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会計報告のお作法

会計_アイキャッチ 会計(基礎)
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■ ディスクロージャー制度

会計_アイキャッチ
会計を報告するとは」にて、様々なステークホルダーに対して、ビジネス取引の前と後に会計報告がなされることは説明しました。

しかし、会社規模が大きくなってくると、取引を始める前に「自社のこれまでに経営成績は斯々然々(かくかくしかじか)です」、取引が終わったら、「お陰様で自社の経営成績はこのような結果になりました」といちいち相手に報告していると、時間がいくらあっても足りなくなります。

そこで、特に報告相手が不特定多数の場合、「ディスクロージャー(情報開示)制度」というものを利用します。皆さんも、「細かいことはFacebookやブロクのここに書いてあるから、必要があったらそっちを参照して!」と知り合いと会話したことがあるかもしれません。基本は会社も同じで、「会計報告(および付属する経営情報)をここに掲載しておくから、知りたい人はそこで調べてください」という理屈です。

ここで注意すべきなのは、次の2つです。

  1. そもそも不特定多数相手ではない報告にはディスクロージャー制度は適用できない
    (納税額を申告(しんこく)する場合は、相手が税務署に特定されているので、税務署に直接書類を提出する)
  2. 法律・規則で強制されているものと、会社の任意(自由意思)に任されているものがある
    (前者は法定開示という)

■ 会計報告の種類

いろいろな会計関連の書籍を読んでも、法律・規則で報告が強制されているものに関しては、やたら詳細なルールを並べて説明してあり、全体像が把握しにくくなっていることが多い傾向にあります。あくまで本記事シリーズのテーマは経営管理と経営戦略に役立てるために、会計の基礎を理解しようというのが目的なので、一部の説明には専門家が目を向く記述があるかもしれませんが、そこは全体像の理解に対する有用性の方を優先することにします。

誰が

いつ

誰に

何を

根拠規則

上場会社

大量の社債の発行会社

各事業年度終了後3ヵ月以内

株式や社債の売買を検討している人

有価証券報告書

四半期報告書

金融商品取引法

株式会社

合名会社

合資会社

合同会社

定時株主総会の前

株主

計算書類

事業報告

付属明細書

会社法

定時株主総会の招集時

上記書類を招集通知に添付

定時株主総会後遅滞なく

決算公告

東京証券取引所に株式を上場している会社

決算日から45日以内

上場株式の売買を検討している人

決算短信

(業績予想含む)

有価証券上場規定

同施行規則

納税義務者

事業年度終了の日の翌日から2か月以内

納税地を所轄する税務署長

法人税申告書

(別表)

法人税法

開示の意思のある全ての会社

任意

不特定

統合報告書

CSR報告書

・環境報告書

SRI報告書

・サスナビリティ報告書

アニュアルレポート

決算報告資料

なし

作成の意思のある全ての会社

任意

経営者(組織内管理責任者)

経営管理目的の各種レポート

なし

上記の表の各種報告フォーマットの中に、たとえば「財務諸表」と呼ばれる会計数値で構成されている表が含まれています。財務諸表の中身や読み方については別途ご説明します。

■ 開示資料の参照方法

では、一般的にこれらの文書(会計報告数値)はどこでお目にかかれるのでしょうか。
有価証券報告書関連は、EDINET へ
会社法関連の計算書類などは、各社ホームページ(企業・IR情報)へ
決算短信は、日本取引所グループ|JPX へ →「銘柄検索」Boxから
アニュアルレポート・決算報告資料などは、各社ホームページ(企業・IR情報)へ
その他Webサイトにて、
企業情報・決算情報・株価情報は、Yahoo! ファイナンス へ
CSR報告書など各種種類(抜粋)は、CSR図書館.net へ

本ブログの右カラムにも簡単なリンク集がありますのでご参考ください。

従業員や顧客、サプライヤー向けには特別な会計情報の発信はないのでしょうか?
取引の度に個別の開示要求をするか、信用会社の有料サービスを利用するか、上記一般公開情報のいずれかを参照することになると思います。

■ 管理会計における会計報告

頻繁に、「管理会計の報告フォーマットは自由でなんら法律に縛られずに作成できる」というセリフを耳にします。しかし、「できる」ということと「すべき」ということには100万光年ほどの違いがあります。筆者は、「自由に作成できるが、常に法定開示数値との関連性を不明瞭のままに放置してはいけないのではないか」という立場です。

つまり、「制管一致(せいかんいっち)」の問題に真摯に取り組むべきと考えています。決して常に一致させるべきと主張しているのではなく、「差異が発生するのは、管理会計制度の不備や運用担当者の未熟さが理由なのに見逃しているだけではないか?」「有用性、目的合理性や重要性の原則の名のもとに、経営目標値の二重管理や現場の混乱を招いていないか?」の検証を慎重にした後の「制管不一致(せいかんふいっち)」なら罪が軽い(経営管理上の支障がない)と考えています。

「制管(不)一致」は会計(基礎編)では少々取り扱いに難しいテーマです。いずれ、別の記事シリーズのテーマとして取り上げたいと思います。

ここまで、「会計報告のお作法」の説明でした。

会計(基礎編)_会計報告のお作法

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