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孫子 第13章 火攻篇 67 火に攻むるに五有り – 孫子お得意の間接的攻撃 敵の隙をついて勝利を得るために

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ 孫子の兵法(入門)
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■ 火攻めを成功させるためには、内応者の存在と仕掛けるタイミングが大事 !

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火を用いる攻撃方法には5種類あります。

(1)火人(かじん)
兵営に火を放って兵士を焼き討ちにする

(2)火積(かし)
野外の集積所に貯蔵されている物資を焼き払う

(3)火輜(かし)
物資輸送中の輜重部隊を焼討ちする

(4)火庫(かこ)
屋内に物資を保管する倉庫を焼き払う

(5)火隧(かつい)
甬道(ようどう)や桟道(さんどう)などの行路を炎上させる

火攻めの実行には、自軍に内応したり、敵軍内に紛れ込んで放火する破壊工作員がその任に当たります。内応者や破壊工作員は、火攻めを計画する場合、必ず前もって用意する必要があります。

火を放つには適切な時節というものがあり、放火後、火勢を盛んにするには適切な日というものがあります。火を付けるのに都合の良い時節というのは、天気が乾燥している時候のことです。火災を大きくするのに都合のよいタイミング、風が盛んに吹き始める日を選びます。

(出典:浅野裕一著『孫子』講談社学術文庫)

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孫子の兵法を締めくくる最後の章になりました。この章では、火攻めの戦術を説明すると共に、戦争に対する慎重な態度の必要性を説いて、全13章を締めくくる内容になっています。

火攻めには、内応者の協力をとりつけること、タイミングを見計らうことが大事とされます。

「(1)火人」の場合、内応者や敵兵を装って潜り込んだ工作員は、頃合いを見計らって幕舎に火を放ちます。火が燃え広がると同時に、待機中の部隊が混乱に乗じて攻撃を仕掛け、敵の人員に大損害を与えます。

正面突破や大軍の激突を前提にした戦いでは、味方の損耗も激しくなるため、孫子の兵法では、味方の損耗をできるだけ回避するために、間接的アプローチで敵を打ち破る、または味方の優勢を保つことを最善としています。

「(2)火積」「(3)火輜」「(4)火庫」では、敵の軍用物資が主な攻撃対象とします。これによって、敵が運搬中ないし貯蔵中の兵糧や武器・兵装などを大量に焼失させることで、敵軍の戦力を著しく低下させ、そもそも十分な戦力・実力で戦いそのものをできなくさせることを目的とします。

「(5)火隧」では、敵の補給路や行軍路・橋梁などを焼き払うもので、糧道を絶たれたり、移動中の部隊を分断されたりした敵が、思うように以後の軍事行動を展開できなくなり、作戦行動を大幅に制限させることを目的としています。

弱兵が強兵に勝つための「ランチェスターの法則」や、競争がそもそも激しいレッドオーシャンではなく、勝易きに勝つ「ブルーオーシャン戦略」にも通じる競争戦略のコンセプトを、遥か、2000年以上前から簡潔な言葉で綴っている「孫子の兵法」。恐るべし、古代の兵法書です。(^^;)

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