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コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(3)マービンの法則

本レビュー
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■ 「経営課題」を「技術的問題」にすり替えることに意味はあるのか?

このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、筆者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、筆者のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページはこちら(英語)

誰かの依頼の元に、タスクを遂行し、問題を解決しようと奮闘するコンサルタントが、新しい仕事を引き受ける際に、必ず心に留め置かなければならない3大法則はこちら。

コンサルタントの第1の法則
依頼主がどういおうとも、問題は必ずある

コンサルタントの第2の法則
一見どう見えようとも、それは常に人の問題である

コンサルタントの第3の法則
料金は時間に対して支払われるのであって、解答に対して支払われるのではない、ということを忘れてはならない

今回は、コンサルタントの第2の法則についての考察を深めることにします。

マネージャーが自らの責任回避のために、現在直面している課題を「技術的問題」というレッテルを貼り、企業外部のエンジニアやコンサルタントに解決を任してしまうことがあります。特に、ITの最先端分野について明るい専門家を常に社内に囲っておくことは事実上不可能なので、テクノロジー系のコンサルタントを外部から雇うことで、経営管理上の問題を技術的な問題にすり替えてしまうのです。

経営上層部も、出身がIT系で無かったり、もともと興味を持っている人でなければ、「技術的問題なので、外から臨時に専門家を雇って課題解決にあたらせます」といわれると、そうかなと納得することも多いことでしょう。そうやって、マネージャーの管理上の責任を曖昧にし、かつ技術コンサルタントを雇うことで問題に対処する姿勢も見せることができるので、マネージャーの対面も保つことができます。

雇われる方のコンサルタントの方も、たとえ真実だとしても、取り立てて依頼内容が本当は経営課題だと声高に主張することはないでしょう。あえて自ら依頼主の不興を買う必要はないので。

ただし、筆者は純粋なテクノロジーコンサルタントではないので、依頼があった時や、現状調査を終えた時、正直に「これは、〇〇といった経営課題のひとつですね」と指摘することがあります。逆に、そういう提言が歓迎される環境で仕事をさせて頂いておりますので、これは本当に幸せな事です。これが我がコンサルタントしての流儀を貫けるという意味で、これぞ経営コンサルタントの本懐。(^^)

 

■ 「経営課題」と「技術的問題」は本当に区分することができるのか?

本音のことを言うと、直面している問題が本当に「技術的問題」であったとして、どうしてそれが「問題」として経営上、解決すべき課題として俎上に載せられることになったのでしょうか。

もとを正せば、その昔、マネージャーがやるべきことをやらなかった(不作為)、または、何かしでかしてしまったことが原因かもしれません。つまり、外から比較的容易に調達できるコンサルタントに当たらせるのに相応しいと思われる「技術的問題」も、発生原因を辿れば、「経営的課題」、つまりマネージャー達の管理上の問題に帰結するのです。

しかしながら、理に聡いコンサルタント、経験豊富なコンサルタントは、雇ってくれたマネージャーの責任を追及するような発言は敢えてしないものです。それと同時に、目の前の課された「技術的問題」を予防する立場にあったのは誰か、または顕在化した際に、それに対処すべき管理者は誰かについて、見極めようとします。誰かの責任担当ということにしないと、せっかく課題分析しても、対処法が立案もできないし、実行もされませんから。

 

■ 「マービンの法則」とは?

依頼主が何をしていようとも、何かそれとは違うことを勧めなさい

ワインバーグ氏によれば、「人の問題は、少なくとも想像力、または見通しの欠如である」とのことで、近視眼的になりがちなマネージャーの典型的な失敗に備えることを重要視しています。問題にあまりに近いところにいる人、ずっと同じ問題に取り組み続けている人は、とかく最初に自分が思いついて一度選択した解決方法に固執しがちです。それで比較的長い間、問題が解決されないからこそ、コンサルタントを外部から招聘してパパッと解決しようということになるにもかかわらず!

一生懸命やっている人であればある程、問題解決への糸口、将来への見通しを見失い、泥沼に陥りやすくなります。だからこそ、逆説的になるのですが、経営者からすれば、決して外部コンサルタントを読んでこずに自前での問題解決にこだわるマネージャーに対しては、その腕前に対して懐疑的になる必要があるのです。

問題解決に必死になっているマネージャーであればこそ、あまりに取り組んでいる問題の近くにいるために、自分自身がどんなに深いトラブルに巻き込まれているかの自覚に不足している傾向が多いのです。要注意!

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