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■ 自社株買いで自社が筆頭株主

経営管理会計トピック
いくら、会社法で認められているからといっても、発行会社が筆頭株主のままでいるというのは異常事態です。

2015/1/16|日本経済新聞|朝刊
「自社が筆頭株主」最多に 野村など314社 昨年9月末 積極的な自社株買い映す

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「積極的な自社株買いの結果、自社が「筆頭株主」となっている上場企業が一段と増えている。昨年9月末(一部は6月末など)時点では、新たに筆頭になった野村ホールディングスなど最多の314社に上った。自己株が多い企業は、株式交換によるM&A(合併・買収)や消却といった資本政策が注目される。」
自社株買いによる、いろいろな財務指標への影響や、自己株式の消却・使用の際の会計処理などに関するコメントはこちら。
⇒「予想1株利益の算出法、26日から変更 「発行済み」から自社株除外 市場の実勢などを反映
次章で、チマチマと、ランキング表に登場した会社の個別事情を分かる範囲で調べたものをお知らせします。
その前に、新聞記事内にて掲載されたチャートを2つ転載します。
経営管理トピック_自社が筆頭株主_グラフ
経営管理トピック_自社が筆頭株主_ランキング表

■ 自社が筆頭株主の理由

以下、調べがついたものについて説明していきます。
1.野村HD
・役職員のストックオプション(株式購入権)の行使などに備えて保有(新聞記事より)
2.JFE HD
・1500万株取得(市場買い付け)- 2007年
・2534万株取得(子会社から買い付け)- 2012年
(組織変更等により、例外的に子会社が親会社の株式を所有してしまった場合、会社法163条にもとづき、取締役会決議のみで機動的に、自己株式として親会社が取得することができます。その後の金庫株の消却のシナリオが見えてこないのが、、、)
3.キリンHD
・創業にかかわった一族の関連会社の保有株を買い取り(新聞記事より)
7.日ガス
・2009年、元第2位株主:ACレモンから321万株(当時:保有比率7.15%)を取得。合わせて他株主にも売却機会を与えるため、最大550万株の買い付けを提示。
・2014年7月、元筆頭株主:OEP NG LLP(米国)から953万株(同24.29%)を資本提携解消に伴い取得。
8.アコーディア
・2014年8月、アセットライト戦略を採用し、所有ゴルフ場資産(90/133コース)をSPCに譲渡し、そのゴルフ場運営権を代わりに得る。それに伴い、筆頭株主:レノ(当時保有比率24%)以下、主要株主から自己株を取得。
・2014年9月時点で保有していた自己株式は、3489万株。内、2066万株を2014年12月に消却。
(2013年のPGMによる敵対的TOB不成立の頃から現在に至るまで、いろいろきな臭い動きがあったのですが、、、これくらいの経過説明にしておきます。。。)
9.オイレス
・断続的に、2014年9月まで信託方式で市場から買い付け
・2015年3月に、保有比率:5.22%にあたる200万株を消却予定
(こういうのは比較的、普通の動きなので、安心して記述できます。きちんと金庫株の処理まで計画されているので、極めて自然な株主還元政策です)
10.バイタルKS
・2014年9月、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による自己株式取得(323百万株:5.55%)
・取得のために、ユーロ円貨転換社債型新株予約権付社債を発行。
(こういうのも、ごく素直に、資本調達条件をより良いものにして、資本コストを下げることを目的としている会社側の意図が明白なので、落ち着いて記述できます)
11.天馬
・2014年5月、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による自己株式取得(202万株:7.5%)
・2014年11月、100万株(3.35%)を消却
(こういうのも、きちんと自己株取得→金庫株消却の流れがあって、安心して説明できます)
「金庫株(発行会社が保有している自社株式)」は、議決権も配当義務もないので、そのまま持ち続けることは違法ではありません。しかし、いつ何時、市場に流通するかもしれない可能性は秘めたままなので、先日の筆者の「投稿」にもあったように、マスコミにも、様々な株式関連指標の算出方法で試行錯誤を必要とさせてしまいます。
近いうちに、「株式交換」によるM&A等で使用する予定がある場合以外は、なるべく「消却」してしまった方が、株主は安心するでしょう。少なくとも、発行会社自身がいつまでも筆頭株主というのはやめてもらいたいものです。
亡霊がいつまでもウヨウヨしているようで。。。

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小林 友昭会計で経営を読む■ 自社株買いで自社が筆頭株主 いくら、会社法で認められているからといっても、発行会社が筆頭株主のままでいるというのは異常事態です。 2015/1/16|日本経済新聞|朝刊 「自社が筆頭株主」最多に 野村など314社 昨年9月末 積極的な自社株買い映す (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 「積極的な自社株買いの結果、自社が「筆頭株主」となっている上場企業が一段と増えている。昨年9月末(一部は6月末など)時点では、新たに筆頭になった野村ホールディングスなど最多の314社に上った。自己株が多い企業は、株式交換によるM&A(合併・買収)や消却といった資本政策が注目される。」 自社株買いによる、いろいろな財務指標への影響や、自己株式の消却・使用の際の会計処理などに関するコメントはこちら。 ⇒「予想1株利益の算出法、26日から変更 「発行済み」から自社株除外 市場の実勢などを反映」 次章で、チマチマと、ランキング表に登場した会社の個別事情を分かる範囲で調べたものをお知らせします。 その前に、新聞記事内にて掲載されたチャートを2つ転載します。 ■ 自社が筆頭株主の理由 以下、調べがついたものについて説明していきます。 1.野村HD ・役職員のストックオプション(株式購入権)の行使などに備えて保有(新聞記事より) 2.JFE HD ・1500万株取得(市場買い付け)- 2007年 ・2534万株取得(子会社から買い付け)- 2012年 (組織変更等により、例外的に子会社が親会社の株式を所有してしまった場合、会社法163条にもとづき、取締役会決議のみで機動的に、自己株式として親会社が取得することができます。その後の金庫株の消却のシナリオが見えてこないのが、、、) 3.キリンHD ・創業にかかわった一族の関連会社の保有株を買い取り(新聞記事より) 7.日ガス ・2009年、元第2位株主:ACレモンから321万株(当時:保有比率7.15%)を取得。合わせて他株主にも売却機会を与えるため、最大550万株の買い付けを提示。 ・2014年7月、元筆頭株主:OEP NG LLP(米国)から953万株(同24.29%)を資本提携解消に伴い取得。 8.アコーディア ・2014年8月、アセットライト戦略を採用し、所有ゴルフ場資産(90/133コース)をSPCに譲渡し、そのゴルフ場運営権を代わりに得る。それに伴い、筆頭株主:レノ(当時保有比率24%)以下、主要株主から自己株を取得。 ・2014年9月時点で保有していた自己株式は、3489万株。内、2066万株を2014年12月に消却。 (2013年のPGMによる敵対的TOB不成立の頃から現在に至るまで、いろいろきな臭い動きがあったのですが、、、これくらいの経過説明にしておきます。。。) 9.オイレス ・断続的に、2014年9月まで信託方式で市場から買い付け ・2015年3月に、保有比率:5.22%にあたる200万株を消却予定 (こういうのは比較的、普通の動きなので、安心して記述できます。きちんと金庫株の処理まで計画されているので、極めて自然な株主還元政策です) 10.バイタルKS ・2014年9月、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による自己株式取得(323百万株:5.55%) ・取得のために、ユーロ円貨転換社債型新株予約権付社債を発行。 (こういうのも、ごく素直に、資本調達条件をより良いものにして、資本コストを下げることを目的としている会社側の意図が明白なので、落ち着いて記述できます) 11.天馬 ・2014年5月、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による自己株式取得(202万株:7.5%) ・2014年11月、100万株(3.35%)を消却 (こういうのも、きちんと自己株取得→金庫株消却の流れがあって、安心して説明できます) 「金庫株(発行会社が保有している自社株式)」は、議決権も配当義務もないので、そのまま持ち続けることは違法ではありません。しかし、いつ何時、市場に流通するかもしれない可能性は秘めたままなので、先日の筆者の「投稿」にもあったように、マスコミにも、様々な株式関連指標の算出方法で試行錯誤を必要とさせてしまいます。 近いうちに、「株式交換」によるM&A等で使用する予定がある場合以外は、なるべく「消却」してしまった方が、株主は安心するでしょう。少なくとも、発行会社自身がいつまでも筆頭株主というのはやめてもらいたいものです。 亡霊がいつまでもウヨウヨしているようで。。。現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します