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■ リーダーの戦場の機微を読み切る力とは?

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ

土地の形状は、軍事行動の補助的要因です。

① 敵情がどうなっているかを推量する
② 自軍の勝利の形を策定する
③ 地形が険しいか平坦か、遠いか近いかを検討する

以上の3つを検討して勝利実現の補助手段に利用していくのが、全軍を指揮する上将軍の踏むべき行動基準です。こうしたやり方を熟知して戦闘を行う者は必ず勝利しますが、こうしたやり方を自覚せず戦闘を行う者は必ず敗れます。

戦闘の道理として自軍に絶対の勝算がある時は、たとえ主君が戦闘を禁止してもためらわず戦闘しても構いません。逆に戦闘の道理として勝算がない時は、たとえ主君が戦闘せよと命令してきても、戦闘しなくても構いません。君命を振り切って戦闘に突き進む時でも、決して功名心からそうするのではなく、君命に背いて戦闘を避けて退却するときでも、決して誅罰を免れようとせず、ひたすら民衆の生命を保全しながら、しかも結果的にそうした行動が君主の利益にも叶うような将軍こそは、国家の財宝なのです。

(出典:浅野裕一著『孫子』講談社学術文庫)

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この節は、軍隊という組織を率いる形式には多種多様なものがあるという説明から始まります。大軍を見せつけた示威行動、交戦を避けて迂回を繰り返し、追撃に奔走する敵を疲弊させる機動戦、敵を長期持久戦に引きずり込み、時間稼ぎをする陣地戦、敵城に対する水攻めや兵糧攻めといった包囲戦など、すべて軍事行動の一種で、決して、主力部隊同士の正面からのガチンコ対決だけが軍事行動ではないのです。

もっとも、主力軍同士の正面対決が、敗者に決定的なダメージを与え、短期に勝敗を決することができる分かりやすい勝利を得やすいという意味で、好まれやすい勝負のつけ方、戦場で選択したい行動になりがちです。

それだけに、将軍が戦闘形態として、主力決戦を選択する場合は、事前に十分な賞賛を整え、必勝条件をそろえて、味方を危険に貶めず、一か八かの危険な賭けにでることは絶対回避すべきです。そういうシーンで敗走した時のダメージは計り知れないものがあるからです。

その考えをさらに進めると、例え、戦えとの君命があったといえども、勝機が見えた時にしか戦わず、君主と国家に損害を与えないことを最善と考える将軍(現場指揮官)が好まれるのです。

しかし、功名心による動機からの無謀な戦闘突入や、敗死の恐怖という動機からの退却は、決して正当な抗命とは認められません。私利私欲から策謀をめぐらす者は、欲望に目が曇り、ついには計謀も破綻してしまうのが落ちです。明鏡止水の心境にて、事の成らんことのみを謀る者は、自己滅却と引き換えに事業の成功を得るのです。孫子は、将軍に対し、純粋な策謀家たれ、と教えてくれているのです。

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孫子 第10章 地形篇 49 進みて名を求めず、退きて罪を避けずhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/ab47f6b60b2243be5165d08fde098dfb-e1428423948658.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/ab47f6b60b2243be5165d08fde098dfb-150x150.jpg小林 友昭孫子の兵法(入門編)兵法,孫子,戦略,明鏡止水,自己滅却■ リーダーの戦場の機微を読み切る力とは? 土地の形状は、軍事行動の補助的要因です。 ① 敵情がどうなっているかを推量する ② 自軍の勝利の形を策定する ③ 地形が険しいか平坦か、遠いか近いかを検討する 以上の3つを検討して勝利実現の補助手段に利用していくのが、全軍を指揮する上将軍の踏むべき行動基準です。こうしたやり方を熟知して戦闘を行う者は必ず勝利しますが、こうしたやり方を自覚せず戦闘を行う者は必ず敗れます。 戦闘の道理として自軍に絶対の勝算がある時は、たとえ主君が戦闘を禁止してもためらわず戦闘しても構いません。逆に戦闘の道理として勝算がない時は、たとえ主君が戦闘せよと命令してきても、戦闘しなくても構いません。君命を振り切って戦闘に突き進む時でも、決して功名心からそうするのではなく、君命に背いて戦闘を避けて退却するときでも、決して誅罰を免れようとせず、ひたすら民衆の生命を保全しながら、しかも結果的にそうした行動が君主の利益にも叶うような将軍こそは、国家の財宝なのです。 (出典:浅野裕一著『孫子』講談社学術文庫) ----------------- この節は、軍隊という組織を率いる形式には多種多様なものがあるという説明から始まります。大軍を見せつけた示威行動、交戦を避けて迂回を繰り返し、追撃に奔走する敵を疲弊させる機動戦、敵を長期持久戦に引きずり込み、時間稼ぎをする陣地戦、敵城に対する水攻めや兵糧攻めといった包囲戦など、すべて軍事行動の一種で、決して、主力部隊同士の正面からのガチンコ対決だけが軍事行動ではないのです。 もっとも、主力軍同士の正面対決が、敗者に決定的なダメージを与え、短期に勝敗を決することができる分かりやすい勝利を得やすいという意味で、好まれやすい勝負のつけ方、戦場で選択したい行動になりがちです。 それだけに、将軍が戦闘形態として、主力決戦を選択する場合は、事前に十分な賞賛を整え、必勝条件をそろえて、味方を危険に貶めず、一か八かの危険な賭けにでることは絶対回避すべきです。そういうシーンで敗走した時のダメージは計り知れないものがあるからです。 その考えをさらに進めると、例え、戦えとの君命があったといえども、勝機が見えた時にしか戦わず、君主と国家に損害を与えないことを最善と考える将軍(現場指揮官)が好まれるのです。 しかし、功名心による動機からの無謀な戦闘突入や、敗死の恐怖という動機からの退却は、決して正当な抗命とは認められません。私利私欲から策謀をめぐらす者は、欲望に目が曇り、ついには計謀も破綻してしまうのが落ちです。明鏡止水の心境にて、事の成らんことのみを謀る者は、自己滅却と引き換えに事業の成功を得るのです。孫子は、将軍に対し、純粋な策謀家たれ、と教えてくれているのです。現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します