コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(4)手柄の法則 - コンサルフィーは時間と課題解決のどちらに支払われるべきか?

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■ コンサルタントフィーは時間に対して支払われることに問題はないのか?

このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、筆者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、筆者のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページはこちら(英語)

誰かの依頼の元に、タスクを遂行し、問題を解決しようと奮闘するコンサルタントが、新しい仕事を引き受ける際に、必ず心に留め置かなければならない3大法則はこちら。

コンサルタントの第1の法則
依頼主がどういおうとも、問題は必ずある

コンサルタントの第2の法則
一見どう見えようとも、それは常に人の問題である

コンサルタントの第3の法則
料金は時間に対して支払われるのであって、解答に対して支払われるのではない、ということを忘れてはならない

今回は、コンサルタントの第3の法則についての考察を深めることにします。この法則は、一見すると、依頼主からできるだけ多くの時給をふんだくるべきだという主張にとれないこともありませんが、決して主旨はそうではありません。優秀なコンサルタントが課題解決という成功報酬型でのフィー体系の構築に挑み続けたのですが、それに成功した人が極めて少ない、という事実を端的に表したものなのです。

最近は、流行りのクラウドサービスの構築をお手伝いして、コストダウンや収益の拡大を緻密に測定し、コンサルタントの貢献度を客観的に信頼性高く評価して、成功報酬型のビジネスを展開されている強者も散見されますが、まだまだ一般的ではありません。なぜなら、そういうコンサルタントによるビジネスモデルの確立のためには、

依頼主に、
① 問題が確かに存在している
② その問題が会社に多大な悪影響を及ぼしている
③ その問題を解いたコンサルタントには相応の報酬が支払われるべきである
④ 相応の報酬とは具体的に、赫赫然然の根拠で、●●円が適切だ

という4つのことを認めさせる必要があるのです。これらを認めさせるのはたいそう難儀なことです。実際に、コンサルタントになってみて請求する立場になってみる、コンサルタントに報酬を支払う立場になってみると、その納得・合意の難しさが身に染みて分かるはずです。

 

■ 「手柄の法則」

本書(P7)より。

本音では、依頼主となるマネージャーたちは、
「私たちは経営課題が何であるかを知っているのです。私たちはその課題を解決しようとしています。それゆえ、コンサルタントを雇ったのです」
と胸を張って経営者に言いたいと思っています。
しかし、コンサルタントの契約期間が終了すると、彼らはこう口にするでしょう。
「私たちにこの課題が解決できるはずがないじゃありませんか。私たちは料金の高いコンサルタントを3か月も雇ってこの問題の解決に当たったのです。それなのに彼らにはこの問題を解くことができなかった。つまりこれは最初から解決不可能な問題だったのです」

つまり、依頼主であるマネージャー達は、課題解決をコンサルタントから買いたかったのではなく、上司に対するアリバイをコンサルタントから買いたかっただけなのかもしれないのです。

コンサルタントの第3法則から導かれる帰結のひとつは「手柄の法則」

誰の手柄になるかを気にしていたら、何も達成できない

逆説的に、成功報酬としてコンサルタントが課題解決したことによってフィーを支払ってもらうことは、すなわち手柄を立てたと認めてもらうことであり、それは依頼主であるマネージャー達の方で、依頼する前から解答が存在している(していた)ということを認めてくれている必要があるのです。解答が存在していることを認めてもらうためには、そもそも問題が存在していることを認識してもらっている必要があるのです。

課題も解法も最初から分かっているのなら、そもそも外部から高いフィーを払ってコンサルタントを雇うことはあり得ないでしょう。何が何だか分からないけどまずい状況にある。藁にもすがる思いでコンサルタントを雇ってみる。そういう状況において、優秀なコンサルタントは、何が問題か曖昧なまま仕事の依頼が来て、誰がどうやって解決したかも曖昧なまま、契約期間を終えるようにします。問題の所在と問題解決の結果が明らかになったら、そこで次の注文は途絶えてしまうからです。

ここに不都合な真実があるのですが、まったく無能なコンサルタントも自分の責任の所在を曖昧にする目的で、上記の優秀なコンサルタントと同じ行動をとることです。無能なコンサルタントと違って、優秀なコンサルタントを雇った場合は、知らない間に、依頼主側で勝手に問題が解決されていることです。

 

■ 去りゆくガンマンのファンタジー

本書(P8)より。

手柄を認められることなしに仕事をすることは大変難しいものです。優秀ですが自己顕示欲が強いコンサルタントは、ついつい課題解決の手柄を自分のものであると主張する誘惑に駆られるものです。しかし、そこで課題解決を自らの手柄と、それこそ依頼主であるマネージャーの上司(経営者)にアピールしてみたらどうなるのでしょうか?

その行為は依頼主であるマネージャーのメンツをつぶす行為以外の何物でもありません。もし、問題がそれまで解決されずに放置されていたら、マネージャーたちは、問題を放置していた管理責任に問われる可能性があります。幸いにして、コンサルタントの手柄でその問題が解決されたとしても、その問題を解決できなかったマネージャーのタスク遂行責任やスキルの未熟さが上司からの指摘ポイントになることは火を見るより明らかなことです。

本書では、50年代から60年代にはやった西部劇の名シーンになぞらえて、望ましいコンサルタントの身の処し方を表現しています。

コンサルタントが仕事をひとつ終えて依頼先の企業から立ち去るとき、あたかも事件を解決したガンマンが夕日を背中にして、馬に乗って何処かへ去っていく。それを見送った町の人たちは、「一体あの人は何者だったんだろうか」とつぶやいて首をひねる。そういう自己満足だけで、名を汚すことなく、依頼先の課題も無事に解決し去っていく。そういう美学に鍛えられたコンサルタントの身の処し方。美しいだけでなく、商業的な成功ももたらすのではないでしょうか。

最後にワインバーグ氏のまとめの言葉を紹介します。

依頼主が感謝の気持ちを示さないときには、相手はこちらの仕事のあまりのすばらしさに口も利けなくなっているのだ、と思うことにしよう。ただしそれは自分のファンタジーであって、彼らのファンタジーではない、ということを忘れないように。

できるコンサルタントのように見せかけ、実際に課題解決しても、それは依頼主の手柄にしてしまう。それでも次の注文をもらえる魅力あるコンサルタントが最上の上。

東ニ課題アレバ行ッテ解決シテヤリ
西ニコマリハテタ依頼主アレバ行ッテソノ肩ノ荷ヲ負ヒ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフコンサルタントニワタシハナリタイ

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