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■ どうすれば相手から「YES」を引き出せるのか?

コンサルタントのつぶやき

日経新聞朝刊のキャリアアップ欄に興味を引く記事があり、かつ有識者のインタビューもありましたので、ここにサクッと早読みで記事紹介をさせて頂きます。

2015/11/10付 |日本経済新聞|朝刊 「YES」引き出す 交渉術、こう磨け

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「営業や社内外の折衝など仕事をする上で欠かせない「交渉」。ビジネスのグローバル化で交渉相手が多様化し、その難易度は増している。どうすればスムーズに相手から「YES」を引き出せるのか。ハーバード・ロー・スクール教授で交渉術の第一人者であるグーハン・サブラマニアン氏と、LINE時代に海外企業も含め多数の交渉を経験した森川亮氏に極意を聞いた。」

「相手と分かち合う行為」ということで、多くの日本人には不得意な印象があったり、何かきな臭い響きのする「交渉」で成功する秘訣が紹介されていました。下記でご紹介する有識者2人に共通するポイントとして、次の3つが挙げられています。

・交渉の極意
(1)双方が利益を得る(いわゆるウィン-ウィン)
(2)相手の関心や優先順位をよく知る
(3)国民性や文化の違いを理解する

この3つはミッシー(MECE:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)にはなっていない印象は受けますが、大事なメッセージであることは確かです。要は、交渉相手のことをよく知り、交渉上で相手が納得・合意してくれる落としどころを見つけること。でも、これだけ聞くと、単にお互いに妥協して、何らかの合意を取り付けるだけで、何がいいことあるの? と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

それでは、有識者お二人のご意見を拝見してみましょう。以下、記事を抜粋・一部簡略化しています。

プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中

■ 良い聞き手、相手からも信頼 ハーバード・ロー・スクール教授 グーハン・サブラマニアン氏

①「交渉」とは何か?
「交渉は戦いだと思われがちだがそうではない。『問題に対して共に解決するためのアプローチ』と考えるべきだ。ほとんどの場合で双方が利益を得る結果を導ける」

優れた交渉者は聞き上手。
『アクティブリスニング』と呼ばれる手法で、
1)相手が言ったことを要約して確認する
2)相手に質問して興味があることを示す
3)(賛同するかは別にして)相手の言い分を認める
ことが大事だとか。

②日本企業が海外との交渉で気を付けるべきことは?
「日本人は聞くのが得意かもしれないが、もっと『聞いている』ことを相手に伝えるべきだ。グローバル展開するためには相手の文化を知るとともに、日本文化がどう見られているか理解しておくことも大切だ。一般的な外国人には『日本文化は近寄りがたく理解するのに時間がかかる』との認識がある。このような認識に気付くことは、交渉前の準備に役立つだろう」

日本人のメンタリティや文化的態度から、前述の『アクティブリスニング』をもっと前面に出さないと損するよ、ということと、日本人がどう見られているか、なかなか理解され難い存在であるとの自覚を持ってということ、について気を付けた方が良いそうです。

ハーバード×MIT流 世界最強の交渉術—信頼関係を壊さずに最大の成果を得る6原則

■ 信念持ち、優先順位見極めて LINE前社長 森川亮氏

①経営者として交渉で心がけていることは?
「企業間の交渉は、信念を持っているかどうかが重要だ。(中略)こうした信念に相手が賛同してくれれば、商談などの交渉は条件面を詰めるだけでスムーズに進む。(中略)交渉相手の優先順位を見極めることも大事だ。金額の多寡なのか、契約の条件面か、相手が最も重視しているものを理解しなければ交渉もまとまらない」

2つのポイント。信念を持ち、それを相手に示すことと、交渉相手の優先順位を見極めて攻めどころを心得ておくこと。

②「交渉」にマイナスイメージを持たずにどう挑めばよいか?
「相手にとってメリットになる内容を提案する姿勢を持つようにしてきた。条件面でこれ以上は妥協できないという金額や内容をきちんと線引きしておいた方がいい。あえて自社の弱みを伝えておくこともお薦めする。弱みを隠して交渉に成功しても、その後のトラブルに発展することもある」

森川さんは、条件面で妥協できない項目を事前に決めておくとか、弱みを敢えて伝えるとか、おっしゃっていますが、一番大事なポイントは、「相手にとってメリットになる内容を提示する」ことではないかと私は読み取りました。

シンプルに考える

■ おそれながら、現役コンサルタントはどう交渉に挑んでいるか?

この投稿を書いた日も、クライアントと「交渉」してきたばかりです。「打ち合わせ」「すり合わせ」「会議」「とりまとめ」「意識合わせ」という名で呼ぶ行為はほぼ毎日行っています。その中で私はどう「交渉」に挑んでいるか? あまり手の内をさらすと、このブログの読者には、クライアントの方々が多数いらっしゃるので、交渉に不利になる、とは全然思っていません。むしろ積極的に私の姿勢を知ってもらいたいと思っています。

というのも、私が「交渉」にあたって、大事にしていることは次の3つだけだからです。

(1)相手への「共感」「シンパシー」を大事にする
(2)相手が「YES」と言いたくなる(と思う)ことしか持ち出さない
(3)相手にとって本当に利益になることだけを考える

(1)相手への「共感」「シンパシー」を大事にする
森川さんは、国によって、韓国は人間関係を大事にするけど、中国や欧米諸国はビジネスライクだから、と指摘されていますが、私は基本的に相手に「共感」することは万国共通に大事で、「交渉」を成功につなげる秘訣になると思っています。相手に「共感」する気持ちを強く持つことで、私が大事にしている(2)や(3)のヒントが脳内に閃くからです。最初からどうでもいいと思っている人のことを一生懸命考えても、建設的な意見もアイデアも閃いたことは決してありません。相手に同化すると、相手が大事に思っていること、相手が困っていることに思いを馳せ巡らせることができます。

(2)相手が「YES」と言いたくなる(と思う)ことしか持ち出さない
これは、森川さんと同じ気持ちで、基本的に相手のメリットになること、賛意・同意が得られること、しか持ち出さないからです。私は、ゼロサムゲーム的な思考は交渉の場に決して持ち出しません。「交渉」は相手の納得、成功、満足のために、諸条件を整える場と考えているからです。その諸条件の実現のために、「私自身に何ができるか?」しか考えないからです。こういう思考を持ち合わせるまでに、社会人になってから20年かかりました。(^^;)

(3)相手にとって本当に利益になることだけを考える
さらに、(2)の思考を進めると、表面的に相手が「メリット」「利得」と思っていることが、突き詰めると、「弥縫策」だったり、「逆効果」だったり、後から「しっぺ返し」があることに気付くことも多く、そういう場合は、目先の自分の利益からではなく、本当の相手の利益のために、相手を説得するようにしています。決して、自己の利益誘導のためではありません。これも誤解を受けやすい表現なのですが、あえてこの場で言及すると、「優しい嘘はついてよい」と思っています。相手が気持ちよく騙されて、結果として、相手の利益になっていれば、口先の誘導は結果として許されると思っています。これは、自分の内面だけの、自分基準なのですが、上記の(1)が前提になっているので、罪の意識は持っていません。

明日、明後日、私と打ち合わせをする読者(クライアント)の方々、直接お会いした時に、この私の独白に対して、是非、ご感想をお聞かせください。

m(_ _)m

ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術

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「YES」引き出す 交渉術、こう磨けhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-e1428166267398.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-150x150.jpg小林 友昭新聞記事・コラム交渉術,森川亮,グーハン・サブラマニアン■ どうすれば相手から「YES」を引き出せるのか? 日経新聞朝刊のキャリアアップ欄に興味を引く記事があり、かつ有識者のインタビューもありましたので、ここにサクッと早読みで記事紹介をさせて頂きます。 2015/11/10付 |日本経済新聞|朝刊 「YES」引き出す 交渉術、こう磨け (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 「営業や社内外の折衝など仕事をする上で欠かせない「交渉」。ビジネスのグローバル化で交渉相手が多様化し、その難易度は増している。どうすればスムーズに相手から「YES」を引き出せるのか。ハーバード・ロー・スクール教授で交渉術の第一人者であるグーハン・サブラマニアン氏と、LINE時代に海外企業も含め多数の交渉を経験した森川亮氏に極意を聞いた。」 「相手と分かち合う行為」ということで、多くの日本人には不得意な印象があったり、何かきな臭い響きのする「交渉」で成功する秘訣が紹介されていました。下記でご紹介する有識者2人に共通するポイントとして、次の3つが挙げられています。 ・交渉の極意 (1)双方が利益を得る(いわゆるウィン-ウィン) (2)相手の関心や優先順位をよく知る (3)国民性や文化の違いを理解する この3つはミッシー(MECE:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)にはなっていない印象は受けますが、大事なメッセージであることは確かです。要は、交渉相手のことをよく知り、交渉上で相手が納得・合意してくれる落としどころを見つけること。でも、これだけ聞くと、単にお互いに妥協して、何らかの合意を取り付けるだけで、何がいいことあるの? と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。 それでは、有識者お二人のご意見を拝見してみましょう。以下、記事を抜粋・一部簡略化しています。 プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中 ■ 良い聞き手、相手からも信頼 ハーバード・ロー・スクール教授 グーハン・サブラマニアン氏 ①「交渉」とは何か? 「交渉は戦いだと思われがちだがそうではない。『問題に対して共に解決するためのアプローチ』と考えるべきだ。ほとんどの場合で双方が利益を得る結果を導ける」 優れた交渉者は聞き上手。 『アクティブリスニング』と呼ばれる手法で、 1)相手が言ったことを要約して確認する 2)相手に質問して興味があることを示す 3)(賛同するかは別にして)相手の言い分を認める ことが大事だとか。 ②日本企業が海外との交渉で気を付けるべきことは? 「日本人は聞くのが得意かもしれないが、もっと『聞いている』ことを相手に伝えるべきだ。グローバル展開するためには相手の文化を知るとともに、日本文化がどう見られているか理解しておくことも大切だ。一般的な外国人には『日本文化は近寄りがたく理解するのに時間がかかる』との認識がある。このような認識に気付くことは、交渉前の準備に役立つだろう」 日本人のメンタリティや文化的態度から、前述の『アクティブリスニング』をもっと前面に出さないと損するよ、ということと、日本人がどう見られているか、なかなか理解され難い存在であるとの自覚を持ってということ、について気を付けた方が良いそうです。 ハーバード×MIT流 世界最強の交渉術---信頼関係を壊さずに最大の成果を得る6原則 ■ 信念持ち、優先順位見極めて LINE前社長 森川亮氏 ①経営者として交渉で心がけていることは? 「企業間の交渉は、信念を持っているかどうかが重要だ。(中略)こうした信念に相手が賛同してくれれば、商談などの交渉は条件面を詰めるだけでスムーズに進む。(中略)交渉相手の優先順位を見極めることも大事だ。金額の多寡なのか、契約の条件面か、相手が最も重視しているものを理解しなければ交渉もまとまらない」 2つのポイント。信念を持ち、それを相手に示すことと、交渉相手の優先順位を見極めて攻めどころを心得ておくこと。 ②「交渉」にマイナスイメージを持たずにどう挑めばよいか? 「相手にとってメリットになる内容を提案する姿勢を持つようにしてきた。条件面でこれ以上は妥協できないという金額や内容をきちんと線引きしておいた方がいい。あえて自社の弱みを伝えておくこともお薦めする。弱みを隠して交渉に成功しても、その後のトラブルに発展することもある」 森川さんは、条件面で妥協できない項目を事前に決めておくとか、弱みを敢えて伝えるとか、おっしゃっていますが、一番大事なポイントは、「相手にとってメリットになる内容を提示する」ことではないかと私は読み取りました。 シンプルに考える ■ おそれながら、現役コンサルタントはどう交渉に挑んでいるか? この投稿を書いた日も、クライアントと「交渉」してきたばかりです。「打ち合わせ」「すり合わせ」「会議」「とりまとめ」「意識合わせ」という名で呼ぶ行為はほぼ毎日行っています。その中で私はどう「交渉」に挑んでいるか? あまり手の内をさらすと、このブログの読者には、クライアントの方々が多数いらっしゃるので、交渉に不利になる、とは全然思っていません。むしろ積極的に私の姿勢を知ってもらいたいと思っています。 というのも、私が「交渉」にあたって、大事にしていることは次の3つだけだからです。 (1)相手への「共感」「シンパシー」を大事にする (2)相手が「YES」と言いたくなる(と思う)ことしか持ち出さない (3)相手にとって本当に利益になることだけを考える (1)相手への「共感」「シンパシー」を大事にする 森川さんは、国によって、韓国は人間関係を大事にするけど、中国や欧米諸国はビジネスライクだから、と指摘されていますが、私は基本的に相手に「共感」することは万国共通に大事で、「交渉」を成功につなげる秘訣になると思っています。相手に「共感」する気持ちを強く持つことで、私が大事にしている(2)や(3)のヒントが脳内に閃くからです。最初からどうでもいいと思っている人のことを一生懸命考えても、建設的な意見もアイデアも閃いたことは決してありません。相手に同化すると、相手が大事に思っていること、相手が困っていることに思いを馳せ巡らせることができます。 (2)相手が「YES」と言いたくなる(と思う)ことしか持ち出さない これは、森川さんと同じ気持ちで、基本的に相手のメリットになること、賛意・同意が得られること、しか持ち出さないからです。私は、ゼロサムゲーム的な思考は交渉の場に決して持ち出しません。「交渉」は相手の納得、成功、満足のために、諸条件を整える場と考えているからです。その諸条件の実現のために、「私自身に何ができるか?」しか考えないからです。こういう思考を持ち合わせるまでに、社会人になってから20年かかりました。(^^;) (3)相手にとって本当に利益になることだけを考える さらに、(2)の思考を進めると、表面的に相手が「メリット」「利得」と思っていることが、突き詰めると、「弥縫策」だったり、「逆効果」だったり、後から「しっぺ返し」があることに気付くことも多く、そういう場合は、目先の自分の利益からではなく、本当の相手の利益のために、相手を説得するようにしています。決して、自己の利益誘導のためではありません。これも誤解を受けやすい表現なのですが、あえてこの場で言及すると、「優しい嘘はついてよい」と思っています。相手が気持ちよく騙されて、結果として、相手の利益になっていれば、口先の誘導は結果として許されると思っています。これは、自分の内面だけの、自分基準なのですが、上記の(1)が前提になっているので、罪の意識は持っていません。 明日、明後日、私と打ち合わせをする読者(クライアント)の方々、直接お会いした時に、この私の独白に対して、是非、ご感想をお聞かせください。 m(_ _)m ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術 // < !]>現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します