■ 課長だけが、部下の成長にコミットできる職位である
このシリーズは、現在、東レ経営研究所特別顧問:佐々木常夫さんの16万部を超える「課長本」の決定版の1冊から、私が感銘を受けた言葉をご紹介(時には、私のつまらないコメント付きで)するものです。
佐々木さんのご紹介:オフィシャルサイト
課長には部下を育成する責務が課せられています。本書では、部下の育成について次のようにまとめています。
1)部下本人にも無自覚かもしれない潜在的な能力を見出してあげる
2)部下の能力を伸ばして、組織業績に貢献させる
3)部下本人に自信と実力を付けさせる
4)部下に対する周囲の信頼を勝ち取らせる
この4点セットが全て成立して初めて、部下を育成したと言えます。伸び盛りの部下が一番の成長期に、課長として朝から晩まで、仕事時間の間、一緒に働き、彼らはあなたというお手本(反面教師かもしれませんが)を見てビジネスパーソンとして成長します。つまり、課長は部下の成長にコミットする力を持っている、部下一人一人のその後の人生を左右するかもしれない力を持っているのです。
■ 部下の育成は大変だけど、課長には何も見返りはないのか?
部下一人一人の仕事にコミットし、指導し、フォローするのは大変手がかかる大仕事です。課長自身がこなさなくてはならないタスクを持ちながら、一方で部下の面倒も見なくてはなりません。それぞれのメンバの力量、やる気、性格、得意分野もバラバラなのに、課長一人で個々人にきめ細かく対応していくのは大変骨の折れる作業です。課長が自分でやった方が早く手仕舞える仕事も多々ありますし、実際に自分でやりたくなる誘惑にかられることもままあるでしょう。また、中でもできる部下に重要な仕事を重点的に振ってしまうことも考えられます。
しかし、課長自ら手を動かして仕事を手仕舞ったり、できる部下にだけ仕事を任せたりしていては、課長となって最高の喜び、あれこれ面倒を見た部下が成長する姿を目にすることを、自らの意思で放棄してしまうことになります。会社から給料をもらいながら、部下の成長を見守ることができるなんて、大層素晴らしい経験ではありませんか。
さらに、手塩にかけた部下は、課長のことを好きになる可能性がより大きくなります。ひょっとしたら、尊敬してくれるようになったり、一生もののお付き合い、家族ぐるみのお付き合いに発展するかもしれません。仕事を離れても、より良い人間関係を築けることは、人生の幸福感もより大きくなるというものです。
■ 部下の育成において気をつけることとは?
部下の育成に心を砕いて指導して手をかければかけるほど、思うように部下が育たないジレンマに陥るかもしれません。一般論として理由ははっきりしています。それは、一般の会社の仕事は大抵は平凡なものだからです。その部下でないときっちりこなせない仕事というものはそうざらにあるものではないからです。それゆえ、ありきたりの仕事を与えただけで、部下が意欲を示して与えられた仕事に邁進し、仕事を通して自分を成長させようとする意欲を引き出すことは大層骨が折れます。
佐々木さんによると、その辺の課長が留意すべき点は次の通りです。
1)たとえ平凡な仕事でも、その仕事が何のために存在するものなのか、存在理由を明確に示してあげる
2)人は誰でも誰かに貢献したい気持ちを持っているので、その仕事が誰のためのものかを明確に伝えてあげる
3)何のための仕事で、どの作業水準までやるべき仕事なのか、ゴール設定をしてあげる
この3つを明確にしてあげないと、部下は達成感を感じることもできませんし、仕事が不首尾に終わった時に反省もできなくなります。
部下を育成することは課長の仕事。
そのために、部下にやりがいを与えるのも課長の仕事。
そして、部下が成長するのを見届ける(見守る)のも課長の仕事。
ちょっとだけ、部下が間違ったら気づかせてあげて、間違った方向に傾いたら的確な方向に軌道修正のきっかけを与えてあげて、自らの成長を陰ながら助けてあげるのが課長の指導方法の本道です(本当は課長ならその部下の全ての仕事の状況を俯瞰的に眺めることができ、全体観を見通せていることが前提で)。(^^;)
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