アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(99)相手が自分の課題に踏み込んできたときの対応とは

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■ 相手が自分の課題に踏み込んできた際も、「課題の分離」を徹底すること!

コンサルタントのつぶやき

それが「あなたの課題」ならば、
たとえ親に反対されても従う必要はない。
自分の課題に足を踏み込ませてはいけないのだ。

—————————————————–
本書では、今度は親子関係を題材に、課題の切り分けを説明しています。自分の親から結婚を反対された場合、あなたならどうしますか?

選択肢1)親を悲しませたくないから、パートナーと別れて結婚を諦める
選択肢2)何としても結婚に賛成してもらいたいから、親を説得する
選択肢3)自分の意思を貫き、そのまま結婚する

アドラー的には、対人関係の基本原則である「課題の分離」に照らして考えると、「選択肢3」をチョイスするのが最適なようです。その人、その状況により、一概に言えないかもしれませんが。

まず1)を選んだ人は、主体的に自分の人生を生きていないことになります。他人(ここでは親)の評価のために自分の行動や意識を変えるということは、その人の思いのために人生を費やしていることになります。

次に2)を選んだ人は、「課題の分離」ができていません。親があなたの結婚に反対するのか、賛成するのか、喜ぶのか、悲しむのか、それは親の課題であって、あなたの課題ではないからです。それをねじ伏せようと、論破しようと、親を説得するという行為は、逆に、あなたが親の課題に土足で踏み込むことになります。

最後に3)を選んだ人は、他人と自分の課題の分離ができている人です。親の課題にも踏み込まないし、自分の課題に親も踏み込ませない。沈着冷静に、親に結婚の意思を伝え、もし反対された場合でも、あくまで自分の意思で、自分の人生を最優先にして意思決定するのです。その際の判断基準に、親がどう思うかを含めてはいけません。それは親自身の人生の課題だからです。親が賛成するも、反対するも、それは親の課題であって、あなたの課題ではないのですから。

このことは、上司と部下、お客様と業者の間でも共通して言えることです。商談で相手の利になると思って提案する。それを受け入れるか拒絶するかは、お客様の課題です。もし誠意を尽くして説明しても商談が不成立に終わったなら、次の見込客の方へ足を運べばいいだけです。もし誠意を尽くして部下の過ちを指摘して次善策を提示しても部下がそれを受け入れずに従前のやり方に固執したなら、別の人にその仕事を任せるか、その部下を別の部署に異動してもらうか、淡々と決めれば済むことです。

冷たいですか? いえいえ、その必然に至る前に、私は誠心誠意、真心を込めて、意を尽くして理解して頂けるように説明に全身全霊をかけます。それでも翻意できなければ、それは相手の判断力、相手の立場、相手の感情の問題です。そこまで自分が背負う必要はありません。私はそんなにキャパが大きいできた人間ではないので。自分の器ぐらい、わきまえています。どんな部下でも、どんな顧客でも上手に意のままにコントロールできるなんて、そんな傲岸不遜な思いは100%、微塵も持ち合わせていません。(^^)

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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(98)相手の課題を勝手に背負うから苦しいのです!

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■ 相手の課題を背負うことは親切でもなんでもなくて、傲慢かもしれませんよ!

コンサルタントのつぶやき

妻の機嫌が悪いときに、夫が責任を感じてはいけない。
不機嫌でいるか上機嫌でいるかは、妻の課題。
その課題を勝手に背負うから苦しいのだ。

—————————————————–
本書では、夫婦関係を題材に、課題の切り分けを説明しています。妻がふさぎ込んでいるのを見かねて、夫が機嫌を取ろうと苦心します。夫がどんな提案をしても、妻の機嫌が戻らないとき、夫が逆切れして、「こんなに気遣っているのに、どうしてお前はわからないんだ!」と怒り出すこともあるかもしれません。

この時の夫の心理状態と行動のどこが悪かったのでしょうか?

1)妻の機嫌が悪いと、夫である自分が妻を幸せにできない無能者のように思い込む
2)その思い込みから、自分の存在価値を否定されたり、拒絶感を勝手に抱いてしまう
3)そしてそのイライラ・不満感を妻にぶつけてしまったり、表に出したりしてしまう

これらは、すべて、夫が妻の機嫌や感情まで自分の思い通りにコントロールできているのが当たり前という思い込みによるものです。それは、言い方を変えれば、妻の課題に土足で踏み込んで、相手を傷つけているのと同義であることに気づいていません。それでは夫婦関係がうまくいくはずがないでしょう。一方が他方を支配するか支配されるかという人間関係の中に、本当の幸せは存在しないのですから。

それでは、妻が不機嫌でも、夫はイライラや不満をぐっとこらえるべきなのでしょうか。そして妻の機嫌が直るのをじっと見守ることが最善なのでしょうか? アドラーはまだこの時点で夫の側に問題があると断じています。つまり、相手の行動や言動に対して、イライラしたり、不満を感じたりしている時点で、夫は妻が不機嫌であることについての課題を自分のものとして捉えてしまい、勝手に妻の課題を背負いこんでいることになるのです。

妻が妻の課題に直面して不機嫌であることは、妻がどう感じているかという問題。それは徹頭徹尾、妻の課題であって、一分たりとも夫の課題ではないのです。妻の様子を見て、一喜一憂している時点で、まだ妻の課題を勝手に背負い込んでいる、つまり、「課題の分離」ができていない証拠なのです。相手の課題に責任を感じてはいけないのです。

本書は次の言葉で締められています。

相手の課題に責任を感じてはいけません。相手の課題を勝手に背負うから苦しくなる。相手との間に線を引き、明確に分離することが必要なのです。

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事業分離新税制で負担減 経営効率化に弾み 再編の選択肢広がる (後編)スピンアウト税制改正に斬り込む!

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■ 企業組織再編税制の改正でスピンアウトでも課税繰延べが認められた件について

経営管理会計トピック

「事業分離等に関する会計基準」が2005年に設定、2013年に改訂され、会社分割や営業譲渡に関する会計基準はグローバル並みに整備されました。税制は、2001年に「企業組織再編税制」が導入され、適格組織再編成とみなされれば、分離・再編に伴う資産移転にかかる譲渡益に対する課税の繰延べが認められていました。今回は、従来の適格組織再編とは認められずに、課税対象になっていた取引についても、課税繰延べが認められる方向に、税法が改正されることになったというお話の後編です。

2017/2/4付 |日本経済新聞|朝刊 事業分離新税制で負担減 経営効率化に弾み 再編の選択肢広がる

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「東芝のように追い込まれてリストラする企業が減るのでは。株式市場でそんな期待を集める制度が4月に導入される。企業が事業を新会社として切り出す際に税金がかからなくなる「スピンオフ税制」だ。大企業の新陳代謝を促して長期的な収益拡大につながるとの見方もある。」

(下記は同記事添付の「スピンオフ税制の仕組み」を引用)

20170204_スピンオフ税制の仕組み_日本経済新聞朝刊

従来の税制は、現時点の財務省のホームページに紹介されていますので、まずそちらの確認から。

組織再編税制の概要 : 財務省より

20170220_組織再編税制の概要

超概要モードで解説すると、組織再編で分割や分社をしても、株式所有など、何らかの事業の継続の証拠が外見上、認められれば、譲渡益に対する課税を繰り延べてあげます(その組織再編時に税金を支払う必要はない)、ということです。さらに、その会社の株主については、株式の譲渡益に対するみなし配当課税を適用しない措置がとられます。

 

■ 従来の適格組織再編成の要件とは?

さらに、財務省の解説文をチャート化してできるだけ分かりやすくしたものを、伊藤邦雄氏著「新・現代会計入門(第2版)」P575、図表13-13を元に加工したものを下記に記載します。

経営管理会計トピック_適格組織再編の要件

まず、そもそもなのですが、下記「組織再編の類型」による企業組織再編において、新会社に資産を移転させた場合でも、それが「適格組織再編成」とみなされれば、その資産譲渡にかかる課税の繰り延べが認められることになりました。

◆組織再編の類型
・合併
・分割
・現物出資
・現物配当
・株式交換
・株式移転

「適格組織再編成」に該当するには、次のいずれかを満たすこと。
① 完全支配関係
② 支配関係
③ 共同事業

分かりにくいのが最後の「事業規模要件」。

(法人税法施行令第4条の3第4項第2号)
スピンアウトする事業と分割元企業の間の以下の項目がおおむね5倍を超えないこと。
① 売上金額
② 従業者の数
③ 資本金(出資金)
④ これらに準ずる項目

さらに、「これらに準ずるもの」とは何か?
① 金融機関における預金量
信用保証会社における「保証債務残高」
等の例示列挙がありました。
事業規模要件における「これらに準ずるもの」

 

■ 今回の画期的なポイントとは?

厳格に「適格組織再編成」の要件が適用されていた歯止めがなくなり、完全に資本系列外に飛び出させる分割に対しても、平たく言うと、無税になるということです。今回の税制改正の効用と目的は、日本企業にもっと資本系列外への事業分割を促進させて、事業の集中と選択を促し、それぞれの事業の競争優位性を高めることを狙いとしています。

同記事より。
「多角化した日本企業は税制の壁でスピンオフをためらい、それが低収益の一因になっている。そんな問題意識で見直しを主導したのが経済産業省だ。安永崇伸・産業組織課長は、「新陳代謝を進める場合、これまでは第三者への売却が中心だった。売却先が同業のライバル企業になりかねず、経営陣の判断を遅らせていた」と指摘する。」

欧米では、コングロマリットを解体して事業ポートフォリオの再構築に取り組む際に、分社化を図る事例が1990年代以降増加しています。

例)
● AT&T
通信機器事業をルーセント・テクノロジーズとして分離

● ヒューレッド・パッカード
計測機器部門をアジレント・テクノロジーとして分離

日本では、2002年に中外製薬がロシュグループ入りしたことに伴い、米国子会社を分離独立させた際、約350億円の税負担になったこと以来、日本企業でめぼしいスピンオフ案件はありませんでした。体力があるうちに事業を切り出し、その後の再編がやりやすくなれば、各分野で事業再編が活発になり、M&A(再編)のディールも切り出す方にも有利な価格が提示され、得られた対価を別事業への投資に回す余裕さえ生じる効果が期待されます。

著しい無関連多角化によるコングロマリット・ディスカウントにより、株価が低迷していた企業の経営者は、4月以降については、事業ポートフォリオ見直しが後手に回るのを、税制を理由に言い訳することができなくなります。新年度からの事業再編ニュースが増えるかもしれません。

(下記は、同記事添付の「事業が広範でPBRの低い主な企業」を引用)

20170204_事業が広範でPBRの低い主な企業_日本経済新聞朝刊

本記事ではお節介にも、低PBRでかつ、事業セグメント数の比較的多い大企業をリストアップしています。この中から、事業再編のニュースが発表される日は来るでしょうか?

⇒「事業分離新税制で負担減 経営効率化に弾み 再編の選択肢広がる (前編)事業分離会計処理を概観する!

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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事業分離新税制で負担減 経営効率化に弾み 再編の選択肢広がる (前編)事業分離会計処理を概観する!

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■ ようやく税制でもグローバル基準で組織再編が可能になった件について

経営管理会計トピック

「事業分離等に関する会計基準」が2005年に設定、2013年に改訂され、会社分割や営業譲渡に関する会計基準はグローバル並みに整備されました。税制は、2001年に「企業組織再編税制」が導入され、適格組織再編成とみなされれば、分離・再編に伴う資産移転にかかる譲渡益に対する課税の繰延べが認められていました。今回は、従来の適格組織再編とは認められずに、課税対象になっていた取引についても、課税繰延べが認められる方向に、税法が改正されることになったというお話です。

2017/2/4付 |日本経済新聞|朝刊 事業分離新税制で負担減 経営効率化に弾み 再編の選択肢広がる

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「東芝のように追い込まれてリストラする企業が減るのでは。株式市場でそんな期待を集める制度が4月に導入される。企業が事業を新会社として切り出す際に税金がかからなくなる「スピンオフ税制」だ。大企業の新陳代謝を促して長期的な収益拡大につながるとの見方もある。」

海外では、大型M&Aスキームにおいて、単純に合併や持ち株会社への統合だけでなく、非中核事業を分割(スピンオフ)して、中核事業の株主の支配下から外に出すケースがままあります。元の企業(親会社、中核会社)は既存株主に新会社の株式を割り当て、分離先には元の企業の経営者および株主の支配権が及ばない形をとります。こうしたスピンオフについて、海外ではその時点で親会社にも親会社の株主にも税負担が生じることは原則ありません。それゆえ、独バイエルや米ヒューレット・パッカードなどの大企業がこのスキームを活用してきました。

ここで世の中での用語の整理。といっても厳密に使い分けていることは少ないようですが。

● スピンオフ
元(親)会社がある事業や部門を新会社として切り出し、元(親)会社の既存株主に新会社の株式を交付するスキーム全般を指す。元(親)会社と新会社の間の支配関係は解消されるが、資本関係は継続され、かつ営業・事業上の関係を保ち続ける状態を含めて言うこともある

● スピンアウト
上記、広義のスピンオフのスキームで、資本関係も完全に断絶し、元(親)会社との営業・事業上の関係も完全に解消している状態を指す(という風に使い分ける場合の呼称)

● カーブアウト
上記、広義のスピンオフのスキームで、元(親)会社の支配権が維持されているケースに用いられることが多い用語。特に、将来有望な事業への社外からの出資を募りやすくするため、新会社として切り出し、ファンドなどからの出資を仰ぐ際によく用いられる

上記の筆者による用語整理に基づくと、本記事における趣旨は、
「従来は、スピンオフ時の譲渡益のみ課税繰延べだったものが、スピンアウト時でも新たに課税繰延べがOKとなった」

でも、本記事では、まとめてスピンオフと呼んでいるので、厳密な呼称の使い分けはここ止まりとします。では改めて、本記事で紹介されているスキームによる来年度からの無税扱いとなる「スピンオフ税制」とは、下記の通り。

(下記は同記事添付の「スピンオフ税制の仕組み」を引用)

20170204_スピンオフ税制の仕組み_日本経済新聞朝刊

元(親)会社に対しては、合併・分割、現物出資、事後設立によって資産を移転させて場合でも、適格組織再編成とみなせれば、その資産の譲渡についての課税が繰り延べられるということ。

株主に対しては、投資が継続している場合(新会社の株主であり続ける場合)、株式の譲渡益に対する課税を繰り延べ、みなし配当課税を適用しないということ。

 

■ 会社分離会計 (1)会社分割の類型化

本丸の税法改正の前に、企業再編における会計処理を整理します。

元企業(分割会社)の事業を新設会社に継承させるのを「新設分割」、既存の会社(承継会社)に引き継ぐのを「吸収分割」と区分します。
また、新設会社または承継会社の株式を元企業(分割会社)に直接割り当てる形態を「分社型」、分割会社の株主に割り当てる形態を「分割型」と区分します。よって、

新設分割-分社型、新設分割-分割型
吸収分割-分社型、吸収分割-分割型

の4分類に分けることができます。

経営管理会計トピック_会社分割の4類型

この類型は事業分類等の会計処理の基本形となるので、ここで覚えておくと便利でしょう。なお、現行の会社法および事業分離会計基準では、上図右側の分割型について、「分社型会社分割+現物配当」という2つの取引として整理されており、上図左側のみが、現行基準で整備されている状況です。

 

■ 会社分離会計 (2)会社分割の会計処理

(1)簿価引継法
・各会社が保有する財産(資産、負債)を適正な帳簿価格で移転する方法
・簿価のまま記帳するので、会社分割に伴う移転損益は計上されない
・分割の対価が子会社株式・関連会社株式など、株式交換のケースが当てはまる
この手法の理屈は、これまでの投資が株式交換など、そのまま継続している場合、投資の清算と再投資は行われていないとみなされるから。それゆえ、分離元企業や結合当時企業の株主が従来から背負っている成果の変動性(リスク)を免れていないと想定されます。

(2)売買処理法
・会社分割により移転する財産(資産、負債)が売買されたものとして処理する方法
・拠出した財産の簿価と対価として受け取るもの(時価)の差額を移転損益として計上
・分割の対価に現金等の財産が用いられるケースが当てはまる
この手法の理屈は、これまでの投資が現金給付など、いったん清算されたとみなされるから。それゆえ、分離元企業や結合当時企業の株主がこの会社分割手続きによって、これまで背負っていた成果の変動性(リスク)から解放されると想定されます。

経営管理会計トピック_事業分離企業の会計処理

分割企業の設立のために拠出した財産への対価が現金等だったら、そこで従来の投資活動はいったん清算しましょう。だから、移転損益を認識することにします。一方、対価を株式(子会社株式、関係会社株式など)で受け取ったということは、分割先の事業に引き続き事業投資を行っているとみなし、会社分割時の移転取引にかかる譲渡益は無かったことにします。

会計処理的には、分割処理の類型と、分割処理にかかる会計処理(特に移転損益の認識の有無)について理解できたと思います。それで税制は? ムムム、文字制限数がきました。それは次回まで乞うご期待!

⇒「事業分離新税制で負担減 経営効率化に弾み 再編の選択肢広がる (後編)スピンアウト税制改正に斬り込む!

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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(スクランブル)短期売買制限論の弊害 市場の流動性損なう恐れ - 決算サプライズが意味することとは?

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■ 噴飯ものの短期売買制限論が提起された背景について

経営管理会計トピック

もはや、常軌を逸しているとしか思えない議論が当局を含め、真剣に議論されていることに驚きの念を隠すことができません。より多くの市場参加者を集めないと、適正な株価としての値付けに困ることは誰の目から見ても確かなことなのですから。

2017/2/15付 |日本経済新聞|朝刊 (スクランブル)短期売買制限論の弊害 市場の流動性損なう恐れ

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「14日は2016年4~12月期決算発表の最終日。発表延期の東芝はさておき、他の個別株の動きを見ると、発表後に乱高下する銘柄が目立った。政府や企業の批判論者が投資家の「短期志向」を抑えようとしても止まる気配はなく、皮肉な結果に陥っている。
 「こんなに株価が動く決算とは思えないんですが」。14日、大手証券のトレーダーは苦笑いした。例えば前日取引終了後に通期業績を上方修正したアルバックは17%高で取引を終えた。同じく上方修正組のミネベアミツミも一時19%高。半面、赤字拡大を発表したニコンは15%安となった。」

決算発表に伴うその後の株価の変動の変化率の増幅に、市場関係者が単純に驚きを隠していない点に驚きです。

同記事によりますと、下記の通り、株価反応幅の拡大の分析が紹介されています。

「ゴールドマン・サックス証券の建部和礼氏が市場予想と実際の決算結果が5%以上離れた「サプライズ銘柄」の株価の動きを分析。直近1年のサプライズ銘柄の株価反応幅がそれまでの平均に比べ、約2倍に拡大していることを解明した。」

(下記は同記事添付の「決算サプライズの株価反応幅が約2倍に」を引用)

20170215_決算サプライズの株価反応幅が約2倍に_日本経済新聞朝刊

この分析結果に対して、記事では2つの理由が添えられています。

(1)当局の指導で、約1年前から証券会社のアナリストが決算前の企業取材を自粛するようになったから
(2)決算後に業績の方向に従って順張りで投資する短期筋が市場の売買を席巻するようになったから

この2つの理由それぞれについて、直球で反駁はしませんが、論点がずれていることを指摘したいと思います。

 

■ アナリストの決算前インタビューからインサイダーまがいの情報が得られなくなると決算サプライズが増長される!?

この当局の動きは、昨年後半にいくつかの記事で目にしたことはまだ記憶に新しいと思います。

2016/12/3付 |日本経済新聞|朝刊 証券などに伝えた重要情報、企業に即時開示求める 金融庁最終案、対象の線引き曖昧

「金融庁は2日、上場企業が未公表の重要情報を証券会社のアナリストら特定の人に伝えた場合、すぐに公表するよう求める新ルールの最終案を示した。重要情報が一部の人だけに伝わるのを防ぐのが狙いだ。ただ、対象となる情報の線引きは曖昧な部分があり、企業や投資家からは困惑の声も出ている。」

(下記は同記事添付の「企業の情報開示の新規制の概要」を引用)

20161203_企業の情報開示の新規制の概要_日本経済新聞朝刊

これは、2016年4月18日に金融審議会が「フェア・ディスクロージャー・ルールの導入に向けた検討の実施」を公表し、投資判断に重要な影響を与えるような情報(例えば、業績予想の大幅な修正など)で未公表のものを、特定の第三者(例えば、大株主、アナリストなど)にのみ提供することを、原則、禁止するルールが元になっています。

フェア・ディスクロージャー・ルールの良い点は、「全ての投資者への公平・公正な情報提供を確保できること」、留意点は、「発行会社による情報提供や、株主との「建設的な対話」を萎縮させる懸念が生じること」。

このことを逆手に取って議論させて頂くと、巷のアナリストは、個人投資家を含めた大多数の投資家よりも早く業績予想に資する情報を直接企業から入手し、それを独自の方法論で解読・分析し、決算前に有償・無償を問わず、広くレポートすることによって、決算サプライズを緩和していた効用があることを認めてしまう理屈になります。これはある程度、説得力のある理由付けですが、堂々と議論されるべき内容ではありません。

 

■ 正気で短期志向の株主は市場から排除されるべきと言っているのか?

2つ目の理由について。同記事には、次の添付資料と共に、当局の意見、それへの反対意見が共に紹介されています。

(下記は同記事添付の「株式市場の短期志向に政府当局は批判的」を引用)

20170215_株式市場の短期志向に政府当局は批判的_日本経済新聞朝刊

当局の意見
「「市場の短期志向は中長期的な企業価値向上の妨げになる」。政府の審議会や研究会の報告書を見ると、市場を席巻する短期売買を排除すべき悪者とみなす議論が盛んだ。政府の主張に経営者の一角も同調。短期志向を増長するだけとして四半期決算制度の見直しを主張する勢力も存在する。」

反対意見
「「税率を上げて短期売買を制限する議論も出ているようだが、そんなことをすれば流動性が下がり、長期投資家の保有株も下がってしまう」。マネックスグループの松本大会長は警鐘を鳴らす。どんな株主でも1人では企業を永続的に支えられない。だからこそ多様な投資家が互いに株を売買し、バトンを渡すように企業を支えている。市場の成立条件は誰もが好きなときに売買できる流動性だ。」

証券取引所を介さず、各証券会社が独自に作り出した私設売買システム(PTS)を利用して、夜間など証券取引所が開いていない時間帯も取引できる、いわゆる「夜間取引」が制度導入当初は大々的に喧伝されましたが、現時点でなかなか取引が盛り上がらず、適正に値付けがされずに苦労しているではありませんか。

同記事でも、上記(2)の解説として、
「異なる見方をする投資家の層が薄いため、株価は一方向に大きく振れる。」
と言及しているではありませんか。つまり、ある特定の株価で売る人がいて、買う人がいないと、株価がつかないのです。それを、当局や発行会社が希望する株価にならないことを一方的に短期志向株主の存在に起因させることは、そもそもの発行会社のディスクロージャーと財務戦略に問題があるとしか考えられません。責任転嫁もほどほどにしてください。すみません、言い過ぎました。(^^;)

 

■ 同時に後退させようとしているディスクロージャー制度設計はそれでいいのか?

いわゆる発行会社から敬遠される短期志向株主(≒アクティビスト)の株価形成への影響を薄めたいなら、そうでない株主を呼び込む努力は、当局・発行会社ともに怠っていないと断言できるのでしょうか?

2016/10/25付 |日本経済新聞|朝刊 決算短信の簡素化容認 東証方針、17年3月期から 情報開示 後退に懸念も

「東京証券取引所は上場企業の決算短信を簡素にする方針だ。投資家の投資判断を誤らせる恐れがない場合は、決算発表時に損益計算書などの財務諸表を省略して後で開示することを容認する。売上高など主な経営成績を載せた短信の1枚目は従来の「義務」から「要請」に上場規則を変える。企業の負担軽減を狙うが、投資家からは情報開示の後退を懸念する声もあがる。」

(下記は同記事添付の「東証は決算短信を簡素化する」を引用)

20161025_東証は決算短信を簡素化する_日本経済新聞朝刊

決算短信の特徴として、
① 財務数値については会計監査の対象外(後日公表される会計監査対象の「有価証券報告書」と数値が異なる場合がある)
② 発行会社自身による業績予想情報が付されている(2012年3月期から、開示形式の自由度が増している。強制ではないが、現実として9割超の企業が今でも何らかの開示をしている)

が挙げられます。

筆者がここで言いたいのは、
① 有報、官報や株主への事業報告書などとの重複項目の多さは企業の事務負担を増しているので、形式的な統合は合理的な範囲で進めるべき
② 業績予測は、日本市場特有で、企業への負担が大きいと共に、投資家側の会計リテラシー不足の大きな要因となっている

さらに、東証ルールでは、業績予測について、売上高は±10%、利益は±30%、直近の予想開示から乖離したことが判明した時点で、業績修正の開示を企業に求めています。そこまで投資家を過保護にしてしまっているのが日本市場の特徴です。

ちなみに、売上高±10%と、利益±30%の閾値は、戦後の規格品の大量生産・大量販売からなる製造業におけるビジネスモデルをベースに、企業業績を統計的にCVP分析した結果、一般に周知された閾値です。しかし、現在では無形固定資産(知財権やのれんなど)が占める割合も増え、過去の遺物のCVP分析を元ネタにするこの業績修正の閾値の変更を切に求めたいものですが。。。

 

2017/1/27付 |日本経済新聞|朝刊 決算情報、重複なくす 政府、企業の負担軽減

「政府は上場企業が開示する決算情報の重複をなくし、投資家が使いやすいようにする。現在は証券取引所のルールや法律ごとにそれぞれ開示を義務づけられているが、記載内容を整理して一体的に開示できるしくみを検討する。重複に伴う企業側の負担を減らすと同時に、経営ビジョンや分析など投資家が求めている情報の拡充を促す。」

過去時点の財務数値から、将来にむけた非財務情報による情報開示を大前提としたディスクロージャー制度の確立が、日本の投資家やアナリストを鍛え上げ、自ずと短期志向株主の排除につながるのではないでしょうか。

 

■ 実はディスクロージャー制度は後退していない。非財務情報の重みが大きくなってきている!

コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が謳っているように、中長期的な企業価値創出と、中長期的な視点で投資をしてくれる投資家との対話に心を砕く、そうした企業の動きを表した記事を3つご紹介します。

2016/10/25付 |日本経済新聞|朝刊 統合報告書、発行企業4割増 宝印刷調べ 9割が英語版も

「財務情報とともに経営戦略や社会貢献など非財務情報まで幅広くまとめた統合報告書を発行する企業が増加している。宝印刷の調べによると2016年末時点での発行社数は約320社と1年前より4割強増える見通しだ。社会貢献や企業統治などを重視する「ESG投資」が欧州やアジアで広がり、海外投資家を意識して9割の企業が英語版も発行する。」

 

2017/1/19付 |日本経済新聞|夕刊 (なるほど投資講座)責任投資(3)PBR 1倍割れ、企業統治に一因

「この点で2015年に策定されたコーポレートガバナンス・コードは、企業が投資家と対話する際の手引書といえます。同コードの導入後は、非財務情報を積極的に開示する企業も増えました。」
「代表例が統合報告書です。投資家が求めているのは、重要な非財務情報が従来の財務情報とどのように関連し、企業価値の向上につながるかという内容です。ですから、統合報告書は全ての情報を盛り込んだ辞書のようなものではなく、投資家に効率的に伝えるプレゼンテーションであるべきです。中身の充実した統合報告書が増えれば非財務情報への投資家の理解が深まり、PBR1倍割れの企業数も減るはずです。」

(下記は同記事添付の「非財務情報が企業価値を左右」を引用)

20170119_非財務情報が企業価値を左右_日本経済新聞夕刊

 

2016/9/7付 |日本経済新聞|夕刊 (なるほど投資講座)ESG投資の基本(2) 非財務情報が重要に

「一般に投資家が用いる情報は、決算短信や有価証券報告書などの財務情報とそれ以外の非財務情報に分けられます。非財務情報にはESG情報や、経営ビジョンやビジネスモデルなどの定性的な情報も含まれます。近年の研究では、非財務情報の方が財務情報よりも株価に対する説明力が高いといわれています。」

(下記は同記事添付の「非財務情報は多岐にわたる」を引用)

20160907_非財務情報は多岐にわたる_日本経済新聞夕刊

つまり、本稿でいいたいことは、そもそも決算サプライズが大きくなっていることが意味するのは、

① インサイダーすれすれの情報を活用した投資が後退したことを示すいい予兆
② 過去の業績(決算情報)だけで判断する人は得てして短期志向
③ 短期志向の投資家が増えても株価形成を適正に保つために、中長期志向投資家を相手に非財務情報も積極的に開示するべき
④ 同時に投資家は、従来の財務会計数値のファンダメンタル分析だけでなく、非財務情報も駆使して投資判断をするスキルを養う必要がある

という観測から帰結するあるべき論の合計4つのことなのでした。(^^)

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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上場企業、利払い負担急減 マイナス金利1年 借入金で買収や設備投資 - ソフトバンクの資本コストを邪推してみる!

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■ マイナス金利の恩恵を被る大企業はうらやましい!?

経営管理会計トピック

マイナス金利の恩恵を被ることができる一部の大企業の資金調達コストがどんどん低下している、すなわち、ファイナンス理論的にはその分、企業収益率がたかまっているであろうという報道が結構目立ちます。まあ、そういう記事の中核的メッセージに着いてコメントを付すとともに、題材になっていたソフトバンクを取り上げて、最初歩の数学だけで、ソフトバンクの資金調達コストを邪推してみようというのが本稿の目的になります。

2017/2/18付 |日本経済新聞|朝刊 上場企業、利払い負担急減 マイナス金利1年 借入金で買収や設備投資

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「上場企業の利払い負担が軽減している。マイナス金利政策の導入後、東証1部上場企業の借入金利の平均(年率換算)を試算すると、1年前と比べ1.06%と0.11ポイント下がった。調達コスト低下の好機をとらえ、借入金を増やした企業はM&A(合併・買収)や設備投資に資金を向けている。」

(下記は同記事添付の「利払い費・借入金利ともに低下」を引用)

20170218_利払い費・借入金利ともに低下_日本経済新聞朝刊

同記事によりますと、直近の東証1部企業(2016年12月までに第3四半期決算を終え、続けて比べられる1387社)のファイナンス動向は、
・有利子負債は約207兆円(1兆円弱増加)
・利払い費は約1兆6300億円(1割減少)
・約3割の企業が借入金を増やしている

中でも、個別に取り上げられた企業動向を下記にまとめました。

● ソフトバンク
・2016年に英半導体設計大手アームを約3兆円で買収
・有利子負債は14兆円強と、1年で16%(約1兆9000億円)増加
・利払い費と有利子負債から割り出した借入金の平均利息は3.53%と0.18ポイント低下
・社債の調達コスト:16年4月に発行した7年債は年利1.94%と、6カ月前の同じ年限の社債より0.19ポイント低下

● テルモ
・血管内治療機器を扱う米国企業などを相次ぎ買収
・借入金は1000億円以上増加
・2016年春に発行した社債の金利は5年債で0.08%と、今年3月に償還する予定の5年債と比べて6分の1の水準に低下

● JR東海
・リニア中央新幹線などの設備投資を増加
・借入金は約3000億円増加
・年限20年の超長期債の調達コストが下がり、利払い負担が軽減

(下記は、同記事添付の「平均金利が低下した主な企業」を引用)

20170218_平均金利が低下した主な企業_日本経済新聞朝刊

企業としては、資金調達の源泉は大きく3つあります。
①サプライヤーファイナンス(支払手形や買掛金など)
②有利子負債
③株主資本(株主からの出資)

通常は、②がマイナス金利により、調達コストが急減し、③の株主資本コストが高止まり、または企業価値評価が高まるほど、逆行して上昇するため、自社株買いと借り入れ増を組み合わせた調達資本構成の組み替えに取り組む企業が増加しています。特に、自社株購入資金目的で借入金を増やす財務手法を、新株予約権付社債(CB)の発行により得た資金で自社株買いを行う手法、「キャップCB」として昨年度から大いに注目を集めています。自社株買いにより株主資本を圧縮することができます。そうすると、自己資本比率が低下して結果的に株主資本利益率(ROE)が引き上げられます。こうしてROEを高めて株式市場で評価を得ることが同手法を利用する企業側の狙いであるといえます。

こうした手法が使えるのは、そこそこ金融市場から信頼を受けている大企業の一部だけです。

 

■ 通説に挑戦! 資金の調達源泉の捉え方を正しく考える

この手法は、筆者独自のものであり、一般的なものではありません。そして同時に、金融機関など、玄人の間で常識となっており、一般投資家に流布されている方式は本質的ではないという批判の意を込めています。

ではまず、B/Sの貸方からみた、資金の調達源泉を確認してみます。

経営管理会計トピック_資金調達元は3つ

一般的には、
① 無利子負債(支払手形、買掛金、未払金)
② 有利子負債(銀行借入、社債)
③ 株主資本(資本金、内部留保)

という3分法となります。そして、財務諸表の世界で、すなわち制度会計の世界観で、資本コストとして、対価が簿内で認められるのは、有利子負債に対する支払利息と、株主資本に対する支払配当金の2つです。

ここから筆者の経営マインド的には???となってしまいます。無利子負債の代表例とされている支払手形や買掛金は、主に、サプライヤーからのツケ(信用)で材料などを調達した際の項目となります。この部分、本当に無利子なのでしょうか? さすれば、現金問屋と呼称される流通業の方々は、現金支払いによる安価な仕入れ単価を実現していることをまるで評価していないことになります。つまり、会計屋が勝手に、財務諸表の計算構造上、支払利息として目に見えないからといって、差別的に「無利子負債」と呼んで、まるで調達コストが不要、みたいな考えを流布させているのは、罪作りなことなのです。

従来、無利子負債と呼ばれているものには、未払い法人税など、本当に、市中の資金コストを案出するのに適していないものも含まれています。では逆に、サプライヤーへのツケ払い分は、適切な利率の調達コストをかけて評価した方がよいようです。参考になる指標は、資本コスト計算主が勝手に決めればよいので、ここでは短期プライムレートを採用することにします。1.475%。

なぜ、計算主が勝手に決めてよいのか? なぜ、短期プライムレートなのか? 資本コストは、これから複数ある投資案件(不動産、株式、金、為替、債券など)の利回りを評価して、自分の虎の子の財産をどの案件に振り分けるか、限りなく個人的な問題だからです。金融機関の誰かから言われっぱなしの利回りを鵜呑みにしていてはいけません。それゆえ、本稿では、短プラが最適ということを言いたいわけではなくて、そういう指標金利情報を自分で選択した後、どういうフレームワークで主に株式投資案件として、個別企業銘柄を評価する課の方法論をご紹介することに主眼を置いています。

 

■ ソフトバンクの調達資本コストを邪推してみる

冒頭の新聞記事から、ソフトバンクの有利子負債の平均金利は、3.53%。サプライヤーファイナンスの部分は、短期プライムレートを援用して、1.475%。そして株主資本が最も手強い。タンジブルな資本コストは、配当金。これだけだと、株主が投資した際に目論んでいる「インカムゲイン」のみの期待利回りとなります。しかし、企業会計の構造上、この部分しか制度会計では分からないのです。「キャピタルゲイン」の部分は、もう各投資家の自己流の勝手で評価するしかありません。

2017/2/17時点のYahoo Finance から、
・配当利回り(会社予想):0.52% (配当金÷時価総額)
・PBR(実績):3.0倍 (時価総額÷純資産額)
ここから、簿価としての純資産額に対する配当利回りは、
0.52%×3倍=1.56%

さあ、1.56%が真の株主資本コストならば、有利子負債の平均金利:3.53%の約半分となり、これでは株式による資金調達ではなく、有利子負債による資金調達の方が表面的に不利になります。インカムゲインだけで株主資本コストと言い張るのはどうも難しいようです。では、株主資本コスト=リスクフリーレート + β×リスクプレミアム という公式を用いて、、、はっー。これからβ値をもとめるのか。じゃあリスクプレミアムは、どこの株式市場平均レートを用いるんだ、、、果てしなく小難しいファイナンスの世界に入ります。そこで筆者も含めてファイナンスの素人はギブアップ。(^^;)

こういう時は、簡便法を用います。伊藤レポートで「ROE=8%」が、日本の株式市場で、PBRが反応し始める最低限の株主資本の利回りであるという実証を援用します。とりあえず、株主資本コストは8%と仮設定してみます。

ソフトバンクの貸借対照表(B/S)の貸方を、第3四半期決算で確認します。それぞれの調達資金量に上記の資本コストを積算します。その前に、ROEを代用する株主資本コストは、税引後ベース。それ以外の利率は、税引前。よって、タックスシールド分、実効税率で割戻しをかけないと同じ土俵に立たないので、税引前利益と法人所得税から仮算出した実効税率:64%を用いて、

有利子負債の平均金利:3.53%×(1 -64% )=1.2%
サプライヤーファイナンス金利負担:1.475%×(1 -64% )=0.53%

これで、ようやく最終的な答えが出ます。

経営管理会計トピック_ソフトバンクの資本コスト推計(2016/12決算時点)

こんな推計、どこの金融機関のレポートでもお目にかかれません。ソフトバンクのB/Sを眺めて、有利子負債の金額の大きさに若干気おくれした読者の方も、上図右側の調達資本コスト構成に占める有利子負債の調達コスト比率を見て、少しは気休めになりましたでしょうか?

最後に2つ付言。

① 筆者および本ブログは、株式投資指南をする意図は全くありませんので、この推計(邪推)を元に投資判断されても、その結果に何の責任も取れません
② この推計方法は、筆者オリジナルでかつ、計算も簡易的に行っているので、数字の検証はご自身でしかできません

(参考)
⇒「ソフトバンクのアーム買収に伴う資金調達戦略の顛末(前編)奇手を使ったデッドファイナンスは成功した!? 日本経済新聞まとめ
⇒「ソフトバンクのアーム買収に伴う資金調達戦略の顛末(後編)巧妙なエクイティファイナンスが呼び込んだ波紋とは? 日本経済新聞まとめ
⇒「ソフトバンクのレバレッジ経営、アーム・ホールディングス買収を2重のキャッシュフローで読み解く!
⇒「花王、アジア資金効率改善 300億~400億円捻出、設備投資柔軟に

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(97)あなたが悩んでいる課題は本当にあなたの課題なのか?

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■ 誰の課題かを簡単に見分ける方法とは?

コンサルタントのつぶやき

あなたが悩んでいる問題は
本当に「あなたの問題」だろうか。
その問題を放置した場合に困るのは誰か、
冷静に考えてみることだ。

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アドラー心理学では、いろいろと取り沙汰されている課題が、「一体誰の課題なのか?」について真剣に考えます。それは2つの理由から。

1つに、人間関係のトラブルを避けるため。
人間関係のトラブルの元は、他人の課題に土足で踏み込むことにより引き起こされると考えられているからです。誰だって、自分自身で、自分の現在の行動を、自分の将来像を考えているのに、勝手に他人にあれこれ指図されて、嬉しいはずがないじゃありませんか。

2つに、他人の課題を抱え込み、自分が苦しまないように。
子供の将来を思って、「遊んでいないでもっと勉強しなさい!」と小言を口にしたことはありませんか。勉強するべきかどうかは、子供本人の問題です。親が勝手に自分の課題として気に病むことは決して得策ではありません。子供に言えるのは、今、学生時代に勉強しないと、どんな将来の不利益を被るかの説明だけです。その説明を聞いて、実際に勉強するかしないかは本人の問題です。

この親子の関係を、アドラーはよく例に引いて説明をします、親は、子供のために、と思って、「もっと勉強しなさい」「いい学校に入れは、いい会社に就職できる」「いい会社に就職すれば人生は安泰である」と親の思う通りの子供であることを強制、いいすぎました、コントロールしようとします。その動機は、子供を自分の管理下に置いて、自己満足を得たり、世間の見栄のために、子供の学歴をよく見せようとする点に由来するのではないでしょうか。

自分の損得のために、自分の子供に自分の意思を押しつけるなんて、100%、親の横暴以外の何物でもありません。学生が勉強するかどうかは、100%、学生(子供)自身の課題なのです。

本書では、誰の課題かを簡単に見分ける方法が説明されています。

「それは誰の課題か?」を明らかにするのは簡単です。「その問題を放置した場合、不利益を被るのは誰か?」と問えばいいのです。成績が悪化した場合、不利益を被るのは子供自身です。良い学校に入れなくなり、将来、困るのは子供です。つまり、子供が勉強しなくてはならない、という課題はあくまでも子供の課題であり、親の課題ではないのです。

親ができるのは、子供が勉強したいと思った時に、支援する準備があることだけを伝え、そっと後は見守るしかないのです。それは、部下に対しても同じこと。指導・レクチャーをしても、それを取り入れるか否かを決めるのは部下の方なのですよ。

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スティーブ・ジョブズ(14)コストカットだけで会社が再建されることは決してない!

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■ コストカットは会社の可能性もカットする!

コンサルタントのつぶやき

The cure for Apple is not cost-cutting. The cure for Apple is to innovate its way out of its current predicament.

アップル社再建の妙薬は、費用を削減することではない。現在の苦境から抜け出す斬新な方法を編み出すことだ。

(スティーブ・ジョブズ)
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私は、経営管理、特に、管理会計領域のコンサルタントとして仕事をさせて頂いています。当然、予算管理や原価計算のプロジェクトもいくつかさせて頂いております。しかし、断言したいのは、いくら立派な経営管理システムを構築したとしても、いくら金勘定をうまくできる仕組みを構築したとしても、それだけで自動的に会社が儲かるようになるには決してならない、ということです。

ドラッカーの言葉について、賛否両々(日本では神格化されているのですが)ありますが、彼の言葉の中でも私が好きなのは、

「企業の目的は顧客の創造である」

営利企業たるもの、代金を支払って、先行投資した分を回収させて頂ける、ありがたい顧客を見つけることが最優先。細かい採算レポートを見なくても、どういう製品を市場に投入すれば、お客様が食いつくか、どんな技術を生み出せば、ブレイクスルーするか、テクノロジーやマーケティングにフォーカスすれば、やるべきことはだいたいわかります。

管理会計の仕組みが出す各種レポートは、そうしたやるべきことの結果が正しかったかの検証に使うだけです。

じゃあ、お前の仕事の意味は大してないのか、ですって?

その検証のやり方に瑕疵がないか、それを保証するためのレポートを提供すること、そして、その検証の際の判断基準と、善後策についてのアイデアを一緒にひねり出す所に、お客様が価値を見出してくださるかどうかですね。(^^;)

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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(96)表面的な行動の裏の動機は必ずや”善”である!

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■ あなたは相手の真意を汲み取って勇気づけができるか?

コンサルタントのつぶやき

行動に問題があるとしても
その背後にある動機や目的は
必ずや「善」である。

—————————————————–
あなたの部下が大層できの悪い報告書を提出してきたとします。その部下は、あなたの仕事を邪魔するために、わざとできの悪い報告書を出してきたのでしょうか? 自分の仕事に課せられたミッションを果たそうと、一生懸命に彼なりに努力して、十二分の頑張りで、彼なりのベストエフォートで報告書を提出してきたに違いありません。

意識的に、サボタージュして、意識的に上司の仕事効率を落とすことを目的として、できの悪い報告書を出してきた場合は、そういう状況に、そういう動機を本人に持たせることになった、上司の指導の仕方や、その部下が置かれている現況の方に問題があると考えるべきでしょう。

話を元に戻して、できの悪い報告書を上げてきた部下に最初にかける言葉として、何が適切でしょうか。本書によれば、最初に叱り飛ばすことは最悪で、まずは、その行動(締め切り通りに提出されたこと、または頑張った様子)を窺って、目についたところに、共感を示すことがいいそうです。

「よく頑張って、締め切り通りに(締め切り前に)報告書をあげてくれたね」

その後、

「こうすれば、もっとわかりやすい報告書になるんじゃないかな?」

と勇気づけの言葉をかけます。

本書では、共感をまず示した後の大事なポイントを次のように説明しています。

間違った行動ではなく他の方法を選択できる可能性について話し合えばいいでしょう。

いやあ、分かっちゃいるけど、そう簡単に実践することができないのが私の欠点です。(^^;)
まずは、怒りが込み上げて、大声で叱り飛ばします。お客様の目前でも。。。

よく、褒める時はみんなの前で、叱るときは1対1で、とも聞きます。しかし、持論として、時と場合にもよりますが、衆人環視であろうとも、言うべきタイミングというものがあります。後で、別室で呼び出して、という場合、本人も何についてお小言をもらっているのか、分からなくなる時があります。鉄は熱いうちに打て。私は、その場で言いたいことは言うことにしています。時は金なり。

ダメなものはダメ。その後は、こんこんと、どうすればよかったのかについて、吊し上げが目的ではなく、次のアクションを、どうリカバリすればよいかについて、説明を続けます。時には叱り飛ばして。時には激励の言葉を交えて。傍から見れば、もしかすると、パワハラが入っているかもしれません。しかし、私も真剣なんです。本当に若手に一人前のコンサルタントに成長してほしいんです。私が10年かけて会得したことを、1年程度のスピードで。

知識もスキルも陳腐化のスピードが年々早くなってきています。私が持っているもので、後進に伝えられることは徐々に減ってきています。私も、持てる物を全て伝えるのに焦っているんです。相手が腐って聞く耳を持たなくなることがない限り、私は明日も全身全霊をかけて、魂の言葉をぶつけます。それが私なりの勇気づけです。

物は言い様伝え様。確かに言葉遣い、気遣いは大事です。しかし、私には難しい。苦手なことにてこずって、本意が伝わらないなら、どんなに嫌われようとも、本心・真心で自分の言葉を伝えます。それをどう受け止めるのか、それは相手の課題ですから。

今日も一生懸命、明日も全力投球で、ダメなものはダメ、イイものはイイ。そう言い続けたいと思います。

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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(95)楽観的であれ! 楽観主義は性格ではない。意志である!

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■ 楽観的に今現在に集中する!

コンサルタントのつぶやき

楽観的であれ。
過去を悔やむのではなく、
未来を不安視するのでもなく、
今現在の「ここ」だけを見るのだ。

—————————————————–
悲観的な人は「過去」の失敗やミスをうじうじと悔やみ、まだどうなるか分からない「未来」を心配し続けます。しかし、楽観的な人は目の前の課題に集中し、「現在」できることは何かと積極的に行動します。

楽観的であることと、楽天家であることは微妙に違います。何の根拠もなく、来るべき未来に何の準備もせず、能天気に日々を無為に過ごす人はいわゆる「楽天家」と位置づけられます。それで無事な人生を過ごせる人は、それはそれで幸せなことですが、極めて稀なことと思われます。

一方で、楽観的であることは、採るべき行動の根拠とネクストアクションに対する準備を怠らない人です。こういう人を本書では次のように表現しています。

悲観的に検証し、悲観的に準備をし、その上で肯定的に行動すること。それを楽観的と呼ぶのです。

私のワークスタイルは極めて楽観的といえます。職業柄、達成目標と納期が明確に定義されているプロジェクトワークで仕事を進めるのが常なので、常時、納期に追われています。自然と、時間軸で物事を考える癖がついています。今月末納期の仕事をきちんと仕上げるために、今現在、何をしていなくてはいけなくて、何がどういう状態で完了していなければいけないか、納期通りにミッションを達成するためのリスクは、現時点でいくつ気が付いているか、そしてそれらの回避策・軽減策はしかるべき時に採用できるように準備できているか。

その上で、極めて明るく、前向きに今日できることにだけに集中して仕事をします。状況は常に変化します。その度にどうしよう? と悩んでいては気が滅入るだけです。常に対応策(コンティンジェンシー)を腹に持って仕事をしていれば、今取りかかっている仕事の行く末が不安に思えることはほとんどなくなります、

よく、プロジェクトの若手メンバに、「WBS(プロジェクト遂行のためのタスク管理表)を書き上げることができれば、プロジェクトは80%終わったも同然だよ」と、未来志向でやるべきタスクを整理する、いわゆる「段取り」を整えることの重要性を伝えています。

そういえば、今日もひとつ、とあるチームのWBSを書き上げて、クライアントに説明しました。やるべきことが何か具体的になれば、人は安心できるものです。やるべきことを決めれば、自然とやらないことが明らかになります。やらなくて済むことは、気に病む必要がありません。その分、肩の荷を下ろしましょうよ。スッキリ、デトックスされて、すがすがしく目前の仕事に集中できますよ!

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