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そうか、君は課長になったのか。(26)上司を味方につける - 対応を間違えば最大の障壁になる

本レビュー
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■ 直属の上司に対する賢い報告の仕方とは?

コンサルタントのつぶやき

このシリーズは、現在、東レ経営研究所特別顧問:佐々木常夫さんの16万部を超える「課長本」の決定版の1冊から、私が感銘を受けた言葉をご紹介(時には、私のつまらないコメント付きで)するものです。

佐々木さんのご紹介:オフィシャルサイト

ここから、第4章 社内政治に勝つ、のシリーズが始まります。

課長にとって最も大事な仕事のひとつに、直属の上司(部長)との密接なコミュニケーションをとって信頼関係を構築する、というのがあります。なぜならば、課の仕事をスムーズに進めるためには、上司を味方につけ、その力を最大限に課のために活用するのが得策だからです。大変心強い課の応援団となってもらうことです。

佐々木さんの実体験から来る工夫とは、

私が課長だったときは、常に部長のスケジュールを確認して、最も余裕のある日時を選んで、2週間に一度くらい、だいたい30分のアポイントを入れるようにしていました。
「定期的に報告し相談する」というのがミソです。一定のスパンで、上司と意見交換したり、相談したりすることが、上司の信頼を得ることにつながるのです。

佐々木さんは、上司との面談を実施する際には必ず用件を「文書」にまとめています。
「報告事項①、②、③、、、」
「相談事項①、②、③、、、」

紙にまとめれば、一覧で内容がすぐに部長に伝わりやすく、その後に口頭で説明しても頭に入りやすくなります。相手の理解に対する負担軽減は、こちらの理解を得る労力と反比例すると共に、理解してもらうこと出られる効用と比例するものです。

大抵の場合、報告事項について、部長は「ふんふん」を聞き流すだけです。だって部長だって自分の仕事で忙しいので、直属の部下とはいえ、一人一人の仕事っぷりや出来栄えにいちいち関心を持っていては身体と精神が持たないからです。

■ 直属の上司に対する賢い相談の仕方とは?

そのうえで、話の内容を報告から相談にシフトさせていきます。すると、部長は途端に話の内容に身を乗り出して、強い関心を示し始めるはずです。部長自身のより強いコミットメントが必要とされる話の内容になるからです。

このとき、賢いやり方は、「●●はどうすればいいですか?」と丸投げの相談の仕方は厳に慎むことです。代わりに、「●●について、A案は××というメリット、B案は△△という課題がありますが、私は、○○という理由で、B案を選びたいと思います」という風に、必ず、複数からなる選択肢と、ひとつひとつの選択をした場合のメリット・デメリット(判断の基準となるクライテリア)、最後にあなた自身の個人的な意見を加えます。

そうすると、大抵の場合、部長は「それでいい、お前の思うように進めてくれ」という風に返してくれる確率が高くなるでしょう。部長自身がすでに多くの問題を抱えていて、その上、部下の仕事上の問題にまで進んで首を突っ込みたいと考えている分けがないからです。自分の部下である課長が真剣に考えて、その理屈や思考プロセスまで簡単に示されて、よほどのことがない限り、筋が通っていれば、「それでいいよ、任せるよ」となるはずです。

■ 直属の上司の賢い活用方法とは?

前章で説明した方法にしたがって、上司のお墨付きを得たならば、あなたの仕事はやりやすさ、この上ないことでしょう。なぜなら、大手を振って、「この案件はすでに○○部長の了解を得ています」と、水戸のご老公ばりの印籠を前面に押し出すことができるからです。さらに、提案実行に際し社内の抵抗勢力に会い、にっちもさっちもいかなくなった場合、部長に再び相談に行って、「先日部長にOKをもらった件ですが、問題が起きて難航しています。何とかお力添えを頂けないでしょうか」と、上司の力を借りることもできます。部長も、以前に自分でOKを出した案件について、さらに助力を求められれば、自分でGOサインを出した手前、なんとか力を貸して、事をうまく進めざるを得なくなります。

佐々木さんによれば、

こうした力学をうまく使いこなせるようになれば課長としては一人前と言っていいでしょう。

できる課長は、

① 自分の持てるスキルを最大限に発揮する
② 部下の能力を余すところなく、引き出す
③ 上司の助力を最大限に活用する

この3つを全て、自分の仕事の推進力に合わせることができる人なのです。

■ 直属の上司に対する密接なコミュニケーションがもたらす副次効果とは?

ここまでお話ししたように、頻繁でかつ整然とした相談や報告をこまめに行うことで、従前の部長との面談から想定する所期の目的を達成することができるだけでなく、どんどん用件をこなすための所要時間を短くすることができます。それまで30分かかっていた相談は20分に、10分で行っていた報告は5分に。そうすると、アポイント時間に余裕が生じます。ここで早めに切り上げて、自分の仕事にかけられる時間を増やす選択もないわけではないのですが、ここは、せっかくのアポイント時間を十二分に有効活用しましょう。

時間一杯とって、用件が早めに終われば、部長は雑談を始めるはずです。人は他者とのコミュニケーションを好む社会的動物ですから。基本的には。

(参考)
⇒「経営戦略概史(4)メイヨーと「人間関係論」

この雑談は、部長自身の仕事の愚痴やらプライベートの話など、部長から一方的な話になるかもしれません。これに適切に相槌をうちながら、聞く態勢をとることが大事です。なぜなら、自分の悩み・愚痴を聞いてくれる相手には厚い信頼関係が築けたと感じるからです。

こうなれば、

① 厚い信頼関係から、より応援団としての味方度が増す(協力が取り付けられやすくなる)
② 部長の視野からいなくなる

②については、もう少し説明が必要でしょう。佐々木さんによれば、

さらにいいことに、部長が私を見なくなります。というか私が彼の視野から外れていくのです。なぜならば、「あいつは必ず2週間ごとに報告に来る」と思ってしまうからです。
そして、報告に来ない他の課長が気になって、「おい、あの件はどうなっている?」という声が飛ぶようになるのです。その課長は、宿題ができていないため、今やりかけの仕事をストップさせて、“あの件”に取り掛からなければならなくなるのです。

応援団になってくれた上に、仕事の推進上の障害物にもならない。そして、「あいつはいつもきちんと報告してくるし、よく考えている」と人事考課にもプラスになる。直属の上司との頻繁なアポイントは、一石三鳥といっても過言ではないのです。(^^;)

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