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■ 高くても買いたくなる! 客が熱狂する謎のデパート

コンサルタントのつぶやき

「長く使える良いもの」であることにこだわった生活雑貨1500点を取り扱っているD&デパートメント。その生命線は商品選びにある。

「流行が去っても、価値が残るような長く売れている商品を選ぶようにしている。」

ただ商品を選んで並べているだけではない。「価値を伝える」ため、店には様々な工夫がある。そのひとつが値札。

「価値を伝える」仕掛け①
・商品の“年齢”を表記する
生産開始から何年経ったかを、値札の上に、黒丸の中の数字で目に留まるように表記してある。

「価値を伝える」仕掛け②
・商品が持つ“物語”を伝えて売る
販売員が、各商品が持つ特徴、誰がどうやって作って、どう使われ続けてきたかのメッセージをきちんと客に語れるようになっている。作り手の思いをきちんと語れる。

「価値を伝える」仕掛け③
・“業務用”でも使い方を含めて提案
工業用バスケット、医療用ガラス万能瓶、等、生活で使って便利なものは、使い方を含めて提案する。

「工業用製品はハードに使うために生まれてきた経緯があるので、ちょっとやそっとじゃ壊れないし、モデルチェンジしないので買い足せる。」

ナガオカケンメイ_カンブリア宮殿_20151001

番組公式ホームページより

一体どうして、ナガオカさんは、長く使い続けるものを売るお店を出したのか? ナガオカさんは、1983年にデザイン会社に就職した、元々はグラフィックデザイナー。31歳でデザイン事務所を立ち上げて独立。手掛けたのはモーショングラフィック。企業のロゴや商品の特徴をグラフィックで表現するものだ。デザイナーとして時代の最先端を追求し続けていた。

ナガオカケンメイの考え (新潮文庫)

その価値観を一転させる転機が訪れた。それは、リサイクルショップが急速に増えてきた1990年代後半、職業柄、時代の変化に敏感なナガオカさんは、時々足を運んでいた。そんなある日、有名デザイナーが昨年出した椅子がもう特価3000円で売り出されているのを発見した。

「そんなに早く売り出されて、捨てられて、その消費のスピードが恐ろしいと思った。」

“流行”の錦の御旗の元で、行われる「大量生産」「大量消費」。ナガオカさんは思った。

「良いものを長く使っていく世の中をつくりたい」

そんな思いを胸に、2000年にD&デパートメントを開業する。そこに並ぶのは流行にとらわれることなく、長く使われ続けられるもの。「60ビジョン」というプロジェクトを展開。60年代生まれの機能とデザインに優れた名品をメーカーと共に次々と復刻させていった。

「新しいものを作ってもいいけど、変わらない“原点”みたいなものも売り続けようと気付いた。」

D&デパートメントは、中古品も扱っている。しかも、新品と分けずに陳列している。そこには、ナガオカさんのこんな意図が。

「中古と新品を基本的に分けたくないんです。そこに価値を置いてもらいたくない。「新しいから買う」「最新型だから買う」という発想は捨ててもらいたい。」

中古品の極めつけは、学校の図工室で使われていた椅子。一脚、5940円。

今、国内外に12店舗を展開。年商は12億円。少しずつだが、着実に育っている。

「流行のものが欲しい人だけじゃなく、変わらないものが欲しい人たちが増えてきた。商品を長く使ってもらうことをベースにビジネスを構築したい。」

ナガオカケンメイのやりかた

■ ものづくりを変える!価値を伝える感動デパート

D&デパートメント誕生のいきさつを振り返る。

「自分のデザイナーとして全盛の時代は、新しいものをどんどん作りたいし、「作れ」と言われ、それを求められていた。1年しか持たないようなものを作る職業に成り下がっていた。あるとき、大きな見本市があって、そこに座り心地は関係なく、表面的なイスがたくさんデザイン家具としてあって、見本市が終わった後に、関係者として行ったら、それを全部、壊して廃棄していた。それがデザインだとしたら、デザインとは何なんだろうと。そこですごくショックを受けた。こうしたハイスピードの消費はもう変えないと。ここを変えないと日本人の生活の質や者に対する愛着が変わっていかない。自分がデザインしている場合じゃない。「何かをしなければ」と思って、店をつくった。」

「日本の生活を豊かにしようと思ったら、ホームセンターのセンスが良くならないといけない。バケツを買いたいと思った時に、すっと、目をつぶってとっても、「あそこのバケツだったらいい」とならないといけないと思って、本当はデザインをしたいが、その前に「売り場をちゃんとしないと」と思って売り場をつくった。」

60VISION ロクマルビジョン 企業の原点を売り続けるブランディング

■ 絶品カフェ飯に大行列! “地元”を発見させる独自戦略

山梨県・甲府市、ここに2年前、D&デパートメント山梨がオープンした。ここは単なる東京店のコピーではない。陳列されている商品の半分以上は、山梨の文化や歴史から生まれた山梨オリジナルの品々。

現在12あるお店は大半がフランチャイズ。本部と理念を共有する人や企業をパートナーに、店を任せ、その土地らしいD&デパートメントを育ててもらっている。

田んぼのすぐ脇に7年前オープンしたのが静岡店。この店最大の特徴は、ショップの隣にあるカフェだ。D&デパートメントのルールとして、店舗には必ずカフェを併設することになっている。静岡店オーナーの高松さんは元、静岡銀行に勤めるバンカー(1991年入行)。全国の優良企業を静岡に誘致する仕事に従事していた。独立したいと、2000年に飲食店経営に乗り出す。静岡に無い飲食店チェーンを次々と静岡に呼び込み、フランチャイズオーナーとして活躍していた。そして2007年、D&デパートメントのコンセプトに共鳴した高松さんは、静岡店のオーナーに手を挙げた。当初は、D&デパートメントのカフェを静岡でもやりたいとの思いから。そんな高松さんにナガオカさんは、、、

「東京のまねをするのではなく、“静岡らしさ”で勝負すべきだ」

そこで高松さんが着目したのは地元の食材。魚、野菜はもちろんのこと、調味料に至るまで静岡らしさの地元のものを足で探しまわった。こうしてできたのが“静岡ごはん”。これに飛びついたのが、観光客ではなく、地元の人たち。大手スーパーやチェーン店の味に馴染み、地元の味を忘れていた人たち。それをこの店が思い出させてくれたのだ。地元飯を堪能した客は、そのままお隣のショップへ。そこでも静岡産の品物の良さを再発見するという仕掛けに。

「地元にいても知らないことを、ここに来ると店員が説明してくれる。“地域のもの”を知って、買えるのがいい」

地元の人が地元の良さを知る情報の拠点に。D&デパートメントは、こうした店舗を47都道府県に広げる予定だ。

D&DEPARTMENT に学んだ、人が集まる「伝える店」のつくり方 学びながら買い、学びながら食べる店

D&デパートメント フランチャイズパートナーの条件とは。
① ナガオカが選んだ商品を取り扱う
② 商品の半分が「その地域のロングライフデザイン」を目指す
③ 必ずカフェを併設する

「デザイン雑貨を買うよりも、お茶を飲みに行くことの方が多いので、どっちかというと、喫茶店の横に、いいデザインのコーナーがあるという気持ちで。普通に、ご飯を食べてコーヒーを飲んで、その横でいいデザインの商品が「あれ?」という感じで見つかる順番がいい。」

静岡店のフランチャイズオーナーは元銀行マンだが、その分けとは?
「静岡の昔から続いているいいものを絶やさずに、紹介・販売したいという気持ちがすごく強かったので、それで一緒にやりましょうと」

村上氏が質問。「普通、フランチャイズ店を開業するのに、3000~4000万円かかり、開業後も「副業」が必要と、自著でも説かれている理由とは?普通は、不退転の覚悟で、崖っぷちから飛び降りるつもりで経営にあたれ、というのが普通ではないのか?」

「「地域を良くする」「文化的な意義」など、正しいと思うことを、ビジネスでやろうと思うと、ある程度「副業」をしないと成立しない。もちろん、結果的には成立していくが、すごく時間がかかるので。でも最終的に成功するのは、そういう店が他に無いからだと思う。」

二流でいこう ~一流の盲点、三流の弱点~

■ 知られざる逸品の発掘でジリ貧の作り手が大逆転!

D&デパートメントはさらに進化している。

東京・渋谷の人気スポット、渋谷ヒカリエ。ここに、D&デパートメントが3年前につくった新しい形のお店の「d47 デザイントラベルストア」がある。ここは、地方の知られざる名品を発掘し消費者に紹介する、というのがコンセプト。

来店客の声。
「昔からの日本の“もの”の良さが発見できる」

この店を仕掛けたナガオカさんの思い。
「作り手の思いや産地に根付く産業としての継続性を考えて、「この産地で続いた方がいい」と思うものを応援している。」

ナガオカさんは全国の産地を飛び回り、のこしたい“もの”探しをすると共に、独自商品の開発も行う。

この日尋ねたのは、丸直製陶所。箕面焼きの工房の6代目:奥田将高さん。奥田さんが作る器の特徴は、何といってもその薄さ。1mmの厚さで、模様が透けて見えるほど。ここまで薄く作れる作り手はいないという。海外では、「エッグシェル:卵の殻のように薄い磁器」として結構人気だが、国内ではほとんど売れていなかった。それを売れるものにするため、ナガオカさんは、大胆な提案をした。

「奥田さんの最大の特徴である“模様”を取ってくれと。シンプルな白い器の需要が大きかったのでお願いした。」

そして出来上がったのが、和風にも洋風にも使えるコップ丈の「スキトオカップ」。中身が透けて見える新しい器として若い人から人気に。

奥田さんいわく、
「日常的に使うように薄い磁器が変わるんだと。それを使うニーズがあるんだとビックリした。やりがいもさらに出てきました。」

ナガオカケンメイとニッポン

ナガオカさんは、さらに消費者も巻き込んだ。閉店後のヒカリエのお店。集まっていたのは、この店のファンのお客たち。これは、作り手とお客をつなぐ勉強会。

「分かりやすいお茶」勉強会。所要時間90分、参加費1500円。

「作り手の思いとか、なかなか聞ける場所が無いので、こういうふうに作られていると分かって飲めるのがいい。」

D&デパートメントは、消費者と一緒に生産者を支えることを目指している。

村上氏からの質問。
「奥田さんの非常に薄い磁器から模様を取ってくれとか、いいデザインを判断する基準は?」

「流行です。基本的な構造は変えないが、表面のプリントなどは変えてもいい。完全に流行を否定したらそれも続かない。流行を意識しながら“変わらないもの”と“変わるもの”をバランスよくやっていく。“変わるもの”の一つが今回の場合は柄だった。」

「昔からある“良いもの”は祖父や父の世代のものと決めつけがちだが、それを若々しいアプローチで見せると、若い世代が「「買っていいんだ」となる。そのきっかけをつくっているような気がする。」

「作り手さんに一番影響がある気がする。お客と作り手が接触することによって、作り手の“原点”“個性”“らしさ”を見直せる。量を販売する一部の小売りチェーンなどでは、極端に言えば1~2ヶ月の周期で、中身は変わらないのに「パッケージを新しくして」と言ってくる。売り場に生産者はすごく左右されてきた。僕らみたいな売り場が増えると、生産者も変えたくないものを変える必要が無い。長く続けていいと認識されれば、じわじわと“ものづくり”が変わると思う。」

「流行が発生してしまうと、必要以上に売れてしまう。ブームは永遠だったらいいが、ブームで生産体制を変えないといけない。一時のブームに対応しないといけないので、老舗の蕎麦屋みたいに、麺が無くなったら終了、そういうやり方じゃないと続かない。だから、ブームが起こらないようにしなければならない。」

『ブームに乗らないが、“ものづくり”を変える』

デザイン物産 2014

■ 職人と伝統技術に光を ものづくりを変える挑戦!

D&デパートメントは、旅行ガイド「d design travel」までも創っている。北は北海道から南は沖縄まで、16の都道府県のものづくりを紹介している。それぞれの土地ならでは技術や品物に興味を持ってもらって訪ねてもらう、その地方の良さを知ってもらう思いからだ。

「最終的にその土地に行ってもらいたい。地元の“個性”を示す必要があるが、長く住む人は“土地の良さ”が分からなくなる。そこで、“よそ者”の僕が2ヶ月くらい、その土地に住んで、よそ者として“らしさ”を決めていく。年3冊しかできないが、47都道府県、47冊を目指している。あと10年くらいかかりそう。」

d design travel OSAKA

 

d design travel OKINAWA

d design travel KAGOSHIMA

d design travel SHIZUOKA

d design travel TOKYO

——————–
番組ホームページはこちら
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20151001.html

D&DEPARTMENT PROJECTのホームページはこちら
http://www.d-department.com/jp/

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長く使える良いものだけを売る!感動百貨店の新戦略 D&デパートメント会長・ナガオカケンメイ 2015年10月1日 カンブリア宮殿http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-e1428166267398.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-150x150.jpg小林 友昭TV番組レビューD&デパートメント,カンブリア宮殿,ナガオカケンメイ■ 高くても買いたくなる! 客が熱狂する謎のデパート 「長く使える良いもの」であることにこだわった生活雑貨1500点を取り扱っているD&デパートメント。その生命線は商品選びにある。 「流行が去っても、価値が残るような長く売れている商品を選ぶようにしている。」 ただ商品を選んで並べているだけではない。「価値を伝える」ため、店には様々な工夫がある。そのひとつが値札。 「価値を伝える」仕掛け① ・商品の“年齢”を表記する 生産開始から何年経ったかを、値札の上に、黒丸の中の数字で目に留まるように表記してある。 「価値を伝える」仕掛け② ・商品が持つ“物語”を伝えて売る 販売員が、各商品が持つ特徴、誰がどうやって作って、どう使われ続けてきたかのメッセージをきちんと客に語れるようになっている。作り手の思いをきちんと語れる。 「価値を伝える」仕掛け③ ・“業務用”でも使い方を含めて提案 工業用バスケット、医療用ガラス万能瓶、等、生活で使って便利なものは、使い方を含めて提案する。 「工業用製品はハードに使うために生まれてきた経緯があるので、ちょっとやそっとじゃ壊れないし、モデルチェンジしないので買い足せる。」 (番組公式ホームページより) 一体どうして、ナガオカさんは、長く使い続けるものを売るお店を出したのか? ナガオカさんは、1983年にデザイン会社に就職した、元々はグラフィックデザイナー。31歳でデザイン事務所を立ち上げて独立。手掛けたのはモーショングラフィック。企業のロゴや商品の特徴をグラフィックで表現するものだ。デザイナーとして時代の最先端を追求し続けていた。 ナガオカケンメイの考え (新潮文庫) その価値観を一転させる転機が訪れた。それは、リサイクルショップが急速に増えてきた1990年代後半、職業柄、時代の変化に敏感なナガオカさんは、時々足を運んでいた。そんなある日、有名デザイナーが昨年出した椅子がもう特価3000円で売り出されているのを発見した。 「そんなに早く売り出されて、捨てられて、その消費のスピードが恐ろしいと思った。」 “流行”の錦の御旗の元で、行われる「大量生産」「大量消費」。ナガオカさんは思った。 「良いものを長く使っていく世の中をつくりたい」 そんな思いを胸に、2000年にD&デパートメントを開業する。そこに並ぶのは流行にとらわれることなく、長く使われ続けられるもの。「60ビジョン」というプロジェクトを展開。60年代生まれの機能とデザインに優れた名品をメーカーと共に次々と復刻させていった。 「新しいものを作ってもいいけど、変わらない“原点”みたいなものも売り続けようと気付いた。」 D&デパートメントは、中古品も扱っている。しかも、新品と分けずに陳列している。そこには、ナガオカさんのこんな意図が。 「中古と新品を基本的に分けたくないんです。そこに価値を置いてもらいたくない。「新しいから買う」「最新型だから買う」という発想は捨ててもらいたい。」 中古品の極めつけは、学校の図工室で使われていた椅子。一脚、5940円。 今、国内外に12店舗を展開。年商は12億円。少しずつだが、着実に育っている。 「流行のものが欲しい人だけじゃなく、変わらないものが欲しい人たちが増えてきた。商品を長く使ってもらうことをベースにビジネスを構築したい。」 ナガオカケンメイのやりかた ■ ものづくりを変える!価値を伝える感動デパート D&デパートメント誕生のいきさつを振り返る。 「自分のデザイナーとして全盛の時代は、新しいものをどんどん作りたいし、「作れ」と言われ、それを求められていた。1年しか持たないようなものを作る職業に成り下がっていた。あるとき、大きな見本市があって、そこに座り心地は関係なく、表面的なイスがたくさんデザイン家具としてあって、見本市が終わった後に、関係者として行ったら、それを全部、壊して廃棄していた。それがデザインだとしたら、デザインとは何なんだろうと。そこですごくショックを受けた。こうしたハイスピードの消費はもう変えないと。ここを変えないと日本人の生活の質や者に対する愛着が変わっていかない。自分がデザインしている場合じゃない。「何かをしなければ」と思って、店をつくった。」 「日本の生活を豊かにしようと思ったら、ホームセンターのセンスが良くならないといけない。バケツを買いたいと思った時に、すっと、目をつぶってとっても、「あそこのバケツだったらいい」とならないといけないと思って、本当はデザインをしたいが、その前に「売り場をちゃんとしないと」と思って売り場をつくった。」 60VISION ロクマルビジョン 企業の原点を売り続けるブランディング ■ 絶品カフェ飯に大行列! “地元”を発見させる独自戦略 山梨県・甲府市、ここに2年前、D&デパートメント山梨がオープンした。ここは単なる東京店のコピーではない。陳列されている商品の半分以上は、山梨の文化や歴史から生まれた山梨オリジナルの品々。 現在12あるお店は大半がフランチャイズ。本部と理念を共有する人や企業をパートナーに、店を任せ、その土地らしいD&デパートメントを育ててもらっている。 田んぼのすぐ脇に7年前オープンしたのが静岡店。この店最大の特徴は、ショップの隣にあるカフェだ。D&デパートメントのルールとして、店舗には必ずカフェを併設することになっている。静岡店オーナーの高松さんは元、静岡銀行に勤めるバンカー(1991年入行)。全国の優良企業を静岡に誘致する仕事に従事していた。独立したいと、2000年に飲食店経営に乗り出す。静岡に無い飲食店チェーンを次々と静岡に呼び込み、フランチャイズオーナーとして活躍していた。そして2007年、D&デパートメントのコンセプトに共鳴した高松さんは、静岡店のオーナーに手を挙げた。当初は、D&デパートメントのカフェを静岡でもやりたいとの思いから。そんな高松さんにナガオカさんは、、、 「東京のまねをするのではなく、“静岡らしさ”で勝負すべきだ」 そこで高松さんが着目したのは地元の食材。魚、野菜はもちろんのこと、調味料に至るまで静岡らしさの地元のものを足で探しまわった。こうしてできたのが“静岡ごはん”。これに飛びついたのが、観光客ではなく、地元の人たち。大手スーパーやチェーン店の味に馴染み、地元の味を忘れていた人たち。それをこの店が思い出させてくれたのだ。地元飯を堪能した客は、そのままお隣のショップへ。そこでも静岡産の品物の良さを再発見するという仕掛けに。 「地元にいても知らないことを、ここに来ると店員が説明してくれる。“地域のもの”を知って、買えるのがいい」 地元の人が地元の良さを知る情報の拠点に。D&デパートメントは、こうした店舗を47都道府県に広げる予定だ。 D&DEPARTMENT に学んだ、人が集まる「伝える店」のつくり方 学びながら買い、学びながら食べる店 D&デパートメント フランチャイズパートナーの条件とは。 ① ナガオカが選んだ商品を取り扱う ② 商品の半分が「その地域のロングライフデザイン」を目指す ③ 必ずカフェを併設する 「デザイン雑貨を買うよりも、お茶を飲みに行くことの方が多いので、どっちかというと、喫茶店の横に、いいデザインのコーナーがあるという気持ちで。普通に、ご飯を食べてコーヒーを飲んで、その横でいいデザインの商品が「あれ?」という感じで見つかる順番がいい。」 静岡店のフランチャイズオーナーは元銀行マンだが、その分けとは? 「静岡の昔から続いているいいものを絶やさずに、紹介・販売したいという気持ちがすごく強かったので、それで一緒にやりましょうと」 村上氏が質問。「普通、フランチャイズ店を開業するのに、3000~4000万円かかり、開業後も「副業」が必要と、自著でも説かれている理由とは?普通は、不退転の覚悟で、崖っぷちから飛び降りるつもりで経営にあたれ、というのが普通ではないのか?」 「「地域を良くする」「文化的な意義」など、正しいと思うことを、ビジネスでやろうと思うと、ある程度「副業」をしないと成立しない。もちろん、結果的には成立していくが、すごく時間がかかるので。でも最終的に成功するのは、そういう店が他に無いからだと思う。」 二流でいこう ~一流の盲点、三流の弱点~ ■ 知られざる逸品の発掘でジリ貧の作り手が大逆転! D&デパートメントはさらに進化している。 東京・渋谷の人気スポット、渋谷ヒカリエ。ここに、D&デパートメントが3年前につくった新しい形のお店の「d47 デザイントラベルストア」がある。ここは、地方の知られざる名品を発掘し消費者に紹介する、というのがコンセプト。 来店客の声。 「昔からの日本の“もの”の良さが発見できる」 この店を仕掛けたナガオカさんの思い。 「作り手の思いや産地に根付く産業としての継続性を考えて、「この産地で続いた方がいい」と思うものを応援している。」 ナガオカさんは全国の産地を飛び回り、のこしたい“もの”探しをすると共に、独自商品の開発も行う。 この日尋ねたのは、丸直製陶所。箕面焼きの工房の6代目:奥田将高さん。奥田さんが作る器の特徴は、何といってもその薄さ。1mmの厚さで、模様が透けて見えるほど。ここまで薄く作れる作り手はいないという。海外では、「エッグシェル:卵の殻のように薄い磁器」として結構人気だが、国内ではほとんど売れていなかった。それを売れるものにするため、ナガオカさんは、大胆な提案をした。 「奥田さんの最大の特徴である“模様”を取ってくれと。シンプルな白い器の需要が大きかったのでお願いした。」 そして出来上がったのが、和風にも洋風にも使えるコップ丈の「スキトオカップ」。中身が透けて見える新しい器として若い人から人気に。 奥田さんいわく、 「日常的に使うように薄い磁器が変わるんだと。それを使うニーズがあるんだとビックリした。やりがいもさらに出てきました。」 ナガオカケンメイとニッポン ナガオカさんは、さらに消費者も巻き込んだ。閉店後のヒカリエのお店。集まっていたのは、この店のファンのお客たち。これは、作り手とお客をつなぐ勉強会。 「分かりやすいお茶」勉強会。所要時間90分、参加費1500円。 「作り手の思いとか、なかなか聞ける場所が無いので、こういうふうに作られていると分かって飲めるのがいい。」 D&デパートメントは、消費者と一緒に生産者を支えることを目指している。 村上氏からの質問。 「奥田さんの非常に薄い磁器から模様を取ってくれとか、いいデザインを判断する基準は?」 「流行です。基本的な構造は変えないが、表面のプリントなどは変えてもいい。完全に流行を否定したらそれも続かない。流行を意識しながら“変わらないもの”と“変わるもの”をバランスよくやっていく。“変わるもの”の一つが今回の場合は柄だった。」 「昔からある“良いもの”は祖父や父の世代のものと決めつけがちだが、それを若々しいアプローチで見せると、若い世代が「「買っていいんだ」となる。そのきっかけをつくっているような気がする。」 「作り手さんに一番影響がある気がする。お客と作り手が接触することによって、作り手の“原点”“個性”“らしさ”を見直せる。量を販売する一部の小売りチェーンなどでは、極端に言えば1~2ヶ月の周期で、中身は変わらないのに「パッケージを新しくして」と言ってくる。売り場に生産者はすごく左右されてきた。僕らみたいな売り場が増えると、生産者も変えたくないものを変える必要が無い。長く続けていいと認識されれば、じわじわと“ものづくり”が変わると思う。」 「流行が発生してしまうと、必要以上に売れてしまう。ブームは永遠だったらいいが、ブームで生産体制を変えないといけない。一時のブームに対応しないといけないので、老舗の蕎麦屋みたいに、麺が無くなったら終了、そういうやり方じゃないと続かない。だから、ブームが起こらないようにしなければならない。」 『ブームに乗らないが、“ものづくり”を変える』 デザイン物産 2014 ■ 職人と伝統技術に光を ものづくりを変える挑戦! D&デパートメントは、旅行ガイド「d design travel」までも創っている。北は北海道から南は沖縄まで、16の都道府県のものづくりを紹介している。それぞれの土地ならでは技術や品物に興味を持ってもらって訪ねてもらう、その地方の良さを知ってもらう思いからだ。 「最終的にその土地に行ってもらいたい。地元の“個性”を示す必要があるが、長く住む人は“土地の良さ”が分からなくなる。そこで、“よそ者”の僕が2ヶ月くらい、その土地に住んで、よそ者として“らしさ”を決めていく。年3冊しかできないが、47都道府県、47冊を目指している。あと10年くらいかかりそう。」 d design travel OSAKA   d design travel OKINAWA d design travel KAGOSHIMA d design travel SHIZUOKA d design travel TOKYO -------------------- 番組ホームページはこちら (http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20151001.html) D&DEPARTMENT PROJECTのホームページはこちら (http://www.d-department.com/jp/)現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します