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ビジネスパーソンに必要なのは、「伝える力」か「聞く力」か?

所感
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■ クライアントや上司とのコミュニケーションは大切です

筆者自身がコンサルタントとして、現場で様々な職種や職位(タイトル)の人と直接会話し、プレゼンテーションを行い、報告書を提出する。コンサルタントに関わらず、ビジネス上、コミュニケーション(相互の意思伝達、相互理解)は、仕事を進める上でとても大切な要素です。

それゆえ、ビジネスシーンで使えるフレーズ集や、生産的コミュニケーション方法論といったビジネス書が後から後から出版され、様々な著者が実体験から来る経験則や研究成果を披露しています。うまくクライアントや上司と会話ができないビジネスパーソンが競ってそういう類の書籍を買い求め、自分磨きを試みるのですが、筆者を含め、上達している実感が得られることは少ないようです。(^^;)

そこで、シンプルに「ビジネスコミュニケーション」を理解するために、ここは大胆に、コミュニケーション要素を2つに大別して、どっちがあなたにとって優先的に対処すべき課題かを意識してもらうのが、コミュニケーション上達者になる早道かもしれません。

 

■ コミュニケーション力は、「聞く力」と「伝える力」から構成されている

社会学やコミュニケーション言論など、学術的な書物をひも解いても、コンセプトや学術用語ばかりで実用的ではないし、逆に、実用書では、ある局面で、特定のフレーズで回答する、パターン集の寄せ集めで、用例と同じ場面に出くわす可能性は著しく低く、そのすべての用例を覚えるだけでも面倒。。。

ここは、ズバリ、「聞く力」と「伝える力」の2点に焦点を当てましょう。さらに、その内容を確認して、自分の現況を見て、よりどっちが自分にとって大切か、たった一つに絞り込んで、集中トレーニングした方が上達が早く、効果的というものです。

(1)聞く力
① 相手があなたに何を伝えたいと考えているのかを理解する能力
② 相手があなたに伝えたメッセージに乗せられた真意を読み取る能力

①について
話者が、自分の立場や境遇、所感について、ただ「共感」を求めている場合、いかに建設的な提案を示しても、相手には何にも響きません。「へー、なるほど、そうですか、それは大変でしたね(素晴らしいですね)」という気持ちを口頭もしくは態度で示せば、それだけで相手は大満足です。また、「共感」ではなく、「解釈」を求められる場合もあります。
・事実認定:Factは何か、本当にA=Bか、現状の課題を全て洗い出し、抜け漏れが無いか
・価値判断:あるべき理想形は何か、何を理想形とするかの判断根拠(クライテリア)は正しいのか
・政策提案:どうすればよいのか、将来に向けた施策立案は、現状の課題を解決する方法とは

人が相手に話を持ちかけ、期待している返ってきてほしい言葉は、大別して、
「共感」「事実認定」「価値判断」「政策提案」の4つのいずれかです。

②について
暗喩などに表れるように、表面的な言葉遣いの裏に潜む真意を読み取ることも大事です。「A事業部の売上が伸び悩んでいるのだけれど、そういう販売施策を打てばいいか?」という問いに対して、「その場合、●●という販売促進施策を採用すればよい」と意気揚々と回答したことはありませんか?

その問いの裏に潜む真意は、
「A事業部を管掌しているB取締役の処遇をどうしたらよいか」
「A事業部の商品ラインナップに問題があるので、マーチャンダイジング担当者を変えたい」
「A事業部に将来の幹部候補のC部長を投入して、スピンアウトさせ、事業拡大させたい」
というものかもしれません。

上記①②を問わず、相手の真意や問いかけの意味を取り違えた場合、どんなに素晴らしいアイデアでも、どんなにそつのない用語を選んだとしても、相手があなたの回答に満足することは決してないでしょう。ただひたすら、あなたの「受信力」を高めてください。

 

■ コミュニケーションで、「伝える力」は結構いい加減。要はあなたの想像力

残る一つは「伝える力」。これは、言葉の通り解釈すると、立て板に水のように、とうとうとよどみなく会話する表現力や、決めゼリフ、特定のフレーズなどを駆使することのようにイメージされます。しかし、そういったものは「伝える力」の本質では決してありません。

「伝える力」は、「想像力」以外の何物でもありません。あなたは、自覚・無自覚を問わず、この世の理(ことわり)を認知しています。決してあなたの口から発せられる「言い方」の問題ではありません。

大切なのは以下の2つ。

① 分かっていることの4分の1しか相手に伝わらない
仮に、自分の頭の中で理解している物事が100%とします。あなたはその知識・理解を相手に伝えようと、口頭説明したり、文章やプレゼンテーション資料という視覚情報に落としたりします。その段階で、あなたの脳内になる知識や伝えたい要点は、情報量が50%に半減します。さらに、その媒体(口頭を含む)から情報を相手が汲み取る際に、相手の脳内での理解度がさらに半減します。つまり、あなたの脳内にある知識・理解は、相手の脳内に入り込むまでの間に、情報量や正確性は4分の1に減衰するのです。この事実を承知し、4分の1になっても支障がないように、予め、心の準備、仕事の段取りをつけておく必要があります。

② あなたが理解していることしか伝えられない
例え、4分の1に減衰したとしても、そもそもはあなたの脳内にある情報を整理して相手に伝えることになります。あなたが理解していないこと、知らないことは相手に伝えることはできません。それゆえ、あなたは「伝える力」を養成するために、バリバリ勉強して、脳内に知識や方法論を蓄えておく必要があります。Inputの質と量と継続力が大事になります。世の中で必要とされる知識は絶えず変化するものですから。

 

■ 究極の選択。「聞く力」と「伝える力」のどっちを優先すべきか?

最近のビジネスパーソンは大層忙しいそうなので、「聞く力」と「伝える力」の両方を同時並行で鍛える時間とエネルギーはそうそう捻出することは難しいようです。そういう場合は、どちらかを優先して身につけるように努力する必要があります。でもそれは人それぞれでしょう。というのも、聞く力と伝える力のバランスや習熟度は個人によるものですし、何かを身につける際には、努力と成果が常に正比例で増加せず、かけた努力の割には成果が上がらない、努力効果逓減の時期というものが必ず生じるものだからです。

それでも、あえて、筆者の私見を加えるなら、「聞く力」の習得・レベル向上の方を優先すべきでしょう。まず、相手が何を言っているか、こちらに何を求めているかを正しく理解しないと、すべてのコミュニケーションは成立しませんので。自分自身に「伝える力」がまだ備わっていない場合は、正しく相手の言葉を聞いた上で、適切な処置を同僚や上司にヘルプを求めることだってできますし。

ちなみに、上記で紹介した2つの書籍の著者。お互いに自他ともに認める犬猿の仲なのだそうです。その影響でしょうか。全く正反対の書名で競うようにベストセラーを出したのは。(^^;)

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