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そうか、君は課長になったのか。(23)信頼する部下が「退職」を願い出たら - 君の思いを真剣に伝えなさい

本レビュー
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■ 部下が「退職願い」を持ってきたときに課長ができること、やるべきことは?

コンサルタントのつぶやき

このシリーズは、現在、東レ経営研究所特別顧問:佐々木常夫さんの16万部を超える「課長本」の決定版の1冊から、私が感銘を受けた言葉をご紹介(時には、私のつまらないコメント付きで)するものです。

佐々木さんのご紹介:オフィシャルサイト

まずは、佐々木さんのお言葉から。

部下のことを真剣に考えている課長であれば、部下が「退職願い」をもってきたらショックを受けるものです。
それが、コツコツといい仕事をする部下ならなおさらですね。君の戸惑いもよくわかります。
その部下は今34歳。20代の時に大きなミスをやって、同期が主任や係長になったのにいまだにヒラ社員。その処遇に不満を募らせた彼が、退職を決意したということのようですね。

今回も、まるで若い頃の自分を見ているようです。(^^;)

あなたなら、どう対処しますか?
佐々木さんの意見として、課長が採るべき対処法を次のように自分なりにまとめてみました。

1)彼の真剣度をきちんと確認する

→ 意志が固く、本気度100%のときは、

2)辞めたい理由を聞き、改善できるものは社内に掛け合ってでも改善して翻意を促す

→ 処遇や改善施策を打っても、時すでに遅しで、本人の意志が変えられないときは、

3)笑顔で彼を気持ちよく送り出してあげる

■ 部下が処遇や仕事環境に不満を持って「退職願い」を持ってきた背景を考える

おそらく、本人の退職の意志が固く、すでに転職先を見つけてきている時、ダメ元で説得することも大事です。どれだけあなたがその本人を大事に思っているか、惜しい人材と思っているかを伝えることには結果はともかく意味があります。たとえ、転職してしまっていても、その本人とあなたは同じ釜の飯を食った戦友だった時間を共有しています。そういう人とのかかわりは一生ものだからです。

しかし、同時に、不意打ちに近い形で「退職願い」を手にした時、本人がそうせざるを得なくなった状況を作り出した上司としての管理責任、課長職を全うしていたのか、自分に問いかける必要があります。

課長には部下全員を守る務めがあります。そして、部下全員を成長させる義務があります。不条理な人事運用がされていると考えるならば、それを改めさせなければなりません。

その努力をしているあなたの姿を、退職願いを出した本人が認めているのなら、説得に応じて退職を翻意してくれたり、そもそも退職願いを出すまでに至らなかったかもしれないのです。

私自身は転職を数回経験しています。佐々木さんが指摘されているように、転職は多くの場合、上手くいかないリスクが高い選択である、という指摘に全く持って同意します。そんな楽な転職は一度もありませんでした。それゆえ、佐々木さんの部下を本当に心配しているのなら、念には念を入れて遺留すべきという意見には賛成です。それでも、自分の経験に照らして、転職して良かった、と後から思うケースもあるのだということも言及しておきます。

■ 要は、今の仕事に対する姿勢が問題なのだ!

佐々木さんは、ご自身の思いを次のように綴られています。

長い人生のなかで、多少の処遇の不満など、実はそれほどの問題ではありません。むしろ、今、自分に与えられている仕事を運命だと考えて、全力を尽くすことこそがその人の幸せにつながることが多いのです。私は、いつでも辞める覚悟をもっていましたが、与えられた仕事を自分の天命と考え、コツコツ全力で取り組んできました。そのおかげで、この会社で一定の評価を得たものと感じています。

転職しない方が幸せだとか、自分に合った職を探して転職した方がよいとか、軽軽に言えないことはわかっています。転職を数回経験して、いいことも悪いこともありました。私は、これまでの転職を、現時点では後悔していません。過去においては極めて後悔していた時期もありました。どうしてそういう心境になったかというと、今の仕事に没頭することができているからです。

つまり、そのときに与えられた仕事、もしくは自分で名乗り出て背負ったミッションが生きがいにつながっていると感じられる時、そういう機会を得るきっかけとなった転職をしてよかったと思えるはずなのです。

だから、転職をした人の経験談から、「転職はいいことない」「転職して良かった」という正反対の評価を聞くこともあると思いますが、それはその人の現職での充実度がそういう感想につながっているだけの参考意見として聞くことが無難でしょう。

■ 結論として「転職」はいいことなのか?

「転職」自体が良い判断なのか悪い判断なのか、それ自体ではどうとでもなります。一番肝心なことは、他の会社に移ったとしても、ちゃんと通用するスキル、経験、知識、マインド、健康、人脈などを磨いておくことです。

社内ベンチャーという道もあります。同社内での転属や出向という選択肢もあります。個人起業やフリーランスという生き方もあります。

そういう選択肢が目の前に現れた際、そのチャンスを手につかむ決断ができるかどうか、実際に清水の舞台から飛び降りて転職してみて後悔しない職業人生を歩むことができるか、すべては日頃からの準備次第なのです。

「常在戦場」ならぬ、「常在転職」。

いつ転職しても困らないように、自分の人財価値を高めておくことが肝要かと。結果として、自分の人財価値がどれくらいかの自信度により、職業人としての岐路での賢い判断や飛躍のチャンスというものは、巡り巡って変わってくるものです。

表面的に転職を賛美したり、一生涯、同じ会社に勤め上げることを美化したり、そういう無責任な発言には一理も無くて、参考意見としても耳にする程の値もないかもしれません。

目の前の仕事をきちんとやる。お天道様は絶対見ています。あなたに具合の良い転職話をもたらすのも、転職せずに現状の課題を解決してくれる策をもたらせてくれるのも、自分自身が日々どれだけ真摯に目の前の仕事に向き合い、自分の成長の努力したかに依存します。

一般用例ではない「他力本願」。親鸞聖人によれば、あなたが正しい行いを紡いでいれば、阿弥陀如来の本願力によって、あなたが一番大事だと思っている願いをかなえてくれるはず。

転職を考えている人には、この「他力本願」という言葉の真意を贈ります。(^^)

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