そうか、君は課長になったのか。(25)「部下を守る」を勘違いしない - ”温情”が部下を殺すこともある

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■ 「会社」はゲゼルシャフトか、それともゲマインシャフトか?

コンサルタントのつぶやき

このシリーズは、現在、東レ経営研究所特別顧問:佐々木常夫さんの16万部を超える「課長本」の決定版の1冊から、私が感銘を受けた言葉をご紹介(時には、私のつまらないコメント付きで)するものです。

佐々木さんのご紹介:オフィシャルサイト

佐々木さんの言葉から。

私は、課長にとって部下は家族だと考えています。
もちろん、本当の家族のように、無条件で愛情をもつ対象にはなりえないでしょう。部下のなかには、自分とは性格の合わない人もいますし、可愛げのない人もいます。
しかし、それでも、私はできれば部下全員を家族同様に考えて、そのように対応したほうが仕事はうまくいくと思います。
そのほうが、部下にとっても、私にとっても、組織にとっても、効率がよいからです。それに、なんといっても、居心地がいいというか、組織へのロイヤルティが高まります。

ドイツの社会学者のテンニースによる定義ですが、世の中の「組織」「人の集合体」には2種類あるというのです。

(1)ゲマインシャフト
「共同体」:地縁、血縁、友情などにより自然発生した有機的な社会集団

(2)ゲゼルシャフト
「機能体組織、利益社会」:利益や機能を第一に追求する人為的に形成された社会集団

株式会社は、第一義的には「利益」を上げるために形成された「ゲゼルシャフト」と理解されています。しかし、そこで働く人たちのマインドに「ゲマインシャフト」の色合いがあったほうが、連帯感というか、共同体意識からチームワークが良くなって、組織全体の効率性が向上するとか、結果として、ゲゼルシャフトとしての利益追求の目的を果たす、という逆説的な理解を、私は浅学ながら持っています。

「部下を守る」というのは、この2つの会社組織観のせめぎ合いの問題だと思うのです。

■ 悪い守り方と悪い守り方がある!?

例えば、部下本人のミスでもなんでもないのに、当人の仕事の悪さ加減を誤解されて、非難されたり、責任を負わされそうになったら、全身全霊をかけて、誤解を解いて、部下を守らなければなりません。そういうあなたの毅然とした態度を見て、当人や周りの部下たち、引いては、取引先や上司も、あなたのことを立派な管理職だ、頼りがいのあるボスだ、と認めてくれることでしょう。そうなれば、あなたのチームワークは最高の状態に強化されるに違いありません。

一方で、例えば、ケアレスミスを繰り返したり、イージーミスで大ポカをしでかして会社に大損害を与えてしまった部下を庇うことは「悪い」守り方の典型例といえるでしょう。温情だけで部下を庇い立てするのは、本人にもチームにも会社にとっても百害あって一利なしです。

なぜならば、

(1)厳格な処分をすることで反省を促し、本人を成長させる機会を奪っているから
(2)会社への損害の責任の所在を明確にしないことは、職業上の規律をゆるくし、歪めるから
(3)そういうミスが大損害につながることを放置していたのは、あなた自身の責任であるから

あくまで手段としての「ゲマインシャフト」として、居心地の良い、帰属意識を高める職場づくりは、結果としての「ゲゼルシャフト」(すなわち、利益の創造)につながるので、会社経営にとって「善」ですが、温情で部下を甘やかし、微温的な環境を作り、なんとなく心地よい居場所を提供するのが株式会社の存在理由では決してありません。

■ 仕事のできない人にはどう対処するべきなのか?

仕事ができる、できない、の判断は軽軽にするべきではありません。たまたま、適職の配置でなかったり、与えられた機会を偶然的に活かすことができなかっただけかもしれないからです。ましてや、人の噂や評価を鵜呑みにして、部下の人事評価をするなどもっての外です。

管理職のあなたができることは、その部下が再び大きなミスをして、組織に悪影響を与えないような、仕組みや環境、チェック&バランスの工夫をしてあげることなのです。

人の仕事の出来栄えを本人の心得とばかり、責めたてる暇があるなら、そういう「しくみ」で損害や悪影響が出ないように「ダメージコントロール」のための施策を打つべきです。

一方で、課長は現場での教育係の役目があることも承知しています。だから、私も、真剣に部下の教育に心を砕き、時間をかけます。時には、同じことを何度も言うこともありますが、できるだけ、「それ、前にも言ったよね」というセリフだけは言うまいと心がけています。何度も同じ質問やミスを繰り返すということは、あなたの説明が分かりにくいのか、本当に部下に適職を与えていないかのどちらかだからです。

後者の場合は、他の職場がもしかしたら、その人の天職になるかもしれません。そう判断された時には、これも特に心を砕いて、真剣に適性を生かせる職場への異動に心血を注いであげるべきです。それでも、どこに行っても使い物にならない人が出てくるかもしれません。そういう場合は、お引き取り頂くしかありません。

佐々木さんは、

会社は人助けの組織ではなく、あくまで戦闘集団なのです。

という言葉を使われています。最後の最後の所、株式会社は「ゲゼルシャフト」なのです。

■ 仕事のできない人ではなく、命令に従わない人にはどう対処するべきなのか?

ある意味、命令違反を平気でする人は、チームで仕事をするうえで、仕事ができない人というカテゴリーに入るかもしれません。しかし、個人技の集合体で仕事が成り立っている職場においては、ある意味、腕の立つ一匹狼でも、仕事が務まることがあります。まあ、コンサルティングファームというところは、いささか、難しい職場に違いありませんね。(^^;)

そういう言うことをきかない人が職場に居るとき、リーダーである課長はどう対処すべきでしょうか?

元々、ダイバーシティの推進者であるべきだし、課長に批判的な意見を言ってくれる部下は却ってありがたい存在です。しかし、命令無視を続けられては、仕事が成立しないこともままあるでしょう。そういう場合は、毅然と部下を切る勇気を持つべきでしょう。

住宅金融債権管理機構の社長も務めた元弁護士の中坊公平さんは、かつて、

「正面の理、側面の情、背面の恐怖」

という言葉で、リーダーの指導者としての心構えを述べられました。

(参考)
⇒「平成の鬼平 中坊公平 部下を動かすリーダーの言葉

 リーダーが仕事を進めていくうえで、部下に対して、まず「理」で説得し、ときどき「情」でサポートする。しかし、「それで従わねば、わかっているな」ということです。
「恐怖」はなるべく使わないほうがいいのですが、しかるべきときに、しかるべき方法で使わなければリーダーとして仕事をすることはできません。

私から見れば、完璧な温情派にみえる佐々木さんですら、中坊さんのこの言葉を引いている。
まあ、マキャベリと孔子を足して2で割れば、立派なリーダーが一丁上がり。そういうことでしょうかね。(^^;)

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