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■ 女性にも人気沸騰中! ヘルシーな“カップ麺”

コンサルタントのつぶやき

女性たちの間で、ヘルシーなのに食べごたえがあると人気のカップ麺がある。それは「スープはるさめ」。売り場はコンビニにドラッグストア。子供から高齢者まで、幅広い女性客の心がっちりつかんでいる。この商品を生み出したのが「こぶた」のマークでおなじみのエースコック。

元々低カロリーのはるさめ。油で揚げていないからさらにヘルシー。合成保存料や合成着色料も一切使っていない。他社も含めたカップスープ部門で、11年連連続No.1を誇っている。

強豪ひしめく即席麺業界。
1位 日清食品        42.6%
2位 東洋水産        24.6%
3位 サンヨー食品 14.9%
4位 エースコック      8.0%
5位 明星食品          8.0%

エースコックはシェア4位ながら、それまでターゲットになっていなかった女性客を幅広く取り込み、この即席麺マーケットで独自のポジションを獲得している。独自の商品戦略で勝負するエースコック。その本社は大阪・吹田市にある。

エースコック社長:村岡寛
「私の体の半分は即席麺でできている」

20160303_村岡寛_カンブリア宮殿

番組公式ホームページより

会社の先頭に立って、ヘルシー系商品の開発を進める村岡の真意とは。

「日本の人口構成も高齢化してきているし、しかも健康に対する関心が高くなっている。“」健康系”に関しては、今、いろいろな素材の研究が進んでいるので、そういうものを即席麺に取り入れる。」

その言葉通り、ヘルシー系商品は驚きの進化を遂げていた。

ヨーグルト100杯分の“乳酸菌”が入ったトマトスープ。入っているのは「フェカリス菌」という特別な乳酸菌。整腸効果があるという乳酸菌で、1杯に1000億個が含まれている。これが腸の調子を整えてくれるという。これがヨーグルトではなく、温かいスープで採れるという、これまでにない商品。

夏向けの商品はこちら。30~60代の女性がターゲット。鶏がらスープを粉の調合ではなく、実際のガラから作る。そして、納豆、梅干し、豆腐、塩辛、レモン、せんべい、など一目で健康だと分かる商品との食べ合わせを試みる。意外に混ぜると、新たな発見があるという。

即席麺+大根おろし+レモン。 意外な組み合わせだが、夏に向けさっぱり系でヘルシー系な商品誕生の糸口が見つかった。しかし、大根おろしは水分が多く、どうやって即席麺に入れるか技術的難題も残る。そこは研究開発部門が問題解決。大根おろし100%の粉末を作って見せ、レモン果汁の粉末と共に、食べる直前にスープに混ぜるという方法を編みだした。

オリジナリティ溢れる大根おろしラーメン。さて、社長参加の商品開発会議(試食会)での評判や如何に?

(村岡)
「大根の味がしない。ぼやっとしたおいしさよりも、はっきり分かるおいしさを作ろう。」

コンセプトにGoサインは出たが、やるならとことんやれ! これが大手を向こうに回して戦うエースコックの戦略なのだ。こうした技術力を武器に、業界4位ながら、年商934億円を誇る。

『独自路線で突き抜けろ! 即席麺業界を生き抜くチャレンジャー』

リニューアルも含めると、年間150~200種類にぼる新商品を開発しているエースコック。

スープはるさめについてコメントを求めると、

「はるさめだから、カロリーは低い。加えてラーメンの技法でスープを作っているので、非常に食べやすいと思う。」

乳酸菌が入った「ちょうポカ!」シリーズ、179円。

「新しい技術を取り込んだ商品。腸内フローラを活性化させるという乳酸菌自体が入っている。」

 

■ “カップ麺”の常識を変える チャレンジャー企業

「以前は食べ盛りの子供たちがメーンのターゲットだったが、年齢の高い方や子供たち、女性にも広がった。基本的に即席麺はインフラがいらない食品。常温で長期間保存できるし、台所すらいらない。お湯さえあれば食べられる。そういう良さがありながら、今は、いろいろな料理を提案できる素材にもなっている。」

それが、女性に受けるヘルシー系商品づくりにつながっていった。

(小池さんの質問)
「女性層を広げる“カップ麺”開発は難しそう… 女性はいろいろ細かいじゃないですか?」

「女性層を広げるは当然難しいが、人口の半分は女性ですし、即席麺のマーケットの価値を高めて広めていくには、あまり買わない人(ライトユーザ)や全く買わない人(ノンユーザ)にもニーズに合ったものを提供できることが大事。そして、即席麺はそのためのいろいろな素材を取り込める商品なので、応用が効く分野でもあると思う。」

村上氏が尋ねる。
「乳酸菌を入れるとか、エースコックは大胆なことが好きなんですかね?」

「はっきりさせたいと思う。小池さんが好きなわかめラーメン。味噌汁にわかめが入っている。スープにわかめが入っている。「わかめラーメン」と言っている以上は、わかめをどーんと入れようと。麺が隠れるくらい入れようと。せっかくだから「そこまでやってみよう」というのがエースコックのポリシー。少しやりすぎぐらいのことを自由にやってもらう社風がある。」

『新しいものを生むには、“やりすぎ”ぐらいでちょうどいい』

現村岡社長は父親の跡を継いだ2代目だ。社長室の片隅に大事に飾っているのは、マスコットの「子ブタ」の人形。たくさん子供を産むブタは繁栄のシンボル。そういう意味でマスコットに選ばれたそうだ。なかでも、初代の子ブタ君と村岡社長には深い縁があるのだそうだ。

「親父(先代)から聞いたのは、モデルとして、子供の顔がいいということで、「あんたの顔を利用した」と言っていた。」

エースコックの創業者は村岡の父、慶二。父は戦後、パン食が広まると考え、1948年(昭和23年)「パン」の製造販売を始めた。その後、日清食品が「即席麺」を世に出した1年後の1959年(昭和34年)にこの業界に参入した。当時から、日清食品などの大手とは一線を画す商品づくりを進めていた。

「全く、新しいものを生み出す。エースコックだから、エースコックならでは、これが開発の指針。」

その第1号ともいえるのが、1963年発売の「ワンタンメン」。麺だけが常識だった時代に、ワンタンの皮を中に入れた。麺のツルツル感とワンタンのしこしこ感。2つの食感が楽しめるとロングセラー商品に。

今では当たり前にあるカレー味のカップ麺も、エースコックが。1973年、カレーヌードルを発売。これが業界初。1981年、力うどんの発売も業界初。こうした他社に先駆けた商品を次々と世に送り出してきた。

そんなエースコックに村岡が入社にしたのは、1975年。主に商品開発を担当。しかし、

昭和62年(1987年)ごろに、即席麺全体のマーケットが頭を打った。成長が止まった。競合も様々な商品を開発。“味”や“具材”だけでは成長も限界。飽和状態に陥っていたのだ。そんな時に、村岡が目を付けたのは麺の“量”。当時常務だった村岡は、麺を増量したカップ麺を提案する。しかし、社内は大反対。

父である先代社長も、
「こんなバケツみたいなカップ麺を作って、誰が食べるんだ」

当時、量をアピールしてカップ麺を売るなど、業界にもそんな発想は無かったのだ。しかし村岡は諦めなかった。そこにはある確信が。

「即席麺のメーンターゲットは食べ盛りの子供たち。当然、体格も大きくなって、食べる量も増えている。」

そして、村岡が造り出したのが、業界初、大盛りを前面に謳った「スーパーカップ」シリーズの発売(1988年)。麺の量は通常の1.5倍。2倍ではなく、ちょうどお腹がいっぱいになる1.5倍という所が受け、大ヒット。30年経った今でも、「スーパーカップ」シリーズは、大盛りカップ部門でNo.1をキープしている。

「エースコックの場合は、思い切ったことをやろう。中途半端じゃない食品を作ろう。」

その精神は今でも社内に生き続けている。開発テーマはズバリ、「やりすぎ」だ。

 

■ 若い人にも高血圧の人にも… これまでにない“カップ麺”

エースコック社長の村岡が常に社員に投げかける言葉がある。

「お腹を満たすことも大事だが、同時に面白いものを食べてみたい。どんな商品でもそうだけど、“やりすぎ”ぐらいでいい。」

そんな命を受けているのが商品開発グループ。商品開発テーマにタブーはなく、やりすぎOK。やりすぎのテーマにしたカップ麺がぞろぞろ。その名も「EDGE 驚き&やりすぎ」シリーズ。激辛、マヨネーズたっぷり、ブタの背油たっぷり(発売1ヶ月で100万食を販売!)。従来の若い男性顧客のハートもがっちりつかんで離さない。

この日は、新商品のネーミング会議。山椒を思いっきり効かた激辛みそスープ仕立て。試食して名前のイメージを思い浮かべてみる。

思わず口に出た言葉が、「本気」と書いて“ガツ辛”、“燃え辛”などなど。
エースコックのモットーは、「真剣にふざける」こと。これまでにないアイデアを生み出すためだ。

(商品開発リーダー)
「お客さんが商品を見る時間は、0.3秒しかないと言われている。いかに店頭で目立つか、これが全て。」

そして会議の結果、鬼のように痺れることから、“鬼シビ カラミソ”に決定!

そして発売当日、「鬼シビ」のタイトルに加え、大きな字で「シゲキたりてるっちゃ?」とのキャッチコピー。

一方、ヘルシー系でもやりすぎの商品開発が進められていた。
試食会で試してもらうのは、医師や医療関係者たち。医師たちからお墨付きを頂いたのは「減塩」のカップ麺。ダシの風味を効かせて、塩分カットのスープを開発。減塩とおいしさみを両立させた。この日訪れたのは、国立循環器病研究センター(吹田市)。専門は、心臓病、脳卒中、高血圧など。それらの病気に大きく影響するのが塩分。日本人が一日に摂取する塩分は平均10グラムとほかの国に比べ大目。それを8グラムに下げる取り組みを国を挙げて行っている。

そこで、基準をクリアした減塩商品に「かるしお認定」という国の認定制度を始めたのだ。現在、基準をクリアした“減塩”食品は、肉、だし、みそなど、現在28アイテムある。その中で、加工食品として初めて認定を受けたのがエースコック。1年前に発売した、“30%”減塩カップ麺だ。そして今回開発したのが塩分“40%”カットした新商品。これもやりすぎOKの精神から生まれた商品だ。

 

■ 「やりすぎOK」から生まれる これまでにない“カップ麺”

(小池さん)
「減塩ラーメンから背油ラーメンまで、キャパシティが大きいですね?」

「それだけ、要求されるものも幅が広いということ。多様化している。例えば、健康に対する意識もかなり幅が広くなっているから、それを気にする方、気にしない方、もしくは、もっと元気になりたい方、それに応えられるものができるのではないかと思う。」

(村上氏が問う)
「開発者が“最優先”にしているものは?」

「やっぱり、“楽しさ”でしょうかね。食品だから安全で安心して食べられるベースのおいしさは大事だが、仕事する以上は“楽しく”。会社の中でチャレンジをすることを楽しんでいる。」

(村上氏が続ける)
「やりすぎということが社内でポジティブに捉えられていますよね?」

「“普通”は面白くない。“やりすぎ”ぐらいで、ちょうどいいものができる。おいしさ・安全性を守るという制約はあるが、それは守りながら、“やりすぎ”くらいで、ちょうど面白い商品になる。とんでもない“やりすぎ”も提案される。」

「今までで、こぼれた案は、例えば容器を2つに割って、2つの味を食べたいというような商品。すぐ作る。試作はしてしまう。だけど商業ベースには乗らない。そういうことはしょっちゅうやっている。」

「(やりすぎの商品開発は)コストにはなるけれど、やってうまくいけばいいし、いかなくても次につながる何かを残せばいいという考え方。会社名も「コック」の「エース」になろうと、“一番の調理人”になる、という意味があるので、それを会社のDNAの中に染み込ませている。

 

■ ベトナムではNo.1企業! 業界4位のサバイバル戦略

ベトナムは、米粉で作ったフォーで有名。言わずと知れた“麺文化”の国。そんなベトナムで、1番人気の即席麺が「ハオハオ」(1袋、約18円)。このNo.1即席麺を作っているのがエースコックなのだ。実はベトナム、日本に匹敵するほどの即席麺大国。

● 即席麺 年間消費量
ベトナム 50億食
日本   55億食
(世界ラーメン協会調べ)

ハオハオは年間17億食も売れる。箱買いする人も珍しくない。エースコックはベトナムでシェア5割以上、No.1即席麺メーカーなのだ。エースコックがベトナムに進出したのは1993年。この国への進出を決断したのが、当時専務だった村岡。

「日本からはもちろん、海外からの参入も、ちょうど走りぐらいの頃で、それほど展開している企業は無かった。ここでやれば、必ず評価されると思った。」

しかし、当時のベトナムは政治も不安定で、まだまだ貧しい国だった。エースコックはあえて、競合が見向きもしなかったこの未開拓地を選んだのだ。村岡がまず行ったのは徹底した“現地化”。味作りもベトナム人に一任。現地の人の舌から生まれたのが、エビをベースにした“酸っぱからい”味。さらに、パッケージやネーミングもすべて現地スタッフの案を採用。パッケージは明るい色を好むベトナム人に合わせて、派手なピンク。そして、現地語で「好き 好き」と親しみやすく、分かりやすい名前にした。こうした戦略でベトナムNo.1企業に成長したのだ。

その工場を見てみると、とてもきれい。

(製造管理部長)
「日本と同じ衛生管理ができているのが一番の自慢。」

生産に関しては、日本人スタッフからの徹底した指導を行い、“日本品質”を実現させた。今では、ここベトナムから、46の国・地域に輸出するほどになった。ベトナム事業は、エースコック全体売上の約50%を占める屋台骨に成長した。そして今、新たな展開が。そう、あのフォーを現地生産してベトナムで販売したのだ。

「我々は、20年間ベトナムで即席麺の指導をしてきて、現地でも日本の品質のものができるようになってきているので。今回は、ベトナムで作った商品を日本にもらおうと。」

日本品質でつくったベトナム製のフォーを逆輸入して日本で販売を始めたのだ。今、この本場のフォーの販売を強化している真っ最中。カップ麺に袋麺もあって、ひとつ150円ほど。

「Pho・ccori(ふぉっこり)気分」

油で揚げていないのでヘルシー。健康ブームにもぴったり。

麺の国ベトナムから、麺の国ニッポンへ届いた本場のフォー。売れ行き絶好調だという。業界に旋風を巻き起こす新たなチャレンジが始まった。

(村上氏が問う)
「“ベトナム進出”は先見の明ということもあったかもしれませんが、サバイバルのため?」

「はい。確かにそういう側面もありまして、日本では即席麺のマーケットは、20年来、ほとんど成長が無い。その当時から(国内は)減少していくのが目に見えていたから、いろいろな所に目を光らせていた。その中で、ベトナムは大変面白いと感じた。エースコックにしかできないことをこれからもやっていきたい。」

「今は、直接進出しているのがミャンマー。ミャンマーも長らく軍事政権で加工食品や即席麺が全く育っていない。ミャンマーにも地元の米粉麺:モヒンガーというものがあって、ナマズのダシだとか、煮込み料理だとか、川魚が大好きなので、そういったダシの麺がありますから。それを、ぜひ即席麺で提案していきたい。」

(村上氏がちょっと挑発的な質問を)
「日清食品や東洋水産などがありますが、シェア拡大や業界トップへの夢は?」

「シェアをとるよりも、マーケットを元気にして広げたい。まさに、「スープはるさめ」がそうだが、即席麺をあまり食べなかった人に支持を受けている。これは確実にマーケットを広げている。そういう仕事をしていきたい。」

エースコック村岡がまた新たな展開を考えていた。

「“健活”=健全な食生活の活動を始めようと」
スーパーと組んで、”ヘルシー系“カップ麺専用の棚をつくり、PRしようという取り組み。エースコックの利益は二の次という。あの減塩カップ麺や、ベトナム製のフォーなどヘルシー系商品が並んでいる。でもよく見ると、ライバル企業の商品も置いてあった。これが村岡の新しい戦略だ。

「エースコックが前に出る必要はない。健康に気を使った商材がたくさんあることを知ってもらう。本当に必要とされるニーズを先取りして、提案できる企業になっていきたい。」

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健康志向・女性にアピール…“カップ麺”の常識を変えるチャレンジャー企業! エースコック代表取締役社長・村岡寛 2016年3月3日 TX カンブリア宮殿http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-e1428166267398.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-150x150.jpg小林 友昭TV番組レビューカンブリア宮殿,エースコック,村岡寛,ベトナム,フォー,即席麺,スープはるさめ,マーケティング,ブルーオーシャン,差別化戦略■ 女性にも人気沸騰中! ヘルシーな“カップ麺” 女性たちの間で、ヘルシーなのに食べごたえがあると人気のカップ麺がある。それは「スープはるさめ」。売り場はコンビニにドラッグストア。子供から高齢者まで、幅広い女性客の心がっちりつかんでいる。この商品を生み出したのが「こぶた」のマークでおなじみのエースコック。 元々低カロリーのはるさめ。油で揚げていないからさらにヘルシー。合成保存料や合成着色料も一切使っていない。他社も含めたカップスープ部門で、11年連連続No.1を誇っている。 強豪ひしめく即席麺業界。 1位 日清食品        42.6% 2位 東洋水産        24.6% 3位 サンヨー食品 14.9% 4位 エースコック      8.0% 5位 明星食品          8.0% エースコックはシェア4位ながら、それまでターゲットになっていなかった女性客を幅広く取り込み、この即席麺マーケットで独自のポジションを獲得している。独自の商品戦略で勝負するエースコック。その本社は大阪・吹田市にある。 エースコック社長:村岡寛 「私の体の半分は即席麺でできている」 (番組公式ホームページより) 会社の先頭に立って、ヘルシー系商品の開発を進める村岡の真意とは。 「日本の人口構成も高齢化してきているし、しかも健康に対する関心が高くなっている。“」健康系”に関しては、今、いろいろな素材の研究が進んでいるので、そういうものを即席麺に取り入れる。」 その言葉通り、ヘルシー系商品は驚きの進化を遂げていた。 ヨーグルト100杯分の“乳酸菌”が入ったトマトスープ。入っているのは「フェカリス菌」という特別な乳酸菌。整腸効果があるという乳酸菌で、1杯に1000億個が含まれている。これが腸の調子を整えてくれるという。これがヨーグルトではなく、温かいスープで採れるという、これまでにない商品。 夏向けの商品はこちら。30~60代の女性がターゲット。鶏がらスープを粉の調合ではなく、実際のガラから作る。そして、納豆、梅干し、豆腐、塩辛、レモン、せんべい、など一目で健康だと分かる商品との食べ合わせを試みる。意外に混ぜると、新たな発見があるという。 即席麺+大根おろし+レモン。 意外な組み合わせだが、夏に向けさっぱり系でヘルシー系な商品誕生の糸口が見つかった。しかし、大根おろしは水分が多く、どうやって即席麺に入れるか技術的難題も残る。そこは研究開発部門が問題解決。大根おろし100%の粉末を作って見せ、レモン果汁の粉末と共に、食べる直前にスープに混ぜるという方法を編みだした。 オリジナリティ溢れる大根おろしラーメン。さて、社長参加の商品開発会議(試食会)での評判や如何に? (村岡) 「大根の味がしない。ぼやっとしたおいしさよりも、はっきり分かるおいしさを作ろう。」 コンセプトにGoサインは出たが、やるならとことんやれ! これが大手を向こうに回して戦うエースコックの戦略なのだ。こうした技術力を武器に、業界4位ながら、年商934億円を誇る。 『独自路線で突き抜けろ! 即席麺業界を生き抜くチャレンジャー』 リニューアルも含めると、年間150~200種類にぼる新商品を開発しているエースコック。 スープはるさめについてコメントを求めると、 「はるさめだから、カロリーは低い。加えてラーメンの技法でスープを作っているので、非常に食べやすいと思う。」 乳酸菌が入った「ちょうポカ!」シリーズ、179円。 「新しい技術を取り込んだ商品。腸内フローラを活性化させるという乳酸菌自体が入っている。」   ■ “カップ麺”の常識を変える チャレンジャー企業 「以前は食べ盛りの子供たちがメーンのターゲットだったが、年齢の高い方や子供たち、女性にも広がった。基本的に即席麺はインフラがいらない食品。常温で長期間保存できるし、台所すらいらない。お湯さえあれば食べられる。そういう良さがありながら、今は、いろいろな料理を提案できる素材にもなっている。」 それが、女性に受けるヘルシー系商品づくりにつながっていった。 (小池さんの質問) 「女性層を広げる“カップ麺”開発は難しそう… 女性はいろいろ細かいじゃないですか?」 「女性層を広げるは当然難しいが、人口の半分は女性ですし、即席麺のマーケットの価値を高めて広めていくには、あまり買わない人(ライトユーザ)や全く買わない人(ノンユーザ)にもニーズに合ったものを提供できることが大事。そして、即席麺はそのためのいろいろな素材を取り込める商品なので、応用が効く分野でもあると思う。」 村上氏が尋ねる。 「乳酸菌を入れるとか、エースコックは大胆なことが好きなんですかね?」 「はっきりさせたいと思う。小池さんが好きなわかめラーメン。味噌汁にわかめが入っている。スープにわかめが入っている。「わかめラーメン」と言っている以上は、わかめをどーんと入れようと。麺が隠れるくらい入れようと。せっかくだから「そこまでやってみよう」というのがエースコックのポリシー。少しやりすぎぐらいのことを自由にやってもらう社風がある。」 『新しいものを生むには、“やりすぎ”ぐらいでちょうどいい』 現村岡社長は父親の跡を継いだ2代目だ。社長室の片隅に大事に飾っているのは、マスコットの「子ブタ」の人形。たくさん子供を産むブタは繁栄のシンボル。そういう意味でマスコットに選ばれたそうだ。なかでも、初代の子ブタ君と村岡社長には深い縁があるのだそうだ。 「親父(先代)から聞いたのは、モデルとして、子供の顔がいいということで、「あんたの顔を利用した」と言っていた。」 エースコックの創業者は村岡の父、慶二。父は戦後、パン食が広まると考え、1948年(昭和23年)「パン」の製造販売を始めた。その後、日清食品が「即席麺」を世に出した1年後の1959年(昭和34年)にこの業界に参入した。当時から、日清食品などの大手とは一線を画す商品づくりを進めていた。 「全く、新しいものを生み出す。エースコックだから、エースコックならでは、これが開発の指針。」 その第1号ともいえるのが、1963年発売の「ワンタンメン」。麺だけが常識だった時代に、ワンタンの皮を中に入れた。麺のツルツル感とワンタンのしこしこ感。2つの食感が楽しめるとロングセラー商品に。 今では当たり前にあるカレー味のカップ麺も、エースコックが。1973年、カレーヌードルを発売。これが業界初。1981年、力うどんの発売も業界初。こうした他社に先駆けた商品を次々と世に送り出してきた。 そんなエースコックに村岡が入社にしたのは、1975年。主に商品開発を担当。しかし、 昭和62年(1987年)ごろに、即席麺全体のマーケットが頭を打った。成長が止まった。競合も様々な商品を開発。“味”や“具材”だけでは成長も限界。飽和状態に陥っていたのだ。そんな時に、村岡が目を付けたのは麺の“量”。当時常務だった村岡は、麺を増量したカップ麺を提案する。しかし、社内は大反対。 父である先代社長も、 「こんなバケツみたいなカップ麺を作って、誰が食べるんだ」 当時、量をアピールしてカップ麺を売るなど、業界にもそんな発想は無かったのだ。しかし村岡は諦めなかった。そこにはある確信が。 「即席麺のメーンターゲットは食べ盛りの子供たち。当然、体格も大きくなって、食べる量も増えている。」 そして、村岡が造り出したのが、業界初、大盛りを前面に謳った「スーパーカップ」シリーズの発売(1988年)。麺の量は通常の1.5倍。2倍ではなく、ちょうどお腹がいっぱいになる1.5倍という所が受け、大ヒット。30年経った今でも、「スーパーカップ」シリーズは、大盛りカップ部門でNo.1をキープしている。 「エースコックの場合は、思い切ったことをやろう。中途半端じゃない食品を作ろう。」 その精神は今でも社内に生き続けている。開発テーマはズバリ、「やりすぎ」だ。   ■ 若い人にも高血圧の人にも… これまでにない“カップ麺” エースコック社長の村岡が常に社員に投げかける言葉がある。 「お腹を満たすことも大事だが、同時に面白いものを食べてみたい。どんな商品でもそうだけど、“やりすぎ”ぐらいでいい。」 そんな命を受けているのが商品開発グループ。商品開発テーマにタブーはなく、やりすぎOK。やりすぎのテーマにしたカップ麺がぞろぞろ。その名も「EDGE 驚き&やりすぎ」シリーズ。激辛、マヨネーズたっぷり、ブタの背油たっぷり(発売1ヶ月で100万食を販売!)。従来の若い男性顧客のハートもがっちりつかんで離さない。 この日は、新商品のネーミング会議。山椒を思いっきり効かた激辛みそスープ仕立て。試食して名前のイメージを思い浮かべてみる。 思わず口に出た言葉が、「本気」と書いて“ガツ辛”、“燃え辛”などなど。 エースコックのモットーは、「真剣にふざける」こと。これまでにないアイデアを生み出すためだ。 (商品開発リーダー) 「お客さんが商品を見る時間は、0.3秒しかないと言われている。いかに店頭で目立つか、これが全て。」 そして会議の結果、鬼のように痺れることから、“鬼シビ カラミソ”に決定! そして発売当日、「鬼シビ」のタイトルに加え、大きな字で「シゲキたりてるっちゃ?」とのキャッチコピー。 一方、ヘルシー系でもやりすぎの商品開発が進められていた。 試食会で試してもらうのは、医師や医療関係者たち。医師たちからお墨付きを頂いたのは「減塩」のカップ麺。ダシの風味を効かせて、塩分カットのスープを開発。減塩とおいしさみを両立させた。この日訪れたのは、国立循環器病研究センター(吹田市)。専門は、心臓病、脳卒中、高血圧など。それらの病気に大きく影響するのが塩分。日本人が一日に摂取する塩分は平均10グラムとほかの国に比べ大目。それを8グラムに下げる取り組みを国を挙げて行っている。 そこで、基準をクリアした減塩商品に「かるしお認定」という国の認定制度を始めたのだ。現在、基準をクリアした“減塩”食品は、肉、だし、みそなど、現在28アイテムある。その中で、加工食品として初めて認定を受けたのがエースコック。1年前に発売した、“30%”減塩カップ麺だ。そして今回開発したのが塩分“40%”カットした新商品。これもやりすぎOKの精神から生まれた商品だ。   ■ 「やりすぎOK」から生まれる これまでにない“カップ麺” (小池さん) 「減塩ラーメンから背油ラーメンまで、キャパシティが大きいですね?」 「それだけ、要求されるものも幅が広いということ。多様化している。例えば、健康に対する意識もかなり幅が広くなっているから、それを気にする方、気にしない方、もしくは、もっと元気になりたい方、それに応えられるものができるのではないかと思う。」 (村上氏が問う) 「開発者が“最優先”にしているものは?」 「やっぱり、“楽しさ”でしょうかね。食品だから安全で安心して食べられるベースのおいしさは大事だが、仕事する以上は“楽しく”。会社の中でチャレンジをすることを楽しんでいる。」 (村上氏が続ける) 「やりすぎということが社内でポジティブに捉えられていますよね?」 「“普通”は面白くない。“やりすぎ”ぐらいで、ちょうどいいものができる。おいしさ・安全性を守るという制約はあるが、それは守りながら、“やりすぎ”くらいで、ちょうど面白い商品になる。とんでもない“やりすぎ”も提案される。」 「今までで、こぼれた案は、例えば容器を2つに割って、2つの味を食べたいというような商品。すぐ作る。試作はしてしまう。だけど商業ベースには乗らない。そういうことはしょっちゅうやっている。」 「(やりすぎの商品開発は)コストにはなるけれど、やってうまくいけばいいし、いかなくても次につながる何かを残せばいいという考え方。会社名も「コック」の「エース」になろうと、“一番の調理人”になる、という意味があるので、それを会社のDNAの中に染み込ませている。   ■ ベトナムではNo.1企業! 業界4位のサバイバル戦略 ベトナムは、米粉で作ったフォーで有名。言わずと知れた“麺文化”の国。そんなベトナムで、1番人気の即席麺が「ハオハオ」(1袋、約18円)。このNo.1即席麺を作っているのがエースコックなのだ。実はベトナム、日本に匹敵するほどの即席麺大国。 ● 即席麺 年間消費量 ベトナム 50億食 日本   55億食 (世界ラーメン協会調べ) ハオハオは年間17億食も売れる。箱買いする人も珍しくない。エースコックはベトナムでシェア5割以上、No.1即席麺メーカーなのだ。エースコックがベトナムに進出したのは1993年。この国への進出を決断したのが、当時専務だった村岡。 「日本からはもちろん、海外からの参入も、ちょうど走りぐらいの頃で、それほど展開している企業は無かった。ここでやれば、必ず評価されると思った。」 しかし、当時のベトナムは政治も不安定で、まだまだ貧しい国だった。エースコックはあえて、競合が見向きもしなかったこの未開拓地を選んだのだ。村岡がまず行ったのは徹底した“現地化”。味作りもベトナム人に一任。現地の人の舌から生まれたのが、エビをベースにした“酸っぱからい”味。さらに、パッケージやネーミングもすべて現地スタッフの案を採用。パッケージは明るい色を好むベトナム人に合わせて、派手なピンク。そして、現地語で「好き 好き」と親しみやすく、分かりやすい名前にした。こうした戦略でベトナムNo.1企業に成長したのだ。 その工場を見てみると、とてもきれい。 (製造管理部長) 「日本と同じ衛生管理ができているのが一番の自慢。」 生産に関しては、日本人スタッフからの徹底した指導を行い、“日本品質”を実現させた。今では、ここベトナムから、46の国・地域に輸出するほどになった。ベトナム事業は、エースコック全体売上の約50%を占める屋台骨に成長した。そして今、新たな展開が。そう、あのフォーを現地生産してベトナムで販売したのだ。 「我々は、20年間ベトナムで即席麺の指導をしてきて、現地でも日本の品質のものができるようになってきているので。今回は、ベトナムで作った商品を日本にもらおうと。」 日本品質でつくったベトナム製のフォーを逆輸入して日本で販売を始めたのだ。今、この本場のフォーの販売を強化している真っ最中。カップ麺に袋麺もあって、ひとつ150円ほど。 「Pho・ccori(ふぉっこり)気分」 油で揚げていないのでヘルシー。健康ブームにもぴったり。 麺の国ベトナムから、麺の国ニッポンへ届いた本場のフォー。売れ行き絶好調だという。業界に旋風を巻き起こす新たなチャレンジが始まった。 (村上氏が問う) 「“ベトナム進出”は先見の明ということもあったかもしれませんが、サバイバルのため?」 「はい。確かにそういう側面もありまして、日本では即席麺のマーケットは、20年来、ほとんど成長が無い。その当時から(国内は)減少していくのが目に見えていたから、いろいろな所に目を光らせていた。その中で、ベトナムは大変面白いと感じた。エースコックにしかできないことをこれからもやっていきたい。」 「今は、直接進出しているのがミャンマー。ミャンマーも長らく軍事政権で加工食品や即席麺が全く育っていない。ミャンマーにも地元の米粉麺:モヒンガーというものがあって、ナマズのダシだとか、煮込み料理だとか、川魚が大好きなので、そういったダシの麺がありますから。それを、ぜひ即席麺で提案していきたい。」 (村上氏がちょっと挑発的な質問を) 「日清食品や東洋水産などがありますが、シェア拡大や業界トップへの夢は?」 「シェアをとるよりも、マーケットを元気にして広げたい。まさに、「スープはるさめ」がそうだが、即席麺をあまり食べなかった人に支持を受けている。これは確実にマーケットを広げている。そういう仕事をしていきたい。」 エースコック村岡がまた新たな展開を考えていた。 「“健活”=健全な食生活の活動を始めようと」 スーパーと組んで、”ヘルシー系“カップ麺専用の棚をつくり、PRしようという取り組み。エースコックの利益は二の次という。あの減塩カップ麺や、ベトナム製のフォーなどヘルシー系商品が並んでいる。でもよく見ると、ライバル企業の商品も置いてあった。これが村岡の新しい戦略だ。 「エースコックが前に出る必要はない。健康に気を使った商材がたくさんあることを知ってもらう。本当に必要とされるニーズを先取りして、提案できる企業になっていきたい。」 ------------------- カンブリア宮殿番組ホームページはこちら エースコック株式会社 公式ホームページはこちら現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します