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孫子 第12章 用間篇 66 明主・賢将のみ、能く上智を以て間者となし – 昔の偉い人はスパイを上手に使う

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ 孫子の兵法(入門)
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■ 間諜をうまく使って天下を獲ったお話

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殷王朝が天下を奪ったとき、伊摯(いし)は妥当すべき夏王朝の中枢に間諜として潜入していました。周王朝が天下を奪ったとき、呂牙(りょが)は妥当すべき殷王朝の中枢に間諜として潜入していました。

ただ聡明な君主や智謀に優れた将軍だけが、非凡な知恵者を間諜として敵国の中枢に送り込んで、必ず偉大な功業を成し遂げることができるのです。こうした間諜こそ、軍事全体の枢機であり、全軍がそれを頼りに行動する道標となるのです。

(出典:浅野裕一著『孫子』講談社学術文庫)
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中国古代の王朝の変遷、夏→殷→周の交代は、それはもう同じパターンでの政権交代劇として歴史書に書き表されているので、上記のお話も、間諜の重要性を強調するがための創作・誇張が一部入っているのかもしれませんが、その固有名詞はおおむね史実通り、おっと、歴史書通りです。

孫子は王朝交代期に活躍した間諜の例を挙げながら、敵国の中枢で諜報・調略活動を行う間諜の重要性を力説しています。こうした大物スパイがもたらす情報こそ、君主や将軍が戦略を立て、全軍が作戦行動に従事する際の、またとない指針となるのです。現代ビジネスは、3C(自社、コンペチター、市場)の三すくみで戦略を立てる必要があります。コンペチターへのスパイの行使は現代法に差し支えるがあるので、市場に対する情報収集ならば、合法的に活動できるでしょう。

古くは、女子高生や主婦にモニターになってもらって、使用感をヒアリングしたり、座談会を催して商品開発のアイデアを提供してもらうなど、各種モニタリング・マーケテイング手法がありますが、古くは孫子の時代からの敵(市場にいる顧客をそう呼ぶのは抵抗がある人がいるかもしれませんが)からの情報収集の重要性を説く、必勝法に習っていると考えれば、至って合理的な手法といえましょう。

さらに現時点では、消費者の行動を知るためには、ネットの力を利用した、個々の消費者の消費行動をビッグデータとして解析して、徹底的に個人にカスタマイズしたレコメンド商法が幅を利かしています。

(参考)
⇒「(経済教室)憲法学のフロンティア(上)AIのリスクに対応急げ「個人の尊重」揺るがす恐れ 山本龍彦・慶応義塾大学教授

この中で、ECサイトのレコメンド機能におけるフィルタリング手法として、強調フィルタリング、コンテンツ・フィルタリング、ハイブリッド・フィルタリング、レコメンド機能を活用したWebサービスとして、パーソナライズ機能、リピート表示機能、補てん機能、テキストマイニング機能などを紹介しています。

その昔は、腹心の部下を、敵国の中枢に送り込むことに成功したならば、それだけで勝利は既に確約されたも同然でした。現代ビジネスにおいては、消費者(市場)の中に、AIやビッグデータ収集の機能を潜り込ませれば、勝利(市場での寡占)を手繰り寄せることが可能になります。いつの世でも、情報戦を制する者の上に勝利の女神は微笑む、ということでしょうか。(^^;)

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