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(真相深層)GE、IT人材のみ込む 製造業デジタル化で生き残り 争奪戦過熱、試される本気度

経営管理会計トピック テクノロジー
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■ 激化するIT人材獲得競争 どうして重電メーカーが? そう思った時点ですでに時流に遅れています!

経営管理会計トピック

米GEが提唱する「インダストリアル・インターネット」、独シーメンスが参加する「インダストリー4.0」。コンセプト先行では決してなく、既にそこにある現実。もはや、将来を見越してではなく、足下の開発競争で不足が叫ばれているIT人材をこぞって募っているのが現状です。シリコンバレーにもその波がというか、シリコンバレーでの人材獲得競争が過熱しています。

2015/11/12|日本経済新聞|朝刊 (真相深層)GE、IT人材のみ込む 製造業デジタル化で生き残り 争奪戦過熱、試される本気度

「米ゼネラル・エレクトリック(GE)が事業構造の転換を急いでいる。今春以降、主力の金融ビジネスを相次ぎ売却する一方、製造業のデジタル化で生き残りを目指す方針を掲げた。どう競争力を強化するのか。その解は意外にも、IT(情報技術)産業が集積するシリコンバレーにあった。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

同新聞記事では、今米国で話題のGMの自虐的なCMが話題を呼んでいることを伝えています。主役はソフトウェアやコンピュータ科学を専攻する大学院生のオーウェン君。「GEに就職を決めた」と両親に報告すると、GEと聞いてモノづくりをイメージした父親から、おじいさんが使っていたハンマーを渡されて苦笑。

【オーウェン君、ハンマー編】

オーウェン君が、「GEで飛行機の効率を上げるプログラムを書くんだ」と話すと、「君はパイロットになりたいのか」とピント外れな会話が続く。

【オーウェン君、ビックニュース編】

GEでソフトウェアエンジニアリングになる話を聞いた友人が、猫の写真にオレンジの帽子をかぶせた画像をアップロードしてみせる。

【オーウェン君、ソフトを馬鹿にしているのか(Zazzies)編】

そして、いずれも、
「The digital company. That’s also an industrial company.」
(GEは製造業であると同時に、デジタルカンパニーでもある)
という字幕でCMは終わります。

こうした自虐的なCMを流す狙いは、優秀なIT人材の確保。

GEのマルコ・アヌンツィアータ・チーフエコノミストによると、「本当は既存の技術とITを結合できる私たちのような会社こそ次のネット革命の扉を開くことができる。それを若い世代にアピールしたい」という趣旨。なにもIT人材の積極採用に動いているのはGEだけではなく、世界の自動車大手はみな、ITの中心である米シリコンバレーに開発拠点や研究所を開設しています。

同記事では、
「今米国で起きているのは先端人材の争奪戦だ。日本勢も遅ればせながら参戦し、日産自動車は米航空宇宙局(NASA)、トヨタ自動車は米国防高等研究計画局(DARPA)の著名幹部をそれぞれスカウトした。トヨタはその元幹部のギル・プラット氏を、シリコンバレーに新設するAIの研究開発会社のトップに据える。彼らを一種の「看板」として活用することで、若い優秀な頭脳を引き寄せる作戦だ。」

とあり、その過熱ぶりが何となく伝わってきますが、次の記事内容はどうでしょう?

「日産幹部は「ソフトウェアやAIに強い米技術者の新卒の年収は1500万円ぐらい。日本の新卒エンジニアは500万円に届かないが、そんな条件ではとても来てもらえない」と明かす。魅力あるポストやテーマを用意できなければ、中核人材がライバル会社に移ることも日常茶飯事だ。」

とてもとても、今までの過去からの延長線上で、メーカーがソフトウェア関連のエンジニアの採用と育成を考えていたんでは、社内に競争優位な技術は抱え込めそうにありませんね。

■ シリコンバレーでの人材獲得方法

同記事では、
「ボストン・コンサルティング・グループの富永和利パートナーは「IT分野で優秀な技術者を長く抱え込んでおくのは難しい。今後は個人の成果報酬を高めたり、高い離職率を前提にした人材戦略を立てたりする必要がある」と指摘する。」

「(シリコンバレーに1995年に進出した独メルセデス・ベンツの開発)センターのアーベッド・ニストロイ所長は「ここでは周囲のベンチャー企業や大学と協力しながら開発を進めることが非常に重要」とシリコンバレー流を強調する。自動運転などのコア技術の開発も米半導体企業などと一緒に進め、いわゆるオープン・イノベーションを実施する。」

とあり、人材流動の激しさを前提とした報酬制度や、はなっからそれを想定したオープン・イノベーション戦略の採用の必要性を強調しています。

ここで、シリコンバレー人材獲得競争のここ最近の関連記事をいくつかご紹介。

2015/10/16|日本経済新聞|朝刊 シリコンバレー 人工知能の技術者争奪 アップルやツイッター 画像・音声認識で需要

「買収で技術者を取り込む例は多い。アップルは10月に入り、AIを使った音声認識・応答サービスを開発する英ベンチャー、ボーカルIQを買収した。ツイッターは6月にAI技術の応用支援ベンチャー、米ウェットラブを買収している。有力ベンチャーの一つ、米センティネント・テクノロジーズのナイジェル・ダフィーCTO(最高技術責任者)は「買収話が頻繁に来る」と語る。」

『会社ごと欲しい人材を買え!』

 

2015/11/3|日本経済新聞|朝刊 進出の日本企業課題は? お金以外の価値提供を アクセル・パートナーズ マネージング・パートナー アンドリュー・ブラッチア氏

「優秀な人材を集め、つなぎ留める能力は過小評価されがちだが極めて重要だ。同様に企業文化は会社を興した最初の1日、最初の1週間に形作られる。後から変えるのは難しいからこそ、その重要性を最初から理解している人を求めている」

『企業文化を売り込め!』

 

2015/11/12|日本経済新聞|朝刊 NEC 人工知能人材2倍の1000人に インドなどで確保

「ただこの分野は世界的に人材の争奪が激しい。NECの研究開発責任者の江村克己執行役員は「著名な社員研究者のコネクションを使い、必要な人員を集めていきたい」という。」

『研究者のネットワークに入りこめ!』

 

最初は、GEの自虐CMを皆さんに紹介したくて書いた投稿ですが、書いているうちに、うすら恐ろしい気がしてきました。上記10/16の記事では、

「AI分野の中でも引っ張りだこなのが「ディープラーニング」(深層学習)と呼ぶ技術の専門家だ。米求人サイト、インディードによれば、シリコンバレー近郊ではディープラーニングの専門家の給与は全米平均より4割以上高い。有望な技術者を一般公募する場合には平均で年収20万ドル(約2400万円)が必要。著名技術者の場合、この数倍の金額を提供する必要があるとみられる。技術の進歩が優秀な人材を求める企業の意欲をかき立てている。」

日本の製造業では、上級管理職(下手すると執行役員クラス)の年収ですね。旧来の年功序列、賃金後払い的な賃金カーブ(しかも終身雇用が前提)など、この分野ではお呼びになりません。小職も、日系製造業に勤めていた際、海外拠点の現地採用幹部の給与を聞いてびっくりしたことがあります。だって、日本から赴任している現法社長より高いんですから。

賃金秩序破壊がすでに起こっています。皆さんは自己防衛に死角はありませんか? えっ、私ですか? もうすでに諦めています。(^^;)

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