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経営管理 その管理対象

経営管理(基礎)
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■ 「経営」を「管理」する

経営管理(基礎編)
経営管理」は検索サイトで調べると山のように定義や解説が出てきます。テイラー、ファヨールから始まって、「マネジメント」というカタカナが日本ですっかり定着したドラッカーの論説を延々説明してもいいのですが、あくまでこのシリーズは「基礎編」ですので、可能な限り平易な説明に努めます。
「経営管理」とは「経営」という行為対象と、「管理」するという行為から成り立つ言葉です。したがって、管理対象となる「経営」とは何かをまず説明します。次回は「管理」するという行為の意味を説明する予定です。

 

■ 概要把握はあくまで一枚のチャートで

(↑「はあくはあく」と韻を踏んでみましたが。。。失礼しました)
全体像を俯瞰(ふかん)してから、細部に入り込み、また全体観(感)でパーツパーツの構成を確認する、学習法としてはひとつの効率的方法だと思います。百聞は一見に如かず。まずは、下記チャートをご覧ください。
経営管理(基礎編)_経営管理対象
経営管理の対象とする領域は、筆者のコンサルティング経験を参考に、大別すると次の4つです。

  1. 事業ポートフォリオ
  2. エンジニアリングチェーン
  3. サプライチェーン
  4. 組織

(このチャートはグローバルに展開する製造業をモデルに作成しています。ひとつひとつの用語について、小売・サービス業等ではどのように言い換えるとフィットするか、後ほど言及します)
経営管理対象とは、「経営活動」そのものを意味します。経営活動は個々の企業ごと、業界ごとに様々な形態を持ち、時々の経営課題に対応して、重要度・優先順位も可変的です。したがって、このチャートが唯一無二の整理法と主張するつもりは毛頭ありません。
ただ、一つ言えるのは、あなたが経営者になったつもりで(既に経営者の方には失礼しました)、全社を眺めて、そこで働いている人の顔、お客様やサプライヤーの方々の顔を思い起こしてみてください。全関係者の顔を思い浮かべて、そこで行われている仕事を丹念に挙げながらこのチャートにマッピングして、どこにも当てはまらないものがありますでしょうか。
(もし、発見されたら是非、このブロクの「コメント」や「問い合わせフォーム」から、お手数ですが筆者にご教授ください。チャートを改良したうえで、皆様にもう一度お見せいたします)

 

■ ひとつひとつの管理対象を説明します

《事業ポートフォリオ》
セグメント、ポジショニング学派、PPMなどの用語が想起される領域です。あなたの会社が、どんな商品・サービスを提供して、誰を顧客としているか、コンペチターと競っているモノ・コト・場(ば)が「事業」でその集合・組み合わせが「ポートフォリオ」です。
単一商品しか扱っていなくても、お客様を国内、北米、欧州、アジア、または都道府県別といったエリア別にカテゴライズして、地域特性や客層に応じたセールス活動を展開していれば、そのエリア・プロモーションの種類が立派な事業ポートフォリオになります。
また、例えば、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン ならば、ブランドが事業ポートフォリオになり得るかもしれません。
Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン)
LOEWE (ロエベ)
CELINE (セリーヌ)
KENZO (ケンゾー)
EMILIO PUCCI (エミリオ・プッチ)
Berluti (ベルルッティ)
Dior / Christian Dior (ディオール/クリスチャン・ディオール)
FENDI (フェンディ)
GIVENCHY (ジバンシー)
Donna Karan (ダナ・キャラン)  などなど、、、
何をもって「事業」と定義するか?何か他のものと区別して特別扱いしてあげると、ビジネスが上手くいく要因をもっている塊(かたまり)、それが事業です。

《エンジニアリングチェーン》
お客様に価値を提供する前に考えるお仕事全般の流れをこう呼びます。製造業だと、チャートに書いた通りの仕事が並び、PLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)、PDM、CAD/CAM等の用語をイメージされるのではないかと思います。流通・サービス業の場合は、マーチャンダイジング、商圏調査や店舗開発といったお仕事がこのグループに分類されます。
ポイントは、お客様に実際に商品・製品・サービスを提供する前の準備活動全般だとご理解ください。

《サプライチェーン》
受注生産・受注販売のケースは、お客様から注文があって、商品・製品・サービスを実際にお届けするまでの間のお仕事全て、見込生産・店頭販売のケースは、需要予測・見込仕入から、これまた実際にお客様の手元にモノ・サービスが届くまでのお仕事全ての流れをこう呼びます。

《組織》
上記2つのチェーンに含まれるお仕事を従業員にキチンと実行してもらうために、組織化が必要になります。上意下達(じょういかたつ)の公式組織である必然性もなく、テンポラリーなプロジェクト組織でも、コミュニティでも構いません。組織設計の在り方は会社それぞれです。
以下の論点については別途。
「組織は戦略に従う」(アルフレッド・D・チャンドラーJr.)
「戦略は組織に従う」(イゴール・アンゾフ)
タレントマネジメントや人材開発、業績評価制度などもこのグループに属するものと考えています。
(ちなみに、チャートの中の組織図が上下逆さまと思った方はいらっしゃいますか?最近はこう描画するのも流行っているのですよ!)

 

■ 慧眼(けいがん)なり。M.ポーター殿

ポーターは、その著書『競争優位の戦略』の中で、「バリューチェーン」という概念を提唱し、凡(およ)そ、会社の中のお仕事は「主活動」と「支援活動」とに分類され、主活動のそれぞれの段階で価値(バリュー)が付加されていき、最後の顧客から頂戴した代価から差引いたものを「マージン」として企業の利益として見ました。国民経済計算のGDPの算出方法や産業連関図を彷彿(ほうふつ)させるものがあります。さすが、(ミクロ)経済学の大家でもあります。
話は横道にそれましたが、ポーターが定義した「主活動」には、購買物流、製造、販売(出荷)物流、マーケテイング・販売、サービスが含まれており、「支援活動」には、企業インフラ、人材資源管理、技術開発、購買が含まれています。
つまり、ポジショニング学派的に言うと、競争に勝てる「事業」をセグメンテーションして、バリューチェーンを上手く運用すると会社は儲かる、ということで、筆者が一生懸命に模索していた経営管理構造の整理も、結局ポーター様の掌(てのひら)の上で踊っていただけなのでした。
ここまで、「経営管理の管理対象」を説明しました。
経営管理(基礎編)_経営管理の対象

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