■ 私がプロジェクトリーダーとして心に秘めている言葉とは?
It marks a big step in your development when you come to realize that other people can help you do a better job than you could do alone.
人間は、優れた仕事をするためには、自分一人でやるよりも、他人の助けを借りるほうが良いものだと悟ったとき、偉大なる成長を遂げる。
(アメリカの実業家「鋼鉄王」/ 1835~1919)
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事業会社からコンサルティングファームに転職したときから現在に至るまで、短い助走期間を経て、そのほとんどの時間をプロジェクトマネージャーとして、プロジェクトメンバの力を借りて仕事をすることを当たり前にしてきました。
正直に告白しますが、最初は自分の腕に絶対の自信があったので、メンバを顎で使うことも普通にありました。どうして、若手は自分と同じ作業品質の結果を、自分と同じ時間内で出すことができないのかと、自分と同じでないことに目くじらを立て、早く自分と同じことができるようにと、急き立てるように何度も何度も、なだめすかし、脅し怒り、早く成長してもらおうと躍起になっていました。
しかし、ある時、気が付いたのです。それは、傲慢であり完全に間違いであると。
自分のコピーを造ろうとしても失敗します。その人にはその人の長所・短所、性格の向き不向き、専門分野の違いが最初からあるのですから。最初から、その人流にしか、その人は成長しないのだと。
それより、いろいろな個性が寄り集まって、シナジーを発揮し、それぞれが持ち前の長所を持ち寄ってこそ、チームとして最善の結果が出せるのではないでしょうか。
当然、クライアントが要求することに対して、先達として、自分の最善のアドバイスをメンバには施します。しかし、それは、過去の自分が信じ込んでいた「俺が絶対正しい、俺の言うことを聞け!」という押しつけにならないよう留意しています。
メンバ個々人の長所を引き出しつつ、クライアントの要求に足りないところを補強する。自分一人の腕や技の問題ではなく、チーム力を最大にするための創意工夫。それは、個々のメンバの人格を、これまでの経験を、持っている固有の知識をリスペクトするところから出発します。
私はまだまだ、カーネギーのレベルには到底及びませんが、自分の経験と知識を全てさらけ出すことで、道を示し、具体的な方法論のヒントを出すようにしています。後は、個々のメンバの持前の能力を発揮してもらって、クライアント要求を充足してもらいます。
自分にとっての当り前を、できるだけ分かりやすく、その人が理解できる道筋から説明する。そうすることで、自分一人だと、せいぜい2人前の仕事しかできないものを、例えば5人で20人前の仕事ができるチームを組成する。
「人造り」というところまでの心境にはまだ至っていませんが、「チーム力」の最大限の発揮ができる素地づくりに日々汗をかいています。
一応、チームメンバから、「あなたは、一体、毎日何をしているのですか? 何もアウトプットがありませんよね」と言われた時の言い訳として、ここに記しておきます。(^^;)
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