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地元にあった奇跡の店SP 第2弾 超地域密着経営で大人気の和洋菓子店 たこ満代表取締役社長・平松季哲 2016年2月11日 TX カンブリア宮殿

TV番組レビュー
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■ 人生の記念日に必ず行く 地元絶賛“奇跡の菓子屋”

コンサルタントのつぶやき

たこまん(たこ満)は静岡県西部にのみ17店舗を展開する地域超密着のお菓子屋さん。お客さんが爆買いするその秘密とは、

(とある来客の女性)
「和菓子も洋菓子も種類が多い。いろいろ選べる。」

種類が多いから、あれこれいろいろとて伸ばしてしまう。たこまんのお菓子は300種類。他店に比べ、圧倒的な品揃えを誇る。それ上が老若男女、幅広い層に支持されているのだ。一年中の行事(成人式やお月見、お年始など)に合わせたお菓子が必ず店頭には揃えららえている。しかも、お店まで来店すると、まず店長がお茶を手に持ってお出迎え。ゆったりしたところで品定め。客と店員はまるでお友達。細かな心配りがお客の心をつかんでいた。住民同士がお店の中でコミュニケーションを取りはじめる。まるで街中の社交場。車で来店のお客様の車に向かって深々とお辞儀。車が見えなくなるまで。コンビニスイーツなどが台頭する中、売上は40年前に比べて40倍の26億円に。

たこまんの強さが分かるのはクリスマスの時期。クリスマスケーキは予約分だけで1万2000個。しかし、ケーキひとつひとつは職人による手作り。

・定番の「ストロベリーリッチ」:5200円(6号)
・会社のパーティーなどで好まれる「苺づくしのクリスマスパーティーデコレーション」:3万7800円
・「子供会用のカップケーキ」170円~430円まで、10円刻みで異なる子供会の予算に合わせたデコレーションのバリエーションを12種類用意している

すべてあわせると、たこまんのクリスマスケーキは75種類にものぼる。予算や家族構成といった細かい顧客ニーズに応えていった結果だ。

(開発チーフ 天野さん)
「ショーケースの前に立ってニコニコしたお子さまがいて、それを見るとうれしい。」

シュークリームを20個も積み重ねた「シュークリームの木」5000円、がクリスマス会で登場。去年とは違うケーキを楽しみたいとのお客のニーズから新たなケーキを作る。

本社工場に社長を訪ねる。社長室と言われて通された部屋には、腰かける椅子が無い。立って仕事をしている社長が、平松季哲さん。

20160211_平松季哲_カンブリア宮殿

番組公式ホームページより

「みんなが立って仕事をしている時に、社長だけが座っているのは許されない。」

平松さんのこだわりは、なるべく地元の食材を使うこと。

「素材を新鮮なうちに使う。それには地元の素材を使うこと。それがおいしいお菓子を作る秘訣。」

(たこまんと契約している苺農家の栗本さん)
「お客のことも、原料を供給する側のことも思ってくれる。三方良しという考え方の会社に納めるのだから、だったらしっかりしたものを作らなければならない。」

通常は流通過程で熟させる苺も、たこまんでは完熟したものを収穫して、その日のうちにお菓子の原料として店頭に並ばせる徹底ぶり。

小池さんが尋ねる。
「たこまんのお菓子の味の基準は?」

「東京で製品を試食してもらった時があった。「たこまん」のお菓子を食べた人が、「超一流ホテルの味と思っていたが、普通のお菓子だね」と言った。その言葉を聞いて、ものすごく安心した。近所、地域の皆さんに毎日でも食べてもらえる味にするには、超一流のホテルの味では毎日手が出ない。それよりも、家族に子供に孫にいつまでも持っていけるような、そういう味を目指したい。」

小池さんのしょうもないけど興味そそられる素朴な疑問。
「「たこまん」の名前の由来は?」

「「たこまん」の名刺を出すと、たこ焼き屋と間違えられる。「たこまん」という名前は私が2代目。父が浅草に修行に行った時に昭和の初め、その時におかずに酢だこを出された。その酢だこを食べた時に「ものすごくおいしい」と感激した。それで父が商売をする時には、酢だこのおいしさのようにお客を満足させたいと、「たこの味のように満たす」と「たこ満」とつけた。」

小池さん、質問を続けます。
「少子高齢化で、(地方が)衰退する中で、地域密着にこだわる理由は?」

「1万人ぐらいの町で父と母が創業した。地域の人たちに育ててもらった思いがある。育ててもらったお客を大切に恩返しをしていきたい。そういうことで地域密着の経営をしている。」

村上龍氏が切り込む。
「あんな1万2000個のクリスマスケーキを手作りしていて、採算が取れるのか?」

「採算よりも、本当にお客に喜んでもらう。(クリスマスのような)夢のある時に思い切ってやる方が商売冥利に尽きる。毎年同じ形のクリスマスケーキだと、家族が記念写真を撮って、次の年に同じようなケーキの写真になると、子供は喜ばない。種類もある程度選択できるようにすると子供が喜ぶ。やはり、選ぶ楽しさが必要だと思う。」

■ 接客でそこまでやる!? “奇跡の菓子屋”の裏側

地域密着を社員一人ひとりはどう実践しているのか? とある店舗での接客風景。年配の女性客が店を出る前に、ぴょんとジャンプして自動ドアのスイッチを切る。足の悪い方や車いすのお客がドアにぶつからないようにする心配りから。

そしてそんな接客を見ていた他のベテラン店員が、「ありがとうカード」を書いて若手社員に手渡した。いいことをした、接客がいいな、と思ったら、上司部下関係なく、同僚に「感じた感謝の気持ちをカードに書いて手渡すことになっている。このありがとうカードはたこまんの社員全員が持っている。それを張り付けるノートもある。しかもカードは複写式になっているので、書いた本人のノートにも複写の方を張り付けていく。このベテラン社員が1年で書いたカードはなんと700枚。さらにユニークな制度が。社員全員が集まる忘年会で、このありがとうカードをより多く書いた人を表彰するのだ。決して書いてもらった人ではないところがユニーク。

■ 大繁盛が大ピンチに! “奇跡の菓子屋”誕生秘話

現在のたこまんスタイルを作ったのが社長の平松さん。しかし、その裏には絶体絶命のピンチがあった。たこまんは1953年、平松さんの父が創業。当時はごく普通の町の小さなお菓子屋さんだった。たこまんの2代目として生まれたのが季哲さん(1952年生まれ)。東京で修業した後に、1980年、2号店の店長を任される。当時は田舎では珍しいハイカラな店舗で、店は大繁盛した。

「毎日徹夜するくらい忙しかったですね。店長として店をやり、シャッターを閉めてから工場に入る。そのまま次の日もケーキやおまんじゅうを作る。」

工場はフル回転。社員は来る日も来る日もお菓子作りに没頭。順調だと思われた矢先、従業員の6人中5人が辞表を提出。「すみません。平松さんにはもうついていけません」。平松は2号店の経営に没頭するあまり、社員に無理をさせていることに気がついていなかった。悩んだ平松さんは先輩経営者に相談に行った。

「「もっと従業員に自分の気持ちを伝えないといけない」「俺が俺がの我を捨てて、おかげおかげの下で暮らせ」と言われた。相談した後の帰路、ずっと泣いて運転して帰ってきた。」

社員のおかげで会社は回っている。そう気づいた平松は、時間があれば現場を回り、社員と会話を交わすようになった。

■ 「ありがとう」が作り出す社員の幸せと客の満足

そして会社の理念としたのが、
『ひとりのお客様の満足と、ひとりの社員の幸せ』

「お客様の満足をつくるのは社員。だからまず社員の幸せを考えた上でのお客様の満足。しかし、金銭的な社員の幸せだけでなく、一人一人の社員が成長することが目標。」

それが社員の仕事に向かう姿勢を大きく変えた。店が終わった午後7時過ぎ、若手社員が集まり、3月の新商品開発をせよとのテーマに取り組む。たこまんでは若手社員も年齢・キャリアに関係なく、新商品開発に参加する。社長の平松の審査を経て、若手全員のアイデアが採用された。

「(若手社員の)彼女たちは製菓学校で勉強して入社してくるから基本はできている。学校と菓子屋の違いは、学校は、技を磨いて技術を身に付ける。「たこまん」に入社したら、お客様の評価が技術の評価になる。お客様にまずお出しして見てもらわないと、お客を大切にした、お客に目を向けたケーキ作りができない。そこをまず、入社1年目で教えることが大事。」

そして「ありがとうカード」について会話が及ぶ。

「書いた人を表彰する。もらった人でなく、書いた人の方を表彰する。人間は相手のことを良く見える人と、欠点を見る人と、いろいろある。やはり、長所を見る癖をつけると、人として幸せになると思う。」

「「すいません」はネガティブな言い方。でも「ありがとう」はポジティブ。「ありがとう」を言い続ける人の方が幸せになる。みんなから喜ばれるから。」

『人の長所を見ることが幸せにつながる』

■ 地域密着のお菓子屋 他社ブランドの黒子も

静岡の超地域密着のお店「たこまん」。実は売り上げの2割を意外なものが占めていた。それは他社ブランドのお菓子を作ること。現在、10社の菓子を委託製造している。たこまんの高い技術力が評価されているのだ。

「多くの取引先に、製品開発のノウハウを提供して、一緒に成長していきたい。」

沖縄の雪塩メーカーが依頼してきた、塩に合ったお菓子ということで作ったのが「雪塩ラスク」。このラスクは、東京スカイツリー脇のソラマチ内の、「塩屋 東京ソラマチ店」にて塩屋ブランドで販売されている。

『お客様の満足をつくるのは社員。だからまず社員の幸せを考えた上でのお客様の満足』

この平松さんの経営理念に惚れ込んだメーカーからの依頼なのだ。

村上龍の視点
「「たこまん」の味は食べる側に立つ」

「その通りですね。職人は自分よがりになりやすい、味が。新入社員教育の時に、一番最初に「プライドを捨てろ」と言う。プライドがあったら、お客や仲間の言うことが耳に入らないからプライドを捨てる。でも、自分の職業だから誇りをもって仕事をしないといけない。」

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カンブリア宮殿番組ホームページはこちら
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20160211.html

たこまんのホームページはこちら
www.takoman.co.jp/


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