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■ セブン&ホールディングス中興の祖、鈴木氏が全役職退任へ!

経営管理会計トピック

前回に引き続き、マスコミを騒がせた日本トップのコンビニチェーンを要するセブン&ホールディングスのトップ人事関連の騒動について、ここまでの日本経済新聞の報道をまとめていきます。筆者ならではのキュレーションをお楽しみください。

注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

7日の取締役会での決議は、鈴木氏が提案した人事を否決し、一夜明けての報道は、結果として鈴木氏のグループ全役職からの退任でひとまず幕が閉じました。鈴木政権の終わりの始まりです。

2016/4/8付 |日本経済新聞|朝刊 鈴木セブン&アイ会長退任へ 人事案強行、否決受け

「セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO、83)は7日、東京都内で記者会見し、グループの経営から退く意向を表明した。同日午前の取締役会で鈴木会長自身が主導して策定したグループの人事案が否決された責任を取る。コンビニエンスストアを日本に根付かせ、巨大流通グループを築き上げた鈴木会長の引退劇は企業統治の重みが増すなか、経営者のリーダーシップの在り方が問われる契機になる。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

(下記は同記事添付の鈴木が退く全役職図を転載)

20160408_鈴木氏はグループの全役職から退く_日本経済新聞朝刊

この記事では、

井阪隆一社長兼最高執行責任者(COO、58)の交代については、指名報酬委員会の議論では委員を務める2人の社外取締役が反対していること、15年10月にセブン&アイの株式を保有していることが明らかになった「物言う株主」の米投資ファンド、サード・ポイントも批判していること、さらに、この人事案について事前に打診したグループの祖業であるイトーヨーカ堂の創業者、セブン&アイ名誉会長の伊藤雅俊氏からも理解は得られていなかったことから、鈴木氏がいささか強引に、7日の取締役会には井阪氏の交代を含む新しいグループの経営体制を示した人事案を会社側として提案しました。そこで取締役会では4人の社外取締役を含む取締役15人による無記名投票を実施し、会社案への賛成は7票と過半に届かず、否決されるに至りました。

同記事では、
「指名報酬委員会の結論を持ち越したまま、社内外からの反対意見も多かった人事案を取締役会に諮った鈴木会長の姿勢は企業統治から逸脱する行為だ。一方で取締役会での否決という結果は鈴木会長の強引な手法に歯止めをかける統治機能が働いたことも示す。」

と、今回は提案人事案否決に対し、きちんとコーポレートガバナンス機能が機能したという前向きな評価となっています。さらに、後からコラム紹介でも触れますが、無記名投票だった点にも留意が必要です。

 

■ セブン&ホールディングス中興の祖、鈴木氏の心中は?

鈴木氏の心中を察する記事も同日にインタビュー記事として出ています。

2016/4/8付 |日本経済新聞|朝刊 鈴木氏「逃げ出すわけではない」 一問一答 「票数の問題でない」「世代変わった」

ここからいくつか鈴木氏の気持ちを汲み取れる言葉をいくつかご紹介。

退任を決意した理由について。
「(社外4人を含む)取締役15人が表決の権限を持っており、会社案への反対が6、賛成が7、白票が2で賛成票が過半数に達しなかった。反対票が社内から出るようなら、もはや信任されていないと考えており、票数は問題にしていない」

⇒経営者として潔い引き際ではないかと思います。

伊藤名誉会長との関係変化について。
「伊藤名誉会長らの資本そのものは全体の10%ほどで、そのこと自体が経営に大きく影響する関係ではない。小売業、なかんずくフランチャイズチェーンビジネスを考えると、そこにきちんとした見本をつくるのが私の使命だ」
「伊藤家の意向もあるが、このままでは大株主でもない株主からも経営に口を挟まれることも想定される。コンビニエンスストアを総反対の中でつくってきた私としては資本と経営の分離が大事だという思いがある」

⇒創業家についてのコメントながら、大いに、サード・ポイントを意識した発言内容とも理解できます。

人事案について、指名報酬委員会で説明不足な点はなかったのか。
「委員会では5時間かけて説明・議論した。時間はなかったということはないと考えている。5期連続で最高益を達成した社長を辞めさせることは世間の常識が許さないということだった」

⇒セブン&アイ・ホールディングスは、委員会設置会社ではないんですよね。それゆえ、任意設置の指名報酬委員会での決議・検討内容の法的位置づけが曖昧なのです。日本的経営として「議論を尽くしたが、是非もなし」というのが鈴木氏の心理状態ではないかと推察します。

伊藤名誉会長らの理解を得られなかったのか。
「それは言いにくい。勘弁いただきたいが、世代交代があったということだ」

⇒取締役会には、伊藤名誉会長の次男、順朗氏が創業家を代表して参画しています。この辺を指しての「世代交代」という発言につながったものと推察します。

一方で他メディアでは、この記者会見には創業家が同席せず、顧問と称する鈴木氏の子飼いたちがいろいろまくし立てるシーンもあり、全般的に鈴木氏の印象が悪く報道されてしまった感があります。

 

■ 15日の指名報酬委員会から19日の臨時取締役会までの流れを追う!

指名報酬員会を報じる記事。

2016/4/16付 |日本経済新聞|朝刊 セブン&アイ社長、井阪氏承認 鈴木氏の処遇、なお混乱 名誉職にも社外役員反発

「セブン&アイ・ホールディングスが15日に開いた指名報酬委員会はセブン&アイの社長に中核子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長を務める井阪隆一取締役(58)が昇格する人事案を承認した。ただ、退任する鈴木敏文会長(83)が最高顧問など名誉職に就く案は「影響力が残る」として社外取締役が反対。引き続き調整する事態となっている。」

(下記は、同記事添付のセブン&アイ・ホールディングスの新体制図を転載)

20160416_セブン&アイ新体制_日本経済新聞朝刊

指名報酬委員会での審議を円滑に進めるため、社内で新人事案を根回ししていたのですが、肝心の社外取締役から一部抵抗に遭って修正・再調整を余儀なくされます。

「指名報酬委の混乱を避けるため、セブン&アイは13日、伊藤、米村両氏に事前に会社側の案を提示した。鈴木氏を除く取締役全員が留任し、村田氏がセブン&アイ、井阪氏がセブンイレブンの社長を続けるという内容は事前の社内調整で大筋合意していた。にもかかわらず、社外取締役はかみついた。
 矛先が向けられたのは7日の取締役会で鈴木氏が主導した人事案に賛成した村田氏の残留。事態を収束するため、セブン&アイは14日も社外取締役2人と協議。最終的に村田氏が退任を了承し、井阪氏の社長昇格を含む人事案を指名報酬委に提案することが決まった。
 事前の調整で混乱を回避したはずの指名報酬委が紛糾したのは村田氏が会社側提案として示した人事案に盛り込んだ重要事項。「鈴木敏文最高顧問」という一文だ。」

株主利益に忠実に判断する、という建付けの社外取締役から、
① 鈴木氏の人事案に賛成した村田氏の昇格は認められない
② 鈴木氏の最高顧問就任も社内への影響力が残るため認められない
と意見表明があり、①については村田氏の退任を決定しつつも、②については引き続き審議事項ということになりました。

本筋ではないのですが、ここまでの流れの整理の記事が臨時取締役会開催日の朝刊にありましたので、ここでご紹介しておきます。

2016/4/19付 |日本経済新聞|朝刊 セブン&アイ 新体制決議、混乱収束か きょう取締役会 井阪氏社長へ/鈴木氏処遇なお調整

「セブン&アイ・ホールディングスは19日に取締役会を開き、セブン&アイ社長に中核子会社、セブン―イレブン・ジャパンの社長を務める井阪隆一取締役(58)が昇格する人事案を正式に決議する。井阪氏の昇格に伴い村田紀敏社長(72)は退任し、セブンイレブン社長には古屋一樹副社長(66)が就く。3月末から続いたセブン&アイの人事を巡る一連の混乱は収束する。」

この記事先頭文より、こっちの方が目を引いたのですが、記事添付のこれまでの経緯と今後の予定を示した図を下記に転載します。

20160419_人事を巡る混乱のきっかけはサード・ポイントの書簡だった_日本経済新聞朝刊

 

2016/4/20付 |日本経済新聞|朝刊 セブン&アイ人事決着 井阪氏が社長昇格 鈴木氏退任も決定

「セブン&アイ・ホールディングスは19日の取締役会で中核子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長を務める井阪隆一取締役(58)が社長に昇格する人事案を決議した。鈴木敏文会長(83)はグループの全役職を退任する。人事を巡る混乱は収束し、5月26日の株主総会での承認を経て、新しい経営体制が発足する。」

(下記は、記事添付の新体制図を転載)

20160420_混乱を経て新体制が決定した(敬称略)_日本経済新聞朝刊

新体制でのポイント
① 鈴木、村田両氏を除くセブン&アイの取締役は全員留任
② 鈴木氏に「最高顧問」など名誉職を用意するかは、5月26日の株主総会までに調整
③ 井阪氏は自身のセブンイレブン社長交代案を支持した5人の取締役とともに経営を担う

留意点といかにも日本的経営だと思われる考察点について
① 井阪氏自身はヨーカ堂出身であり、そごう・西武の買収も指揮した鈴木氏に比べれば、スーパーにも百貨店にも明るいとはいえない
② 留任するヨーカ堂の亀井淳社長(71)、そごう・西武の松本隆社長(63)も井阪氏より年齢が上になる
③ セブン&アイ社長への昇格が内定してからも井阪氏がセブンイレブンの取締役に固執したとされるのは稼ぎ頭となったコンビニエンスストア事業に確固とした足場を維持するため

出身部門への影響力(人事権、予算権など)と、年功的なシニオリティへの配慮。従前の日本的経営の色合いがまだまだ残っている様子が窺えます。

⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(1)発端はサード・ポイントの株式取得から始まった - 日本経済新聞まとめ
⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(3)コーポレートガバナンスに関する論点整理① - 日本経済新聞まとめ
⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(4)コーポレートガバナンスに関する論点整理② - 日本経済新聞まとめ
⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(5)コーポレートガバナンスに関する論点整理③ - 日本経済新聞まとめ
⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(6)迫真 迷走セブン&アイ まとめ記事を1本にまとめる! - 日本経済新聞まとめ

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セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(2)指名報酬委員会から臨時取締役会までの流れ - 日本経済新聞まとめhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭会計で経営を読むアクティビスト,サード・ポイント,セブンイレブン,セブン&アイ・ホールディングス,亀井淳,井阪隆一,古屋一樹,指名報酬委員会,物言う株主,社外取締役,鈴木敏文■ セブン&ホールディングス中興の祖、鈴木氏が全役職退任へ! 前回に引き続き、マスコミを騒がせた日本トップのコンビニチェーンを要するセブン&ホールディングスのトップ人事関連の騒動について、ここまでの日本経済新聞の報道をまとめていきます。筆者ならではのキュレーションをお楽しみください。 注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。 7日の取締役会での決議は、鈴木氏が提案した人事を否決し、一夜明けての報道は、結果として鈴木氏のグループ全役職からの退任でひとまず幕が閉じました。鈴木政権の終わりの始まりです。 2016/4/8付 |日本経済新聞|朝刊 鈴木セブン&アイ会長退任へ 人事案強行、否決受け 「セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO、83)は7日、東京都内で記者会見し、グループの経営から退く意向を表明した。同日午前の取締役会で鈴木会長自身が主導して策定したグループの人事案が否決された責任を取る。コンビニエンスストアを日本に根付かせ、巨大流通グループを築き上げた鈴木会長の引退劇は企業統治の重みが増すなか、経営者のリーダーシップの在り方が問われる契機になる。」 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます (下記は同記事添付の鈴木が退く全役職図を転載) この記事では、 井阪隆一社長兼最高執行責任者(COO、58)の交代については、指名報酬委員会の議論では委員を務める2人の社外取締役が反対していること、15年10月にセブン&アイの株式を保有していることが明らかになった「物言う株主」の米投資ファンド、サード・ポイントも批判していること、さらに、この人事案について事前に打診したグループの祖業であるイトーヨーカ堂の創業者、セブン&アイ名誉会長の伊藤雅俊氏からも理解は得られていなかったことから、鈴木氏がいささか強引に、7日の取締役会には井阪氏の交代を含む新しいグループの経営体制を示した人事案を会社側として提案しました。そこで取締役会では4人の社外取締役を含む取締役15人による無記名投票を実施し、会社案への賛成は7票と過半に届かず、否決されるに至りました。 同記事では、 「指名報酬委員会の結論を持ち越したまま、社内外からの反対意見も多かった人事案を取締役会に諮った鈴木会長の姿勢は企業統治から逸脱する行為だ。一方で取締役会での否決という結果は鈴木会長の強引な手法に歯止めをかける統治機能が働いたことも示す。」 と、今回は提案人事案否決に対し、きちんとコーポレートガバナンス機能が機能したという前向きな評価となっています。さらに、後からコラム紹介でも触れますが、無記名投票だった点にも留意が必要です。   ■ セブン&ホールディングス中興の祖、鈴木氏の心中は? 鈴木氏の心中を察する記事も同日にインタビュー記事として出ています。 2016/4/8付 |日本経済新聞|朝刊 鈴木氏「逃げ出すわけではない」 一問一答 「票数の問題でない」「世代変わった」 ここからいくつか鈴木氏の気持ちを汲み取れる言葉をいくつかご紹介。 退任を決意した理由について。 「(社外4人を含む)取締役15人が表決の権限を持っており、会社案への反対が6、賛成が7、白票が2で賛成票が過半数に達しなかった。反対票が社内から出るようなら、もはや信任されていないと考えており、票数は問題にしていない」 ⇒経営者として潔い引き際ではないかと思います。 伊藤名誉会長との関係変化について。 「伊藤名誉会長らの資本そのものは全体の10%ほどで、そのこと自体が経営に大きく影響する関係ではない。小売業、なかんずくフランチャイズチェーンビジネスを考えると、そこにきちんとした見本をつくるのが私の使命だ」 「伊藤家の意向もあるが、このままでは大株主でもない株主からも経営に口を挟まれることも想定される。コンビニエンスストアを総反対の中でつくってきた私としては資本と経営の分離が大事だという思いがある」 ⇒創業家についてのコメントながら、大いに、サード・ポイントを意識した発言内容とも理解できます。 人事案について、指名報酬委員会で説明不足な点はなかったのか。 「委員会では5時間かけて説明・議論した。時間はなかったということはないと考えている。5期連続で最高益を達成した社長を辞めさせることは世間の常識が許さないということだった」 ⇒セブン&アイ・ホールディングスは、委員会設置会社ではないんですよね。それゆえ、任意設置の指名報酬委員会での決議・検討内容の法的位置づけが曖昧なのです。日本的経営として「議論を尽くしたが、是非もなし」というのが鈴木氏の心理状態ではないかと推察します。 伊藤名誉会長らの理解を得られなかったのか。 「それは言いにくい。勘弁いただきたいが、世代交代があったということだ」 ⇒取締役会には、伊藤名誉会長の次男、順朗氏が創業家を代表して参画しています。この辺を指しての「世代交代」という発言につながったものと推察します。 一方で他メディアでは、この記者会見には創業家が同席せず、顧問と称する鈴木氏の子飼いたちがいろいろまくし立てるシーンもあり、全般的に鈴木氏の印象が悪く報道されてしまった感があります。   ■ 15日の指名報酬委員会から19日の臨時取締役会までの流れを追う! 指名報酬員会を報じる記事。 2016/4/16付 |日本経済新聞|朝刊 セブン&アイ社長、井阪氏承認 鈴木氏の処遇、なお混乱 名誉職にも社外役員反発 「セブン&アイ・ホールディングスが15日に開いた指名報酬委員会はセブン&アイの社長に中核子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長を務める井阪隆一取締役(58)が昇格する人事案を承認した。ただ、退任する鈴木敏文会長(83)が最高顧問など名誉職に就く案は「影響力が残る」として社外取締役が反対。引き続き調整する事態となっている。」 (下記は、同記事添付のセブン&アイ・ホールディングスの新体制図を転載) 指名報酬委員会での審議を円滑に進めるため、社内で新人事案を根回ししていたのですが、肝心の社外取締役から一部抵抗に遭って修正・再調整を余儀なくされます。 「指名報酬委の混乱を避けるため、セブン&アイは13日、伊藤、米村両氏に事前に会社側の案を提示した。鈴木氏を除く取締役全員が留任し、村田氏がセブン&アイ、井阪氏がセブンイレブンの社長を続けるという内容は事前の社内調整で大筋合意していた。にもかかわらず、社外取締役はかみついた。  矛先が向けられたのは7日の取締役会で鈴木氏が主導した人事案に賛成した村田氏の残留。事態を収束するため、セブン&アイは14日も社外取締役2人と協議。最終的に村田氏が退任を了承し、井阪氏の社長昇格を含む人事案を指名報酬委に提案することが決まった。  事前の調整で混乱を回避したはずの指名報酬委が紛糾したのは村田氏が会社側提案として示した人事案に盛り込んだ重要事項。「鈴木敏文最高顧問」という一文だ。」 株主利益に忠実に判断する、という建付けの社外取締役から、 ① 鈴木氏の人事案に賛成した村田氏の昇格は認められない ② 鈴木氏の最高顧問就任も社内への影響力が残るため認められない と意見表明があり、①については村田氏の退任を決定しつつも、②については引き続き審議事項ということになりました。 本筋ではないのですが、ここまでの流れの整理の記事が臨時取締役会開催日の朝刊にありましたので、ここでご紹介しておきます。 2016/4/19付 |日本経済新聞|朝刊 セブン&アイ 新体制決議、混乱収束か きょう取締役会 井阪氏社長へ/鈴木氏処遇なお調整 「セブン&アイ・ホールディングスは19日に取締役会を開き、セブン&アイ社長に中核子会社、セブン―イレブン・ジャパンの社長を務める井阪隆一取締役(58)が昇格する人事案を正式に決議する。井阪氏の昇格に伴い村田紀敏社長(72)は退任し、セブンイレブン社長には古屋一樹副社長(66)が就く。3月末から続いたセブン&アイの人事を巡る一連の混乱は収束する。」 この記事先頭文より、こっちの方が目を引いたのですが、記事添付のこれまでの経緯と今後の予定を示した図を下記に転載します。   2016/4/20付 |日本経済新聞|朝刊 セブン&アイ人事決着 井阪氏が社長昇格 鈴木氏退任も決定 「セブン&アイ・ホールディングスは19日の取締役会で中核子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長を務める井阪隆一取締役(58)が社長に昇格する人事案を決議した。鈴木敏文会長(83)はグループの全役職を退任する。人事を巡る混乱は収束し、5月26日の株主総会での承認を経て、新しい経営体制が発足する。」 (下記は、記事添付の新体制図を転載) 新体制でのポイント ① 鈴木、村田両氏を除くセブン&アイの取締役は全員留任 ② 鈴木氏に「最高顧問」など名誉職を用意するかは、5月26日の株主総会までに調整 ③ 井阪氏は自身のセブンイレブン社長交代案を支持した5人の取締役とともに経営を担う 留意点といかにも日本的経営だと思われる考察点について ① 井阪氏自身はヨーカ堂出身であり、そごう・西武の買収も指揮した鈴木氏に比べれば、スーパーにも百貨店にも明るいとはいえない ② 留任するヨーカ堂の亀井淳社長(71)、そごう・西武の松本隆社長(63)も井阪氏より年齢が上になる ③ セブン&アイ社長への昇格が内定してからも井阪氏がセブンイレブンの取締役に固執したとされるのは稼ぎ頭となったコンビニエンスストア事業に確固とした足場を維持するため 出身部門への影響力(人事権、予算権など)と、年功的なシニオリティへの配慮。従前の日本的経営の色合いがまだまだ残っている様子が窺えます。 ⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(1)発端はサード・ポイントの株式取得から始まった - 日本経済新聞まとめ」 ⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(3)コーポレートガバナンスに関する論点整理① - 日本経済新聞まとめ」 ⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(4)コーポレートガバナンスに関する論点整理② - 日本経済新聞まとめ」 ⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(5)コーポレートガバナンスに関する論点整理③ - 日本経済新聞まとめ」 ⇒「セブン&アイ・ホールディングス 鈴木敏文前会長兼CEO退任まで(6)迫真 迷走セブン&アイ まとめ記事を1本にまとめる! - 日本経済新聞まとめ」現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します