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音楽教室で文化を育て楽器市場開拓!ヤマハの音楽文化戦略 ヤマハ株式会社社長・中田卓也 2015年9月3日 TX カンブリア宮殿

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■ 世界最大楽器メーカー 教室卒業生は500万人

コンサルタントのつぶやき

世界唯一の総合楽器メーカー。あの「ピアニカ」は、ヤマハの登録商標。そしてピアノの世界シェアは、第1位の32%。世界にあるピアノの3台に1台はヤマハ製だ。静岡県掛川市にある、東京ドーム5個分の広さの掛川工場で、年間2万台のピアノを作っている。世界シェアトップの秘密、それは高価だったピアノを安価に大量に製造できるように機械化したこと。製造装置も全て、ヤマハが開発した。機械化の一方で、美しい音色を生み出すための工程は、人の手で。品質のいいものを安く大量に。いち早く取り組んできたことで、1969年には、日本のピアノ生産台数を世界一に押し上げた。

ヤマハの創業者は、山葉寅楠。1987年、尋常小学校のオルガンを修理したことが創業のきっかけだった。寅楠は学校に目を付けた。良いピアノを作れば、学校に売れる!やがて、日本中の学校が販売先になっていった。そしてピアノ以外の需要があることに気付いた。ハーモニカ、縦笛、木琴、次から次と子どもたちが手にする楽器を作ると、売れに売れた。それが、ヤマハが総合楽器メーカーになる礎になったのだ。

創業者の先見性が4代目社長の川上源一に引き継がれ、4代目が1953年に欧米を視察した際、ある家庭に招かれた。川上をもてなしたのは、家族の演奏によるギターやピアノのアンサンブル。そこで感銘を受け、「音楽を楽しむ文化を日本につくろう」と、一般家庭にも楽器の需要が掘り起こせると考え、1954年、ヤマハ音楽教室を開始した。それまでのピアノ指導は個人指導が当たり前。そこに、グループレッスンの形を取り入れ、友達と一緒に音楽を学べるようにした。

ヤマハ音楽学校には、独自のメソッドがある。

① 幼児科(4~5歳児が対象)では、まず音を聞き、ドレミで歌う。
② 歌って楽しんでから楽器を弾く

楽器を弾く目的から、まず弾かせるのではなく、音楽を好きになってもらってから楽器を弾いて、音楽を楽しんでもらうようにしている。

音楽を楽しんでいる人が増えなければ、楽器も普及しない。ヤマハは音楽教室で音楽の文化を広め、楽器が売れる下地を作ったのだ。60年前の1954年、生徒数150人、国内ピアノ販売1万台から、1964年、生徒数20万人、国内ピアノ販売13万台と、爆発的にピアノが普及した。

 

■ 音楽文化を作って130年 ヤマハの感動戦略

静岡県・浜松市に、従業員2万人、売上高4322億円の、音楽文化を作ってきたヤマハの本社がある。

ヤマハ音楽教室で学んだ後、小学校からギターを始め、中・高とバンド活動に熱中した現社長の中田氏いわく、
「ヤマハは、125年の歴史の中で、普通の会社ではないくらいの発展、広がりをもってやってきた。何でも作ってしまおうという文化がある。」

中田卓也_カンブリア宮殿_20150903

番組公式ホームページより

何でも作ってしまう気質のヤマハが作ったのが、電子音にすることで音を消したサイレントピアノ。今、音が出ない楽器が求められている。きっかけは、1974年に神奈川県でピアノ騒音殺人事件が起こったこと。これを契機に、サイレントバイオリン、サイレントチェロと、次々とサイレントシリーズを制作した。

「公益社団法人発明協会」が、発表した「戦後日本のイノベーション100選」には、インスタントラーメン、ウォークマン、コンビニ、トヨタ生産方式、新幹線、カラオケなどと並び、ヤマハ音楽教室が入っている。その入選に社長の感想は、

「最初は我々は何をしたんだろうと思った。他がほとんどハードウェア。何をソフトで、我々がイノベーションしたんだろうと。きちっとしたメソッドを確立したところが発明とうこと。総合教育。ただピアノがうまくなるのではない。1人よりもグループでやった方がいろいろな楽しさも出てくる。競争したり、一緒に喜んだりとか、教育の上でいいと分かったので、ずっと続けている。」

「音楽教室の卒業生は500万人。音楽の楽しみを身に付けた人がそれだけいる。ある一定の役割を果たせたんじゃないかと思っている。」

 

■ 最高峰コンクールの裏側 知られざる闘いに密着

社長による今春の説明会で一節。
「ヤマハは世界一の楽器メーカーと言われる。規模的には世界一だが、それは総合優勝。個人戦では必ずしも金メダルを取り切れていない。それぞれのカテゴリーで金メダルを取りにいこう。」

そこで金メダルを目指したのは、シェアで世界一のピアノ。実は、プロが使う最高機種において、ヤマハはトップブランドではない。世界のトッププロに選ばれるピアノ。その悲願をかなえる挑戦が始まった。

舞台はロシア・モスクワ。この国が生んだ最高級の音楽家、チャイコフスキーにちなんだコンクールが4年に1度開かれる。「チャイコフスキー国際コンクール」。ヤマハのピアノがコンクールで使用される公式ピアノの一つに選ばれたのだ。コンクールに持ち込まれたピアノは、現場で調律が行われる。

調律師の片岡さんいわく、
「ピアノの個性を引き出せるような調整をやっていく。」

公式ピアノは4社あり、出場者が自由に選べる。片岡さんが最も意識するライバルは、アメリカの「スタインウェイ&サンズ」。150年以上の歴史を持つ、最高級ピアノの代名詞。これまで、出場者の多くに選ばれてきた絶対王者だ。より多くの出場者にヤマハのピアノを選んでもらい、スタインウェイの牙城を崩したい。それがヤマハにとっての金メダルなのだ。

出場者がピアノを選ぶ日がやって来た。出場者は厳しい予選を勝ち抜いてきた36名。イタリアの「ファツィオリ」、米国の「スタインウェイ」、日本の「河合楽器」、そして「ヤマハ」。出場する36名中、スタインウェイを選んだのが26名。ヤマハを選んだのは4名に留まった。

決勝に残ったセルゲイさんは2回戦まではヤマハを使ってくれていた。そういう厳しい状況を中田社長もしっかり受け止め、世界でどのような音が求められているのか確かめようと、コンクール会場にまで足を運んだ。

「決勝は課題曲が違ってくるとか微妙なことがあった。残念ではあった。車でいうと『フェラーリ』というのがある。すごい車を作っているが、商売としては世界一ではない。誰もが憧れるそういうものを作りたいと思っている。挑戦は続ける。」

村上氏の質問。「スタインウェイとの差はどれくらいか?」

「音量に関しても、決して負けてないと思う。事実、チャイコフスキー国際コンクールで、1998年と2002年にヤマハのピアノを選んだ出場者が優勝もしている。しかし、どこの会場に行っても、スタインウェイが設置されている。この歴史的な厚み、ゆえに弾き手が慣れている。コンクールでは一番慣れているものを使う。それを押してでも弾きたくなるくらい圧倒的な差をつける必要がある。」

さらに、村上氏が質問。「ピアノシェア世界一で十分では?それに加えて、有名なコンクールでプロに使ってもらいたいという思いとはどんなものか?」

「音楽は必需品ではない。みんなが憧れるものを作って初めて「これを使ってみたい」と思われる。だから、(ああいったコンクールみたいな場で)真剣勝負で腕を磨き合うのは非常に大事。」

「「新たな感動と豊かな文化を世界の人と一緒につくる」が企業目的。次々と新しいもの、これでしかできないというものを提供し続ける。それが我々の存在価値。」

 - 突出したものに挑み、新たな感動を -

 

■ ヤマハが生んだ「ボカロ」 10代の音楽文化が激変

パソコン上で歌声を合成するソフト「ボーカロイド」もヤマハが開発した。

開発担当者、剣持さんによると、
「自分の手掛けた製品や技術を使って、世の中の人が新しい価値を見出す。あるいは、幸せになっているのを見るのが一番のモチベーション。」

そして新たなサービスをネット上で始めている。「ボカロネット」。それは、歌詞を入れると自動に作曲してくれるというもの。

社長いわく、
「10代のカラオケランキングを聞いた時、最初は冗談かと思った。なぜ、ボカロの曲をカラオケで人間が歌わなきゃいけないのか。最初は、人間では歌えないような曲を作ったら、それをまねするが若者にとって、ひとつの文化になった。」

「ヤマハがあの文化を作ったわけではない。「面白そう」とお客さんが飛びついて、それを使って新しい文化を作る。ボカロがまさに典型的で、次々とやっていきたい。我々ができると思っていない。我々が素材を提供して、きっかけになるものを作り出すことができれば、世の中の先進的な人たちが、それを使って新しいものを作ってくれる」

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番組ホームページはこちら
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20150903.html

ヤマハのホームページはこちら
http://jp.yamaha.com/

ボカロネットはこちら
https://net.vocaloid.com/

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