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孫子 第7章 軍争篇 31 諸侯の謀を知らざる者は

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ 孫子の兵法(入門)
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■ 知る、知る、知る。 情報を収集して分析して行動を意思決定する!

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1.
諸侯たちの利害計算の腹づもりが読めないのであれば、あらかじめ親交を結ぶことはできません。

2.
山岳や森林地帯、険阻な要害地帯や水沢地帯などの地形を呑み込んでいないようでは、軍隊を行軍させることはできません。

3.
地理に詳しい案内役を活用しないのでは、地形がもたらす利益を獲得することはできません。

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1.
戦争を行う近隣の諸侯たちが、敵国と自国のいずれに味方した方が得だと踏んでいるかを、あらかじめ洞察しておかなければなりません。もし第三国が敵側につこうとする場合、その理由が敵国の報復を恐れるところにあるのか、敵国に恩を売って、奪われた領土の返還を期待するところにあるかなど、その内部事情を探り出しておかないと、それに応じた手を打ち、その諸侯と敵国とを離間させることはできないからです。

逆に、同盟国・友好国に対しても、いかなる条件が消えたら、態度を翻して敵側に着こうとしているのか、その内情に精通しておく必要があります。これを怠ると、突如、敵側に寝返って、遠征軍が窮地に陥る恐れがあるからです。

これらは、現代ビジネスにおいても、同業界内でアライアンスを結んだ方が得か、組む相手を常に見極めることが大事だということに通じます。コンビニチェーンが、ポイント会社や物流会社のどの社と組むのか、業界を跨いで、物流・情報・サービスの最上の組み合わせを提供したグループが勝ちになります。ここでは、Winner takes all. 空間ビジネス(もはやコンビニは単なる物販会社ではない)での勝者は、根こそぎ利益を持っていきます。

2.
(孫子が想定する戦いとは、遠征戦なので、)常に他国の領内を進軍するのであるのだから、地図によって事前に地理を調査・検討し、最善の行軍ルートを選択しなければなりません。山岳は、稜線の陰に隠れた行軍にとって重要であり、森林は薪の補給や敵の伏兵を予想する上で重要です。谷間の一本道など、険しさを利して大軍を阻止できる要害の地は、自軍の進撃路や退却路を確保する上でも、あるいは敵軍の移動を制約する上でも、是非熟知すべき要地です。湖沼や河川といった水沢地は、兵士や牛馬の飲料水の供給や、行軍の遅滞などに関して、やはり重要な地域となります。

これらは、現代ビジネスにおいては、顧客ニーズを良く知ること、その市場の成り立ちを良く知ること、に通じます。市場は成熟しているのか?それともこれから成長途上にあるのか? それによって、クロスセルやコストセーブ的な機能商品の提供を優先するのか、アーリーアダプダー向けに、イノベーティブな機能性を持った新規商品を素早く提供するのか、市場と相対峙する方法も違ってくるというものです。

3.
ただし、地図と実際の地形とは異なることが多いから、図面のみでは正確に知り得ない地形については、その土地に精通した者を雇い、軍を手引きする案内役としなければなりません。これを怠ると、せっかくの地の利をむざむざ逃すことになります。

これらは、現代ビジネスにおいては、その市場や技術に精通している「人」を確保しなさい、ということになります。全くの未知の市場に進出するなら、その市場の経験者を雇う、できることならその市場のプレイヤーである会社を人ごと買収してしまうのです。その対象市場に関する情報がすべて「形式知」になっていることの方が珍しく、最後の決め手は「暗黙知」であることが多いことがまだまだ少なからずあります。人の知恵ほど貴重なものはありません。

以上の周到な配慮によって、大軍を率いて見ず知らずの土地を遠征し、敵との軍争に勝利を収めることも、初めて可能になるのです。



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