■ 独創的なサービス連発 密着!カリスマ経営者
今日の放送は、カドカワ株式会社代表取締役社長で株式会社ドワンゴ代表取締役会長の川上量生さん。ドワンゴは動画投稿サイト、ニコニコ動画の運営会社。
『誰かの“ハッピー”のために』
川上さんいわく、ニコ動に動画をアップするのもコメントを書き込むのも無駄なこと。でも無駄なことを楽しいと思うのが人間だ、その楽しさを提供することはいいことだ、誰かをハッピーにすることだから、という信条を持つ。
(公式ホームページより)
動画投稿サイトや高音質の着メロサービスで業績を伸ばしてきた川上さん。そうした独創的な企画について、突拍子もないひらめきは無いと言い切る。ただあるのは”理屈“だけ。“アイデア“など信じていないそうだ。天からひらめきが降ってきて、それが革新的なサービスを生み出してきたと思っていたが、最初から予想を裏切られた。。。
ニコ動などのサイト運営で年商300億円。川上さんは創業者で現在は会長職に就いている。取り留めもないことをずっとやっている。全く別のことをやっている際に、新しいアイデアを思いつくのだそうだ。なんだ、やっぱり“アイデア”という言葉でひらめきが脳内に発生する状況を言い表しているんだ。でもそれを思いつくプロセスが普通と違うということを強調していた。
1000人の社員と共に、常に15以上のプロジェクトを抱える川上さん。どんな企画にも川上さんが貫く大原則があるそうだ。
『無いものを、作る』
「世の中に無いものを作るのが重要。世の中は大事なものから順につくられている。だから今ないものはそれほど重要なものではない。時代や状況が変わり、それまで重要でなかったものが重要になったり、それを必要とする人が出てきたりする。そんなニーズがあるけど世の中に無いものを創ろうとしている。」
まさしく、変化のスピードが著しいITの世界で生きている経営者の言葉に含蓄があった。機敏に世の中の変化に対応して、ニーズが生まれそうになったものに即応する。そのスピードで同業他社を出し抜くという競争戦略だ。
■ あの動画サイトはこうして生まれた 経営者・川上量生の哲学
2000年代初頭、インターネットが爆発的にヒットし、YouTubeなど、多くの人が自作の動画を投稿して楽しみ始めていた。川上さんはそこに違和感を感じていた。楽しんでいるのは動画を投稿している人だけ。投稿動画を見ている人は本当に楽しんでいるのか?
「受け身はつまらない。人間は何か情報を発信したい、特に若い人はそういう欲求が強いはず。自分にはそれが簡単にできないから他人が作るコンテンツを楽しんでいるだけ。もしできることなら自分がコンテンツを作りたいと思っているはず。」
そこで、川上さんは視聴者がコメントを発信して表現者となり得るプログラムを開発。それがニコ動になった。さらに、川上さんの慧眼に驚く。
「メールもブログもチャットも全部文字で表現されている。インターネットの中で飛び交う情報で一番大事なのは“文字”。」
だからコメなんだ!! インターネットはデジタルだけど、文字は感情がダイレクトに伝わるのだ! だけど、個人の好みだとおもうけど、私がニコ動を視聴する際には、コメントオーバーレイは消すんですよね。もう情報量が多すぎて、いわゆる弾幕でスクリーンがいっぱいになって画像情報がストレートに脳に入ってこなくなるから。
それに加えて、川上さんの哲学がある。ニコ動が無くても生活はしていけるし、コメントもすぐ消えるし、すべてが無駄。でも、
『無駄をしてこそ、人間』
川上さんが言うには、「今の世は、たいそうな理想が世の中を支配していて、それが立派なだけに世の中を息苦しくしている。人間の本質は無駄なことをするものだから、そういう無駄なことを認めることは、人間の本質を認めること。それを認めることができれば、生活はもっと気楽になっていきやすくなるんじゃないかな。そうじゃないと、科学がどんどん発達していって、息苦しくなる。理想を肯定するじゃなくて、現実を肯定するところから始まる。」
人間は理想だけでは生きていけない。なるほど。楽しめるメニューが多いほど、人生が豊かになる。そういうことを川上さんは目指している。人間の本質を追求して、言ってしまえば娯楽を提供するサービスで業績を上げてきた。なにはともあれ、人間とは何か? 一見真面目な会社も、娯楽サービスを提供する会社も、人間の本質を理解していると、本当に社会に必要とされている価値を提供できる会社になれるのか。
(番組公式ホームページより)
■ 新企画はこうして生まれる 経営者・川上量生の哲学
川上さんは新しい企画を立ち上げる時、なぜそれが今までなかったのかをとことん考え抜くのを常としている。これまでに無いものを創るために、大事にしている流儀。
『ひらめきに、飛びつかない』
(番組公式ホームページより)
「面白い企画がある時に、どうしてこれまで無かったのかをとことん考える。理由を見つけていないと必ず失敗する。天からのひらめきなんて考えていない。ひらめきみたいなアイデアは信じない。」
あらゆるリスクについて分析に分析を重ねる。そして、時代を感じ取れる鋭敏な感覚も評価されているそうだ。あくまで理詰めで物事を考えて、時代の変化に鋭敏に反応できる。その強力なセンサーとロジックはどうやって生み出されたんだろう。やっぱり先天的なものなんだろうか。凡人に無理???
川上さんは、5年前からスタジオジブリに週一で通ってプロジューサー業を学んでいる。異分野を学ぶことで発想の引き出しを増やそうとしている。さらに、数学の専門家を雇い、高度な数学を学習している。そうすると、思考のベースが変わるから、他の人が思いつかないアイデアを考えつける、アイデアの幅が出ると信じている。アイデアをひねり出すことにとことん貪欲な姿勢を示す。そうか、イチローも絶えることのない修練で、3000本安打に到達したんだ。努力を惜しむ人に、いたずらに独創的なアイデアも、想像を超える力も宿らないんだ! やることをやる人に、それ相応のスキルが身に着いていく。至極当然のこと。その当然を怠ってしまって、他人の努力の成果だけに目が行くのはダメですよね。
■ カリスマ経営者の発想法「思考のベースを変える」
『誰とも競合しない 自分だけの道』
川上さんが言うには、
「競争した瞬間に自分じゃなくなる。競争すると必勝法とか定石が生まれる。必勝法とか定石の無い、誰も通ったことのない道なら、どこを通ってもいい。進んだ後に道はできる。多分誰も通ったことのない道は間違っている。だけど、誰も通っていない道を選んだからといってその道を選択した間違いはたいしたもんじゃない。間違ってもいいもの。好きな道を進む。そうすれば、自分だけのユニークな道ができる。」
どうせ一度きりの人生なら、誰も通ったことのない道を歩きたい。その思いが今の川上さんを作り上げた。今一度考えた方がいい。「みんなと一緒の道だから、安心して進める」のか、「誰も通ったことのいない道なら、好きな方に進める」のか。多分、他人と違うことに耐えられる勇気の問題なんでしょうね。自分も、老舗の大学ですが、新設の学部に1期生として入学して、誰もが(教授もね)暗中模索で教育プログラムを実践している中で、学生生活を送りました。それは貴重な4年間だったと思っています。遅まきながら、今、Facebookを始めて、友達探しをしているんですが、大学生時代の同期生たちが、本当にいろんな分野で活躍していて、結構変わり者だと思っていた自分以上に多岐にわたる分野で好きなことをしている人達がいることを再確認している最中。(^_^)/
■ 独創的なサービス連発 密着!カリスマ経営者 その2
ニコニコ大会議とか、ニコニコ超会議と呼ばれるイベントも川上さんの発案。でもこれ実は大赤字だそうだ。だけど、川上さんはこのイベントをある理由から大事にしている。川上さんは個人の嗜好としては、誰も支持しないものが好き。だから、川上さんの個人の好みで企画をしても決して当たらない。それは本人も自覚している。だから自分の感性でマーケティングは決してしない。絶えず、ユーザの楽しんでいる顔色を見て、企画を考えるのだそうだ。
立派なカリスマ経営者になぞらえるのは大変失礼なことだけど、この部分だけは自分にもあてはまる。自分は結構レアでコアなものが好き! だけど、周りの人に言っても、あまり受けない。それは経営コンサルティングの現場でもそう。それに、いや、それだからこそ、クライアント・ファースト。顧客が本当に望んでいるものは何かを常に考え続けている。ここは重要で、決して顧客に迎合しているわけではないんです。お客様自身が課題と思って解決したいと思っていることが、大した問題ではなかったり、お客様が本当にやりたいことに気づいていないこともある。課題は正当なものかもしれないけど、これまでのアプローチが悪くって、好ましい結果になっていないこともある。自分は、徹底的にクライアントに寄り添ってコンサルティングを実践しています。ここで、自分の好みや、過去のプロジェクトの成功体験を押しつけると全てがパーになる恐ろしさを、教訓として既に経験済みだから。おっと、独白が長くなりました。番組プロットに戻りましょう。
「ユーザの顔を見て、何が流行りそうかなと考える」
■ カリスマ経営者・川上量生 心に刻むある“戒め”
次々と人々を楽しませるサービスを繰り出してきた川上さんの原点は意外な所にあった。京都大学のパソコンサークルで、パソコン通信に夢中になった。1991年、パソコンの小さな卸売会社に就職したが、大手企業との競争に敗れ倒産。再就職が決まらない中、取引先の人がネットゲーム制作会社を起業を勧められて、その通り起業した。ネット世界の住人に救いの手を差し伸べようと、ネットで知り合ったゲーマーたちを雇ったが、彼らは全く仕事をせず、日がなゲームに明け暮れていたため、仕方なく解雇せざるを得なかった。
川上さんは言う。
「自分は性格がいいということを拠り所にして生きてきた。だけど、会社をつくると、人を疑い、人を怒り、ほんとに嫌な自分になりました。」
そこで、川上さんは会社経営を人に任せ、自分は現場仕事に没頭することにしたそうです。そうして巡り会ったのか、あのニコ動。でも再び、ニコ動にしか居場所がない人達に居場所を作ってあげたと思っている。人を救おうとして失敗した起業したての時の教訓があるにもかかわらず、そういう思いを持てるなんて、やっぱり川上さん、性格がいいじゃないか。(^^)/
「人を救うなんて目標を立てることは傲慢であり、そんなことを人生の目標にしてはいけない、と反省した。できる範囲以外のことは絶対にやらない。」
■ 目指すは”未来のエリート校“ 経営者・川上量生の新たな挑戦
川上さんがネットで授業を受けられる高校を創ったのは2年前。ちゃんと、単位を取れば高卒の資格も得られる。
「理想を実現するのはハンデ戦」
「覚悟を持った闘い」
不登校の若者を救ってあげたいから。やっぱり、どこか性格がいい所がにじみ出ている! だけど、だからこそか、思ったように生徒が集まらない。現場担当者たちは、打開策として、リアルな担任の先生を50人に一人置いて、学習のサポートを強化するサービスでテコ入れしようとアイデアを持ってきた。そこに、川上さんは中国語をやろう! と切り出した。英語よりも中国語。先生も不足しているのは、それだけ競合が参入してこない証拠という。これから中国語が就職に有利とも。川上さんいわく、中国語にも力を入れているという姿勢は、保護者にたいしていいイメージをアピールできるとした。
「次世代の学校を作りたい。ネット時代により最適な教育を施す学校。未来のエリート高校を創ったつもりで、実はそこに集まるのは、今の高校教育から落ちこぼれた人たち。今の落ちこぼれ達が逆説的に次世代のエリートになるという。実はそんなハンデがあるポジションにはいないんだよというメッセージを発したつもり。」
何度も言うようでしつこいけど、川上さんは本当に性格がいい。この本当に純真な理想に社員たちはついていっているんだろう。番組ではそういう伝え方はしていなかったけど、企業が組織である以上、創業者やリーダーたちのビジョンや価値観に共鳴して業績は伸びる。そのことを十分に証明してくれているケースであることが垣間見れました。
教育事業のスタッフが調べたところ、日中貿易32兆円と巨額な割には、英語教育市場規模が7000億円に比べて、70億円と圧倒的に小さい。就職の有利さについても、日本語が使える中国人を雇った方が企業も採算がいいのだそうだ。だって、ハングリーな日本語ができる中国人の方が使えるのだそうだ。これは、語学だけの問題なのか。いたって、日本人の草食化というか、ゆとり、というか、覇気のなさの表れか? 昭和世代のおじさんの繰言に過ぎないのならいいけど。これが杞憂に終わることを、、、(^^;)
そこは、川上さんは、コンピュータが登場した時も、そんなにコンピュータは有望じゃないと言われていた、やっぱり中国語ニーズが将来的に高まっていく、どこもやらない中国語をやっているというのが他社との差別化なる、という理屈で返した、と番組は伝えている。んー、残念ながら、この部分はナレーションに賛同できない。これくらいで、理屈で返したと本当に言えるのか? 川上さんの思い入れの強さだけが画面から伝わってきたポーションでした。
プロフェッショナルとは、
プロフェッショナルって言ったら、誇りを持って仕事をしているかどうか
だけですよね。どんな仕事をしていても、それが下手くそであったとしても、
それを自分の仕事だと思って、誇りを持って、自身を持ってやっている
人って見てて尊敬するし、僕もそういうふうになりたいですよね。
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プロフェッショナル 仕事の流儀2016年8月22日の番組ホームページはこちら
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→再放送8月29日(月)午後3時10分~午後3時59分 総合
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