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■ レッドオーシャンは避ける。競争しないで競争に勝つ!

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ

軍事力を運用する原則として、敵の戦力を保全したまま勝利するのが最上の策であり、敵戦力を撃破して勝つのはあくまで次善の策です。

百回戦闘して百回勝利を収めるのは最善の方策ではありません。実際に戦わずに敵の軍事力を屈服させることこそ、最善の方策なのです。

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戦争というと、多くの人は軍事力の正面衝突、つまり実力で相手戦力を殲滅戦で撃破する「戦闘」行為を思い浮かべると思います。しかし、孫子は、「戦争 = 戦闘」ではないと説きます。ゆえに、百戦百勝は、百戦した時点で最善ではありません。「戦わずして勝つ」ことこそ、最善とみなします。

なぜならば、戦場での戦闘行為により、軍事的勝利を得るには、おびただしい兵員や物資を必要とし、勝利したとしても、味方にも多大な損害が生じます。勝利を得るのにかけたコストが本当に見合いますか? ということを孫子は問いかけているのです。

コンペチターと、同質的な競争に陥り、勝負するポイントは価格勝負しかない状況に陥ったとき、ひたすら値引き競争に引きずり込まれると、企業体力を徐々に失っていき、運転資金はおろか、長期的な投資資金まで枯渇してしまい、かろうじて市場に残留したとしても、次の手を打つための矢がつきてしまい、新規参入者に、顧客を丸ごとかっさわれるかもしれません。

孫子は、戦争(コンペチターとの競争)の本質を次のように考えています。

「自国(自社)の利益を他国(他社)と争い、そのために戦うのであって、戦場での戦闘によって軍事的勝利を得ることが目的ではない。戦闘(軍事力の発動)は、あくまで敵国(コンペチター)の意図を打ち砕く手段に過ぎない。要は、敵国の企てを遂げさせなければよいである」

競合他社とまともに正面衝突し、競合が疲弊した後、M&Aで傘下に加えるのと、弱体化する前に、吸収・合併した方が、自社の損耗も回避でき、吸収の「利」がより増すというものです。

孫子のこの先見の明は、最近の経営戦略本にも多大な影響を残しています。

「ブルー・オーシャン戦略」
目覚ましい技術革新のおかげで製品やサービスのコモディティ化が進み、し烈な価格競争に陥り、企業体力を失い、競争力を喪失する事態に陥る。そうした「血みどろの戦いが繰り広げられる既存の市場(レッドオーシャン)」を回避し、競争自体を無意味なものにする未開拓の市場(ブルー・オーシャン)」を創造する。

ブルー・オーシャン戦略――競争のない世界を創造する (Harvard business school press)

「競争しない競争戦略」
1 ニッチ戦略
求められる資源の質が特殊であったり、規模が小さすぎたりしてリーダー企業が参入できない市場に資源を集中する戦略。

2 不協和(ジレンマ)戦略
リーダー企業が同質化しようとすると、リーダー企業が保有する経営資源やこれまでとってきた戦略との間に不適合が生じ、ジレンマを引き起こす戦略。

3 協調戦略
競合企業のバリューチェーンの一部を担ったり、機能を代替・追加したりして、競合企業と共生する戦略。

競争しない競争戦略 ―消耗戦から脱する3つの選択

「戦わずして勝つ!!!」これぞ最強。

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孫子 第3章 謀攻篇 9 戦わずして人の兵を屈するhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/ab47f6b60b2243be5165d08fde098dfb-e1428423948658.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/ab47f6b60b2243be5165d08fde098dfb-150x150.jpg小林 友昭孫子の兵法(入門編)孫子,兵法,戦略,ブルー・オーシャン戦略■ レッドオーシャンは避ける。競争しないで競争に勝つ! 軍事力を運用する原則として、敵の戦力を保全したまま勝利するのが最上の策であり、敵戦力を撃破して勝つのはあくまで次善の策です。 百回戦闘して百回勝利を収めるのは最善の方策ではありません。実際に戦わずに敵の軍事力を屈服させることこそ、最善の方策なのです。 ----------------- 戦争というと、多くの人は軍事力の正面衝突、つまり実力で相手戦力を殲滅戦で撃破する「戦闘」行為を思い浮かべると思います。しかし、孫子は、「戦争 = 戦闘」ではないと説きます。ゆえに、百戦百勝は、百戦した時点で最善ではありません。「戦わずして勝つ」ことこそ、最善とみなします。 なぜならば、戦場での戦闘行為により、軍事的勝利を得るには、おびただしい兵員や物資を必要とし、勝利したとしても、味方にも多大な損害が生じます。勝利を得るのにかけたコストが本当に見合いますか? ということを孫子は問いかけているのです。 コンペチターと、同質的な競争に陥り、勝負するポイントは価格勝負しかない状況に陥ったとき、ひたすら値引き競争に引きずり込まれると、企業体力を徐々に失っていき、運転資金はおろか、長期的な投資資金まで枯渇してしまい、かろうじて市場に残留したとしても、次の手を打つための矢がつきてしまい、新規参入者に、顧客を丸ごとかっさわれるかもしれません。 孫子は、戦争(コンペチターとの競争)の本質を次のように考えています。 「自国(自社)の利益を他国(他社)と争い、そのために戦うのであって、戦場での戦闘によって軍事的勝利を得ることが目的ではない。戦闘(軍事力の発動)は、あくまで敵国(コンペチター)の意図を打ち砕く手段に過ぎない。要は、敵国の企てを遂げさせなければよいである」 競合他社とまともに正面衝突し、競合が疲弊した後、M&Aで傘下に加えるのと、弱体化する前に、吸収・合併した方が、自社の損耗も回避でき、吸収の「利」がより増すというものです。 孫子のこの先見の明は、最近の経営戦略本にも多大な影響を残しています。 「ブルー・オーシャン戦略」 目覚ましい技術革新のおかげで製品やサービスのコモディティ化が進み、し烈な価格競争に陥り、企業体力を失い、競争力を喪失する事態に陥る。そうした「血みどろの戦いが繰り広げられる既存の市場(レッドオーシャン)」を回避し、競争自体を無意味なものにする未開拓の市場(ブルー・オーシャン)」を創造する。 ブルー・オーシャン戦略――競争のない世界を創造する (Harvard business school press) 「競争しない競争戦略」 1 ニッチ戦略 求められる資源の質が特殊であったり、規模が小さすぎたりしてリーダー企業が参入できない市場に資源を集中する戦略。 2 不協和(ジレンマ)戦略 リーダー企業が同質化しようとすると、リーダー企業が保有する経営資源やこれまでとってきた戦略との間に不適合が生じ、ジレンマを引き起こす戦略。 3 協調戦略 競合企業のバリューチェーンの一部を担ったり、機能を代替・追加したりして、競合企業と共生する戦略。 競争しない競争戦略 ―消耗戦から脱する3つの選択 「戦わずして勝つ!!!」これぞ最強。現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します