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■ ホワイトカラーの仕事がやがてなくなる!?

経営管理会計トピック
経営コンサルタントとしては、職業保全の危機が到来したと、非常に大きい懸念を持ってこの新聞記事を何度も読み返しました。そして読み込んでいくうちに、これはホワイトカラー職の皆様にとっての共通の危機だとの思いに至りました。

2014/12/19|日本経済新聞|朝刊
日本IBM、「ワトソン」分析をクラウドで提供 人工知能に質問、答え導く

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「日本IBMは18日、人の言葉を理解する認知型コンピューター「ワトソン」をネット経由で使えるクラウド型新サービスを始めた。「売上高が目標に届かなかったのはなぜですか」などとパソコンに入力すると、ワトソンが質問の意味を理解してデータを分析し結論を導き出す。料金は1人当たり月額4158円(税別)から。機能を限定した無償版も用意する。」

■ 「データサイエンティスト」どころの騒ぎではない!

ホワイトカラーの仕事とは、いったい何でしょうか?
1.「何が経営課題なのか」を明確にする ・・・問題提起
2.設定された課題に対する解決策を選択する・・・意思決定
3.経営判断の結果を評価する・・・価値判断
4.上記作業に関連して、ITを活用したデータ処理の実行を指示する・・・データ解析
そもそも何が問題なのかを考え、解決策に思いを巡らし、必要に応じてCPUの演算処理能力を活用する。そうした知的作業がホワイトカラーの仕事であり、人間にしかできないものと思い込んでいました。
そうした判断業務を含む知的作業を「人工知能」が代替してしまうという怖いお話。
その昔、1811年~1817年にかけて、英国の中・北部の織物工業地帯に起こった、「ラッダイト運動」というのをご存知でしょうか? 産業革命にともなう機械使用の普及により、失業のおそれを感じた手工業者・労働者が起こした「機械打ちこわし運動」のことです。
今や、ホワイトカラーが知的作業の職業機会を「人工知能」に奪われる危機を打開するため、「人工知能」が搭載されたロボットを打壊すこともあり得るかもしれません。
旧来のホワイトカラーの判断作業が、同じ人間の「データサイエンティスト」にとって代わられるぐらいはかわいいものです。必要とあらば、誰でも努力・学習して、「データサイエンティスト」になれますが、どうあがいても「人工知能」にはなれませんし、かないっこありませんから。

■ 何をそんなに恐れているのか - 人工知能の可能性

新聞記事には、
「ワトソンは利用者が入力した文章を自然言語処理の技術で解釈し、ビッグデータ分析の技術によって結論を導出。グラフなど視覚的にわかりやすく根拠を示す。」
とあります。
経営者が、経営課題をワトソン(人工知能)に、プログラム言語に変換することなく、単なる「文章」を投げるだけで、自然言語処理技術で自動解釈を行い、ビックデータ分析の技術によって結論を導出します。さらに、そのアウトプットは、デジタル処理されて、グラフなどの視覚的にわかりやすい形で表現され、その頒布(はんぷ)も手間いらず。
もはや、「統計言語」を駆使したり、BI(Business Intelligence)を使い倒して、データ解析したり、ExcelやPowerPointで資料を作ることすら必要なくなるのです。
下記の記事内容は、もはや、直球で、筆者がやっているような仕事が人間のものでは無くなることを予言しているかのようです。
「例えば売り上げや受発注、営業活動などの業務データから販売不振だった製品の種類や販路、地域などを示すとともに、営業活動との関連性を探り「この地域の営業活動が足りなかったことが原因」などと推測する。」

■ 人工知能に支配される人間

読者の中には、接客業の方はいらっしゃいますでしょうか? 「ホスピタリティを必要とする接客業は、人間にしかできない。どんなに進化した人工知能が搭載されたロボットが開発されても、人間の心までは取って代わることはできない」と考えて、ほっと胸をなでおろしている方、残念!
もはや、どういうときに、来店されたお客様がお喜びになるか、または売り上げが最大になるか、その時の、従業員の動き、顔の表情、声のかけ方、全てCPUで統計処理されて、最適解を導き出し、ウェアラブル端末を使って、人間に指示を出す。そういう時代が来ようとしています。
むしろ、人間は指示通りに100%行動できないので、人間より、精巧なロボットが時々刻々と移り変わる状況をリアルタイムで測定しながら、自己学習を行い、適切に接客をこなすようになる方が、返ってお客様満足度が上がることでしょう。
ペッパー君に何の違和感も持たない若い人がこれからどんどん増えるはずです。生身の人間による接客は単に「レア物」としての価値しか残らなくなるでしょう。
アルバイトの若者を一人前にトレーニングするより、膨大なネット情報に直接・常時アクセスしている人工知能を搭載したロボットが大量に投入されれば、教育費も浮き、時間もかかりません。なにせ、「接客業務の標準化」はもとより、「アクシデントが起きた際の緊急対応」についても、膨大な例外処理を電脳世界からケースを引っ張ってきて、実行してしまうでしょう。
ソフトバンクの孫さんが、日本の若年労働者の減少に対する妙案として「ロボット」が解決策になる、という趣旨の発言をされたTV番組を見たことがあります。でも労働による所得が減少すると、消費もできなくなるわけで、サービス業・物販業の働き手がロボットに置き換わる中、その会社の経営者はいったん人手不足に対して一息つけますが、長い目で見ると、日本国内市場における生活財の需要は縮小していくでしょう。
まあ、いつの世も、勝ち組はいるものです。この場合は、人工知能搭載の機器を作る会社、人工知能に知恵をつける会社でしょうか?
とにかく、「学習する」ことについては、人工知能に人間は完敗です。

■ 肉体労働に回帰する人間

こうなってくると、スポーツ選手や、バレエダンサーなど、わざわざ人間の肉体を使うことに意味がある活動しか、「人工知能」との競争を回避することはできません。それが「ブルーオーシャン戦略」というもの。。。
画家や作曲家も、己自身のセンスや感動の表現行為としてしか、絵画を描いたり、曲を作ったりする行動に意味づけはできません。より多くの人に感動してもらうことが目的のペインティングや曲づくりは、もはや人工知能のお仕事となるでしょう。
(あくまで商業的成功のことを言っていますので、その辺は誤解なきよう)
しばらくは、人工知能に情報をインプットする仕事があるので、どの職業にも、人工知能に判断させるためのサンプルづくりとして、しばらくは働ける猶予期間が与えられるはずです。そうして糊口をしのいでいる間に、自分にもできる肉体労働を探しますか。。。
「当面は英語での入力が必要だが将来は日本語に対応する計画。経営分析などの需要を取り込む。」
これって、完全に経営コンサル不要、ということですよね~! (´A`。)グスン

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小林 友昭テクノロジー■ ホワイトカラーの仕事がやがてなくなる!? 経営コンサルタントとしては、職業保全の危機が到来したと、非常に大きい懸念を持ってこの新聞記事を何度も読み返しました。そして読み込んでいくうちに、これはホワイトカラー職の皆様にとっての共通の危機だとの思いに至りました。 2014/12/19|日本経済新聞|朝刊 日本IBM、「ワトソン」分析をクラウドで提供 人工知能に質問、答え導く(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 「日本IBMは18日、人の言葉を理解する認知型コンピューター「ワトソン」をネット経由で使えるクラウド型新サービスを始めた。「売上高が目標に届かなかったのはなぜですか」などとパソコンに入力すると、ワトソンが質問の意味を理解してデータを分析し結論を導き出す。料金は1人当たり月額4158円(税別)から。機能を限定した無償版も用意する。」 ■ 「データサイエンティスト」どころの騒ぎではない!ホワイトカラーの仕事とは、いったい何でしょうか? 1.「何が経営課題なのか」を明確にする ・・・問題提起 2.設定された課題に対する解決策を選択する・・・意思決定 3.経営判断の結果を評価する・・・価値判断 4.上記作業に関連して、ITを活用したデータ処理の実行を指示する・・・データ解析 そもそも何が問題なのかを考え、解決策に思いを巡らし、必要に応じてCPUの演算処理能力を活用する。そうした知的作業がホワイトカラーの仕事であり、人間にしかできないものと思い込んでいました。 そうした判断業務を含む知的作業を「人工知能」が代替してしまうという怖いお話。 その昔、1811年~1817年にかけて、英国の中・北部の織物工業地帯に起こった、「ラッダイト運動」というのをご存知でしょうか? 産業革命にともなう機械使用の普及により、失業のおそれを感じた手工業者・労働者が起こした「機械打ちこわし運動」のことです。 今や、ホワイトカラーが知的作業の職業機会を「人工知能」に奪われる危機を打開するため、「人工知能」が搭載されたロボットを打壊すこともあり得るかもしれません。 旧来のホワイトカラーの判断作業が、同じ人間の「データサイエンティスト」にとって代わられるぐらいはかわいいものです。必要とあらば、誰でも努力・学習して、「データサイエンティスト」になれますが、どうあがいても「人工知能」にはなれませんし、かないっこありませんから。 ■ 何をそんなに恐れているのか - 人工知能の可能性新聞記事には、 「ワトソンは利用者が入力した文章を自然言語処理の技術で解釈し、ビッグデータ分析の技術によって結論を導出。グラフなど視覚的にわかりやすく根拠を示す。」 とあります。 経営者が、経営課題をワトソン(人工知能)に、プログラム言語に変換することなく、単なる「文章」を投げるだけで、自然言語処理技術で自動解釈を行い、ビックデータ分析の技術によって結論を導出します。さらに、そのアウトプットは、デジタル処理されて、グラフなどの視覚的にわかりやすい形で表現され、その頒布(はんぷ)も手間いらず。 もはや、「統計言語」を駆使したり、BI(Business Intelligence)を使い倒して、データ解析したり、ExcelやPowerPointで資料を作ることすら必要なくなるのです。 下記の記事内容は、もはや、直球で、筆者がやっているような仕事が人間のものでは無くなることを予言しているかのようです。 「例えば売り上げや受発注、営業活動などの業務データから販売不振だった製品の種類や販路、地域などを示すとともに、営業活動との関連性を探り「この地域の営業活動が足りなかったことが原因」などと推測する。」 ■ 人工知能に支配される人間読者の中には、接客業の方はいらっしゃいますでしょうか? 「ホスピタリティを必要とする接客業は、人間にしかできない。どんなに進化した人工知能が搭載されたロボットが開発されても、人間の心までは取って代わることはできない」と考えて、ほっと胸をなでおろしている方、残念! もはや、どういうときに、来店されたお客様がお喜びになるか、または売り上げが最大になるか、その時の、従業員の動き、顔の表情、声のかけ方、全てCPUで統計処理されて、最適解を導き出し、ウェアラブル端末を使って、人間に指示を出す。そういう時代が来ようとしています。 むしろ、人間は指示通りに100%行動できないので、人間より、精巧なロボットが時々刻々と移り変わる状況をリアルタイムで測定しながら、自己学習を行い、適切に接客をこなすようになる方が、返ってお客様満足度が上がることでしょう。 ペッパー君に何の違和感も持たない若い人がこれからどんどん増えるはずです。生身の人間による接客は単に「レア物」としての価値しか残らなくなるでしょう。 アルバイトの若者を一人前にトレーニングするより、膨大なネット情報に直接・常時アクセスしている人工知能を搭載したロボットが大量に投入されれば、教育費も浮き、時間もかかりません。なにせ、「接客業務の標準化」はもとより、「アクシデントが起きた際の緊急対応」についても、膨大な例外処理を電脳世界からケースを引っ張ってきて、実行してしまうでしょう。 ソフトバンクの孫さんが、日本の若年労働者の減少に対する妙案として「ロボット」が解決策になる、という趣旨の発言をされたTV番組を見たことがあります。でも労働による所得が減少すると、消費もできなくなるわけで、サービス業・物販業の働き手がロボットに置き換わる中、その会社の経営者はいったん人手不足に対して一息つけますが、長い目で見ると、日本国内市場における生活財の需要は縮小していくでしょう。 まあ、いつの世も、勝ち組はいるものです。この場合は、人工知能搭載の機器を作る会社、人工知能に知恵をつける会社でしょうか? とにかく、「学習する」ことについては、人工知能に人間は完敗です。 ■ 肉体労働に回帰する人間こうなってくると、スポーツ選手や、バレエダンサーなど、わざわざ人間の肉体を使うことに意味がある活動しか、「人工知能」との競争を回避することはできません。それが「ブルーオーシャン戦略」というもの。。。 画家や作曲家も、己自身のセンスや感動の表現行為としてしか、絵画を描いたり、曲を作ったりする行動に意味づけはできません。より多くの人に感動してもらうことが目的のペインティングや曲づくりは、もはや人工知能のお仕事となるでしょう。 (あくまで商業的成功のことを言っていますので、その辺は誤解なきよう) しばらくは、人工知能に情報をインプットする仕事があるので、どの職業にも、人工知能に判断させるためのサンプルづくりとして、しばらくは働ける猶予期間が与えられるはずです。そうして糊口をしのいでいる間に、自分にもできる肉体労働を探しますか。。。 「当面は英語での入力が必要だが将来は日本語に対応する計画。経営分析などの需要を取り込む。」 これって、完全に経営コンサル不要、ということですよね~! (´A`。)グスン現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します