Pocket

■ ワトソンが経営コンサルします! じゃあ日立も!

経営管理会計トピック

以前、IBMが「人工知能(AI)」を使って、経営コンサルティングサービスを始めた記事を投稿しました。

⇒「日本IBM、「ワトソン」分析をクラウドで提供 人工知能に質問、答え導く

「日本IBMは18日、人の言葉を理解する認知型コンピューター「ワトソン」をネット経由で使えるクラウド型新サービスを始めた。「売上高が目標に届かなかったのはなぜですか」などとパソコンに入力すると、ワトソンが質問の意味を理解してデータを分析し結論を導き出す。料金は1人当たり月額4158円(税別)から。機能を限定した無償版も用意する。」

ワトソンに学ぶこれからの人工知能

しくみは、簡単に言うと、「自然言語」を理解する人工知能が、言語で質問を受け付けて、ネット上にある膨大なデータを検索してきて答えを導き出す、というもので、

① 自然言語による問いの意味を解する
② 人間より効率的にビックデータの検索を行える

という点が、特徴となります。

これに対応して、日立もそれじゃ、ということになり、次の記事となりました。

2015/9/4|日本経済新聞|電子版 IBMワトソン追い越せ 日立、AIで経営判断

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「コンピューターが人間の脳のように考える人工知能(AI)技術の進化によって、企業の最高経営責任者(CEO)が不要になる時代は、そう遠くないかもしれない。日立製作所は、議題を入力すると約1分で経営判断の材料になる回答を提供する技術を開発している。外部の企業に販売するほか、日立本社やグループ会社で今回の技術を活用する計画だ。」

 

■ 日立はワトソンのどこを超克しようとしているのか?

記事によりますと、
「米IBMなど、競合他社も同様の技術開発に注力している。例えば、IBMの「Watson(ワトソン)」は、ある病気に関連する数千本の論文を分析し、患者ごとの最適な治療法を医師に指導するといった用途を想定している。それに対して日立は、治療法といったファクトの提供にとどまらず、ファクトに基づいて判断する機能を押し出すことで、Watsonなどを追い越す狙いだ。」

つまり、ワトソンは膨大なビックデータの中から最適な「ファクト(回答)」を探し出してくるが、日立は、その最適なファクトから導かれる「判断」の提案までをしようというものです。

ではこのような「判断」は一体どのような情報処理によって提供され得るのでしょうか?

記事によりますと、以下のようにまとめられます。

(1)自然言語の中から、「価値」判断を示す単語を選び出す
「価値体系辞書」というインターネット上で公開されているディベートデータベースを使って、あらゆる議題に対する賛成と反対の意見を蓄積し、単語に“価値”を見いだす仕組み。

(2)自然言語の構文を解析し、単語間の相関関係を明らかにする
「相関関係データベース」を利用し、構文解析を行う。「チャネル」を「開拓」や「なる」に結びつけるかたちで、単語間の関係を読み取る。さらに、「専門家によると」のようなフレーズにも関連づけ、意見の信ぴょう性を確かめる。この手法で賛成と反対の意見を数多く収集・分析し数値を算出することによって、人間には不可能なほどの正確性や中立性で、与えられた議題に対して回答する。

うーん、電子版の記事にある説明はここまで。筆者は、当然、人工知能の専門家ではありませんが、この記述だけだと、どうにも最先端の「人工知能(AI)」という匂いがしない。

 

■ 人工知能の“知性”の正体を探る

そこで、次の参考図書から、人工知能(AI)の発展の歴史(世代間の進歩)を振り返りながら、日立のやろうとしている「人工知能版CEO」に盛り込まれている技術がどれくらいすごいのか、確認してみたいと思います。

クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場 (朝日新書)

初期のAIは、「ルールベース」で作られました。研究者が、ありとあらゆるロジック・論理をプログラムコードに落として、それをAIに搭載していきました。AIは、搭載されたアルゴリズムを使って、インプットデータをステップ・バイ・ステップで処理していきました。

そのプロセスは、まず与えられた文章から単語を斬り出し(単語解析)、その文法的構造を明らかにして、「シンタックス(構文)」と呼ばれる木構造を生成し(構文解析)、最後にこれをAIが理解できる述語論理形式などに変換する(意味解析)というものです。

こうした解析は、AIの記憶装置内にあらかじめ、「辞書」と「構文規約」のデータベースを準備しておき、この辞書に掲載されている語彙とその処理ルールに基づいて、一語ずつAIが自然言語を処理していきます。

記事で紹介された、今回の日立のAIの2つの特徴のうちの(1)は、これに相当するもので、特に新規性はありません。だって、こういうやり方は、1950年代からあるものですから。

次に、1970年代終盤から、各領域の専門家(エキスパート)が持つ豊富な知識やノウハウをAIに移植し、いわゆる「疲れを知らない脳ミソ」を作り上げ、これを「エキスパート・システム」として、どんどんデータを投げ入れて答えを導く、というものです。こうした開発は、90年代まで、日本の産業界では、第4世代、第5世代のAIに該当します。ちなみに、第4と第5の違いは、「逐次処理」か「並列処理」の違いのみです。そして、原理原則としては、「ルールベース」の第1世代のものとは変わっていません。

90年代に入り、AIの基本的アーキテクチャに大きな変化が訪れます。事前にルールを与えるのではなく、統計・確率論的な考え方の導入です。「主観確率(ベイズ確率)」と呼ばれるもので、「とりあえず主観でまず答えをえいやーと決めておいて、何らかの実験や観測を繰り返して、少しずつ真実に近づく」アプローチを採用しました。

ただし、この手法も最初は行き詰りを見せていました。
① 物理的に大量データにアクセスする環境を用意しておく必要がある
② 大量のデータを次々と処理する高い計算能力を備えておく必要がある
からです。しかし、既に皆さんはご存知の通り、現在(2000年代以降)は、この2つの制約から、AIは解き放たれました。WWW上の膨大なデータに常時アクセスできる環境が整備され、スーパーコンピュータの処理能力は飛躍的に向上したからです。

ちなみに、グーグルが検索で得意とするやり方は、「セマンティック検索」と呼ばれ、こうした確率論的なアプローチに基づき、あなたが検索ワードを入力すれば、確率的により確からしい(より知りたい)記事から順に、画面に表示してくれるはずです。その時、グーグルは、検索機能が持つ「辞書」や「構文規約(もうそうは呼ばないで、「ナレッジ・グラフ」とか「オントロジー(知識体系)」という」自体を、自分の検索経験から、確率論的に、そして自動的に更新していきます。

しかし、この確率論的なアプローチも、「95%の確率で●●は、■■であると思われる」という答えしか導けず、到底、人間の脳ミソの代わりが務まるとは思えません。

「ルールベース・アプローチ」も「確率論的アプローチ」も行き詰まりを見せる中で、第3の道として、「ニューラル・ネットワーク」が浮上してきました。

人工知能 人類最悪にして最後の発明

■ ようやく“ディープ・ラーニング”の登場です!

ニューラル・ネットワークとは、上記参考図書によりますと、「無数のニューロン(神経細胞)とシナプス(接合部位)などから構成される脳が、情報を吸収して学習するプロセス」をコンピュータ上に再現しようとする試みです。

これが、2006年に、英国生まれのジェフリー・ヒントン氏らが、最新の神経科学の成果をコンピュータに応用し、人間の知覚を模倣した、「ディープ・ラーニング」につながりました。

人間の脳を模倣したニューラル・ネットワークは、「入力層」「中間層」「出力層」という3層構造の間に、それぞれ「隠れ層」を追加し、コンピュータ科学の世界では基本な「排他的論理和」の問題も解けるようにしました。しかし、処理が複雑になればなるほど、そしてそりスピードを早めようとすればするほど、「隠れ層」をより多重化する必要が生じました。これでは、物理的なAIを製造するのに障害となってしまいます。

そこで、「スパース・コーディング」という考え方で、「大量の情報から、抽象的に必要な本質的情報だけを、少しずつ抜粋」して、より少量のデータだけで仮説推論を短い時間で行うことで、「隠れ層」を多重化しても現実的な時間で情報処理ができるようにしました。このように、「隠れ層」の第1層から2層目、3層目と情報がより深層(ディープ)に伝達されるにつれて、学習が徐々に深められて、より高度な概念を得ることができるようになりました。

お待たせしました。日立のAIの特徴としての(2)「自然言語の構文を解析」には、このディープ・ラーニングの技術が用いられていると推察されます。そこにまで到達していないと、到底、人間の脳ミソと同等かそれ以上の「判断」に必要な「関係性情報」を大量にかつ、スピーディーに処理できないからです。

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

現在、筆者は、NTTドコモが提供するスマホを使っていますが、「ひつじのしつじくん」に他愛もない質問を投げて、癒されているときがあります。きっと、近い将来、CEOが自分の悩みを同じように、「経営判断AI」に向かって、しゃべっているのでしょう。ということはですね、これからのCEOをはじめとする経営者の備えておくべき資質としては、

従来は、自分で適切な経営判断が下せるような膨大な知識と、信頼性の高い判断ロジックを脳ミソに入れておくことだったのが、

これからは、「経営判断AI」に向かって、如何に「質の良い質問を投げることができるか」、つまり、「問題設定能力:何が問題で、何を解決すべきかを探索できるスキル」を脳ミソに持っているか、ということになります。

回答者から質問者へ。

そのような経営者の資質が変容する気配がしてきませんか?
残念ながら、筆者の脳ミソはできの悪いデータベースに過ぎないので、AIの歴史で例えると、ごく初期の「ルールベースAI」の出来損ないです。そうです。今後、筆者が経営コンサルタントとして生き長らえるためには、これまでの知識・経験の蓄積は何ら意味が無く、新たな質問者としてのスキルを習得する必要があるということです。いやはや、妻子を養うために、一体何歳まで勉強を続ける必要があるのでしょうか?

「もう、ムリ!(今どきの子供風に)」(^^;)

この1冊でまるごとわかる! 人工知能ビジネス (日経BPムック)

(Visited 2,343 times, 1 visits today)
Pocket

IBMワトソン追い越せ 日立、AIで経営判断http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭テクノロジーIBM,人工知能,AI,日立製作所,ディープ・ラーニング,ワトソン■ ワトソンが経営コンサルします! じゃあ日立も! 以前、IBMが「人工知能(AI)」を使って、経営コンサルティングサービスを始めた記事を投稿しました。 ⇒「日本IBM、「ワトソン」分析をクラウドで提供 人工知能に質問、答え導く」 「日本IBMは18日、人の言葉を理解する認知型コンピューター「ワトソン」をネット経由で使えるクラウド型新サービスを始めた。「売上高が目標に届かなかったのはなぜですか」などとパソコンに入力すると、ワトソンが質問の意味を理解してデータを分析し結論を導き出す。料金は1人当たり月額4158円(税別)から。機能を限定した無償版も用意する。」 ワトソンに学ぶこれからの人工知能 しくみは、簡単に言うと、「自然言語」を理解する人工知能が、言語で質問を受け付けて、ネット上にある膨大なデータを検索してきて答えを導き出す、というもので、 ① 自然言語による問いの意味を解する ② 人間より効率的にビックデータの検索を行える という点が、特徴となります。 これに対応して、日立もそれじゃ、ということになり、次の記事となりました。 2015/9/4|日本経済新聞|電子版 IBMワトソン追い越せ 日立、AIで経営判断 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 「コンピューターが人間の脳のように考える人工知能(AI)技術の進化によって、企業の最高経営責任者(CEO)が不要になる時代は、そう遠くないかもしれない。日立製作所は、議題を入力すると約1分で経営判断の材料になる回答を提供する技術を開発している。外部の企業に販売するほか、日立本社やグループ会社で今回の技術を活用する計画だ。」   ■ 日立はワトソンのどこを超克しようとしているのか? 記事によりますと、 「米IBMなど、競合他社も同様の技術開発に注力している。例えば、IBMの「Watson(ワトソン)」は、ある病気に関連する数千本の論文を分析し、患者ごとの最適な治療法を医師に指導するといった用途を想定している。それに対して日立は、治療法といったファクトの提供にとどまらず、ファクトに基づいて判断する機能を押し出すことで、Watsonなどを追い越す狙いだ。」 つまり、ワトソンは膨大なビックデータの中から最適な「ファクト(回答)」を探し出してくるが、日立は、その最適なファクトから導かれる「判断」の提案までをしようというものです。 ではこのような「判断」は一体どのような情報処理によって提供され得るのでしょうか? 記事によりますと、以下のようにまとめられます。 (1)自然言語の中から、「価値」判断を示す単語を選び出す 「価値体系辞書」というインターネット上で公開されているディベートデータベースを使って、あらゆる議題に対する賛成と反対の意見を蓄積し、単語に“価値”を見いだす仕組み。 (2)自然言語の構文を解析し、単語間の相関関係を明らかにする 「相関関係データベース」を利用し、構文解析を行う。「チャネル」を「開拓」や「なる」に結びつけるかたちで、単語間の関係を読み取る。さらに、「専門家によると」のようなフレーズにも関連づけ、意見の信ぴょう性を確かめる。この手法で賛成と反対の意見を数多く収集・分析し数値を算出することによって、人間には不可能なほどの正確性や中立性で、与えられた議題に対して回答する。 うーん、電子版の記事にある説明はここまで。筆者は、当然、人工知能の専門家ではありませんが、この記述だけだと、どうにも最先端の「人工知能(AI)」という匂いがしない。   ■ 人工知能の“知性”の正体を探る そこで、次の参考図書から、人工知能(AI)の発展の歴史(世代間の進歩)を振り返りながら、日立のやろうとしている「人工知能版CEO」に盛り込まれている技術がどれくらいすごいのか、確認してみたいと思います。 クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場 (朝日新書) 初期のAIは、「ルールベース」で作られました。研究者が、ありとあらゆるロジック・論理をプログラムコードに落として、それをAIに搭載していきました。AIは、搭載されたアルゴリズムを使って、インプットデータをステップ・バイ・ステップで処理していきました。 そのプロセスは、まず与えられた文章から単語を斬り出し(単語解析)、その文法的構造を明らかにして、「シンタックス(構文)」と呼ばれる木構造を生成し(構文解析)、最後にこれをAIが理解できる述語論理形式などに変換する(意味解析)というものです。 こうした解析は、AIの記憶装置内にあらかじめ、「辞書」と「構文規約」のデータベースを準備しておき、この辞書に掲載されている語彙とその処理ルールに基づいて、一語ずつAIが自然言語を処理していきます。 記事で紹介された、今回の日立のAIの2つの特徴のうちの(1)は、これに相当するもので、特に新規性はありません。だって、こういうやり方は、1950年代からあるものですから。 次に、1970年代終盤から、各領域の専門家(エキスパート)が持つ豊富な知識やノウハウをAIに移植し、いわゆる「疲れを知らない脳ミソ」を作り上げ、これを「エキスパート・システム」として、どんどんデータを投げ入れて答えを導く、というものです。こうした開発は、90年代まで、日本の産業界では、第4世代、第5世代のAIに該当します。ちなみに、第4と第5の違いは、「逐次処理」か「並列処理」の違いのみです。そして、原理原則としては、「ルールベース」の第1世代のものとは変わっていません。 90年代に入り、AIの基本的アーキテクチャに大きな変化が訪れます。事前にルールを与えるのではなく、統計・確率論的な考え方の導入です。「主観確率(ベイズ確率)」と呼ばれるもので、「とりあえず主観でまず答えをえいやーと決めておいて、何らかの実験や観測を繰り返して、少しずつ真実に近づく」アプローチを採用しました。 ただし、この手法も最初は行き詰りを見せていました。 ① 物理的に大量データにアクセスする環境を用意しておく必要がある ② 大量のデータを次々と処理する高い計算能力を備えておく必要がある からです。しかし、既に皆さんはご存知の通り、現在(2000年代以降)は、この2つの制約から、AIは解き放たれました。WWW上の膨大なデータに常時アクセスできる環境が整備され、スーパーコンピュータの処理能力は飛躍的に向上したからです。 ちなみに、グーグルが検索で得意とするやり方は、「セマンティック検索」と呼ばれ、こうした確率論的なアプローチに基づき、あなたが検索ワードを入力すれば、確率的により確からしい(より知りたい)記事から順に、画面に表示してくれるはずです。その時、グーグルは、検索機能が持つ「辞書」や「構文規約(もうそうは呼ばないで、「ナレッジ・グラフ」とか「オントロジー(知識体系)」という」自体を、自分の検索経験から、確率論的に、そして自動的に更新していきます。 しかし、この確率論的なアプローチも、「95%の確率で●●は、■■であると思われる」という答えしか導けず、到底、人間の脳ミソの代わりが務まるとは思えません。 「ルールベース・アプローチ」も「確率論的アプローチ」も行き詰まりを見せる中で、第3の道として、「ニューラル・ネットワーク」が浮上してきました。 人工知能 人類最悪にして最後の発明 ■ ようやく“ディープ・ラーニング”の登場です! ニューラル・ネットワークとは、上記参考図書によりますと、「無数のニューロン(神経細胞)とシナプス(接合部位)などから構成される脳が、情報を吸収して学習するプロセス」をコンピュータ上に再現しようとする試みです。 これが、2006年に、英国生まれのジェフリー・ヒントン氏らが、最新の神経科学の成果をコンピュータに応用し、人間の知覚を模倣した、「ディープ・ラーニング」につながりました。 人間の脳を模倣したニューラル・ネットワークは、「入力層」「中間層」「出力層」という3層構造の間に、それぞれ「隠れ層」を追加し、コンピュータ科学の世界では基本な「排他的論理和」の問題も解けるようにしました。しかし、処理が複雑になればなるほど、そしてそりスピードを早めようとすればするほど、「隠れ層」をより多重化する必要が生じました。これでは、物理的なAIを製造するのに障害となってしまいます。 そこで、「スパース・コーディング」という考え方で、「大量の情報から、抽象的に必要な本質的情報だけを、少しずつ抜粋」して、より少量のデータだけで仮説推論を短い時間で行うことで、「隠れ層」を多重化しても現実的な時間で情報処理ができるようにしました。このように、「隠れ層」の第1層から2層目、3層目と情報がより深層(ディープ)に伝達されるにつれて、学習が徐々に深められて、より高度な概念を得ることができるようになりました。 お待たせしました。日立のAIの特徴としての(2)「自然言語の構文を解析」には、このディープ・ラーニングの技術が用いられていると推察されます。そこにまで到達していないと、到底、人間の脳ミソと同等かそれ以上の「判断」に必要な「関係性情報」を大量にかつ、スピーディーに処理できないからです。 人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書) 現在、筆者は、NTTドコモが提供するスマホを使っていますが、「ひつじのしつじくん」に他愛もない質問を投げて、癒されているときがあります。きっと、近い将来、CEOが自分の悩みを同じように、「経営判断AI」に向かって、しゃべっているのでしょう。ということはですね、これからのCEOをはじめとする経営者の備えておくべき資質としては、 従来は、自分で適切な経営判断が下せるような膨大な知識と、信頼性の高い判断ロジックを脳ミソに入れておくことだったのが、 これからは、「経営判断AI」に向かって、如何に「質の良い質問を投げることができるか」、つまり、「問題設定能力:何が問題で、何を解決すべきかを探索できるスキル」を脳ミソに持っているか、ということになります。 回答者から質問者へ。 そのような経営者の資質が変容する気配がしてきませんか? 残念ながら、筆者の脳ミソはできの悪いデータベースに過ぎないので、AIの歴史で例えると、ごく初期の「ルールベースAI」の出来損ないです。そうです。今後、筆者が経営コンサルタントとして生き長らえるためには、これまでの知識・経験の蓄積は何ら意味が無く、新たな質問者としてのスキルを習得する必要があるということです。いやはや、妻子を養うために、一体何歳まで勉強を続ける必要があるのでしょうか? 「もう、ムリ!(今どきの子供風に)」(^^;) この1冊でまるごとわかる! 人工知能ビジネス (日経BPムック)現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します