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■ あなたは何を作っていますか?

コンサルタントのつぶやき

ドラッカーが著書の中で触れている例の有名な石切工の一節。その元になった例え話から。

——————–
ピラミッド建築に使う石を切り出す現場で、石切工に尋ねた。
「あなたは何をしているのか?」

一人目の男はこう答えた。
「これで食べている」

二人目の男はこう答えた。
「最高品質の石を切り出している」

三人目の男は目を輝かして、こう答えた。
「世界で一番のピラミッドを作っている」
——————–

この話は、その昔に流布した、「ピラミッドは奴隷が鞭を打たれながら、強制労働を強いられて、石を運んで建設された」という解釈は間違いで、ピラミッド建築に駆り出された人たちは、偉大なるファラオの社会政策で、失業者対策として、つまり一種の公共事業として、きちんと賃金が支払われて働いていた、という歴史的な真実を知ってこそ、味わい深いものになります。

ドラッカーのその著書は↓

マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則

関連した記事を掲載しているサイトはこちら
→「最強フレームワーカーへの道:ドラッカーブーム再び? 四人目の石工が語った働く目的」
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/1003/08/news031.html

 

そういう薀蓄(うんちく)はおいといて、特に、IT系の情報システムを構築するプロジェクトを推進する、プロジェクト・マネージャー(PM)の皆さん、プロジェクトが漂流し始めて、どこに行き着くか、先が読めないことで頭を悩ませていることはありませんか? そして、そうしたプロジェクトに参画しているメンバは、「プロジェクトがどこに行くんだろう?」と不安になったことはありませんか? そうした場合は、目前の仕事にどう対処しているかを確認されることをお勧めします。

そのいいきっかけとして、みなさんなら、ふと上司から、「今、どんな仕事をしているんだね?」「今のプロジェクトは何を作ろうとしているんだね?」と問われて、どう回答されますか?

「SEで飯を食っている」なのか、
「顧客情報と購買履歴から、RFM分析データベースに放り込むデータを作るプログラムを書いています」なのか、
「販売管理情報システムを作っている」なのか、
「お客様が好む商品提案ができる仕組みを作って、お客様を喜ばせるための仕事をしています」なのか?

プロジェクトが漂流するときは、各サブチームのメンバやサブチームリーダーが、仕事の目的を見失っている時です。ただ、PMから言われたから、目の前のWBSに従って、黙々と、意図も分からず、成果物(資料、ドキュメント)を書いている。その成果物の使われ方も、意義も知らないし、興味もないから、当然、記述レベルや記載内容の品質、そもそもの作成意図からのズレが生じ、無駄な時間と工数が費やされただけ、ということになりがちです。

その会社やプロジェクトが置かれた状況は様々なので、ひとつひとつ現場の声を聞かないと、具体的な解決策は、私からは言えないのですが、ただ、PMがやっておいて損はない確認方法は、プロジェクトメンバに対して、「今、どんな仕事をしていますか?」「今、何を作っていますか?」と尋ねること。

ドラッカーの例え話やピラミッドの石切工の回答結果を参考にして、各メンバの思っていること、仕事に対する認識具合が、手に取るようにわかるはず。メンバの仕事に対する態度が分かれば、後は、そのメンバへの指示出しの仕方が変わります。

「飯を食っている」と答えた人には、より高い報酬を得るために、より難易度の高い仕事をしてくれるかな、と、ちょっと難しめの判断を要する仕事を振ればいいし、

「最高のプログラムを書いている」と答えた人には、より品質の高い、より業務課題の解決性の高いモジュールを作ってもらえばよいし、

「お客様に喜ばれる提案システムを作っている」と答えた人には、「どうすればもっとお客様に喜ばれるには、どういう工夫をすればいいかな?」「今、残課題になっている○○を解決して、所期の目的を達成するには、どういう処方箋があるかな?」と聞いてみて、プロジェクトをいい方向に持って行くヒントをもらえばいいでしょう。

「あなたは今、何をしていますか(何を作っていますか)?」

この質問は、使い方一つで、漂流するプロジェクトを救うヒントを見つけ出すツールになります。聞いてみるだけで損はないです。お試しあれ!




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石切工のお話し 漂流するプロジェクトのPMへhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-e1428166267398.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-150x150.jpg小林 友昭所感ドラッカー,石切工■ あなたは何を作っていますか? ドラッカーが著書の中で触れている例の有名な石切工の一節。その元になった例え話から。 -------------------- ピラミッド建築に使う石を切り出す現場で、石切工に尋ねた。 「あなたは何をしているのか?」 一人目の男はこう答えた。 「これで食べている」 二人目の男はこう答えた。 「最高品質の石を切り出している」 三人目の男は目を輝かして、こう答えた。 「世界で一番のピラミッドを作っている」 -------------------- この話は、その昔に流布した、「ピラミッドは奴隷が鞭を打たれながら、強制労働を強いられて、石を運んで建設された」という解釈は間違いで、ピラミッド建築に駆り出された人たちは、偉大なるファラオの社会政策で、失業者対策として、つまり一種の公共事業として、きちんと賃金が支払われて働いていた、という歴史的な真実を知ってこそ、味わい深いものになります。 ドラッカーのその著書は↓ マネジメント - 基本と原則 関連した記事を掲載しているサイトはこちら →「最強フレームワーカーへの道:ドラッカーブーム再び? 四人目の石工が語った働く目的」 (http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/1003/08/news031.html)   そういう薀蓄(うんちく)はおいといて、特に、IT系の情報システムを構築するプロジェクトを推進する、プロジェクト・マネージャー(PM)の皆さん、プロジェクトが漂流し始めて、どこに行き着くか、先が読めないことで頭を悩ませていることはありませんか? そして、そうしたプロジェクトに参画しているメンバは、「プロジェクトがどこに行くんだろう?」と不安になったことはありませんか? そうした場合は、目前の仕事にどう対処しているかを確認されることをお勧めします。 そのいいきっかけとして、みなさんなら、ふと上司から、「今、どんな仕事をしているんだね?」「今のプロジェクトは何を作ろうとしているんだね?」と問われて、どう回答されますか? 「SEで飯を食っている」なのか、 「顧客情報と購買履歴から、RFM分析データベースに放り込むデータを作るプログラムを書いています」なのか、 「販売管理情報システムを作っている」なのか、 「お客様が好む商品提案ができる仕組みを作って、お客様を喜ばせるための仕事をしています」なのか? プロジェクトが漂流するときは、各サブチームのメンバやサブチームリーダーが、仕事の目的を見失っている時です。ただ、PMから言われたから、目の前のWBSに従って、黙々と、意図も分からず、成果物(資料、ドキュメント)を書いている。その成果物の使われ方も、意義も知らないし、興味もないから、当然、記述レベルや記載内容の品質、そもそもの作成意図からのズレが生じ、無駄な時間と工数が費やされただけ、ということになりがちです。 その会社やプロジェクトが置かれた状況は様々なので、ひとつひとつ現場の声を聞かないと、具体的な解決策は、私からは言えないのですが、ただ、PMがやっておいて損はない確認方法は、プロジェクトメンバに対して、「今、どんな仕事をしていますか?」「今、何を作っていますか?」と尋ねること。 ドラッカーの例え話やピラミッドの石切工の回答結果を参考にして、各メンバの思っていること、仕事に対する認識具合が、手に取るようにわかるはず。メンバの仕事に対する態度が分かれば、後は、そのメンバへの指示出しの仕方が変わります。 「飯を食っている」と答えた人には、より高い報酬を得るために、より難易度の高い仕事をしてくれるかな、と、ちょっと難しめの判断を要する仕事を振ればいいし、 「最高のプログラムを書いている」と答えた人には、より品質の高い、より業務課題の解決性の高いモジュールを作ってもらえばよいし、 「お客様に喜ばれる提案システムを作っている」と答えた人には、「どうすればもっとお客様に喜ばれるには、どういう工夫をすればいいかな?」「今、残課題になっている○○を解決して、所期の目的を達成するには、どういう処方箋があるかな?」と聞いてみて、プロジェクトをいい方向に持って行くヒントをもらえばいいでしょう。 「あなたは今、何をしていますか(何を作っていますか)?」 この質問は、使い方一つで、漂流するプロジェクトを救うヒントを見つけ出すツールになります。聞いてみるだけで損はないです。お試しあれ!現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します