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■ 感動の仕組みを生んだ奇跡の外食チェーン

コンサルタントのつぶやき

セントラルキッチンでは、牛タンを食べやすいサイズの35gに手作業でカットしている。固い部位などを人間の目で確認しながら。そして焼きも全て手作業。炭火で焼いてほんのり中心にピンク色が残る感じ最高なのだとか。そういう外食産業ならではの品質にこだわる! ただそれだけでは、坪当たり月商日本一(2000万円)のチェーン店にはならなかったその秘密とは? なぜ、1年に1店舗しか新規出店をしない(できない)のか? そのあたりに「ねぎし」の成功の秘訣がありそうです。

社長いわく、
「店の数ではない。1店舗1店舗、質のいい店を作って、そしてその地域社会に貢献したい」

実は、ねぎしの出店は人材ありき。「人材優先型出店」。人が育たなければ出店をしない。「人の成長を待って出店をしている。ねぎしで食事をした人に『今日はねぎしにきて良かった』と思ってもらえる、質が高く、満足してもらえる店を1軒1軒作ることが優先」。その根本は人。人で始まって人で終わる。驚くほどの親切な接客力。それが成功の秘密だった。

 

■ 牛たん専門で満足度90%!最大の戦略は「親切」

お客からの接客満足度調査のハガキによるアンケート。名前が上がったスタッフには表彰がある。「親切賞」。そしてアンケート結果は全店舗で共有される。「教育があるんです。ハガキの中には」

「究極の企業戦略は“親切”。もちろん外食産業なので、独自性のある商品をおいしく出すのは当然。でもそれは50歩100歩で皆(競合他社)が迫ってくる。最後は“人”」。

牛タンは焼きが命。炭の温度と焼き時間が重要。それは焼きのスタッフの手によるもの。

村上氏が問いかける。「どうして『親切』という言葉なんですか?」
「『親切』というのは、相手を思いやる気持ち。いかにお客様のために尽くすか。『親切 = 気付き』で『目配り、気配り、心配り』。ねぎしの仕事の目的は“お客の喜びと満足を得る”なので、そのために毎日お店に来て仕事をしているんです。」

ハガキは、月に500枚は届く。やはりお客から褒められるというのは嬉しいこと。

村上氏が問いかける。「どんな会社でも『ハガキ』アンケートの施策をマネすれば効果が上がるものなのか?」
「半年とか1年で従業員は変わってくる。それは“思い”の問題。いくらスキル(技能)が高くても“思い”のないスキルは生きない。お客様の喜びと満足にはつながらない。“思い”があって初めてスキルが生きてくる」

 

■ スタッフが全員逃亡からの再挑戦!

「焼士制度」。これに合格しないとキッチンで牛タンを焼けない。審査員は店長たち。この社内試験制度も店長たちからの発案だった。現場発の仕事がねぎしにはたくさんある。「クレンリネスコンテスト」。店長同士が全店舗の清潔度を評価して表彰する制度。現場で計画して実行するという仕組みだからこそ“やる気”も違う。現場に権限を任せるのがねぎし流。モチベーションの高い現場からは新しい接客法など、ねぎし独自の様々なアイデアが生まれてくる。

中野店の店長の言葉。
「自分たちで考えて働こう ― というのがねぎしの考えだと思う。他社ではトップダウンで完全に上から「こうしなさい」と言われてからやる。でもねぎしの場合は、自分たちの考えでやるから“他人事”でなくて、“我が事”になる。責任も重いがやりがいが圧倒的に違う」

会社の様々なことを現場に任せて決めさせる。そんな独自の経営手法のウラには根岸社長自身の苦い経験があった。福島・宮城で、東京で流行っている業態を輸入してくるビジネスモデルで一気に20店舗にまで拡大。ある時、大皿料理の店のスタッフが店長以下、突然連絡が取れなくなり、1ヶ月後、目と鼻の先に同じ業態のお店がオープン。店長以下、全スタッフが引き抜かれていた。根岸社長は、びっくりして数か月は仕事に手が付かなかった。お店も再開までに1ヶ月を要した。「お金で動く人は、結局次のお金で動く」そこで、自分(社長)が悪いのだと気付いたそう。

その場の利益だけを追いかけても商売は長く続かない。「永続的な店」を作るにはどうしたらいいか? 行き着いたのが「従業員が自分たちで考え、自分たちのために働く店」。店長を中心に店舗を“我が事”として「会社のためではなく自分のこと」として参加して、そしていい店を作りたいと思うようにする。その過程にチームワークができていい店ができていく。「我が事」として働く仕組み作り。一念発起し東京に出てきて、「牛たん専門店・ねぎし」として形にした。

 

■ スタッフ全員逃亡からの大逆転 店長30人が経営を決める!

「店長SOプロジェクト」。全店長が5つのチームに分かれて会社のすべてのルールを作成する。いろいろな問題点や起こったことをここで、それぞれのチームが1年がかりで新しいルールをつくる。それを会社のルールとして翌年から全部実行する。「店長の集まりが会社なんです。だから会社は店長次第なのです」

今や店長たちが会社の経営方針書(年度計画)を作り、外部の関係者(銀行や取引先)への説明会も運営する。会社のかじ取りまで店長たちに任せている。

社長曰く、
「引き抜き事件の後、裏切った人、手引きをした人を恨んだ。でもじっくり考えてみると『因は我にあり』で、結局は自分の問題だった。いい会社、いいお店にしたいという未来像(ビジョン)が自分にはなかった。ただ売上を上げればいいと。だから、結局、最後は従業員が離れていく。単に「使われていた」という思いで従業員はやっていた。お金で使われていた。もっと高い金を出せば「そっちにいく」というだけの話」

「一番お客に接している従業員が働き甲斐を持って仕事をする集団でないと、従業員の喜びと満足とにつながらない。給料・待遇がいいから必ずしも接客力が上がるとは限らない。プラン(計画)から参加すると、それは“我が事”になって、自分で判断して実行していくと文句の言いようがない。いろんな仕組みがねぎしの中にはあるが、どこかで必ず『成長している』と実感するところがある。そこから人はどんどん変わって意欲的になっていく。そして定着率もよくなっていく。だからそういう仕組みを数多く作る」

ただし、こうした取り組みの最大の弱点は、「時間がかかること」

「ひとつの仕組みで10年は辛抱してきっちりやると風土化して、いい風土が人を育てる。だから、創業して34年で34店舗」

 

■ チームワークが会社を強くする!

チームワークで問題解決する。店舗間で、急なスタッフの休業に対して、人を融通し合う。外食産業にありがちな店長への過重な負担はない。ねぎしでは店長でも休めるし、それでも店は営業できる。アルバイトの22%を占める中国人とのコミュニケーションにも心を砕く。中国人スタッフ中心の飲み会を企画したり、中国語の社内報を出したり。店も国籍も超えたチームワークがねぎしの強さ。正社員、バイト、国籍を問わず全員に一律同じチャンスが与えられている。やはりいい人間関係やチーム力は店舗力につながる。

村上氏が問う。
「人を信じる経営には勇気がいる。命令する方が楽なのでは?」

「やっぱり任せると自分で創意工夫をする。そして時間を問わず努力する。一生懸命になると、自分で考えて自分で判断して実行する時が一番うれしくなるし、その過程に着実に人は成長する。日々の仕事を通じて成長し、その成長が会社の成長につながる。だから、人の成長が先にある」

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経営は現場が決める! ねぎしフードサービス・根岸榮治 2015年5月28日OA TX カンブリア宮殿http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-e1428166267398.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-150x150.jpg小林 友昭TV番組レビューねぎしフードサービス,カンブリア宮殿,根岸榮治■ 感動の仕組みを生んだ奇跡の外食チェーン セントラルキッチンでは、牛タンを食べやすいサイズの35gに手作業でカットしている。固い部位などを人間の目で確認しながら。そして焼きも全て手作業。炭火で焼いてほんのり中心にピンク色が残る感じ最高なのだとか。そういう外食産業ならではの品質にこだわる! ただそれだけでは、坪当たり月商日本一(2000万円)のチェーン店にはならなかったその秘密とは? なぜ、1年に1店舗しか新規出店をしない(できない)のか? そのあたりに「ねぎし」の成功の秘訣がありそうです。 社長いわく、 「店の数ではない。1店舗1店舗、質のいい店を作って、そしてその地域社会に貢献したい」 実は、ねぎしの出店は人材ありき。「人材優先型出店」。人が育たなければ出店をしない。「人の成長を待って出店をしている。ねぎしで食事をした人に『今日はねぎしにきて良かった』と思ってもらえる、質が高く、満足してもらえる店を1軒1軒作ることが優先」。その根本は人。人で始まって人で終わる。驚くほどの親切な接客力。それが成功の秘密だった。   ■ 牛たん専門で満足度90%!最大の戦略は「親切」 お客からの接客満足度調査のハガキによるアンケート。名前が上がったスタッフには表彰がある。「親切賞」。そしてアンケート結果は全店舗で共有される。「教育があるんです。ハガキの中には」 「究極の企業戦略は“親切”。もちろん外食産業なので、独自性のある商品をおいしく出すのは当然。でもそれは50歩100歩で皆(競合他社)が迫ってくる。最後は“人”」。 牛タンは焼きが命。炭の温度と焼き時間が重要。それは焼きのスタッフの手によるもの。 村上氏が問いかける。「どうして『親切』という言葉なんですか?」 「『親切』というのは、相手を思いやる気持ち。いかにお客様のために尽くすか。『親切 = 気付き』で『目配り、気配り、心配り』。ねぎしの仕事の目的は“お客の喜びと満足を得る”なので、そのために毎日お店に来て仕事をしているんです。」 ハガキは、月に500枚は届く。やはりお客から褒められるというのは嬉しいこと。 村上氏が問いかける。「どんな会社でも『ハガキ』アンケートの施策をマネすれば効果が上がるものなのか?」 「半年とか1年で従業員は変わってくる。それは“思い”の問題。いくらスキル(技能)が高くても“思い”のないスキルは生きない。お客様の喜びと満足にはつながらない。“思い”があって初めてスキルが生きてくる」   ■ スタッフが全員逃亡からの再挑戦! 「焼士制度」。これに合格しないとキッチンで牛タンを焼けない。審査員は店長たち。この社内試験制度も店長たちからの発案だった。現場発の仕事がねぎしにはたくさんある。「クレンリネスコンテスト」。店長同士が全店舗の清潔度を評価して表彰する制度。現場で計画して実行するという仕組みだからこそ“やる気”も違う。現場に権限を任せるのがねぎし流。モチベーションの高い現場からは新しい接客法など、ねぎし独自の様々なアイデアが生まれてくる。 中野店の店長の言葉。 「自分たちで考えて働こう ― というのがねぎしの考えだと思う。他社ではトップダウンで完全に上から「こうしなさい」と言われてからやる。でもねぎしの場合は、自分たちの考えでやるから“他人事”でなくて、“我が事”になる。責任も重いがやりがいが圧倒的に違う」 会社の様々なことを現場に任せて決めさせる。そんな独自の経営手法のウラには根岸社長自身の苦い経験があった。福島・宮城で、東京で流行っている業態を輸入してくるビジネスモデルで一気に20店舗にまで拡大。ある時、大皿料理の店のスタッフが店長以下、突然連絡が取れなくなり、1ヶ月後、目と鼻の先に同じ業態のお店がオープン。店長以下、全スタッフが引き抜かれていた。根岸社長は、びっくりして数か月は仕事に手が付かなかった。お店も再開までに1ヶ月を要した。「お金で動く人は、結局次のお金で動く」そこで、自分(社長)が悪いのだと気付いたそう。 その場の利益だけを追いかけても商売は長く続かない。「永続的な店」を作るにはどうしたらいいか? 行き着いたのが「従業員が自分たちで考え、自分たちのために働く店」。店長を中心に店舗を“我が事”として「会社のためではなく自分のこと」として参加して、そしていい店を作りたいと思うようにする。その過程にチームワークができていい店ができていく。「我が事」として働く仕組み作り。一念発起し東京に出てきて、「牛たん専門店・ねぎし」として形にした。   ■ スタッフ全員逃亡からの大逆転 店長30人が経営を決める! 「店長SOプロジェクト」。全店長が5つのチームに分かれて会社のすべてのルールを作成する。いろいろな問題点や起こったことをここで、それぞれのチームが1年がかりで新しいルールをつくる。それを会社のルールとして翌年から全部実行する。「店長の集まりが会社なんです。だから会社は店長次第なのです」 今や店長たちが会社の経営方針書(年度計画)を作り、外部の関係者(銀行や取引先)への説明会も運営する。会社のかじ取りまで店長たちに任せている。 社長曰く、 「引き抜き事件の後、裏切った人、手引きをした人を恨んだ。でもじっくり考えてみると『因は我にあり』で、結局は自分の問題だった。いい会社、いいお店にしたいという未来像(ビジョン)が自分にはなかった。ただ売上を上げればいいと。だから、結局、最後は従業員が離れていく。単に「使われていた」という思いで従業員はやっていた。お金で使われていた。もっと高い金を出せば「そっちにいく」というだけの話」 「一番お客に接している従業員が働き甲斐を持って仕事をする集団でないと、従業員の喜びと満足とにつながらない。給料・待遇がいいから必ずしも接客力が上がるとは限らない。プラン(計画)から参加すると、それは“我が事”になって、自分で判断して実行していくと文句の言いようがない。いろんな仕組みがねぎしの中にはあるが、どこかで必ず『成長している』と実感するところがある。そこから人はどんどん変わって意欲的になっていく。そして定着率もよくなっていく。だからそういう仕組みを数多く作る」 ただし、こうした取り組みの最大の弱点は、「時間がかかること」 「ひとつの仕組みで10年は辛抱してきっちりやると風土化して、いい風土が人を育てる。だから、創業して34年で34店舗」   ■ チームワークが会社を強くする! チームワークで問題解決する。店舗間で、急なスタッフの休業に対して、人を融通し合う。外食産業にありがちな店長への過重な負担はない。ねぎしでは店長でも休めるし、それでも店は営業できる。アルバイトの22%を占める中国人とのコミュニケーションにも心を砕く。中国人スタッフ中心の飲み会を企画したり、中国語の社内報を出したり。店も国籍も超えたチームワークがねぎしの強さ。正社員、バイト、国籍を問わず全員に一律同じチャンスが与えられている。やはりいい人間関係やチーム力は店舗力につながる。 村上氏が問う。 「人を信じる経営には勇気がいる。命令する方が楽なのでは?」 「やっぱり任せると自分で創意工夫をする。そして時間を問わず努力する。一生懸命になると、自分で考えて自分で判断して実行する時が一番うれしくなるし、その過程に着実に人は成長する。日々の仕事を通じて成長し、その成長が会社の成長につながる。だから、人の成長が先にある」 -------------------- 番組ホームページはこちら ねぎしフードサービスのホームページはこちら現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します