■ 長期持久戦からは得るものは少ないものです。短期決戦での勝利が効率的
第2章を通して説明した理由から、戦争では速やかな勝利こそ最高とみなされ、決して長期戦を高く評価することはありません。
戦争の利害・得失を熟知する将軍(組織のリーダー)は、人民(組織メンバ)の死命を司(つかさ)どる者であり、国家の安危(あんき)を左右する者となるのです。
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第2章「作戦篇」のまとめになります。
「孫子」における「作戦」とは、「戦いを作(おこ)す」ことを意味し、「国内で軍を編成した後、外征軍を派遣するために必要な軍費と国家経済との関係」を、ひたすら説明しています。
敵地に遠く軍を派遣することは、戦費の負担を増し、戦費の重圧による国家経済の疲弊を念頭に置けば、「速戦速勝」こそが最良の方策となります。
現代ビジネスに置き換えれば、投資に見合う利益が得られ、その事業が割に合うか否かを見定められるリーダーのみが、その組織の構成メンバの福利厚生と士気の向上を達成でき、同時に組織に成長と安全を与えることができるのです。
投資回収に長い期間を要する新規事業案件を評価する際には、利益を得るまでに長い時間がかかること自体が「リスク」であるとみなさなければなりません。投資回収を果たすまでに長い時間を必要とすればするほど、前提とする外部経済環境が大きく変化し、頼みにしている新技術の陳腐化の恐れが増大し、コンペチターが新しい試みで顧客を奪っていく可能性が大きくなります。
もし仮に、「DCF(Discounted Cash Flow)法」で、投資採算性を評価しているのでしたら、通常のリスク(割引率)に、リスク・プレミアムを上乗せすることをお勧めします。
→「リスク調整後割引率」の使用
時間の暴力というものは、なかなか侮ることはできません。
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