本格的リニューアルのため、表示に不具合がありますが更新中です

そのおっさん、米国公認管理会計士(USCMA)のテキストで収益の認識 Revenue Recognition を学習する③

管理会計_アイキャッチ米国公認管理会計士
この記事は約8分で読めます。

収益認識のための5ステップ (再掲)

収益の認識のためには、必ず次の5ステップを踏む必要があります。厳密には、収益計上のためには、計上タイミングを決める「認識」と、計上金額を決める「測定」行為が必要なのでした。

  1. Identify the contract with the customer(顧客との契約の識別
  2. Identify the separate performance obligations in the contract(契約における履行義務の識別
  3. Determine the transaction price(取引価格の算定
  4. Allocate the transaction price to the separate performance obligations(履行義務への取引価格の配分
  5. Recognize revenue when or as the entity satisfies each performance obligation(履行義務の充足時点の認識

それでは、本稿では、上記5ステップについて、逐条解説的に丁寧に論点を拾っていきたいと思います。前回、Step2 まで解説したので、本稿は Step3 から再開です。

Step 3: 契約の取引価格の算定

Step1,2 は、収益計上のタイミングを決める「認識」のお話でした。Step3は、収益計上の金額を決める「測定」のお話です。

ここでの基本は、「取引価格」を算定することです。取引価格とは、財・サービスを顧客に移転し、それと交換で受け取ることができると見込まれる対価になります。

The transaction price represents the amount of consideration that an entity can expect to be entitled to receive in exchange for transferring promised goods or services to a customer.

そのおっさん、米国公認管理会計士(USCMA)のテキストで収益の認識 Revenue Recognition を学習する②
収益の認識のためには、必ず次の5ステップを踏む必要があります。厳密には、収益計上のためには、計上タイミングを決める「認識」と、計上金額を決める「測定」行為が必要なのでした。1)顧客との契約の識別 2) 履行義務の識別3)取引価格の算定 4)履行義務へ取引価格を配分 5)履行義務の充足時点の確認

Step 4: 履行義務への取引価格の配分

Step4は、Step3にて算定された取引価格を、同一契約に含まれる複数の履行義務の単位に配分することで、履行義務単位の収益額を決定するプロセスです。

各履行義務への収益額の配分基準は、よくある共通費の配賦基準のように、合理的であればなんでも選べるのとは風合いがちょっと異なります。いわば、売上配賦基準は、「独立販売価格(stand-alone selling price)」の一択になります。基準がそう定めたからそうなんです。

ならぬものはならぬ。

什の掟―じゅうのおきて(ならぬことはならぬものです) | 會津藩校 日新館―会津藩・白虎隊の学び舎
同じ町に住む六歳から九歳までの藩士の子供たちは、十人前後で集まりをつくっていました。この集まりのことを会津藩で

If there is more than one performance obligation within a contract, the transaction price should be allocated to each separate performance obligation based on the amount of consideration that would be expected for satisfying each unique obligation.

上記が、同一契約内の独立した履行義務への配分を指示した文章です。

The stand-alone selling price (and any applicable discount or variable consideration) of each discount good or service underlying each performance obligation should be determined at contract inception.

上記が、財・サービスを単独で販売したときの独立販売価格の比率で、契約総額の収益額を各履行義務の単位の金額に配賦するやり方を定めた文章です。

特に、いわゆる一括値引き(出精値引き)が行われたとき、独立販売価格(stand-alone selling price)の金額比で按分すれば、自動的に値引き部分も独立販売価格の金額に比例する形で個別の履行義務単位に配賦されることを思い起こしてください。

Step 5: 履行義務の充足時点の認識

Step5の見出し語「履行義務の充足時点の認識」は、苦し紛れで自作しました。TACテキストでは、「履行義務を充足した時に(または充足するにつれて)収益を認識する」という基準にある文章をそのまま翻訳した表現で説明されています。

An entity should recognize when the entity satisfies a performance obligation by transferring the good or service to the customer, who thereby obtains control of the asset. Control implies the ability to obtain the benefits and directing usage of the asset while also preventing other entities from obtaining benefits and direct usage. Performance obligations may be satisfied either over time or at a point in time.

「充足した時に(または充足するにつれて)」は、上記英文の末尾で説明されています。

顧客が移転された当該資産に対する支配(control)する権限が生じたときが、供給企業側が履行義務を充足した時になります。

ここで、支配とは、「該当の財・サービスの利用を指示できていて、尚且つ便益のほとんど全てを獲得する能力」のことを意味します。

「履行義務を充足した時に、または充足するにつれて」を定義する

設定が難しい表現については、徹底的に補足説明があるのが欧米流です。

履行義務を一時点で充足するか、または徐々に充足される状態は、以下の要件の内、いずれか(or条件)を満たすときです。

  1. The entity’s performance creates or enhances an asset that the customer controls.
    • 契約履行が、顧客の支配する資産を創出するか、従来資産の価値を高めるか。
  2. The customer receives and consumes the benefits of the the entity’s performance as the entity performs it (e.g., service contracts).
    1. 顧客が企業の履行と同時に便益を受け取り、そして消費する。
  3. The entity’s performance does not createan asset with alternative use to the entity and the entity has an enforceable right to receive payment for performance completed to date.
    • 代替的に使用可能な資産創出せず、かつ、現時点までに履行が完了した部分に対して、支払を受ける法的に強制可能な権利を有している

履行義務が充足している状態のことを言っているので、説明は「動詞」でされねばなりません。上記、いずれにも、キーワードとなる動詞を中心に太字にしています。

履行義務が、一定期間の間、徐々に充足される場合、どういう指標をもって、その充足度の程度を測定・評価できるものなのでしょうか。基準が示している、充足に関する進捗度の測定方法は2つあります。

  • Output methods
    • 現在までに顧客に移転した財・サービス価値と残価の比率(引き渡し数量、経過期間、契約上のマイルストーンなど、履行義務の出力の程度を履行義務全体の出力総額と比例的に捉えることができるもの)
  • Input methods
    • 企業が履行義務の充足に向けて、投入した労力・資源と全ての契約履行を完了した場合の投入総額の比率(投入コスト、投入資源、労働時間、経過期間など)

履行義務が、一時点で充足される場合は、以下の要件を満たしている必要があります(and条件)。

  1. The entity has a right to payment and the customer has an obligation to pay for an asset.
    • 企業には支払いを受ける権利が、顧客には支払い義務がある。
  2. The customer has legal title to the asset.
    • 顧客が法的所有権を有している。
  3. The entity has transferred physical possession of the asset.
    • 物理的占有を顧客に移転している。
  4. The customer has the significant rewards and risks of ownership.
    • 顧客は重要な経済価値リスクを有している。
  5. The customer has accepted the asset.
    • 顧客が検収した。

ふう、ようやくこれで収益の認識の本論をすべて説明したことになります。次回は、関連項目として、「長期請負工事契約(Long-term construction contracts)」の会計処理を見ていきたいと思います。^^)

コメント