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■ 適正株価が「割引率」だけで求められるとは思いませんが…

経営管理会計トピック

先日、このブログでの投稿で、適正株価は、「自分勝手割引率」で算定して求めます、と言い放ってしまいました。その割引率はそれぞれの投資家が決めるものと、突き放してしまいましたので、今回は、一般的な株価算定に使われる割引率のお話をしたいと思います。ちょうどいい題材が日経新聞に掲載されたので、ちょこっと使わさせて頂きます。

2016/2/27付 |日本経済新聞|朝刊 (スクランブル)荒れる株価は宿命か マイナス金利下の「新常態」

「26日の日経平均株価は続伸し、年初から荒れに荒れた日本株市場はひとまず安定を取り戻したようにみえる。だが市場が予想する将来の株価変動率は高止まりしたままで、それは日銀が導入したマイナス金利とも浅からぬ関係がある。相場が荒れるのは日本株の宿命――。マイナス金利下で投資家は荒れる相場を「新常態」と受け入れるしかないのかもしれない。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

それでは、議論の発端となった過去投稿はこちらです。
⇒「(スクランブル)動くか「100兆円の山」マイナス金利が迫る活用 -手元流動性の高いキャッシュリッチ企業の株主価値は?

ここで、筆者は下記のように言い放っています。

「投資家個人の許容する「自分勝手割引価値」が人それぞれであるから。5%で許されている人もいれば、8%や20%の機関投資家もあるはず。つまり、言いたいことは、「株価は、最後は投資家自身が許容する割引価値で決まる」でした。」

 

■ いったん、この記事における日本株が荒れる理由を解説した文章を整理してみます

本記事では、現在(2016/2/26)、日本株の変動率が世界で一番大きいことを、下記の過去30日のヒストリカルボラティリティのグラフで示しています(同記事添付グラフを転載)。

20160227_世界主要国で日本の株価変動率は突出_日本経済新聞朝刊

その様子は、

「市場参加者たちが相場波乱が収まったとは思っていないのは、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)がなお高水準であることからも読み取れる。
 26日終値は34.09。12日につけた50.24からは下がったとはいえ、市場は日経平均が68%の確率で毎日2.1%(26日終値からは約340円)上下に振れると予想している計算になる。
 世界の主要市場のなかで、過去30日の日本株の変動率は年率44.7%で堂々のトップだ。」

と描写され、その理由は、

「輸出比率が高いため世界の景気変動の影響を受けやすいうえ、海外投資家のシェアが高く海外マネーの出入りで大きく動く――。日本株の変動率が高い理由は従来こう説明されてきた。いずれも正しいのだろう。そして、さらに株価変動を増幅する新条件が加わった。それがマイナス金利だ。」

ここにもマイナス金利が登場。その理屈は、理論株価が1株利益の割引率で求まるからというもの。

(下記チャートは、同記事添付の理論株価と割引率の関係を説明したものを転載)

20160227_割引率が低いほど株価変動は大きくなる_日本経済新聞朝刊

どうして割引率から理論株価が求まるのか。ロジックは次の通り。

「企業の理論株価は将来利益の合計を現在価値に割り戻して求められる。企業の利益成長がないと仮定した最も単純なモデルでは、理論株価は1株利益を割引率で割った値になる。」

来年の利益、再来年の利益、その次の年の利益、、、ずっと会社が永続するという仮定(これをゴーイングコンサーンの仮定という)に基づき、等比数列で企業価値を求めます。小難しい式はここでは省略しますが、その原理は、銀行預金や投信のような金融商品の説明にあるように、複利計算で利息を計算するロジックと同類です。

「割引率はリスクのない投資のリターンである長期金利(国債利回り)に、投資家が株を買うリスクの見返りに要求するリターンである「リスク・プレミアム」を足して求める。そこにマイナス金利が登場し、日本株の株価算定の割引率を決めるベースとなる長期金利がマイナス圏に突入した。」

「理論株価の算定式で考えると、1株利益とリスク・プレミアムを一定とすれば分母の割引率の水準が下がり、株価は上昇する。だがそれと共に忘れていけないのは、リスク・プレミアムが猫の目のようにころころと日々変動することだ。」

ここから新聞記事の簡単な割引率を式で表現すると、

割引率 = 長期金利 + リスク・プレミアム

となります。

「「マイナス金利下では割引率の水準が下がり、市場心理で決まるリスク・プレミアムの振れが株価に大きな影響を与える」。大和証券の吉野貴晶氏はこう説明する。これは割引率と理論株価の反比例の関係を描いたグラフからも一目瞭然だ。」

そして、株価が荒れる原因は、長期金利がマイナスとなり、株価に与える影響力が落ちて、リスク・プレミアムの振れ幅が大きいことによる、という帰結なのだそうです。

 

■ 「企業価値算定」=「適正または理論株価算定」をファイナンス理論できちんと説明すると、、、

新聞記事添付のチャートにある理論株価を求める式のまずは分子の方から。

「割引率」で割り引く相手が「1株利益」になっているのですが、まずここの数字の定義に「?」です。株主が企業に投資して、得られる経済的利益は、会社を清算する際の残余財産の分配利益を別にすれば(ここでゴーイングコンサーンの仮定が登場!)、

① キャピタルゲイン(保有株式の値上がり益)
② インカムゲイン(受取配当益)
の合計値であって、会社の帳簿上の利益などではありません。当期純利益なぞ、株主の手には決して渡りません。冗談も休み休み言ってほしいものです。この①と②の合計を使って、「TSR:Total Shareholders’ return(株主総利回り)」を求めます。

TSR = (キャピタルゲイン + インカムゲイン) ÷ 株主の投資額

これが、本当の株主の投資利回りです。ただし、これは、時間軸(割引現在価値)を考慮していない、簡便法での求め方です。しかし、シンプルなので、これはこれで使い勝手があります。そして、筆者が、投資家個人個人の「自分勝手割引率」と言い放つ理由の一つが、このTSRを求める際の、「キャピタルゲイン」「株主の投資額」は、その投資家がいつ投資したか、どれくらい保有している(いた、いたい)か、によって個人的に求まる性質のものだからです。

真の株主資本コストは、この投資家個人的視点のTSRでしかありえないと思うのですが、そうすると、コーポレートファイナンス的に、企業側が資本調達戦略を策定する際に、投資家一人一人の事情を考慮する必要が出てくるのは実務的ではありません。そこで投資家を十把一絡げにして、しかも自社の簿価上の会計的利益で株主リターンを計算する観便法として、上記のチャートのような計算がまかり通っているのです。

 

■ コーポレートファイナンス理論的に、今度は分母を考えて見ると、、、

次に、割引率を丁寧に見ていきます。

新聞記事の簡便法より、厳密に表現すると、

株式に使う割引率 = リスク資産の期待収益率
              = リスクフリー・レート  + インフレーション・プレミアム  + リスク・プレミアム

① リスクフリー・レート:資産を保有することで生じる機会費用に対する代償
② インフレーション・プレミアム:時間の経過とともに投資の購買力が低減することに対する代償
③ リスク・プレミアム:価値変動のあるリスクを背負うことに対する代償

通常、①と②は、国債のような債務不履行リスクのない債券の期待収益率に等しくなります。特に、今回は②が「マイナス金利」ということで、絶対値がマイナスとなり、①と②の合計値が著しく小さくなります。いや、①と②を足しても、絶対値としてマイナスになっているとも言えます。

● 日本国債・金利、利回り一覧 | 金利/債券情報 – Bloomberg

下記は、2016/3/5時点の、日本国債の利回りです。

20160305_日本国債の利回り_Bloomberg

代表的指標の10年ものの利回りを見てください。「-0.05」です。マイナス金利になっています! 

そして、③リスク・プレミアムは、

リスク・プレミアム = システマティック・リスク + 非システマティック・リスク

といったんは分解されます。このうち、分散投資をするなど、そのリスク資産固有のリスク(価値変動)の影響を除外する(そのために、個別株を購入するんじゃなくて、投資ポートフォリオ自体を買う投資信託のような金融商品が誕生した)ことができるので、通常は、

リスク・プレミアム = システマティック・リスク(これを市場リスクとも言う)

と置きます。そして、TOPIX等の市場全体の値動きと、個別株の値動きの乖離幅がそれぞれの個別株毎に特徴がでてしまうことから、

システマティック・リスク = 個別株独特の値動き × 普通株式の過去の超過収益率
                    = β × TOPIXのような指標の成長率

という式に展開するのが通例です。上記のβが、1.5の場合、日本株なら、TOPIXが2倍に値上がりしたら、その個別株は、3倍(2倍×1.5)に値上がりすることを示す係数として働きます。

ここまでの教科書的な説明は大丈夫でしょうか。

ここからは筆者の個人的な投資感を記述します。上記のようなファイナンス理論はどこまで行っても、一般論にすぎません。「普通株式の超過収益率」は、あくまで過去(教科書ではヒストリカルデータという)のもので、かつ5年、10年、25年と、観測する期間が違えば値も変わってきます。βは、もちろん、それに連動してこちらも変化します。

つまりですね、個人投資家ならば、今手元にある現金は、5%の利回りで運用したいのか、10%の利回りで運用したいのか、それは2年後なのか、それとも10年後なのか。期待利回りも、投資期間も自由に設定できるのです。そうすると、これまでさも、どこかに客観的に存在していると考えられていた「割引率」というものが、自分でしか決めることができない「変数」であることに、お気づきになられませんか?

筆者も若いころ、株式市場で大儲けできないかと、いろいろとファイナンス理論を勉強してみたものの、こうした計算式のロジックをなんとか理解するところで思考が停止してしまいました。だって、どんなに数学的に緻密な計算したって、また証券会社やその他の金融サービス機関が出す様々なレポートにしたって、大勢いる無名の投資家一律の一般論のものにすぎない。ひとりひとりの資産状況に応じてデザインされたものではないのです。

いやあ、金融アドバイザリサービスの受けに、金融機関の窓口に出かけていき、●●ファイナンシャル・アドバイザーの説明を聞いて、個人個人に合わせた投資ポートフォリオを作ったとしても、その時に使う割引率やβって、一般的な通例で計算したものにすぎませんよ。あなた用の割引率では決してありませんから。そこで、悟ったわけです。完全に株式市場で儲けるには、インサイダー情報を活用するしかないと。でもそれは違法とされる行為でやってはいけないことです。

今ですか? ひたすら複利効果を信じて、「バイ&ホールド」。いわゆる長期投資。すみません、一部誇張してしまいました。売り逃しで、含み損が出て、売るに売れない、そして仕事が忙しくて、市場を見ている暇がない。それが真因で、その言い訳の長期投資でした。m(_ _)m

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(スクランブル)荒れる株価は宿命か マイナス金利下の「新常態」-割引率を使って適正株価を導き出す方法とは?http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭経済動向を会計で読むTSR,インカムゲイン,キャピタルゲイン,ゴーイングコンサーン,マイナス金利,割引率,理論株価,リスク・プレミアム,期待収益率,リスクフリー・レート,インフレーション・プレミアム,システマティック・リスク,市場リスク,インサイダー情報複利効果■ 適正株価が「割引率」だけで求められるとは思いませんが… 先日、このブログでの投稿で、適正株価は、「自分勝手割引率」で算定して求めます、と言い放ってしまいました。その割引率はそれぞれの投資家が決めるものと、突き放してしまいましたので、今回は、一般的な株価算定に使われる割引率のお話をしたいと思います。ちょうどいい題材が日経新聞に掲載されたので、ちょこっと使わさせて頂きます。 2016/2/27付 |日本経済新聞|朝刊 (スクランブル)荒れる株価は宿命か マイナス金利下の「新常態」 「26日の日経平均株価は続伸し、年初から荒れに荒れた日本株市場はひとまず安定を取り戻したようにみえる。だが市場が予想する将来の株価変動率は高止まりしたままで、それは日銀が導入したマイナス金利とも浅からぬ関係がある。相場が荒れるのは日本株の宿命――。マイナス金利下で投資家は荒れる相場を「新常態」と受け入れるしかないのかもしれない。」 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます それでは、議論の発端となった過去投稿はこちらです。 ⇒「(スクランブル)動くか「100兆円の山」マイナス金利が迫る活用 -手元流動性の高いキャッシュリッチ企業の株主価値は?」 ここで、筆者は下記のように言い放っています。 「投資家個人の許容する「自分勝手割引価値」が人それぞれであるから。5%で許されている人もいれば、8%や20%の機関投資家もあるはず。つまり、言いたいことは、「株価は、最後は投資家自身が許容する割引価値で決まる」でした。」   ■ いったん、この記事における日本株が荒れる理由を解説した文章を整理してみます 本記事では、現在(2016/2/26)、日本株の変動率が世界で一番大きいことを、下記の過去30日のヒストリカルボラティリティのグラフで示しています(同記事添付グラフを転載)。 その様子は、 「市場参加者たちが相場波乱が収まったとは思っていないのは、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)がなお高水準であることからも読み取れる。  26日終値は34.09。12日につけた50.24からは下がったとはいえ、市場は日経平均が68%の確率で毎日2.1%(26日終値からは約340円)上下に振れると予想している計算になる。  世界の主要市場のなかで、過去30日の日本株の変動率は年率44.7%で堂々のトップだ。」 と描写され、その理由は、 「輸出比率が高いため世界の景気変動の影響を受けやすいうえ、海外投資家のシェアが高く海外マネーの出入りで大きく動く――。日本株の変動率が高い理由は従来こう説明されてきた。いずれも正しいのだろう。そして、さらに株価変動を増幅する新条件が加わった。それがマイナス金利だ。」 ここにもマイナス金利が登場。その理屈は、理論株価が1株利益の割引率で求まるからというもの。 (下記チャートは、同記事添付の理論株価と割引率の関係を説明したものを転載) どうして割引率から理論株価が求まるのか。ロジックは次の通り。 「企業の理論株価は将来利益の合計を現在価値に割り戻して求められる。企業の利益成長がないと仮定した最も単純なモデルでは、理論株価は1株利益を割引率で割った値になる。」 来年の利益、再来年の利益、その次の年の利益、、、ずっと会社が永続するという仮定(これをゴーイングコンサーンの仮定という)に基づき、等比数列で企業価値を求めます。小難しい式はここでは省略しますが、その原理は、銀行預金や投信のような金融商品の説明にあるように、複利計算で利息を計算するロジックと同類です。 「割引率はリスクのない投資のリターンである長期金利(国債利回り)に、投資家が株を買うリスクの見返りに要求するリターンである「リスク・プレミアム」を足して求める。そこにマイナス金利が登場し、日本株の株価算定の割引率を決めるベースとなる長期金利がマイナス圏に突入した。」 「理論株価の算定式で考えると、1株利益とリスク・プレミアムを一定とすれば分母の割引率の水準が下がり、株価は上昇する。だがそれと共に忘れていけないのは、リスク・プレミアムが猫の目のようにころころと日々変動することだ。」 ここから新聞記事の簡単な割引率を式で表現すると、 割引率 = 長期金利 + リスク・プレミアム となります。 「「マイナス金利下では割引率の水準が下がり、市場心理で決まるリスク・プレミアムの振れが株価に大きな影響を与える」。大和証券の吉野貴晶氏はこう説明する。これは割引率と理論株価の反比例の関係を描いたグラフからも一目瞭然だ。」 そして、株価が荒れる原因は、長期金利がマイナスとなり、株価に与える影響力が落ちて、リスク・プレミアムの振れ幅が大きいことによる、という帰結なのだそうです。   ■ 「企業価値算定」=「適正または理論株価算定」をファイナンス理論できちんと説明すると、、、 新聞記事添付のチャートにある理論株価を求める式のまずは分子の方から。 「割引率」で割り引く相手が「1株利益」になっているのですが、まずここの数字の定義に「?」です。株主が企業に投資して、得られる経済的利益は、会社を清算する際の残余財産の分配利益を別にすれば(ここでゴーイングコンサーンの仮定が登場!)、 ① キャピタルゲイン(保有株式の値上がり益) ② インカムゲイン(受取配当益) の合計値であって、会社の帳簿上の利益などではありません。当期純利益なぞ、株主の手には決して渡りません。冗談も休み休み言ってほしいものです。この①と②の合計を使って、「TSR:Total Shareholders’ return(株主総利回り)」を求めます。 TSR = (キャピタルゲイン + インカムゲイン) ÷ 株主の投資額 これが、本当の株主の投資利回りです。ただし、これは、時間軸(割引現在価値)を考慮していない、簡便法での求め方です。しかし、シンプルなので、これはこれで使い勝手があります。そして、筆者が、投資家個人個人の「自分勝手割引率」と言い放つ理由の一つが、このTSRを求める際の、「キャピタルゲイン」「株主の投資額」は、その投資家がいつ投資したか、どれくらい保有している(いた、いたい)か、によって個人的に求まる性質のものだからです。 真の株主資本コストは、この投資家個人的視点のTSRでしかありえないと思うのですが、そうすると、コーポレートファイナンス的に、企業側が資本調達戦略を策定する際に、投資家一人一人の事情を考慮する必要が出てくるのは実務的ではありません。そこで投資家を十把一絡げにして、しかも自社の簿価上の会計的利益で株主リターンを計算する観便法として、上記のチャートのような計算がまかり通っているのです。   ■ コーポレートファイナンス理論的に、今度は分母を考えて見ると、、、 次に、割引率を丁寧に見ていきます。 新聞記事の簡便法より、厳密に表現すると、 株式に使う割引率 = リスク資産の期待収益率               = リスクフリー・レート  + インフレーション・プレミアム  + リスク・プレミアム ① リスクフリー・レート:資産を保有することで生じる機会費用に対する代償 ② インフレーション・プレミアム:時間の経過とともに投資の購買力が低減することに対する代償 ③ リスク・プレミアム:価値変動のあるリスクを背負うことに対する代償 通常、①と②は、国債のような債務不履行リスクのない債券の期待収益率に等しくなります。特に、今回は②が「マイナス金利」ということで、絶対値がマイナスとなり、①と②の合計値が著しく小さくなります。いや、①と②を足しても、絶対値としてマイナスになっているとも言えます。 ● 日本国債・金利、利回り一覧 | 金利/債券情報 – Bloomberg 下記は、2016/3/5時点の、日本国債の利回りです。 代表的指標の10年ものの利回りを見てください。「-0.05」です。マイナス金利になっています!  そして、③リスク・プレミアムは、 リスク・プレミアム = システマティック・リスク + 非システマティック・リスク といったんは分解されます。このうち、分散投資をするなど、そのリスク資産固有のリスク(価値変動)の影響を除外する(そのために、個別株を購入するんじゃなくて、投資ポートフォリオ自体を買う投資信託のような金融商品が誕生した)ことができるので、通常は、 リスク・プレミアム = システマティック・リスク(これを市場リスクとも言う) と置きます。そして、TOPIX等の市場全体の値動きと、個別株の値動きの乖離幅がそれぞれの個別株毎に特徴がでてしまうことから、 システマティック・リスク = 個別株独特の値動き × 普通株式の過去の超過収益率                     = β × TOPIXのような指標の成長率 という式に展開するのが通例です。上記のβが、1.5の場合、日本株なら、TOPIXが2倍に値上がりしたら、その個別株は、3倍(2倍×1.5)に値上がりすることを示す係数として働きます。 ここまでの教科書的な説明は大丈夫でしょうか。 ここからは筆者の個人的な投資感を記述します。上記のようなファイナンス理論はどこまで行っても、一般論にすぎません。「普通株式の超過収益率」は、あくまで過去(教科書ではヒストリカルデータという)のもので、かつ5年、10年、25年と、観測する期間が違えば値も変わってきます。βは、もちろん、それに連動してこちらも変化します。 つまりですね、個人投資家ならば、今手元にある現金は、5%の利回りで運用したいのか、10%の利回りで運用したいのか、それは2年後なのか、それとも10年後なのか。期待利回りも、投資期間も自由に設定できるのです。そうすると、これまでさも、どこかに客観的に存在していると考えられていた「割引率」というものが、自分でしか決めることができない「変数」であることに、お気づきになられませんか? 筆者も若いころ、株式市場で大儲けできないかと、いろいろとファイナンス理論を勉強してみたものの、こうした計算式のロジックをなんとか理解するところで思考が停止してしまいました。だって、どんなに数学的に緻密な計算したって、また証券会社やその他の金融サービス機関が出す様々なレポートにしたって、大勢いる無名の投資家一律の一般論のものにすぎない。ひとりひとりの資産状況に応じてデザインされたものではないのです。 いやあ、金融アドバイザリサービスの受けに、金融機関の窓口に出かけていき、●●ファイナンシャル・アドバイザーの説明を聞いて、個人個人に合わせた投資ポートフォリオを作ったとしても、その時に使う割引率やβって、一般的な通例で計算したものにすぎませんよ。あなた用の割引率では決してありませんから。そこで、悟ったわけです。完全に株式市場で儲けるには、インサイダー情報を活用するしかないと。でもそれは違法とされる行為でやってはいけないことです。 今ですか? ひたすら複利効果を信じて、「バイ&ホールド」。いわゆる長期投資。すみません、一部誇張してしまいました。売り逃しで、含み損が出て、売るに売れない、そして仕事が忙しくて、市場を見ている暇がない。それが真因で、その言い訳の長期投資でした。m(_ _)m現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します