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経営数字が分かるようになるコツ - 数字に愛情を込めなさい。愛情をかけただけ数字は応えてくれる!

所感
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■ どうすれば経営数字が手に取るように分かるようになるか?

最近、若手コンサルタントやクライアント先から、「どうすれば、経営数字が読めるようになるの?」「なにがやばくて、どこが悪いかどうしたら分かるの?」と尋ねられることが増えてきました。

経営分析や管理会計の技法を伝える書籍も多く出版され、ネット証券会社などのサービスで詳細な財務データに触れる機会も増え、多くの人が経営数字に触れる機会、考える機会が増えたことの証左だと考えています。それゆえ、会社の数字の見方の本質を伝えることの重要性が高まっていると思います。

本稿では、「この財務指標が重要!」「ROEを読み解くための方法とは?」という会計技法のお話はしません。それ以前の経営数字に対する挑み方、扱い方について語りたいと思います。

(1)数字に愛情をかける

私がお仕えしたCFOは、CFOに任命された後も、ご自身で毎日、会社の事業部別の受注・売上高を、自ら手でExcelに転記し、数表とグラフを作成していました。PCワークですが、(原始的という意味で)アナログ的な方法かもしれませんが、こうすることで、身体で会社の数字を感じることができます。頭で理解する前に、手を動かし、身体で数字を感じられるようにするのです。このCFOは、社内でも一番に日次受注・売上高の異常を察知し、私に連絡をしてきます。「ちょっとこの数字おかしいから調べてみて?」

そして大抵の場合、ビジネスの変調ではなくて、日次受注・売上高を表示するBI/DWHのデータまたは計算間違いでした。(^^;)

私はこのエピソードを好んで若い人にします。しかし、ほとんどの若者たちは、「そんなめんどくさいことはやりたくありません」という表情をして苦笑い。私は特段、精神論や努力や根性を押し付けているのではありません。毎日、手塩にかけて、自分の手で転記する経営数字に対して、自然と愛情が沸きませんか? (あっ、やっぱり精神論だったか???)

会社の数字に愛情を注ぐことができれば、ちょっとした変調や傾向にも敏感に反応することができます。これが数字の機微を読む、数字の裏を読むことにつながるのです。会社の数字は、結果としてそこにその数字で表示されているのですが、その数字が計算される前に、とても長い長いストーリーを持っているのです。目の前の売上高は、ちょっと遡れば、商談の出来不出来、生産現場での改善努力、商品開発の苦労、マーケティング現場での血の滲むような需要予測。。。数字に愛情をかければ、その数字が自らストーリーをこちらに語り掛けてくれるようになるのです。後はそれを受け止めるだけ。あとは、彼ら(経営数字)がどのように料理してほしいのか(関係各所にどのように説明してほしいのか)、数字の声が聞こえてきたら、愛情をかけた甲斐があったというものです(決して幻聴ですよ、とは言わないように)。(^^;)

(2)数字に関心を寄せる

これは愛情をかけるのとは微妙に異なります。例えば、ROEを例にして考えてみます。

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

ROEが予算より悪化したら、前年度より悪化したら、分子の当期純利益が変調をきたしたか、分母の自己資本が思わぬ方向に動いたのか、関心をもって詳細化、計算ロジックを遡って見ていってあげるのです。当期純利益が悪化していたら、P/Lの段階利益を順番に上に上に駆け上がってみていきます。例外的なイベントが起きて多額の特別損失が発生していたのでしょうか? それとも、セールスミックスが変化して、交叉比率に悪さをする商品が存在していたのでしょうか?

ROEを因数分解する式として、デュポンチャート(デュポンツリー)というものがあります。

経営管理会計トピック_デュポンチャート(デュポンツリーともいいます)

ROEの理解を高めるために、このような分析視点を持つことは大事です。しかし、この式を教えると、この三要素の良し悪しを批評して終わり、とする人が多いのも困ったことです。

どうして、マージン率が悪化したの? 総資産回転率が改善したのは、売り方が変わったの? それとも余剰資産を処分した結果オーライなだけ? ちゃんと、その三要素にも、ストーリーを語らせ上げましょうよ。

そのためには、常に経営数字に関心をもって、少しの変調、俯瞰的に見た時の傾向を感じ取ってあげるような気持で数字に接してみましょう。そうすると、やがて、数字の方からあなたに「実はね、こういうことがあってね、こういう結果になったんだよ!」と自ら語りかけてくるようになるでしょう(何度も言いますが、幻聴ではありませんよ!)。(^^;)

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