Stockholders’ Equity(株主持分)
いまやグローバルで常識になりつつある、消極的な純資産の定義から確認します。残りものって、、、
the residual interest, residual equity, in the assets that remains after deducting the corporation’s liability
積極的に、株主持分を定義するとするなら、次のようになります。
the Ownership interest of the owners of the corporation
その構成要素は3つ。
- Paid-in capital(contributed capital)
- 払込資本(拠出資本)
- Retained earnings
- 利益剰余金(留保利益)
- Accumulated other comprehensive income
- その他の包括利益累計額
さすが、米国はエクイティの国というか、株主還元の部分は相対的に詳細に学ぶ必要がありそうです。
- Cash dividends(現金配当)
- Property dividends(現物配当)保有資産を時価評価して保有利得を実現させてから配当へ
- Stock dividends(株式配当)
- Small stock dividend(新規発行が発行済株式総数の20~25%以下)
- 配当宣言日の自社株式の fair market value(時価)を用いる
- Large stock dividend(新規発行が発行済株式総数の20~25%以上)
- 既存株式の par value または state value を用いる
- Small stock dividend(新規発行が発行済株式総数の20~25%以下)
配当用の新規発行が相対的に少なければ、現在の時価が維持されるのでその価値を配当へ、大型新規発行になると一株当たり利益が希釈化するため、平価発行/額面発行 とする、という考え方です。
この場合、Stock dividends(株式配当)と似た概念(というより、個人的にはほぼ同類と認識していますが)に、Stock Splits(株式分割)というものがあります。
日本の会社法を引くことをお許しいただきたいのですが、株式無償割当て(185条)では、「株主に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当て」ができると定義されています。
「株主の所有する株式が分割により増加すること」と「株主に対し持株数に応じて一定割合の株式を無償に交付すること」が新株を発行するという点においては法的には同一の事象であるとして、2005年に成立した会社法以前のまだ商法だった時代、株式分割と株式配当、無償交付(無償増資)が別々の定めだったものを一つに統合したという経緯があります。
この章の締め括りとして、いかにも試験に出そうな匂いがする整理表を付しておきます。
Total amount of stockholders’ equity | Total number of shares outstanding | |
Cash dividends | Decreases | Unchanged |
Stock dividends | Unchanged | Increases |
Stock splits | Unchanged | Increases |
Financial Statements(財務諸表)2
これは、TACテキストの目次にそうあるから、F/S-2としているだけで、論点は、次の3つ。
- Discontinued operations(非継続事業)
- Comprehensive Income(包括利益)
- Notes(注記)
Discontinued operations は、Income statement にて、income tax expense(法人税)と net income(当期純利益)の間に、非継続事業による損益を挿し込むだけのこと。これにより、従来の net income を income from continuing operations に衣替えする必要が生じます。
Income statement
Sales
:
Income from continuing operations before Income taxes(継続的事業活動による税前利益)
Income taxes expense(法人税)
Income from continuing operations(継続事業活動による利益)
Losses from discontinued operations(less applicable taxes of $…)
Net Income
試験対策のポイントとしては、Discontinued operations の金額は、net of taxes(税引後金額)であるということ。なぜなら、その上の方で、既に継続事業による税引後利益が計算されているので、わざわざ税控除額を独立表示させることは、I/Sのデザイン的に具合が悪いからです。
経営管理会計の論者としては、セグメント会計にもつながる「非継続事業」の定義に徹底的にこだわります。USGAAP としての「非継続事業」の要件は2つ。
- The component has been disposal of(廃止)
- The component is classified as held for sale(売却待ち)
ここに含める損益(損失の場合が多いとは思いますが)の表示ルールもありまして、
- 当期の途中で、経営陣により廃止・売却が決まったとしても、期首に遡って、Income from discontinued operations の損益に含める
- Impairment loss(減損損失)
- Held for sale に分類されると、期初に遡り、償却(depreciation, amortization)せずに減損テストにかける
- いったん、Impairment loss を認識した後、fair value が戻った場合、過去に減損させた金額を上限に戻し入れ益を認識することができる
上記のような会計処理の根本姿勢は、できるだけ早くF/S利用者に非継続事業にかかる損益情報を開示することで、投資意思決定に役立ててほしいという一念によるものです。
Comprehensive Income(包括利益)
TACテキストも講師の方の説明も、この部は意外なほどに非常にあっさりしたものでした。
特筆すべきことはなかったので、包括利益に含まれる典型例を下記に挙げておきます。
- Unrealized gain(loss) on debt securities classified as available-for-sale securities
- 売却可能証券(負債証券)の未実現(保有)利得/損失
- Pension に関する unrecognized 項目
- Derivative の公正価値の変動
- Foreign exchange transaction adjustment(為替換算調整勘定)
そして、その開示項目(勘定科目)は次の通り。
- Total accumulated other comprehensive income →B/Sで
- The accumulated balances of components of other comprehensive income → S/S か 注記で
- Reclassification adjustments(再分類調整)→これ以上の説明は無し
うーん、どうしてこうも、テキストでは包括利益にコミットしないのか。説明が薄すぎます。最後のやつなど、当期純利益へのリサイクリングの問題で、いかにも受験会計に出てきそうな論点なのですが、TACテキストでは、上記に書いてある通り、このワードだけの表示で、講師の方も触れもしなかった。。。
ちょっと頭を捻ったら思いついたことがありました。これは筆者の100%邪推なのですが、もともと、包括利益概念って、IFRS発ですよね。これは、USGAAPに基づく試験なので、最初から、包括利益のことは視野に入ってないのかもしれませんね。
そうか、出題頻度と重要性は相対的に落ちるのか??? 少なくとも、時価主義と包括概念と実現概念を問うような理論問題は出題されないのだろうなと一人で早合点しております。^^)
この辺の理論にご興味があるけれど、筆者の独り言がいまいち不明な方は、下記のサイト記事をご参考に。大手監査法人の説明とそうでない監査法人/会計事務所の説明の2つを掲載しておきます。監査法人の説明は間違えないように手堅い説明ですが、まどろこしい部分がややあります。一方、後者の方は外連味がなく分かりやすいのですが、やや個人的趣味の部分があります。両方をうまく使い分けてください。
クリーンサ―プラスとか、ダーティーサ―プラスとか、考えるととても楽しいのに。

Notes(注記)
ここは、軽く流しておきます。管理会計的にはあまり興味が湧かないところかもしれません。
- Summary of significant accounting policies(重要な会計方針の要約)
- Revenue recognition basis(収益の認識基準)
- Inventory pricing(棚卸資産の評価方法)
- Depreciation method(減価償却方法)
- Amortization of intangibles(無形資産の償却方法)
- Consolidation basis(連結の方針)
- Cash equivalents(現金同等物)
あーちなみに、Cash equivalents の訳語って、昔は「現金等価物」というものも見られましたが、連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準で、「現金同等物」という訳語が正式化・定着化するにあたって、なにやら定義が曖昧になってきた感じがあります。まあ、日本語訳なんてUSCMAの受験に関係ありませんが。
まともに違いについて説明してくれているのが下記サイト。それ以外はちょっと怪しかったです。
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