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コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(2)10パーセントの約束の法則

本レビュー
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■ 問題は必ずある

このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、筆者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、筆者のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページはこちら(英語)

前回、誰かの依頼の元に、タスクを遂行し、問題を解決しようと奮闘するコンサルタントが、新しい仕事を引き受ける際に、必ず心に留め置かなければならない3大法則をご紹介しました。

コンサルタントの第1の法則
依頼主がどういおうとも、問題は必ずある

コンサルタントの第2の法則
一見どう見えようとも、それは常に人の問題である

コンサルタントの第3の法則
料金は時間に対して支払われるのであって、解答に対して支払われるのではない、ということを忘れてはならない

今回は、コンサルタントの第1の法則についての考察を深めることにします。

よくある冗談ですが、クライアントの口から、こういう軽口が出ることもままあります。
「弊社には本当に何の問題もないんです。少なくとも、我々社内の人間に解決できないような問題は(笑)」

つまり、社外のコンサルタントをわざわざ臨時で雇って、社内の問題を処理させようとする動機は、その問題が、そもそも社内のリソースだけで解決させることができないことだけは知っていることに尽きるのです。少なくとも、コンサルタントに問題解決を依頼するためには、何が問題化を知っておく必要があるのです。

それゆえ、コンサルタントの仕事は、何か解決すべき問題があるところがスタートすることがスタンダードと言えます。

時には、何が問題かを見つけることを依頼されることもありますが、そういう依頼をする段階で、何らかのまずい事態に陥っている自覚症状はないと、一般に高いと言われているコンサルタントフィーを財布の口が堅い財務担当者が支払うこともないわけで。

 

■ 10パーセントの約束の法則

自分は健康だと思い込んでいる患者を、医者が治すことは大変難しい。コンサルタントの第一法則によれば、依頼主(クライアント)は、なかなか自分たちに問題があると認めたがらない傾向があります。じゃあ、なんで、コンサルタントに仕事を依頼するのか、不思議な時があるですが、病人の例をもう一度持ち出すなら、風邪だと思って受診したら、実は思い内臓疾患だった、ということがあるかもしれない、ということです。

では、そうしたジレンマを抱えている依頼主(クライアント)に対して、コンサルタントはどう対処すればよいのでしょうか?

コンサルタントのあるべき姿勢は、まず依頼主が有能であるということに同意することです。そのうえで、何か改善を要する分野はありませんかと問うのです。自分が病気だと積極的に認めたい患者は、学校を仮病で休みたい人以外にはいないものですが、一般的に、我々ビジネスパーソンは、何らかの改善が自社にとって有益であるという意見には賛成するものです。

しかし、ここでコンサルタント方がやり過ぎるのも問題が生じてしまうのです。コンサル仕事の受注を大きく、長くしたいがばかりに、大幅で大型の改善・改良を提案しすぎると、それはツーマッチだと依頼主(クライアント)から思われてしまい、やがてその提案は流れてしまうに違いありません。

10パーセントの約束の法則
決して10パーセントより多くの改良を約束してはいけない

10パーセントまでなら、たいていの人は、心の中で「それは大事に至らぬものだから、たいして我々の落ち度と言われるまでのものでもない」と安心し、コンサルタントがそういう類の改良提案を持ち出しても、比較的簡単に賛成することもやぶさかではないはずだからです。

 

■ 10パーセントの解決策の法則

もしたまたま10パーセントを超える改良をしてしまったときは、それが決して気づかれないように手を打つこと

思わず、仕事をやり過ぎて、10パーセントを超える改善・改良を結果として残してしまった時、逆に、依頼主側の企業内で、よくやったという賛意を得るよりは、どうして今までこんな問題を放置してしまっていたんだ、俺たちは無能だったのか、といういらぬ混乱と懐疑と悪いもの探しを始めさせてしまうことがあるのです。

できる?コンサルタントとしては、いらぬ社内の混乱は招かないようにうまく収拾するものです。その唯一の方法は、10パーセント超の改善の手柄は全部、依頼主(クライアント)の手柄にしてしまうことです。

ワインバーグ氏は、このことについて、たいそう皮肉的にこう表現しています。

自分の大成功を誇るコンサルタントは、ナプキンで靴を拭く客のようなものである。彼らは二度と招かれることはない。

さあて、私も手柄顔するのをやめて、お客様の手柄にしますか。

俺が俺がの我を捨てて、お陰お陰の下で暮らせ。

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