「分ける」を邪魔する「5つのバグ」 - 困ったら、「分け方」を変えてみる。 コクヨ株式会社 下地寛也

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■ いつも若手に言っていることを見事に表現している良書に出会いました!

私は、仕事柄、多次元業績管理による連結経営管理の仕組みづくりのご支援をする機会に多く恵まれています。そのたびに、いろんな会社の数字を、

① 分析軸
② 階層

を設定することで、縦横斜め、いろんな角度で眺めることができるように、データモデルを設計します。

例えば、事業別、地域別、商品別、組織別、機能別に、会社業績を見たい、という風に①分析軸を定義します。
例えば、生活インフラ事業-電力制御システム-XXXシリーズ-YYYモデル-品番XXXX、という風に、商品階層を定義します。

こういう経営管理モデルを設計することは、自分自身で大好きで、それはもう学生のころから、夢想していたことなので、当たり前に設計の手が進むので、誰にでもできるものだという思い込みがありました。しかし、設計の仕事をお任せしてみて分かったのは、他の人は、想像力の欠如なのか、私が思うようにはうまい感じに、軸を設定したり、階層を定義したりすることに手こずるのです。

最初はなぜか、気が付きませんでした。よくよく若手コンサルタントの話を聞いてみると、次のようなことが分かったのです。

① どういう基準で仕分け、区分、違いを見つければいいか分からない
② どういう識別方法が、まじりっけの無い純粋な分析軸に仕上げることができるのか分からない

 

■ 「分ける」ことは「世界」を見つけることだ!

何か物事を「分ける」ということは、あなたの価値観でひとつの世界観を作り上げることなのです。もし、他人と同じ世界を見て、あなた独自の定義で分類を始めたら、それはあなたが新しい「世界」を発見することと同義なのです。

例えば、とある製品区分が下記のように並列で定義されているとします。

・自動車
・セダン
・A社向け特殊車両
・B社向け特殊車両
・SUV
・二輪車

これは、車両という世界に、車種、用途、顧客、親子関係、という要素がごちゃ混ぜになっている並列定義の世界観です。それぞれの車種の担当者が勝手に、製品マスタに自分の担当する製品を登録していくと、こういう世界観が生まれます。

例えば、無理矢理これらをひとつの世界に押し込むのなら、下記のような分類も一計です。

1.  車両
1-1. 自動車
1-1-1.一般車
1-1-1-1. セダン
1-1-1-2. SUV
1-1-2. 特殊車
1-1-2-1. A社向け仕様車
1-1-2-2. B社向け仕様車
1-2.二輪車

自分の得意とする分類ならば、もっと異なる分類法を用いますが。だって、これは多次元分類になっていませんからね。

 

■ 「分ける」ことについて、5つの留意点を占めてしてくれた良書

このような、沸々とした不満、どうして私の「分類学」を理解してくれないのか。。。
これを払しょくしてくれる、とても分かりやすい説明で物事を分ける際の注意点を与えてくれる良書がこれです。

その第1章「分ける」を邪魔する「5つのバグ」とは、が秀逸でした。

(1)グレーゾーンのバグ
(2)複数属性のバグ
(3)その他のバグ
(4)不平等のバグ
(5)メンテナンスのバグ

(1)グレーゾーンのバグ
バナナはおやつか? きのこは植物か。カモノハシは哺乳類か。哺乳類は恒温動物で、胎生で乳で子供を育てるもの。カモノハシは卵生です。意外に、世の中には、右左、男女というぱきっと割り切れない世界なのです。
(男女にも、LGBTがありますね)

(2)複数属性のバグ
プラスティック製品は燃えるゴミ? 自治体の取り扱いによって燃えるもの扱いされたり、不燃物になったりと忙しい。例えば茅原●里さんは、声優か歌手か、という不毛な論争が最近ネットでありましたが(と普通の人は知らないと思いますが)、彼女は2つの活動を並行しているので、そんなんどっちもありです。

これについては、いわゆる「タグ付け」という行為で回避することができます。また、複数属性があるのなら、そこは複数軸での多次元分析がご登場となるわけです。

「A社向け特殊車両」は、

A社という顧客別分類、特殊車両という種類別(車種別)分類が可能です。そして、ここが大事なのですが、特殊車両というのは、一般的には個別受注生産で、普通車は在庫見込生産です。ものづくりのいろんな設定も違うことを意識することが必要です。

(3)その他のバグ
卒業アルバムが本棚に入らない。“何事もイレギュラーなモノゴトを考慮に入れるとオーバースペックとなってしまう”。その通りです。分類を始めると、どこにも入らないものがたちまち現れます。その時、あなたは二つの態度を選択することができます。もう一度分類軸を見直すか、諦めて「その他」の箱に放り込んでおくか。

私はとある企業で最初の「連結商品マスタ」を作成することをお手伝いしました。いろんなやり方があるのですが、その企業では各製品担当部署から、各自が担当している商品階層テーブルを収集してそれを最終的にマージする、という手法を取りました。そして、見事に、全事業部から「その他製品」という分類コードが収集されました。もちろん、ネーミングのやり直しと、再考を促したのは言うまでもありません。

(4)不平等のバグ
5つのイチゴを4人に分けるには。これは、何をもって「平等」とするかが大事なポイントになります。数多くの類似商品に自分の担当する商品が埋没することを恐れて、自分が担当する商品だけ、別枠でマスタ管理することを主張する人がいたり、とある製品群を共通性から同じ箱に入れて、製品ポートフォリオ管理を効率的にしたい人がいたり。このケースでは、自分のメリットが相手のデメリットになるトレードオフ関係にあるため、一筋縄ではいきません。まあ、最後の手段は、製品系列分類とマーケティング分類との2軸に分けてしまうことですが。(^^;)

(5)メンテナンスのバグ
家計簿って面倒! ざっくり分けるのかきめ細かく分けるのか、人に感性にも左右される一大事です。マイクロマネジメントが好きな人、物事を詳細に分析したい人は、細かい分類を好みます。一方で、仕分けをさせられる人、面倒毎が嫌いな人、大局観で仕事をしている人は、大雑把な分類の方を好みます。

私は、維持運用ができる点を重要視して粒度の定義をすることをお勧めしています。そして、人って慣れるもの、ということも知っています。荒く生んで、細かく育てる。そういう時間軸政策も有効な場合がありますよ。

はてさて、これらの説明は、いろんな仕事で大切なポイントになり得る考え方だと思います。物事を分けることは、あなたが世界の設計図を描くことと同義。さあ、世の中を分類してみなしょう。ちなみに、この記事は、「コンサルタントのつぶやき」-「本レビュー」に分類されます。(^^)

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