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圧倒的な付加価値を生む!21世紀の街づくり革命 東京急行電鉄社長・野本弘文 2015年7月9日OA TX カンブリア宮殿

TV番組レビュー
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■ 住民を笑顔に変える“住みたくなる”街づくり

コンサルタントのつぶやき

東急の私鉄利用客数は2014年調べで、11億1600万人で断トツの1位! 売上高1兆670億円、従業員数2万人の大企業。東急は、1922年に目黒蒲田電鉄として開業。野原を開いて線路を敷き、沿線に宅地を造成して街を作るという鉄道のビジネスモデルを確立してきた。

社長曰く、
「社名は東京急行電鉄というまさに鉄道会社だが、街づくりを行いながら鉄道を延伸していった会社で、いかにお客様が便利になるか、そして鉄道を利用してもらうか、沿線の人口を如何に増やすかということで安定的な収益を作ってきた」

野本弘文_カンブリア宮殿

(番組公式ホームページより)

田園調布の街づくりからスタートし、たまプラーザも60年代に入り開発。歩道は広く安全で快適、駅の周辺に商業施設を置き、その周りに住宅地を配置するという東急の街づくりの典型例。そして住宅地の近くに店を置かない静かな住環境は大変な人気となった。

しかし、それから30年。たまプラーザはある問題を抱えていた。丘陵地帯を開発したため、坂道が多く、高齢者には住みにくい街になってしまっていたのだ。街も年を取る。その問題解決にすでに東急は動いていた。

「これからの開発はすでに出来上がったものを再生するというものになる。質を高めていく開発になっていく」

そのひとつとして、駅前に高齢者向けマンションを建設。様々な工夫を施した。坂の上の一戸建てから高齢者が移り住み始めている。老夫婦2人で済むには十分な広さの2LDK。そして段差の無いバリアフリー。駅まで屋根がある坂も階段もない通路を通って徒歩2分で改札口まで行ける。さらに駅までの道脇には、クリニックやデイサービスなど。高齢者にとって住みにくかった街の住みやすい街に変えた。さらに、入居者向けサービスとして、宅配サービスも始めた。注文はインターネット(タブレット)でできて、料理、買い物代行、マッサージ、介護タクシー、話し相手など、43種類のサービスが選べる。

気になるのは、シルバー世代が引っ越しして空き家になった部屋をどうするのか? 東急はそこにも手を打っていた。高齢者が手放した家を、子育て世代向けにリフォーム、人気の町、たまプラーザに住みたいという若い世代を呼び込んだのだ。世代の循環、それが東急の新しい街づくり。

「街自体が住民の年齢と共に年を取るのではなく、いろいろな世代が循環しながら成長し続けることが大事」

住みたい街を住み続けたい街に。。。

 

■ 人口減少に負けない!東急が仕掛ける新たな視点の街づくり

MCが質問する。以下、1問1答。
「どういう点に気をつけて街づくりをしているのですか?」

「沿線を日本一住みたい街にしようと。住みたい要素は何かというと、“安心で快適”が何よりも大事」

「住民の側に立って考えるというのは簡単なようで難しいのでは?」

「多くの利益を求めるというより沿線住民が安心・快適に過ごすため何が必要かと考えると、多くのお客が住みたくなる、働きたくなる、訪れたくなるような相手側の立場で街づくりを常に考えなければならない」

東急は2020年をピークに沿線の人口が減少すると予測している。お客が減っては一大事。そこで生き残りのため、新たな戦略を打ち出した。キーワードは、

「ここでしか体験できない」

東急の新戦略の全貌とは!?

人口減少の対策を二子玉川で打っていた。その拠点が「二子玉川ライズ」。今年4月、駅前に拡大オープンした東急の商業施設。

「「ここは」という部分が無ければダメ。そこに行かなければ見られない、感じられない、体験できないものを作ることが何よりも大事」

そのひとつがスペイン王室御用達のデリカテッセン「マヨルカ」。日本初上陸! ここにしか無い店がもう一軒、「蔦屋家電 第1号店」。並んだ本・雑誌は12万冊。本と家電が融合した世界初のお店。

「お客の目線からすると新しい発見があるお店」(カルチュア・コンビニエンス・クラブ武田副社長)

客を呼び込むことには成功。しかし東急にはさらに大きな狙いがある。

「二子玉川はもともと住む所やショッピングする所だったりして、働くというイメージが無かった。住んでよし、働いてよし、訪れてよし、という三拍子そろった街づくりをしたい」

その為に作ったのが巨大なオフィス棟。この夏、楽天の本社が移動してくる。そのワーカー約1万人。しかし東急の本当の狙いは「職住近接」。働く人に沿線に引っ越ししてもらいたいと考えている。街そのものの魅力度を上げる、それが人口減少に対抗する東急の戦略だ。

再びMCとの掛け合い。

「この街でしか体験できない、というコンセプトはどう考えればよいのか?」

「人が訪ねてくるのは「面白いから来る」「心地良くなるから行く」が本質で、逆に言うと、何でもある商業施設はダメ。そういう場所は一般的なものになる。地方の町もそうかもしれないが、どこにでもあるものは一番便利な場所で買う。今はワンクリックで家まで商品が届くので、そこに行って感じなければ、という仕掛けが無いと人の足は遠のくと思う」

 

■ 野本流!ダメ会社の再生術

ここで野本社長の経歴紹介。鉄道会社に入社するも、東急不動産でリゾートホテルを立ち上げたり、ケーブルテレビ会社を担当したりと、鉄道とは無関係のサラリーマン人生を歩んできた。

MCがここで尋ねる。
「メインストリームを歩んでこなかった野本さんを社長にした東急はスゴイと思うか?」

「私もスゴイと思う。。。」

そう言う野本社長の転機は、ケーブルテレビ会社の社長に2004年に就任した時。そこは、6億5千万円の赤字を抱えたお荷物的存在だった。一体何が問題なのか? 野本さんはある日、その原因を目の当たりにする。営業マンが外回りに行かず、デスクに座りっぱなし。「お客から電話がかかってくるかもしれませんから。お客を待つのも仕事なんですよ」。外回りは不要という考え方。鉄道は黙っていても、利用者が鉄道に乗ってくれる。そういう親会社の体質が子会社にまで染み着いているのか、、、

しかし、野本さんは3年で会社を再建し、赤字を解消して見せる。一体何をやったのか? 

「残念ながら、鉄道事業から社員が出向したので、鉄道会社は待っていてもお客が乗ってくれる。デパートは駅の一番いいところにある。電車を降りたお客がそのまま入ってくれる。何もしなくてもお客は来てくれる。当時の東急ケーブルテレビも見たい人が来ればいい、来てくれるはずだと、“待ちの営業”が主だったので、1週間に数人しかお客が来ないというところだった」

ここでMCからの質問が再開。
「社員の意識改革は大変ですよね?」

「社長に就任した時に、経営会議で「これからこういうことが必要だ」と、だから、「こういうことをやった方がいい」と言ってもなかなか進まなかった。エレベータに乗った時に、社員に「あれはどうなっている?」と聞くと、「やっていいんですか?」と若い社員が返してきた。言ったことが通じていないんです。どうせ野本は3年で本社に戻る、聞いたふりをしておけばいいと」

「どうやって意識改革をしたのか?」

「その時、初めて社員全員と食事をしながら話をした。400人の社員全員と1年かけて食事をした。これで一番効果があったのは、下の社員と直接話をするので、中間管理職の部長たちが、下から(野本さんに)何を言われるのか分からないので真剣に考える。それ以降、会議で出た話を真剣に部長たちが部下に伝えるようになった」

 

■ 渋谷を変えよ!東急の新たな挑戦

企業が渋谷に引っ越し。それだけでなぜか急成長する秘密がある!

渋谷の大家である東急の狙いは、若者の町、渋谷に新たなビジネスシーンを作ること。そこで取り組んでいるのが、「ITベンチャー・クリエーター交流会」。渋谷をITの町に。単に箱を作るだけではなく、ビジネスの種を播き、町の表情を変える。これが渋谷の大家が挑む大改革だ。「IT企業の人たちの創造性がどんどん湧いて、オフィスそのものが付加価値を増大させる仕組みを作ろうと考えている」。

MCが聞く。
「ただ企業誘致しても実現しないのでは?」

「IT企業が利便性を感じないと。“渋谷”という名前だけではダメ。ホールなどの設備も作ってIT企業が交流する場所も作っていこうと」

「人口減少問題にどう立ち向かうか? 人口減少問題で何が重要だとお考えか?」

「鉄道会社なのでどんどん人口が減ることや、そこで働く人がいなくなるとこと、訪れるお客が減るのは衰退を意味する。言葉は悪いが回転率が重要! 今まで渋谷に1ヶ月に1回しか行かなかった人が2回行くと倍になる。回転が良くなれば人口が減っても来客数は倍になる。(モノの)消費で言うと、今までひとつしか持っていなかった人が出かけることによってオシャレもしたくなるので、もうひとつ買おうと消費増にもつながる」

「東急は人口減少問題に気付くのが早かったのか?」

「待っているだけでは現状維持が精いっぱい。それを打破するためにこういうことができるだろう、ああいうことができるだろうと、チャレンジしていかないと問題点の対応もできない。得てして、チャレンジする前に対応策を考えてしまうと、「やめておこう」となる。やって初めて新しい課題が見えてくる。課題が見えると、解決方法も見えてくる」

 - チャレンジすれば解決方法が見えてくる!

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