本格的リニューアル構想中のため、一部表示に不具合があります m(_ _)m

孫子 第3章 謀攻篇 11 小敵の堅なるは、大敵の擒(とりこ)なり

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ 孫子の兵法(入門)
この記事は約3分で読めます。

■ 競合他社との戦力差を見極めて戦い方を変えることが必定!

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ

組織を率いて戦いを仕掛けるにあたって、敵と味方の戦力差により、必勝を期すための戦い方というものは当然に変わってきます。

1.自社が相手の10倍だったら、敵を包囲する
2.自社が相手の5倍だったら、敵に正面攻撃を仕掛ける
3.自社が相手の2倍だったら、敵を分断する
4.自社が相手と互角だったら、必死に力戦奮闘する
5.自社が相手より劣っていたら、巧みに相手の攻撃圏から退却・離脱する
6.自社が相手に全く及ばなかったら、上手く相手を回避して潜伏する

(言わずもがな、1.が最上)

それゆえ、小兵力のくせに頑固に相手に戦いを仕掛けても、敵の捕虜となるのが落ちである。

—————–
孫子と同様の主張をしているのが、「ランチェスターの法則」
(1914年にフレデリック・ランチェスターによって発表されたオペレーションズ・リサーチにおける戦闘の数理モデル)

1対1の戦い方の場合(第1法則)、彼我の戦力差は、単純差し引きで決まります。
自社の戦力が10で相手が6だった場合、 10 – 6 = 4 で、自社の戦力が「4」だけ残って、自社が勝者となります。

乱戦になる場合(第2法則)、彼我の戦力差は、2乗の差で決まります。
自社の戦力が5で、相手が3だった場合、 √(5² – 3²) = 4 で、自社の戦力が「4」だけ残って、自社が勝者となります。

この法則をランチェスターは、実際に「歩兵同士が一騎打ちする」「両軍が一斉に大砲を打ち合う」といった戦場での残存兵力を統計的にデータ解析し、こうした法則性を発見しました。

近年のマーケティング理論においても、「市場シェア1位」のトップ企業は、競合市場全体で、広告宣伝合戦や、新製品のリリース競争など、シェア2位以下の企業とは全面対決に持ち込んで、「第2法則」が当てはまる状況を作り出し、戦力の2乗の差で敵を圧倒しようとします。

一方で、弱者の戦法(シェア2位以下)としては、できるだけ1対1の勝負に持ち込んで、戦力差が勝率に与えるインパクトをなるべく減らそうとする(「第1法則」に持ち込む)、または局地戦に持ち込んで、その局面では相手を上回る戦力差を保持しようとします。

後者は、いわゆるM.ポーター流にいうと、「ニッチ戦略」ということになります。条件を限定させた小規模市場(セグメンテーション化)では、トップ企業より、ブランド浸透、技術革新、顧客囲い込みなどで先行し、トップ企業がターゲットとした「ニッチ市場」での勝負を諦めさせる戦法として有名です。

企業の競争戦略における基本的考え方である「ポジショニング戦略」の一点で、「孫子」「ランチェスター」「M.ポーター」は、地下水脈ではつながっている、そういうお話でした。

コメント