1時間以内に限り、ドアをもう一度開けられるようにしていた。こうして忘れ物を利用者自身で取り出せるようにし、他社にはないサービスで顧客満足を向上させてリピート客の心を掴むのに成功します。

ところがこの仕組みが返って2次クレームにつながってしまいました。実は忘れ物の多くは顧客のスマホだったのです。返却証メールは見られないし、助けを呼びたくても、その場から電話がかけられないときもあります。当然、ドアを開けることもできないので顧客は途方に暮れてしまうのです。

その事実に気づいたパーク24は、忘れ物対応を変更し、会員カードをドアにかざせば、一度だけドアを開けられるようにシステムを修正したのです。これ以降、入電率は大きく減少したそうです。

(下記は、同記事添付の「車内に忘れ物をした人のために、返却後の車に会員カードをかざすと、一度だけドアを開けられるように変更。左下は、タイムズ24の亀田真隆タイムズカープラス事業部企画グループグループリーダー」を引用)

20160815_車内に忘れ物をした人のために、返却後の車に会員カードをかざすと、一度だけドアを開けられるように変更。左下は、タイムズ24の亀田真隆タイムズカープラス事業部企画グループグループリーダー_日本経済新聞電子版

②「ETCカードを取り忘れた」ときの対応
顧客の不注意と言えばそれまでですが、高速道路を利用した顧客がETCカードを車載器に差したまま返却するトラブルも後を絶たなかったそうです。そこで返却前に、車内に「ETCカード、ETCカード…」とアナウンスを連呼する仕組みを導入しました。これでETCカードに関する入電数が約70%(実施前1カ月と実施後1カ月の比較)減り、KPIが下がりました(改善しました)。

そこでまたドラマが。。。

それでもさらなる指摘が寄せられました。利用者から「車の返却間際は何かと慌しく、ETCカードのことを忘れてしまう」と言われました。そこでパーク24は次の改善に動きます。

「車が高速道路を下りて最初に停止したタイミング、つまり最初の信号停止を遠隔で自動認識できるようにし、そのときに「ETCカードをお忘れなく」とアナウンスを入れることにした。これなら落ち着いてETCカードを抜き取れる。これでETCカードに関する入電数が約25%減った。」

上記2例から、「入電率」というKPIを設定したら全ての課題が解決するわけではなく、「入電率」という適切な目標管理指標を設定したら、それをどうやって改善するか、担当組織に属する全従業員が、ただ一つの目標に向かって正しい努力や創意工夫をすることを組織内での通常行動に無自覚的にビルドインすることが大切です。特に、新規事業立ち上げの場合は、先例がないことの方が通常ですので、担当者レベルで、与えられたKPI改善のために、どういう工夫を思いつき、それをトライアンドエラーで実際にできるだけ数多く試すことができるのか、そういう職場の思考回路を通常装備で実装することが重要になってきます。

 

■ 「自前主義が改善スピードを上げる」 経営課題を我が事とするための知恵とは?

パーク24では、他にも、入電率を下げるため = 顧客が利用現場で困らないようにするため、次々とサービス仕様を顧客満足に合わせるように改善していっています。

① 車の予約時に目的地を設定しておけば、乗車時にあらかじめカーナビの目的地を事前設定しておく
② 利用者がガソリンの給油に協力してくれた場合、以前は電話で知らせてもらっていたが、自動検知の仕組みを導入することで、わざわざ電話をしなくてもいいように変えた

こうしたサービスの改良を矢継ぎ早に実践できる秘訣が2点、次のように紹介されていました。

(1)サービスの内製化
「「当社の強みはコールセンターやシステム、車両の清掃や点検などをグループ内で内製していること。だからお客様の声に素早く対応できる」と強調する。高速道路を下りたタイミングの把握や給油を自動検知する仕組みの開発は、遠隔管理システムを内製してきた賜物だ。」

(2)ヒートマップを使った改善活動
「最近は基本的なサービス改善は減ってきたので、より高度な改善で中・長期的にKPIと向き合えるようになった。2016年1月には「ヒートマップ委員会」を発足させ、齊藤氏や中川氏、亀田氏らが参加して、最も“ホット”な改善テーマを隔週で取り上げる会議を始めている。」

(下記は、同記事添付の「KPIを改善するため、中・長期的な施策を議論する「ヒートマップ委員会」を引用)

20160815_KPIを改善するため、中・長期的な施策を議論する「ヒートマップ委員会」_日本経済新聞電子版

継続的改善を話し合う場を設ける。その際にも議論の中心にあるのは、KPIとそれを可視化したヒートマップチャート。KPI経営の神髄ここに見たり!

業績経営会計(入門編)_KPI経営入門(3)KPIあえて1つ パーク24のカーシェア躍進 - 日経情報ストラテジー2016年8月号より

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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新世代が解く!ニッポンのジレンマ「なぜ変わらない?働き方のジレンマ」2016年11月27日 NHK - 誰があなたに仕事を与えてくれるのかを忘れてはいけない。顧客不在の議論は全て不毛である!

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■ 仕事を舐めていませんか? やらされ仕事をだらだら長時間することと、自律的・能動的に働く時間が長いことの決定的な違い

コンサルタントのつぶやき_アイキャッチ

週末の夜、ザッピングをしていて、ふと目に留まったので、標題のNHKのパネラーによる討論番組を視聴しました。テーマによっては興味を惹くものが多いので、これまでも何度か見させてもらったのですが、若手の意識高い系の人たちが、いろいろとご高説をノタマウのを聞いていて、最初は、「ふーん、最近の20代、30代はこういう風に仕事を捉えているのか。私も職場で若手と一緒に仕事をしているから、何か参考にできないかなあ。」と前のめりで視聴していたのですが、あまりに40代・50代の仕事観とのギャップの大きさに驚いた次第です。

番組公式ホームページより

「この秋政府は「働き方改革」を宣言、「過労死白書」も発表され、今あらためて、働き方、意識改革が激しく叫ばれている。長時間労働始め、労働環境の苛烈さ、異常さは海外からもよく指摘されているが、なぜ変わらない?ニッポン企業の論理と、社員個々の多様な希望、考え方の溝をどう埋める?世代間で異なる価値観の相違などを越える道筋は?新たな働き方を唱えるリンダ・グラットンへの古市のインタビューも交え新たな展望を開く。」

【出演】総合商社勤務…堀口美奈,日南市マーケティング専門官…田鹿倫基,ソーシャルスタートUP育成PJTリーダー…渡邉賢太郎,公認会計士…斎藤祐馬,【司会】古市憲寿,二宮直輝,【語り】細谷佳正

当然、長時間労働が主題でしたが、良識的なパネラーが多く、単純に労働時間が長いことが「悪」で、定時で帰社できること、有給休暇を完全取得できることが「善」という言い方をされる方は少なくて安心しました。ロンドンビジネススクールのグラットン氏も論評されていましたが、

「長時間労働自体が悪いということはない。大切なことは、労働時間を自分でコントロールできているかどうか」

この一言には激しく同意します。私は経営コンサルタントという職業柄、比較的労働時間が長い方の職種に就いていると思いますが、現在所属しているチームでも、実は残業時間の長さが2位をダントツで引き離す圧倒的な第1位です。(^^;)
それでも、仕事をしていて、それ程、長時間勤務について苦に思わないのは、仕事の量と質と納期を自分でコントロールできているからです。当然、クライアントから厳しい納期を設定されるので、余裕でズブズブの時間感覚で仕事をしているわけではありませんが、厳しい納期の中で、いつ、どこで、どういう風に仕事をして、納期に間に合わせるのかは、かなりの部分で自分の裁量で判断させてもらっています。

<ポイント>
仕事に支配されてはいけない。上司や顧客から条件を出されても、結果を出す責任があるのは自分。自分の裁量でどうやって依頼条件を満たすか、最良の「How」を見つけるところに仕事の醍醐味がある!

「裁量」=「最良」!

 

■ 仕事を舐めていませんか? 自己実現や個性尊重も大事ですが、チームワーク軽視はまずいです

20代、30代の意識高い系の人たちが、あるべき働き方、健全な職場のあり方、労働施策として、日本企業が改めるべきところ、について、いろいろご意見をおっしゃっていました。中には、傾聴すべき意見も少なからずありましたが、中高年以上の世代への反論・反発の意見がほとんどで、そういう意見に強い嫌悪感を持ってしまった自分も、「ははーん、自分も会社組織の体制側に意識が傾いてしまったか」と少なからず自分を客観的に見ることはできました。

しかし敢えて言いたい。そんなに、自己愛が強くて、職場のしきたりや、職場の人間関係がうざいのなら、そもそも組織の中で仕事をする資格はありません。周囲の環境を否定し、組織内人間関係がそんなにあなたの仕事をする意識にマイナスだと感じるのならば、もっと自分に合う職場に移るか、個人事業主やフリーランスのお立場でお仕事をすることをお勧めします。

大きい組織に守られているのと引き換えに(ある程度の不自由との引き換えに)、安定収入や充実できる仕事の割り当てがあるのではないでしょうか。会社組織と個々人の働く人の関係は持ちつ持たれつです。自己主張だけ強く、組織内での仕事のやり方が、自己抑圧的とだけ感じる人は、実は、どの組織に属していても、あるいはどういう職務に就いても、同様の不満は一向に解消することはないでしょう。

<ポイント>
会社と個々人は持ちつ持たれつ。お互いイーブンで仕事の割り当てと仕事の完遂の責任を果たしている。一方的に会社に支配・抑圧されていると感じている時点で、チームで仕事をする資格はない。

「俺がおれがの「我」を捨てて、お蔭おかげの「下」で暮らせ!」

 

■ 仕事を舐めていませんか? 自己実現や個性尊重も大事ですが、顧客不在はまずいです

パネラーの人たちは、ある程度、勝ち組というか、意識高い系の人たちなので、一部の人を除いて、そんなに職業人としてのどん底をご経験されていないように見受けられます。相対的にまだ人生の経験時間が短いということは、人生の高低のブレも相対的に小さいはず。年寄りは、人生の酸いも甘いも経験済みですよ。「仕事」と「自分」と「会社」の3者の関係で、「自分」尊重の意見や、主体的に活動する、と一見、前向きで「善良」に聞こえるご意見でも、つまるところ、内向きの「自分」、内面的な自分のことファーストの意見に過ぎません。

仕事をするうえで、一番大事なことを忘れていませんか。

誰があなたに仕事を与えてくれているのですか? 直接、あなたに作業の指示を出す上司でしょうか? いいえ、違います。「仕事」はお客様が与えてくれるものです。仕事人間(ワーカホリック)や、団塊の世代を批判する前に、現在、「仕事」ができる環境にいることへの感謝の念が圧倒的に足りないように見受けられました。

<ポイント>
いかに、自分らしく仕事ができるかを考える前に、その仕事を下さるお客様のことを最優先に考えるべき。顧客満足のために仕事をする価値観を優先すること。お客様のために仕事をすることができる人は、些末な職場環境や抑圧的(と自分で思い込んでしまっている)な組織内のしきたりなど、顧客満足達成のために、自分で管理すべきパラメータの一変数に過ぎないことを知っている!

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(やさしい経済学)ROE重視と企業価値創造(8)キャッシュフロー創出力がカギ 小樽商科大学准教授 手島直樹 - 企業価値は会計的利益をひとひねりしないと出てこないけど、単純にキャッシュフローでもありません!

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■ 衝撃に備えよ!「ROE」も「キャッシュフロー」もそのままでは企業価値評価には使えない!

経営管理会計トピック

日本経済新聞 朝刊で2016/10/14~10/25、全8回連載で、「ROE重視と企業価値創造」について小樽商科大学手島直樹准教授による解説記事が掲載されました。2014年8月に公表された「伊藤レポート」の衝撃から、株主還元100%を宣言する会社が登場する等、ROEが経営者や一般投資家を巻き込んで激しい論争や株式市場での思惑を生み出し、ROEに対する興味関心はまだ衰えることがないようです。筆者は、もう少し落ち着いた論調で(実は内心では冷ややかに)ROEについて、手島准教授の文章を解説しながらコメントを付していきたいと思います。

2016/10/25付 |日本経済新聞|朝刊 (やさしい経済学)ROE重視と企業価値創造(8)キャッシュフロー創出力がカギ 小樽商科大学准教授 手島直樹

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

ROEを表題に掲げて、企業価値について語ろうとしても、無理が生じます。

「これまで様々な財務指標を見てきましたが、企業経営の目的は持続的に企業価値を創造することです。では、どうすれば企業価値を創造できるのでしょうか。
 企業価値創造企業に共通するのは、売上高成長率、営業利益率、資産回転率の3つの指標を改善させて効率的にキャッシュフローを創出していることです。企業価値がキャッシュフローの現在価値であることを考えれば、高いキャッシュフロー創出力が企業価値創造には不可欠です。」

まず、DCF法とか割引現在価値とかの概念はここでは割愛します。現在、日本経済はマイナス金利となっており、割引率はそれほど高くないと考えた場合、企業価値を左右する割引率以外の構成要素に目を向けることがより深い理解につながるからです。

その場合、ごくシンプルに「企業価値」を表現することができます。

経営管理会計トピック_怠け者による『企業価値』の定義

まず、「企業価値評価」という用語は、投資家がどの企業に手元資金を投下すると、一番リターンが大きくなるか、投資対象となる企業のキャッシュを生み出す力を斟酌する時に持ち出されるものです。その場合、投資対象企業が企業活動のアウトプットとして生み出したキャッシュフローの多寡だけで、企業価値が推し量れるわけではなく、その投資家が持っている資金の機会コストを上回る利率でキャッシュが返ってくるかどうかを見る必要があります。

例えば、A社が毎年100円のキャッシュを生み出しているとして、A社を買い占めるために必要な資金が1000円だった場合、10%の利回りの金融商品とみなすことができます。この時、とある投資家が他の投資機会とA社への投資とを比較した場合、他の投資機会の利回り(8%)が、この投資家から出資を引き出すために必要な「資本コスト(=ハードルレート)」となり、

A社への投資の魅力度(10%の利回り) > その他大勢の投資機会の魅力度(8%の利回り)

と考えることができます。この時、A社の正当な企業価値は、

100円 ÷ 8% = 1250円 となります。

これが1000円で手に入るとしたら、A社株を取得した瞬間に、差額の250円が潜在的な転売利益(いわゆる含み益というやつ)をも手に入れることができます。これで、上図の企業価値が、キャッシュフローと資本コストから構成される理由をご理解いただけたかと思います。

 

■ 衝撃に備えよ!「キャッシュフロー」と「ROIC」の相関関係はこのように読み解くのだ!

冒頭の引用文には、企業価値を左右する要素として、キャッシュフローを挙げて、
①売上高成長率
②営業利益率
③資産回転率

がキャッシュフローを左右するカギとなると説明されていますが、このままでは一般の方には理解できませんし、実のところ、牽強付会にもほどがあると言わざるを得ないのです。

キャッシュフローは、筆者のような怠け者だけど、本質を知りたい人が考えると、次のように定義できます。

キャッシュフロー = 会計的利益 - 投資 (式1)

複式簿記の基本構造を使って説明すると、実現主義で認識される会計的利益は、去年の現金主義との差異は、翌年には解消されていると仮定して、年度間の現金収支との差異は、一旦無いものと考えます(怠け者の正体ここにあり!)。しかし、翌年の利益を稼ぐために、今年の儲けからいくらかを将来投資に回すお金の分だけ、利益から差っ引きます。こうすることで、会計的利益の数字をキャッシュフローに置き換えることができます。

ここで、会計をかじった人は、債権債務の増減や在庫増減の扱い(運転資本増減ね!)に気が付くと思います。売上債権や在庫が前期より膨らんだら、それは翌期の利益を稼ぐために、債権や在庫にお金を投資したと考えるのです。こうすることで、式1の理解が正しくなされます。

これを今年儲けた利益から来年のために再投資する比率を「投資比率」と名付けた時、

キャッシュフロー = 会計的利益 × (1 - 投資比率) (式2)

と表すことができます。

さらに、(利益)成長率と、ROICと、投資比率という3つの指標の関係性を1枚のスライドで確認します。

経営管理会計トピック_怠け者による『成長率』と『ROIC』の関連付け

この図から、

(利益)成長率 = ROIC × 投資比率 (式3)

5% = 20% × 25%

という関係が成立していることが分かります。

(式3)を移項して、 投資率 = 成長率 ÷ ROIC (式3’)とすると、
(式1)と(式3’)より、

キャッシュフロー = 会計的利益 × (1 - 成長率/ROIC) (式4)

を導くことができます。

こうして、冒頭のチャートにある通り、「キャッシュフロー」は「会計的利益」に加えて、「ROIC」と「売上高成長率」(※ROS:Return on Salesが一定という条件下で)で表現することができるのです。

つまり、「企業価値」とは、ハードルレートで表現される「機会コスト」概念から、「キャッシュフロー」と「資本コスト」に分解され、「キャッシュフロー」は、つまるところ、「ROIC」と「売上高成長率」に分解することができるのです。

本来的には、「利益成長率」を採用するべきでしょうが、会社業績を管理する立場になった時に、結果として得られる利益の成長率を読みに行くより、まずはビジネス上で管理しやすい売上高の成長推移をみる方が容易です。そこで、ROS一定という条件を付けて、「売上高成長率」を業績管理指標に採用します。また、欧米では、ROSを一定として、会計的利益を生み出すビジネスを一塊としてM&A等の手段で売買することが多く、投資家の立場からすれば、売上高成長率の高低でそのビジネスの投資採算性を評価した方が、読みが当たりやすいという事情もあります。

どうでしょう?

①売上高成長率
②営業利益率
③資産回転率

という、デュポンツリーにもなっていない、なんとなくの会計的指標を3つ並べて、これがキャッシュフローを左右する指標、と言われても、、、という印象を筆者が持ってしまったのも極めて自然だと思いませんか? (^^;)

 

■ 衝撃に備えよ! 次はビジネスのお話し。「競争優位」「参入障壁」「超過利益」とは?

「この3つのすべてを持続的に改善する企業は、莫大な企業価値を創造することになります。ただし、高水準の売上高成長率を維持する必要があるため、ベンチャー企業から大企業にまで一気に駆け上るようなケースに限られます。」

「この3つ」には、あまり企業価値評価や、企業価値をもたらす業績管理指標としての代表性とその使い方に不透明な部分があり、そのまま受け入れがたいのですが、一旦それは無視して、説明文の内容に踏み込みます。

「注目すべきは、持続的に企業価値を創造する企業には、売上高成長率は平均的水準でも、高水準の営業利益率と資産回転率、つまり高い投下資本利益率で勝負する企業が多いことです。これは競争優位性こそ企業価値の源泉だということを意味します。ブランド力やコスト競争力などの競争優位性は、効率的かつ安定的に高水準のキャッシュフローを生み出してくれます。」

管理会計の分野でビジネスや経営を語りたい人は、畢竟、財務数値の分析にのみ留まる方が多く、お話の内容もその数値の成り立ちに対する一般論に終始するのみの方が多くいらっしゃいます。肝心なのは、その競争優位をどう築くかの、「How」の方なのです。

「しかし、日本企業の低水準の収益性を考えると、事業のコモディティー化が進行している面も否定できません。この問題を解決するには、潤沢な自己資本を積極的に投資に配分し、競争優位性を構築する以外にありません。投資に失敗してもびくともしない財務基盤を持つ日本企業の強みを今こそ活用すべきなのです。」

強固な財務基盤があったとしても、ビジネス創出に新規投資や再投資で失敗続きではいつか資金が枯渇してしまいます。そして、コモディティ化が常に回避すべきテーマかといえば、そうとも限りません。コモディティ市場でも、シェア拡大のためのマーケティング戦略の良否が、ローコストオペレーションの良否が、その企業の収益性を左右するのは当然のことです。

大事なことは、筋道を立てて、ビジネスロジックと財務数値を説明することです。

(1)儲かる市場に身を置くこと
業界平均として、「ROIC」が高いか、「売上成長率」が高いか、常に魅力的な市場に身を置くことが大事です。これは、ポーターに代表される経営戦略の「ポジショニング学派」の大家の方々が声を大にして主張していることです。

(2)その市場で競争優位を築くこと
次は、参入した市場で勝てる勝負をすることです。カンバン方式で、アジルな生産ラインを構築し、コストリーダーシップ戦略を採るのか、市場調査を入念に行い、次々と新製品を他社に先駆けて投入し、プロダクトリーダーシップ戦略を採るのか、自社組織の強みから選択する手段を間違えてはいけません。

(3)変化に柔軟に対応すること
儲かる市場に一度参入できたからといって、未来永劫、企業収益力が万全とは限りません。常に、後発企業の新規参入の脅威に備える必要があります。つまり、「参入障壁」が低い市場に居たならば、激しい市場内競争で生き残る算段をし、その競争にかなりの組織的エネルギーを費やす覚悟が必要になるのです。高い生産技術力や、希少な資源(市場での知名度・ブランドや、優秀な技術者や知的資産等)をどれくらい保有しているか、それが中長期的な優位性に結びつくものなのか、常に高い関心を持って管理することが秘訣となります。

「コーポレートガバナンス(企業統治)改革を機に様々な指標が注目されるようになりましたが、これらは企業経営の中間成果にすぎず、目的ではありません。真の目的は価値、つまり株価を持続的に高めることです。会社が誰のものであっても、会社の価値が高まれば、結果としてあらゆるステークホルダーが満足します。ですから、企業は競争優位性を磨き、キャッシュフローを生み出すことに注力すべきです。キャッシュフロー至上主義こそ企業価値創造のカギなのです。」

筆者は、管理会計・経営管理の領域でのコンサルティングを生業にしていますが、結果たる財務数値からのみ企業経営にアプローチするのではなく、むしろ、そういった財務数値をもたらすビジネスの流儀の方に関心があり、日頃の生業において、その数字をもたらす技を見つける方に、引きつけて様々な提案を行うことを自分に課しています。その中で、後発企業だろうが、新市場を創造するベンチャーであろうが、市場ライフサイクルに関わらず、競合他社に比べて上を行く高い収益性、すなわち、「超過利益」を持続的に得ることができる戦い方をどうするかに着目した提案をみつけるのが個人的にも仕事を楽しみながら、クライアントにも喜んで頂く、まさしく「Win-Win」の状態を生み出すことを目指しています。

最後まで、皮肉と批判に満ちたコメントで、オリジナル記事の著者には大変申し訳ないのですが、「キャッシュフロー至上主義」を標榜しただけで、高水準の売上高成長率を維持し、高レベルのROICを維持できるのならば、そんなに経営で多くの人が苦労することは無いと思うのですが、、、そのキャッシュフローを生み出す財務的カラクリをきちんと理解し、そのキャッシュフローを生み出す組織力、商品力を磨き、他社との駆け引きの中で有意なポジショニングを採るための知恵を身につけること。これらが本当に大事なのではないでしょうかね(^^;)

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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