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■ 企業IT部門の常識からは大きな疑問あり!

コンサルタントのつぶやき

税金でお仕事している人は悠長なんですね。「名寄せができません」で済むのですから。

2015/9/5付 |日本経済新聞|朝刊 メタボ健診 システム不備効果検証、2割しかできず 会計検査院、改修求める

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「特定健康診査(メタボ健診)の効果を検証するため、厚生労働省が導入したデータベースに不備があり、収集データの約2割しか検証できない状態にあることが4日、会計検査院の指摘で分かった。検査院はこれまでに収集したデータを使って効果が検証できるよう、システムの改修を求めている。」

収集データの2割しか氏名情報の突合せ(名寄せ)ができないことについて、簡単に下記のような説明図が新聞記事に掲載ありましたので、転載します。

データベース不備のイメージ_日本経済新聞朝刊_20150905

この説明によりますと、「医療機関のレセプトデータ」と「厚労省の健診データ」とで患者の「氏名」を突き合わせ(同一人物かの照合作業)たところ、2割しかヒットしなかったということです。まあ、その2割もどうやって「合っている」ことを検証したのか不思議なのですが、、、

記事によりますと、
「メタボ健診制度は2008年4月、生活習慣病予防による医療費抑制を目的に導入された。健診の効果を検証するため、厚労省は09年4月、約28億円をかけて健診データとレセプト(診療報酬明細書)データを収集・保存するデータベースの運用を開始。両データを照合し、分析することで受診者の検査値の改善状況や医療費抑制効果などを確かめる計画だった。」

ということで、約28億円が無駄な投資(税金の無駄使い)となります。

その理由は、
「健診実施機関や医療機関によって、受診者の被保険者証等記号などの入力方法が「全角」「半角」で異なるほか、氏名も「カタカナ」や「漢字」が混在し、統一されていなかったことが原因。入力形式の違いを補正する機能も不十分なため、同一人物でも匿名化処理してつくる健診データとレセプトデータのIDが異なり、照合できない状況が続いているという。」

ということで、あくまで入力される「氏名」情報の「型」が合わなかったという原因分析のようです。「氏名」って、情報システムを構築する際に、こういった「突き合わせ」のために絶対使ってはいけないデータであることは、もはや常識になっています。民間の常識が政府の常識になっていない。。。それより、政府が自分たちだけでこういった情報システムは構築できるわけがないので、それを手伝った民間のIT業者の良識を疑ってしまいます。

こういう突き合わせに使用されるべきコードを「キー」「PK:Primary Key」とか呼びます。この「キー」が有していなければならない条件は、難しいことを言うとたくさんあるのですが、今回の件に関連する簡単なものだけをあげるとすると、

①  ユニークであること
②  不変であること

業務別データベース設計のためのデータモデリング入門

①も②も、「氏名」なのだから、その人を表すのに当たり前じゃないかとお感じになられるかもしれませんが、「同姓同名」の方が世の中にいらっしゃる以上、「氏名」は決して個人を表す「ユニークキー」にそもそもなりえないのです。従って、いくらシステムの入力機能で「半角」とか「カナ」「漢字」といった入力データそのものをきれいに統一しようとしていても、「名寄せ」行為には全く効果がありません。全て無駄なのです。

次に、氏名の「②不変性」ですが、婚姻や離婚、養子縁組、または著しい法的損失が生じる場合の改名が日本国では許されています。従って、「日本花子」さんが、生まれてからお亡くなりになるまで、ずっと「日本花子」さんである保証がないのです。

じゃあ、解決策ですか? 今のやり方をどうしても踏襲したい場合は、「複合キー」のやり方があります。「氏名」+「生年月日」+「本籍地」ぐらいの組み合わせで、ユニークキーを作ろうというやり方です。しかしながら、キーを結合するのは、コンピュータにとっては大変な負荷で、どこまで行っても絶対に100%ユニーク性を保証できるか、と言われると自信ありませんね。確率は大変低いのですが、同姓同名の同じ生年月日の人、というのは、論理的には存在しえますから。そして、本籍地も任意に変更することができます。

次の手としては、悪評高い「住基ネット」「マイナンバー」等、絶対個人に対して重複しないコードを発番して、これを「キー」として使用することです。筆者としては、あえてこのタイミングでこの新聞記事が出たこと自体、「マイナンバー制度」推進を裏から応援する意図があるのでは、と深読みしていますが、、、(^^;)


 

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メタボ健診 システム不備効果検証、2割しかできず 会計検査院、改修求めるhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-e1428166267398.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-150x150.jpg小林 友昭新聞記事・コラムマイナンバー,住民基本台帳■ 企業IT部門の常識からは大きな疑問あり! 税金でお仕事している人は悠長なんですね。「名寄せができません」で済むのですから。 2015/9/5付 |日本経済新聞|朝刊 メタボ健診 システム不備効果検証、2割しかできず 会計検査院、改修求める (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 「特定健康診査(メタボ健診)の効果を検証するため、厚生労働省が導入したデータベースに不備があり、収集データの約2割しか検証できない状態にあることが4日、会計検査院の指摘で分かった。検査院はこれまでに収集したデータを使って効果が検証できるよう、システムの改修を求めている。」 収集データの2割しか氏名情報の突合せ(名寄せ)ができないことについて、簡単に下記のような説明図が新聞記事に掲載ありましたので、転載します。 この説明によりますと、「医療機関のレセプトデータ」と「厚労省の健診データ」とで患者の「氏名」を突き合わせ(同一人物かの照合作業)たところ、2割しかヒットしなかったということです。まあ、その2割もどうやって「合っている」ことを検証したのか不思議なのですが、、、 記事によりますと、 「メタボ健診制度は2008年4月、生活習慣病予防による医療費抑制を目的に導入された。健診の効果を検証するため、厚労省は09年4月、約28億円をかけて健診データとレセプト(診療報酬明細書)データを収集・保存するデータベースの運用を開始。両データを照合し、分析することで受診者の検査値の改善状況や医療費抑制効果などを確かめる計画だった。」 ということで、約28億円が無駄な投資(税金の無駄使い)となります。 その理由は、 「健診実施機関や医療機関によって、受診者の被保険者証等記号などの入力方法が「全角」「半角」で異なるほか、氏名も「カタカナ」や「漢字」が混在し、統一されていなかったことが原因。入力形式の違いを補正する機能も不十分なため、同一人物でも匿名化処理してつくる健診データとレセプトデータのIDが異なり、照合できない状況が続いているという。」 ということで、あくまで入力される「氏名」情報の「型」が合わなかったという原因分析のようです。「氏名」って、情報システムを構築する際に、こういった「突き合わせ」のために絶対使ってはいけないデータであることは、もはや常識になっています。民間の常識が政府の常識になっていない。。。それより、政府が自分たちだけでこういった情報システムは構築できるわけがないので、それを手伝った民間のIT業者の良識を疑ってしまいます。 こういう突き合わせに使用されるべきコードを「キー」「PK:Primary Key」とか呼びます。この「キー」が有していなければならない条件は、難しいことを言うとたくさんあるのですが、今回の件に関連する簡単なものだけをあげるとすると、 ①  ユニークであること ②  不変であること 業務別データベース設計のためのデータモデリング入門 ①も②も、「氏名」なのだから、その人を表すのに当たり前じゃないかとお感じになられるかもしれませんが、「同姓同名」の方が世の中にいらっしゃる以上、「氏名」は決して個人を表す「ユニークキー」にそもそもなりえないのです。従って、いくらシステムの入力機能で「半角」とか「カナ」「漢字」といった入力データそのものをきれいに統一しようとしていても、「名寄せ」行為には全く効果がありません。全て無駄なのです。 次に、氏名の「②不変性」ですが、婚姻や離婚、養子縁組、または著しい法的損失が生じる場合の改名が日本国では許されています。従って、「日本花子」さんが、生まれてからお亡くなりになるまで、ずっと「日本花子」さんである保証がないのです。 じゃあ、解決策ですか? 今のやり方をどうしても踏襲したい場合は、「複合キー」のやり方があります。「氏名」+「生年月日」+「本籍地」ぐらいの組み合わせで、ユニークキーを作ろうというやり方です。しかしながら、キーを結合するのは、コンピュータにとっては大変な負荷で、どこまで行っても絶対に100%ユニーク性を保証できるか、と言われると自信ありませんね。確率は大変低いのですが、同姓同名の同じ生年月日の人、というのは、論理的には存在しえますから。そして、本籍地も任意に変更することができます。 次の手としては、悪評高い「住基ネット」「マイナンバー」等、絶対個人に対して重複しないコードを発番して、これを「キー」として使用することです。筆者としては、あえてこのタイミングでこの新聞記事が出たこと自体、「マイナンバー制度」推進を裏から応援する意図があるのでは、と深読みしていますが、、、(^^;)  現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します