そうか、君は課長になったのか。(33)会社の常識に染まらない - 定時で帰って社外の人と付き合う

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■ 働き方改革の本質を考える。ワーク・ライフ・バランスの真の目的とは?

コンサルタントのつぶやき

このシリーズは、現在、東レ経営研究所特別顧問:佐々木常夫さんの16万部を超える「課長本」の決定版の1冊から、私が感銘を受けた言葉をご紹介(時には、私のつまらないコメント付きで)するものです。

佐々木さんのご紹介:オフィシャルサイト

 私は、会社の仕事はできるだけ効率的に済ませ、自分のプライベートの生活を大事にすべきであるという「ワーク・ライフ・バランス」の推進者です。
極力残業などせずに定時に帰ったほうが仕事の生産性も上がるし、プライベートも充実します。その結果、生活全体が充実したものになるのです。
会社にとってもメリットがあります。長時間労働で社員が疲弊することを防ぐことができますし、「働きやすい会社」として認められればより優秀な社員を集めることもできるでしょう。

と言いつつ、20~30代という若手時代に思いきり仕事に没頭することの重要性を説く佐々木さんと私は同意見です。ビジネスパーソンにとって、何かの領域でそれなりの結果を出すためには、寝ても覚めてもそのことを中心に考え抜き、自分の脳力(能力)を出し切って、これぞという達観というか、到達点に着地するためには、平凡な働き方では到底、時間がかかって所期の成果は得られないと考えます。

他の人が40代で到達するレベルに30代で先に到達するから、増々その分野・領域の仕事が舞い込み、他人より多くの経験を積むことができます。そうすることで、更に自分の技に磨きがかかり、自分の得意分野での差別化の域と極が明確になり、勝ち組への正のスパイラルに入ることができます。

もっと頑張れ、更にがんばれ、行きつくところまで頑張れ。今回は、それを口を極めて言いたいのではなくて、その先にあるものを考えて、働き方改革、ワーク・ライフ・バランスを語ろうとするものです。

 

■ 守りのワーク・ライフ・バランスと攻めのワーク・ライフ・バランス

ワーク・ライフ・バランスを口にしていいかどうか、その権利や権限という労働法的なこと、あるいはその人の大事にしているライフスタイルの視点に立つと、今から私の言うことははっきり言って的外れです。頑張って仕事をある程度究めた者がさらに先に行くための、攻めのワーク・ライフ・バランスを語ります。

自力本願で、刻苦勉励型で自分のスキルを磨いて、同年代よりも、いわゆる「仕事ができる若手のホープ」となった後のことを考えてください。その先も、ただ頑張って、他人との差別化を図って、そのまま成功(さらなる出世や、さらなる技量の向上など)した感じで、職業人を終えることができましょうか?

40代にもなると、急に体力と気力の衰えに悩まされます。無理に30代までのペースで仕事をやり続けても、早晩、体を壊すことでしょう。自分の健康は自分で守るしかないのです。そうでなくても、プレーイング・マネジャーなら、自分の一定量の仕事を仕上げながら、部下の面倒も見なくてはなりません。熟達者としての期待値もどんどん上がり、プレッシャーも強くなるうえ、部下のマネジメントにも大層な気力と時間を要します。そういう、もっと高度な判断業務を強いられる環境下で、これまで通り、目の前の仕事を頑張る自分では、そういう高度な判断業務に使える情報や経験は、はっきり言って不足していくのです。

偏った人間は、その偏見の中でしか、他人の仕事っぷりやより広範囲な職場環境を見ることはできないのですから。自分の視野の狭さを前提にして、その限界を超えるためには、もっと多様で未経験の領域での経験値を積む必要があるのです。それが、自己啓発としてのコミュニティへの参加や、読書、社外の人間との交流などから得られるものです。

そうです。これが、攻めのライフ・ワーク・バランスの目的なのです。

おそらく、会社人生だけでは得られない経験が、きっとあなたの熟年に差し掛かった人間力と教養を高め、結果として職業人として、管理職として一段の成長をもたらすキーとなるはずです。

守りのライフ・ワーク・バランスは、ワーカホリックになることによって、心身の健康を害することを回避できるように、自己を守ることが目的です。守るものは自身の体の健康だけではありません。あなたが健やかに仕事に専念できるために、プライベート(家族や友人など)環境を良好に整備しておく。これも守りのライフ・ワーク・バランスの範疇なのです。

 

■ 「社内の常識は世間の非常識」はDNAの問題だった!

佐々木さんによると、

 社外の人との付き合いの最大のメリットは、「社内の常識は世間の非常識」ということを肌で学ばせてもらえるということです。
会社での仕事ばかりに精を出していると、同じ会社に勤める同じような考え方、同じような価値観、同じような経験をしてきた人としか付き合うことができません。それだけでは、君の成長には不十分です。「井の中の蛙」になってしまうのです。

ということで、社外の勉強会への参加を強く推奨されています。このことをもっと掘り下げてみましょう。実は、この問題は人間のDNAとか、脳の機能の問題にまで至ります。

元来、小集団で狩猟をすることで、獲物を捕獲し、口にすることで栄養を補給して体格を向上させてきたホモサピエンス。集団で効率的に狩りをするために、言語を習得したとも言われています。その言語によるコミュニケーションの性質がここで問題になります。小集団は地縁・血縁からなるチーム。構成員同士の密接なコミュニケーションと高い相互理解力を極めるために、ジャーゴン・隠語(いんご)を発達させました。隠語とは、ある特定の専門家や仲間内だけで通じる言葉や言い回しや専門用語のことで、外部に秘密がもれないようにしたり、仲間意識を高めるために使われるものです。暗語(あんご)、集団語(しゅうだんご)などともいいます。

小集団の中での意思疎通を効率化するために、仲間内でしか通用しない言語やロジック、比喩方法を使いすぎるとどうなるでしょうか? もともと特定の集団においては、細かな微妙な内容を効率的に表現するため、専門家の間では専門用語、特定の業界人の間では業界用語が用いられます。そうです。そのチーム、その業界以外では全く通用しない「業界用語」のみでチーム内では効率的なコミュニケーションが成立してしまうのです。

幸いにも、私は、コンサルタントを生業としていますので、異なる集団(会社)の方たちとの交流を持つことができ、そういう罠には陥りにくくはなっています。現代日本でも、終身雇用は崩れてきていると雖も、まだまだ仲間内の言葉で会話することは多いと思います。あなたの使っている言葉は「業界用語」「専門用語」で、ちょっと隔たった人とは相通じることができかもしれませんよ。要注意!

ちなみに、プロ経営者がとある企業に請われて企業再建に挑みますが、成功する事例もあれば、失敗する事例も見聞きしていると思います。そういう場合、プロ経営者の失敗や成功を、とかく後付けで理由付けした報道が多く出るのですが、どれも本質を突いていないと断言できます。すなわち、いきなりグループ外からその集団に入った人が機能する、貢献できるためには、その集団内で交わされているジャーゴンを如何に早く理解することができるかにかかっているということ。

これは生体実験から得られたことですが、人間の脳内の言語理解のシナプスは一定期間で再構成・再構築され続けています。投入される組織・集団が違って、異なるジャーゴンが飛び交う組織に入った場合、シナプスの再構成に伴って、新たなジャーゴンによる会話成立に言語理解能力を得ることができます。プロ経営者が経営再建に成功するのは、たまたま偶然だったり、過去の成功体験の応用が効いた、という前に、ジャーゴンを脳内で効率的に処理することができ、新集団の中で会話が成立するようになったことがもたらす成功なのです。

さあ、あなたが職場で日常的に用いている言葉の内、どれくらいの比率のものが外の集団に属する人に理解してもらえるでしょうか?(^^)

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