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■ 今度は国会での論議。焦点は「税法」上の取り扱い

経営管理会計トピック

仮想通貨が閣議で「通貨」認定される。前編は金融庁の「決済資金法」改正の動きまでウォッチしてきました。さらに、閣議決定までの議論の盛り上がりを日経新聞でトレースしていく後編になります。やっとこの投稿でゴールにたどり着きます。

2016/2/29付 |日本経済新聞|朝刊 ビットコイン非課税化の議論 税収か国際競争力か

「仮想通貨ビットコインを「モノ(資産)」とみなし、消費税をかけている日本の税制に関係者の不満が高まっている。金融庁は今通常国会に資金決済法の改正案を提出し、仮想通貨は円のような「通貨」に似た機能をもつと認定する方針だが、税務上は「モノ」のまま。今月、国会で課税の是非について質問が出て議論が始まったばかりだ。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「「世界の潮流に合わせ、仮想通貨に消費税をかけないという検討はできないのか」。2月5日、衆院予算委員会で自民党の秋元司議員は麻生太郎財務相にただした。
 麻生氏は仮想通貨に課税するオーストラリアなどの国々を挙げ、「日本だけが(特殊)ということはない」と課税の正当性を主張。一方でIT(情報技術)と金融が融合した「フィンテック」のブームに触れ「必要な環境整備を進めたい」と今後に含みを残した。」

税務では、欧米の動きに追随する様相を示しています。

「海外では欧州の裁判所がビットコインを通貨に似た支払い手段と認め、付加価値税(VAT)の適用除外とするなど非課税扱いが主流。主要7カ国(G7)で課税するのは日本だけ。「日本は世界の逆を行く。競争政策上、日本にとってマイナスだ」と仮想通貨の業界団体、日本価値記録事業者協会の加納裕三代表理事は撤廃を訴える。」

さてさて、消費税が国境を越えて、やれ「不課税取引」の要件は、「不課税」業者の定義は? という議論と同じく、仮想通貨もモノであるならば、消費税の課税・不課税の議論に巻き込まれてしまいます。モノならば、海外に拠点のある取引所を介して取引する仮想通貨には、「不課税」となるのか。現在も、ネット通販でもよくあるもめごとのひとつです。その取扱いの不平等さは、事例できちんと説明されています。その前に、またまたウンチクをひとつ。

ちなみに、「不課税」と「非課税」の違いは、国税庁のホームページ No.6209 非課税と不課税の違い より、
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1 不課税取引
 消費税の課税の対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引です。
 これに当たらない取引には消費税はかかりません。これを一般的に不課税取引といいます。
 例えば、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資に対する配当などがこれに当たります。

2 非課税取引
 国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等であっても、課税対象になじまないことや社会政策的配慮から消費税を課税しない取引があります。これを非課税取引といいます。
 例えば、土地、有価証券、商品券などの譲渡、預貯金の利子や社会保険医療などがこれに当たります。

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「どんな場合に課税され、日本の競争力に影響するのか。日本に住む個人が国内の取引所に円を払ってビットコインを買うと、モノを買うのと同じように8%の消費税がかかる。コインを利用しようという消費者の意欲をそぐことになる。」

「さらに事業者にとって困るのは、非課税の海外の取引所から安い価格でコインを購入する消費者が出てくることだ。消費税法では「輸入される外国貨物」は課税対象であり、税関で消費税を徴収する。だが電子情報であるビットコインは税務上「モノ」であっても「税関を通らないため、課税なしとされる」(EY税理士法人パートナーの西田宏之氏)という。」

「実際、この法の盲点を突いて、日本向けに安値でビットコインを販売している企業がある。加納氏は「国内事業者が海外勢と対等に戦えるようにすべきだ」と主張する。
 日本でも通貨や電子マネーは非課税だ。通貨は外国為替及び外国貿易法(外為法)で「支払い手段」と定義されているため、非課税。電子マネーは消費税法上、通貨のように広く商品やサービスの購入に利用できる性質を考慮し、非課税としている。」

「一方、今国会で資金決済法が改正され、通貨に似た機能がビットコインに認められても、外為法上の「支払い手段」などではないから非課税扱いにはならない。国税庁は「ビットコインが非課税規定の対象とならない限り、税を徴収する」という。
 業界関係者が期待するのは5月に開かれる主要国の首脳会議(伊勢志摩サミット)と、財務相・中央銀行総裁会議だ。「フィンテック推進が各国首脳の間で共有され、国内でも課税見直しの方向に風向きが変わる」とある関係者は予想する。
 自民党フィンテック推進議員連盟の幹事長を務める秋元議員は「年内に非課税化のメドをつけたい」と意気込む。国際競争力を取るか税を取るか。論戦の火蓋は切られた。」

なんと、いくら「資金決済法」を改正して、仮想通貨を疑似貨幣(決済手段の一種という意味ね)と定義したとしても、税務上はモノ扱いを通すという姿勢を崩さない国税庁。金融庁とちゃんと話し合ってよね、とつい言いたくなってしまいます。縦割り行政の粋、ここに極まれり!

■ ここで、仮想通貨(ビットコイン)を復習してみましょう!

日経新聞も、最後の追い込み前に、ここで箸休めとばかり、復習記事を掲載しています。月曜日で株価欄も無いのでね。

2016/3/1付 |日本経済新聞|朝刊 (Q&A)取引所破綻から2年 仮想通貨、なぜ広がる?海外への送金格安 顧客資産の管理に懸念

「2014年2月28日に仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」が経営破綻して2年が過ぎた。日本で「仮想通貨=信頼性に欠ける」とのイメージが強まったが、世界では利用者が増えている。政府も法制を整え、利用者保護と普及の両立をめざす構えだ。」

以下、同記事のQ&Aになります。

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Q マウントゴックス破綻の影響は。

A 同社は2年前に民事再生手続きの開始を申し入れた。ビットコインと預かり金の消失で負債が急増し債務超過に陥ったからだ。最終的に東京地裁が同年4月に破産手続き開始を決定。当時の債権者は約12万7000人に上った。顧客から預かった約82億円の資産が消滅したことから、仮想通貨に対する信頼性が急落した。

(下記は、同記事添付のマウントゴックス破綻時の抗議デモの様子の写真を転載)

20160301_マウントゴックスが取引停止となり、抗議するビットコインの利用者(14年2月26日)_日本経済新聞朝刊

Q じゃあ、仮想通貨はそのうちなくなるの?

A いや、世界的には普及が加速している。コインデスクの調べでは、ビットコインの利用者は世界で1200万人を超す。09年に登場したビットコインは仮想通貨の先駆けだが今や仮想通貨の種類も600以上になっている。

仮想通貨は円やドルの法定通貨と違い、従来より安く決済できる点が支持されている。海外送金の手数料は最低5円で済み、既存の銀行に比べ格段に安いといわれる。
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ちなみに、みずほ銀行の海外送金は、「みずほダイレクト」というネットバンキングサービスを使ったとしても、電信送信の手数料は、本支店向:5000円、他行向:5500円なり。仮に、「依頼人負担」を選択された場合は、別途、コルレス先支払手数料2,500円が必要となります。単純比較で、1000分の1。これでは価格勝負にはなっていませんね。

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Q どう入手するの?

A 円などの法定通貨と仮想通貨を交換する取引所を使う。日本にはビットバンクビットフライヤーコインチェックなどの取引所が7社あるとされる。利用者はスマートフォンやパソコンから取引所のサイトにアクセスし、名前やメールアドレスを登録。免許証など本人確認ができる書類も出す。最初に仮想通貨を保管する電子財布「ウォレット」を作る。

次にクレジットカード決済や指定の銀行口座にお金を振り込んで仮想通貨を購入する。自身の取引状況や保有残高は電子財布内で確認できる。

Q 取引の状況は?

A 利用者の大半は投資が目的だ。パソコンなどで24時間取引できる。価格は昨年1月の1ビットコインあたり177ドルを底に、現在は430ドルに上昇した。価格上昇時に売れば、ドルや円などの売買と同様にもうけを手にできる。1日あたりの取引量は約20万件で前年より倍増。通貨別の割合では人民元が4割を超え、中国人の利用者が増えた。他の利用者に送金したり、店舗で買い物や飲食代として支払ったりすることも可能だ。

(下記は、同記事添付の飲食店内のビットコインATMの写真を転載)

20160301_ビットコインのATMが設置された東京都内の飲食店_日本経済新聞朝刊

Q 日本の利用者は。

A ビットバンクの推計では、今年1月時点で約5万人が利用する。うち9割が男性だ。1日あたりの取引量は約6億円で、この3カ月で3倍に増えた。日本の取引所で扱う仮想通貨の9割がビットコインだが、その他にドージコイン、ライトコイン、モナーコインと呼ぶ通貨も売買できる。
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仮想通貨の種類は、世界で1000を優に超えています。
現在の仮想通貨の相場一覧はこちら
やさしくはじめる仮想通貨 より
仮想通貨相場一覧

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Q 安全になったのかな?

A いや、顧客資産の管理など利用者にとって安全性の問題が残る。政府は取引所を登録制にしたうえで外部監査の適用を義務付ける法規制を検討中だ。」
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■ さあ、ようやく真打が登場!! いよいよ「貨幣認定」閣議決定の時を迎えました!

待ちに待った第一報は、夕刊でした。

2016/3/4付 |日本経済新聞|夕刊 仮想通貨 決済手段に 「貨幣」認定、取引所は登録制 法案を閣議決定

「政府は4日、インターネット上の決済取引などで急速に市場が広がるビットコインといった仮想通貨に対する初めての法規制案を閣議決定した。仮想通貨が「貨幣の機能」を持つと認め、オンライン決済などにも利用可能な公的な決済手段に利用できると位置づけた。仮想通貨の取引所を登録制にして監督強化することも盛り込んでおり、利用に弾みがつきそうだ。」

今後の段取りは次の通り。

「今通常国会で資金決済法を改正し規制案の成立をめざす。現在はビットコインなどの法規制がなく、利用者保護の観点から規制の法的整備を求める声が強まっていた。金融庁が監督官庁となり取引所や売買を監視する。麻生太郎金融相は閣議後の記者会見で「法制上の処置を講じて利用者保護や不正利用の防止に適切な対応を図る」と述べた。」

「2009年に誕生したビットコインは仮想通貨の約9割を占め、世界の利用者が約1200万人に広がった。ただ日本では2年前にビットコインの取引所「マウントゴックス」が経営破綻し、顧客の資産が消滅した。こうした事態や資金洗浄(マネーロンダリング)を防ぐため、取引所の監視や本人確認を強化する。」

それにしても、「仮想通貨」=「ビットコイン」=「マウントゴックスの破綻」というイメージはなかなか払拭することが難しいようです。

 

2016/3/5付 |日本経済新聞|朝刊 仮想通貨の透明性向上 法案閣議決定、「貨幣」認める 破綻時やテロ対策が課題

「政府は4日、仮想通貨取引の透明性を向上させる法規制案を閣議決定した。ビットコインなどの仮想通貨は「貨幣の機能」を持つとして、公的な決済手段の一つであると位置づけた。取引所には外部監査や最低資本金を義務付けることで、利用者の保護も図る。ただ破綻時の対応やテロ資金対策など依然として課題も残る。」

破綻時の扱いについては、取引所が預金保険法の適用外のため、一般企業と同様の債権者保護規制と同レベルになります(→2016/2026掲載記事)

マネーロンダリングの議論は、「資金決済法」上で、犯罪収益移転防止法の特定事業者にも指定するので、一定の効果はでてくるかと(→2016/2/20掲載記事)

「政府は今通常国会で資金決済法を改正する方針だ。現在は仮想通貨をカバーする法律はなく、単なる「モノ」としかみなされていない。
2014年にビットコインの取引所「マウントゴックス」が経営破綻し、一時は安全性などに懸念が高まったが、取引量は再び増えている。日本には現在、7社の取引所があり、約5万人がビットコインを利用するとされる。取引量は1日あたり約6億円で、直近3カ月では3倍に増えた。
国内でビットコインを決済できる店舗も千店を突破した。飲食店だけでなく、歯医者やネイルサロンにも広がっている。」

「仮想通貨は急速に普及しており、取引の安全性を高めることなどが焦点になっている。特に消費者保護などが重要な課題になっており、金融庁も一定の規制が必要だと判断した。
マウントゴックスの例では破産手続き時に顧客から預かっていた82億円が消滅した。中小企業の運営が多い取引所に破綻に備えた資金を積ませるルールはなく、預金保険法で資産が守られる銀行などとは違う。」

(下記は、同記事添付のマウントゴックス破綻時の謝罪会見の様子の写真を転載)

20160305_記者会見で頭を下げるマウントゴックスのカルプレス社長(14年2月、東京・霞が関)_日本経済新聞朝刊

一体、いつまで、この2014年2月の謝罪会見の模様を流し続けるのか。もう2年が過ぎています。しかし、取引停止に陥る取引所が後を絶たないわけで、、、

「金融庁幹部は「今は外部監査や顧客と自己資産をわける『分別管理』を導入している取引所は一部しかない」と明かす。実際、昨年に仮想通貨の取引が突然停止した取引所もあった。
今回は取引所を金融庁の監視下に置き、外部の公認会計士による監査や1000万円以上の最低資本金を導入する方向。毎年の財務報告書も必要となり、経営余力がない取引所は自然と淘汰される。顧客と自己資産をわける「分別管理」も義務づける。利用者に手数料や契約内容の情報開示も課す。」

「利用者保護に関する最低限のルールができるが、依然として安全性には課題がある。金融法制に詳しい遠藤元一弁護士は「仮想通貨は価格の変動が激しく、投機性が強い。財政基盤が弱い取引所が多く、仮に破綻した場合は債権者の資産を保護するのは難しい」と話す。」

ここでは、2016/2/20掲載記事での「賭博罪」に当たるか否かの議論をもう一度確認されることをお勧めします。

「麻生太郎金融相は4日の閣議後会見で仮想通貨について「テロ資金に利用されているとの指摘もある」と言及。匿名性が強い仮想通貨はテロ資金流用への疑念がなお晴れない。仮想通貨は金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」の発展で新しい利用手段が注目されるが、依然として本物の通貨に比べて課題が多い。」

出てきました。バズワード「フィンテック」。そのあたりの可能性というか、技術革新の経済利用は、次の記事のようなトライアルが始まろうとしています。

■ 仮想通貨が通貨認定される目処が立った直後、今度は、フィンテック的利用へ

2016/3/6付 |日本経済新聞|朝刊 仮想通貨技術で債券発行を実験 金融大手40行

「米シティグループ、英バークレイズ、米ゴールドマン・サックスなど世界の主要金融機関40行が仮想通貨に使う技術で債券を発行する初の実証実験を行った。ブロックチェーンと呼ばれる技術で債券の発行者などの情報を瞬時に安全に参加者が共有できた。日本からは三菱UFJフィナンシャル・グループとみずほフィナンシャル・グループが参加した。」

仮想通貨の信用の根幹を支える「ブロックチェーン」という技術。これを使って、「債券」取引に応用しようという試みが、世界の金融エスタブリッシュメント企業連合で進められています。これに乗り遅れないように、日本も「通貨」認定を急いだのか、と邪推するほどのタイミングでの記事掲載でした。

「ブロックチェーンは参加者全員が取引記録を共有して認証する仕組みで、処理の早さやコストの低さ、改ざんされにくい安全性が特徴だ。
今回は40行が企業の資金調達に使うコマーシャルペーパー(CP)の発行や売買、償還ができることを確認した。実用化に向けた第一歩となる。
金融機関連合は米ベンチャー企業「R3 CEV」を中心に2015年9月に組織された。新技術のインフラ作りや法規制への対応などを研究している。」

ちょっと、一言添えておくと、「ブロックチェーン」は、その技術を使ったデジタルデータの取引関係者全員で、その取引の正当性を証明する技術で、衆人環視の元、経済的価値のやり取りをするので、誰もごまかすことができない、という性質のものです。

(参考)
⇒「フィンテック(FinTech)の最新動向(2)ブロックチェーンを取り上げます 日本経済新聞より

そして、さらに驚異的なのが、その技術は、あらゆるデジタルデータの取引の正当性を担保できるということ。つまり、一般の財・サービスの交換取引はもとより、不動産取引、保険取引、その果てには、公共団体からの各種証明書の交付など、デジタルデータになっていれば、そのやりとりを裏から正当性チェックを絶えず行い、不正取引を排除する驚異的な技術なのです。仮想通貨だけのものではない、ということです。

(参考)
⇒「次の革新「ブロックチェーン」 まず金融に 新ITインフラ、バークレイズなど採用 データ改ざん困難に

つらつらと書き連ねていくと、思わず前後編となってしまいました。
以後は、もっと簡明なサマリ記事編集に心掛けたいと思います。(^^;)

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ビットコインなど仮想通貨が「通貨」として閣議決定されるまで -日経新聞まとめ(後編)http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭テクノロジードージコイン,ビットコイン,フィンテック,ブロックチェーン,マウントゴックス,マネーロンダリング,モナーコイン,ライトコイン,不課税,仮想通貨,資金決済法,閣議決定,非課税■ 今度は国会での論議。焦点は「税法」上の取り扱い 仮想通貨が閣議で「通貨」認定される。前編は金融庁の「決済資金法」改正の動きまでウォッチしてきました。さらに、閣議決定までの議論の盛り上がりを日経新聞でトレースしていく後編になります。やっとこの投稿でゴールにたどり着きます。 2016/2/29付 |日本経済新聞|朝刊 ビットコイン非課税化の議論 税収か国際競争力か 「仮想通貨ビットコインを「モノ(資産)」とみなし、消費税をかけている日本の税制に関係者の不満が高まっている。金融庁は今通常国会に資金決済法の改正案を提出し、仮想通貨は円のような「通貨」に似た機能をもつと認定する方針だが、税務上は「モノ」のまま。今月、国会で課税の是非について質問が出て議論が始まったばかりだ。」 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 「「世界の潮流に合わせ、仮想通貨に消費税をかけないという検討はできないのか」。2月5日、衆院予算委員会で自民党の秋元司議員は麻生太郎財務相にただした。  麻生氏は仮想通貨に課税するオーストラリアなどの国々を挙げ、「日本だけが(特殊)ということはない」と課税の正当性を主張。一方でIT(情報技術)と金融が融合した「フィンテック」のブームに触れ「必要な環境整備を進めたい」と今後に含みを残した。」 税務では、欧米の動きに追随する様相を示しています。 「海外では欧州の裁判所がビットコインを通貨に似た支払い手段と認め、付加価値税(VAT)の適用除外とするなど非課税扱いが主流。主要7カ国(G7)で課税するのは日本だけ。「日本は世界の逆を行く。競争政策上、日本にとってマイナスだ」と仮想通貨の業界団体、日本価値記録事業者協会の加納裕三代表理事は撤廃を訴える。」 さてさて、消費税が国境を越えて、やれ「不課税取引」の要件は、「不課税」業者の定義は? という議論と同じく、仮想通貨もモノであるならば、消費税の課税・不課税の議論に巻き込まれてしまいます。モノならば、海外に拠点のある取引所を介して取引する仮想通貨には、「不課税」となるのか。現在も、ネット通販でもよくあるもめごとのひとつです。その取扱いの不平等さは、事例できちんと説明されています。その前に、またまたウンチクをひとつ。 ちなみに、「不課税」と「非課税」の違いは、国税庁のホームページ No.6209 非課税と不課税の違い より、  ------------------------------------------- 1 不課税取引  消費税の課税の対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引です。  これに当たらない取引には消費税はかかりません。これを一般的に不課税取引といいます。  例えば、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資に対する配当などがこれに当たります。 2 非課税取引  国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等であっても、課税対象になじまないことや社会政策的配慮から消費税を課税しない取引があります。これを非課税取引といいます。  例えば、土地、有価証券、商品券などの譲渡、預貯金の利子や社会保険医療などがこれに当たります。 ---------------------------------------- 「どんな場合に課税され、日本の競争力に影響するのか。日本に住む個人が国内の取引所に円を払ってビットコインを買うと、モノを買うのと同じように8%の消費税がかかる。コインを利用しようという消費者の意欲をそぐことになる。」 「さらに事業者にとって困るのは、非課税の海外の取引所から安い価格でコインを購入する消費者が出てくることだ。消費税法では「輸入される外国貨物」は課税対象であり、税関で消費税を徴収する。だが電子情報であるビットコインは税務上「モノ」であっても「税関を通らないため、課税なしとされる」(EY税理士法人パートナーの西田宏之氏)という。」 「実際、この法の盲点を突いて、日本向けに安値でビットコインを販売している企業がある。加納氏は「国内事業者が海外勢と対等に戦えるようにすべきだ」と主張する。  日本でも通貨や電子マネーは非課税だ。通貨は外国為替及び外国貿易法(外為法)で「支払い手段」と定義されているため、非課税。電子マネーは消費税法上、通貨のように広く商品やサービスの購入に利用できる性質を考慮し、非課税としている。」 「一方、今国会で資金決済法が改正され、通貨に似た機能がビットコインに認められても、外為法上の「支払い手段」などではないから非課税扱いにはならない。国税庁は「ビットコインが非課税規定の対象とならない限り、税を徴収する」という。  業界関係者が期待するのは5月に開かれる主要国の首脳会議(伊勢志摩サミット)と、財務相・中央銀行総裁会議だ。「フィンテック推進が各国首脳の間で共有され、国内でも課税見直しの方向に風向きが変わる」とある関係者は予想する。  自民党フィンテック推進議員連盟の幹事長を務める秋元議員は「年内に非課税化のメドをつけたい」と意気込む。国際競争力を取るか税を取るか。論戦の火蓋は切られた。」 なんと、いくら「資金決済法」を改正して、仮想通貨を疑似貨幣(決済手段の一種という意味ね)と定義したとしても、税務上はモノ扱いを通すという姿勢を崩さない国税庁。金融庁とちゃんと話し合ってよね、とつい言いたくなってしまいます。縦割り行政の粋、ここに極まれり! ■ ここで、仮想通貨(ビットコイン)を復習してみましょう! 日経新聞も、最後の追い込み前に、ここで箸休めとばかり、復習記事を掲載しています。月曜日で株価欄も無いのでね。 2016/3/1付 |日本経済新聞|朝刊 (Q&A)取引所破綻から2年 仮想通貨、なぜ広がる?海外への送金格安 顧客資産の管理に懸念 「2014年2月28日に仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」が経営破綻して2年が過ぎた。日本で「仮想通貨=信頼性に欠ける」とのイメージが強まったが、世界では利用者が増えている。政府も法制を整え、利用者保護と普及の両立をめざす構えだ。」 以下、同記事のQ&Aになります。 ------------------------------------------ Q マウントゴックス破綻の影響は。 A 同社は2年前に民事再生手続きの開始を申し入れた。ビットコインと預かり金の消失で負債が急増し債務超過に陥ったからだ。最終的に東京地裁が同年4月に破産手続き開始を決定。当時の債権者は約12万7000人に上った。顧客から預かった約82億円の資産が消滅したことから、仮想通貨に対する信頼性が急落した。 (下記は、同記事添付のマウントゴックス破綻時の抗議デモの様子の写真を転載) Q じゃあ、仮想通貨はそのうちなくなるの? A いや、世界的には普及が加速している。コインデスクの調べでは、ビットコインの利用者は世界で1200万人を超す。09年に登場したビットコインは仮想通貨の先駆けだが今や仮想通貨の種類も600以上になっている。 仮想通貨は円やドルの法定通貨と違い、従来より安く決済できる点が支持されている。海外送金の手数料は最低5円で済み、既存の銀行に比べ格段に安いといわれる。 ------------------------------------------ ちなみに、みずほ銀行の海外送金は、「みずほダイレクト」というネットバンキングサービスを使ったとしても、電信送信の手数料は、本支店向:5000円、他行向:5500円なり。仮に、「依頼人負担」を選択された場合は、別途、コルレス先支払手数料2,500円が必要となります。単純比較で、1000分の1。これでは価格勝負にはなっていませんね。 ------------------------------------------ Q どう入手するの? A 円などの法定通貨と仮想通貨を交換する取引所を使う。日本にはビットバンク、ビットフライヤー、コインチェックなどの取引所が7社あるとされる。利用者はスマートフォンやパソコンから取引所のサイトにアクセスし、名前やメールアドレスを登録。免許証など本人確認ができる書類も出す。最初に仮想通貨を保管する電子財布「ウォレット」を作る。 次にクレジットカード決済や指定の銀行口座にお金を振り込んで仮想通貨を購入する。自身の取引状況や保有残高は電子財布内で確認できる。 Q 取引の状況は? A 利用者の大半は投資が目的だ。パソコンなどで24時間取引できる。価格は昨年1月の1ビットコインあたり177ドルを底に、現在は430ドルに上昇した。価格上昇時に売れば、ドルや円などの売買と同様にもうけを手にできる。1日あたりの取引量は約20万件で前年より倍増。通貨別の割合では人民元が4割を超え、中国人の利用者が増えた。他の利用者に送金したり、店舗で買い物や飲食代として支払ったりすることも可能だ。 (下記は、同記事添付の飲食店内のビットコインATMの写真を転載) Q 日本の利用者は。 A ビットバンクの推計では、今年1月時点で約5万人が利用する。うち9割が男性だ。1日あたりの取引量は約6億円で、この3カ月で3倍に増えた。日本の取引所で扱う仮想通貨の9割がビットコインだが、その他にドージコイン、ライトコイン、モナーコインと呼ぶ通貨も売買できる。 ------------------------------------------ 仮想通貨の種類は、世界で1000を優に超えています。 現在の仮想通貨の相場一覧はこちら ● やさしくはじめる仮想通貨 より ・仮想通貨相場一覧 ------------------------------------------ Q 安全になったのかな? A いや、顧客資産の管理など利用者にとって安全性の問題が残る。政府は取引所を登録制にしたうえで外部監査の適用を義務付ける法規制を検討中だ。」 ------------------------------------------ ■ さあ、ようやく真打が登場!! いよいよ「貨幣認定」閣議決定の時を迎えました! 待ちに待った第一報は、夕刊でした。 2016/3/4付 |日本経済新聞|夕刊 仮想通貨 決済手段に 「貨幣」認定、取引所は登録制 法案を閣議決定 「政府は4日、インターネット上の決済取引などで急速に市場が広がるビットコインといった仮想通貨に対する初めての法規制案を閣議決定した。仮想通貨が「貨幣の機能」を持つと認め、オンライン決済などにも利用可能な公的な決済手段に利用できると位置づけた。仮想通貨の取引所を登録制にして監督強化することも盛り込んでおり、利用に弾みがつきそうだ。」 今後の段取りは次の通り。 「今通常国会で資金決済法を改正し規制案の成立をめざす。現在はビットコインなどの法規制がなく、利用者保護の観点から規制の法的整備を求める声が強まっていた。金融庁が監督官庁となり取引所や売買を監視する。麻生太郎金融相は閣議後の記者会見で「法制上の処置を講じて利用者保護や不正利用の防止に適切な対応を図る」と述べた。」 「2009年に誕生したビットコインは仮想通貨の約9割を占め、世界の利用者が約1200万人に広がった。ただ日本では2年前にビットコインの取引所「マウントゴックス」が経営破綻し、顧客の資産が消滅した。こうした事態や資金洗浄(マネーロンダリング)を防ぐため、取引所の監視や本人確認を強化する。」 それにしても、「仮想通貨」=「ビットコイン」=「マウントゴックスの破綻」というイメージはなかなか払拭することが難しいようです。   2016/3/5付 |日本経済新聞|朝刊 仮想通貨の透明性向上 法案閣議決定、「貨幣」認める 破綻時やテロ対策が課題 「政府は4日、仮想通貨取引の透明性を向上させる法規制案を閣議決定した。ビットコインなどの仮想通貨は「貨幣の機能」を持つとして、公的な決済手段の一つであると位置づけた。取引所には外部監査や最低資本金を義務付けることで、利用者の保護も図る。ただ破綻時の対応やテロ資金対策など依然として課題も残る。」 破綻時の扱いについては、取引所が預金保険法の適用外のため、一般企業と同様の債権者保護規制と同レベルになります(→2016/2026掲載記事) マネーロンダリングの議論は、「資金決済法」上で、犯罪収益移転防止法の特定事業者にも指定するので、一定の効果はでてくるかと(→2016/2/20掲載記事) 「政府は今通常国会で資金決済法を改正する方針だ。現在は仮想通貨をカバーする法律はなく、単なる「モノ」としかみなされていない。 2014年にビットコインの取引所「マウントゴックス」が経営破綻し、一時は安全性などに懸念が高まったが、取引量は再び増えている。日本には現在、7社の取引所があり、約5万人がビットコインを利用するとされる。取引量は1日あたり約6億円で、直近3カ月では3倍に増えた。 国内でビットコインを決済できる店舗も千店を突破した。飲食店だけでなく、歯医者やネイルサロンにも広がっている。」 「仮想通貨は急速に普及しており、取引の安全性を高めることなどが焦点になっている。特に消費者保護などが重要な課題になっており、金融庁も一定の規制が必要だと判断した。 マウントゴックスの例では破産手続き時に顧客から預かっていた82億円が消滅した。中小企業の運営が多い取引所に破綻に備えた資金を積ませるルールはなく、預金保険法で資産が守られる銀行などとは違う。」 (下記は、同記事添付のマウントゴックス破綻時の謝罪会見の様子の写真を転載) 一体、いつまで、この2014年2月の謝罪会見の模様を流し続けるのか。もう2年が過ぎています。しかし、取引停止に陥る取引所が後を絶たないわけで、、、 「金融庁幹部は「今は外部監査や顧客と自己資産をわける『分別管理』を導入している取引所は一部しかない」と明かす。実際、昨年に仮想通貨の取引が突然停止した取引所もあった。 今回は取引所を金融庁の監視下に置き、外部の公認会計士による監査や1000万円以上の最低資本金を導入する方向。毎年の財務報告書も必要となり、経営余力がない取引所は自然と淘汰される。顧客と自己資産をわける「分別管理」も義務づける。利用者に手数料や契約内容の情報開示も課す。」 「利用者保護に関する最低限のルールができるが、依然として安全性には課題がある。金融法制に詳しい遠藤元一弁護士は「仮想通貨は価格の変動が激しく、投機性が強い。財政基盤が弱い取引所が多く、仮に破綻した場合は債権者の資産を保護するのは難しい」と話す。」 ここでは、2016/2/20掲載記事での「賭博罪」に当たるか否かの議論をもう一度確認されることをお勧めします。 「麻生太郎金融相は4日の閣議後会見で仮想通貨について「テロ資金に利用されているとの指摘もある」と言及。匿名性が強い仮想通貨はテロ資金流用への疑念がなお晴れない。仮想通貨は金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」の発展で新しい利用手段が注目されるが、依然として本物の通貨に比べて課題が多い。」 出てきました。バズワード「フィンテック」。そのあたりの可能性というか、技術革新の経済利用は、次の記事のようなトライアルが始まろうとしています。 ■ 仮想通貨が通貨認定される目処が立った直後、今度は、フィンテック的利用へ 2016/3/6付 |日本経済新聞|朝刊 仮想通貨技術で債券発行を実験 金融大手40行 「米シティグループ、英バークレイズ、米ゴールドマン・サックスなど世界の主要金融機関40行が仮想通貨に使う技術で債券を発行する初の実証実験を行った。ブロックチェーンと呼ばれる技術で債券の発行者などの情報を瞬時に安全に参加者が共有できた。日本からは三菱UFJフィナンシャル・グループとみずほフィナンシャル・グループが参加した。」 仮想通貨の信用の根幹を支える「ブロックチェーン」という技術。これを使って、「債券」取引に応用しようという試みが、世界の金融エスタブリッシュメント企業連合で進められています。これに乗り遅れないように、日本も「通貨」認定を急いだのか、と邪推するほどのタイミングでの記事掲載でした。 「ブロックチェーンは参加者全員が取引記録を共有して認証する仕組みで、処理の早さやコストの低さ、改ざんされにくい安全性が特徴だ。 今回は40行が企業の資金調達に使うコマーシャルペーパー(CP)の発行や売買、償還ができることを確認した。実用化に向けた第一歩となる。 金融機関連合は米ベンチャー企業「R3 CEV」を中心に2015年9月に組織された。新技術のインフラ作りや法規制への対応などを研究している。」 ちょっと、一言添えておくと、「ブロックチェーン」は、その技術を使ったデジタルデータの取引関係者全員で、その取引の正当性を証明する技術で、衆人環視の元、経済的価値のやり取りをするので、誰もごまかすことができない、という性質のものです。 (参考) ⇒「フィンテック(FinTech)の最新動向(2)ブロックチェーンを取り上げます 日本経済新聞より」 そして、さらに驚異的なのが、その技術は、あらゆるデジタルデータの取引の正当性を担保できるということ。つまり、一般の財・サービスの交換取引はもとより、不動産取引、保険取引、その果てには、公共団体からの各種証明書の交付など、デジタルデータになっていれば、そのやりとりを裏から正当性チェックを絶えず行い、不正取引を排除する驚異的な技術なのです。仮想通貨だけのものではない、ということです。 (参考) ⇒「次の革新「ブロックチェーン」 まず金融に 新ITインフラ、バークレイズなど採用 データ改ざん困難に」 つらつらと書き連ねていくと、思わず前後編となってしまいました。 以後は、もっと簡明なサマリ記事編集に心掛けたいと思います。(^^;)現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します