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孫子 第10章 地形篇 47 地の道は将の至任(しにん)

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ 孫子の兵法(入門)
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■ リーダーの戦場を読み切る力とは?

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戦場の地形にはパターンがあります。
(1)「通」四方に広く通じ開けている
(2)「挂」途中に行軍が渋滞する難所がある
(3)「支」途中で脇道が分岐している
(4)「隘」道幅が急に狭まっている
(5)「険」高く険しい道になっている
(6)「遠」両軍の陣地から遠く離れている

(1)「通」での戦い方
敵軍よりも先に高地の南側に陣取って、食糧の補給路を自軍に有利に確保する

(2)「挂」での戦い方
難所をひかえた地形では、難所の向こう側に敵の防御陣地が無い場合には、難所を越えて出撃しても勝てるが、もし敵の防御陣地が存在する場合には、出撃しても勝てず、再び難所を越えて引き返すのも難しく、不利になる

(3)「支」での戦い方
味方も敵も、先に進出した方が不利になる地形。脇道が枝分かれしている地形では、例え敵が自軍の進出の利益をちらつかせて誘ってきても、それに釣られて思わず進出しないこと。逆に、自軍を後退させて分岐点を離れ、敵軍の半数を分岐点を過ぎてから攻撃に移る

(4)「隘」での戦い方
自軍が先に進出してその隘路を占拠して自軍の兵力を密集させておいてから、敵の来攻を待ち受ける
逆に、敵軍が先にその隘路を占拠していて、敵の兵力がその地点に集中している場合は、決してこちらから攻めかからない。しかし、敵に占拠されていても、まだ敵の兵力で埋め尽くされていない場合だけ、集結前にこちらから攻めかかること

(5)「険」での戦い方
自軍が先に高地を占拠している場合は、南に面して陣を取り、敵の来攻を待ち受ける
逆に、敵軍が先にその高地を占拠している場合、自軍を後退させてその場を立ち去り、その地点の敵軍に攻めかかってはならない

(6)「遠」での戦い方
戦勢が互角な場合、自分の方から先に出陣して戦いを仕掛けるのは困難であり、無理に出かけていって戦闘を挑んではならない

これら6つは、戦場となる地形についての「道理」です。地形から戦い方を選び取るのは将軍の最も重大な任務であるため、これを明察しなければなりません。

(出典:浅野裕一著『孫子』講談社学術文庫)

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この節は、単なる局地戦闘用の戦術レベルのことしか語られていないように見えますが、戦争全体の勝敗の帰趨を決する戦場の選定が、これら6種類のどれかに該当する場合に、その際の自軍の運用が単なる局地戦での勝敗にとどまらず、戦況(戦略的優位性)にも影響を及ぼすことを重視します。

もし、軍(組織)を統率する将軍(リーダー)が、これらの6類型に代表される戦場での戦い方のセオリーを無視し、地形(外部環境)が組織行動に及ぼす影響を無視し、感情に任せて軽率に組織を動かすならば、そこに待ち受けるのは間違いなく敗北であることを肝に銘じるべきなのです。

現代ビジネスに置き換えるなら、ポーター流の競争戦略的には、「勝てる土俵でしか勝負しない」、ケイパビリティ派的には、「自社の組織力が生かせる土俵を選んで勝負する」ということになります。何か、組織で競争することに関しては、企業と軍隊という組織上の成り立ちが全く違いますが、勝利を目指した組織運営ということについては、2000年以上も前に書かれた『孫子』ですが、ざっと目を通すだけでも、得られるヒントはたくさんあるように思えます。

(ざっと、と言っても、今回で漸く、70分の47に到達したのですが、、、)

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