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知るを知るとなし 知らざるを知らずとなす これ知るなり -ディレクトリ型検索エンジン復活の狼煙

経営管理会計トピック_アイキャッチテクノロジー
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検索エンジンとの出会い

2011年頃、とあるプロジェクトでシステムエンジニアと席を並べて仕事をすることがありました。それが、私にとっての個人的な検索エンジン生活との出会いでした。それ以前から、google検索の存在は知っており、仕事などでの調べものに重宝させていただいておりました。

私は仕事中も、相手の迷惑を顧みることなく、雑談しながら仕事の手を進める癖があり、その彼とも雑談しながら仕事の手を進めていました。

たいていの場合、年齢が上である自分のほうが知識量(単純な物事の名前であったり、AとBの関係性など)が多い傾向にあり、また、知識量が多い自分が誇らしく思っていた時期でもありました。

システムエンジニアの彼の検索エンジンの使い方は全く私のそれとは次元が異なっていました。彼は、私のとの雑談の中で、自分が知らない言葉が登場したら、すぐさまgoogleで検索をかけて、検索結果からえた情報を用いて、私との会話を成立させていきました。

器が小さいなと笑われるかもしれませんが、それまで、本の虫を自認していた私は、他人より多くの知識を覚えていること、そしてその知識を武器に、他人との会話を楽しんでいる自分に気がつきます。つまり、知らない相手に物事を教えることで優越感を覚えていたわけです。

私が「AはBなんだよね」といったとき、「そもそもBをしらないだろ、俺はBを知っているぜ。そのうえ、Aと〇〇という関係まであるんだぜ」と得意満面に話している自分の不格好さを相手に晒している自覚症状をその時初めて意識したのです。

別段、彼に器の小さい私をやり込めようという意図があったわけではありません。システムエンジニアという職業柄、どんなに小さなことでも不明であるものを残すことがリスクが大きいことを肌で感じていたはずです。それで、私との会話でわからない用語が飛び出したら、google検索で調べて、正確な情報を私に返してきただけなのでした。

私のつまらないエゴとプライドはそこで砕かれました。他人より多くのことを知り、記憶していたとしても、検索エンジンにはとてもかなわないということを思い知りました。それ以来、持っている知識量の多寡だけで、得意になったりすることはなくなりました。

検索エンジンを使うのが当たり前になった現代

最近では、Web上に「yahoo知恵袋」のような、分からないことがあったら誰かに聞く、知らない人がいたら教えてあげる、というフォーラムの利用が活発になっています。昔よりモノを知らないことを恥じと思わずに、気軽に尋ねられる時代になりました。

聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥

「Google検索」の検索結果(Q&A) - Yahoo!知恵袋
Yahoo!知恵袋のすべての質問を「Google検索」で検索した結果です。

この風潮に対して、警鐘を鳴らしておきたいと考えます。「ゆとり世代」「ゆとり教育」の見直しが最近あったばかりなのはまだ記憶に新しいところです。

ゆとり教育 - Wikipedia

モノを記憶(暗記)することを軽視し、生身の人間の脳より検索エンジンのほうが巨大なデータベースを用いて、高速な検索アルゴリズムが使えるからといって、すべて検索エンジン任せにすることは個としての人間の成長を妨げるものになる可能性が大かもしれません。

思考力を鍛えるために必要な暗記力

「暗記力」より「思考力」が大事とのことですが、そもそもの「思考力」がどうやって養われるかについて考えるべきなのです。

人間の脳はまだ未知のことが多い臓器で、そのすべての機能や性質が分かるというにはほど遠い現状です。しかし、興味深いことが分かっています。人間が将来展望を考えるときに活性化する脳の部位は、同じ人間が自分の過去のことを思い出す部位と同じであるということです。

つまり、人間が将来を語り、また将来展望を思い描くためには、自分の脳内に過去の記憶や体験が保存されていないと将来のことが考えられない仕組みになっているということです。

暗記にかける工数をできる限り少なくし、思考力を伸ばす訓練時間ばかり増やしても、成果ははかばかしくないことは、脳の構造から自明の理なのです。それゆえ、「MECE」など、ロジカルシンキングのフレームワークをつかいこなせさえすれば、何でも解決できると豪語するコンサルタントを、私が毛嫌いする理由はココにあるのです。

自分がすべてを熟知しているという思い込みは妥当的でないため、 そういった希望的観測や幻想を 捨て去るのが当然としてもとしても、ロジックで何でも解決できると考えることも未成熟な態度だといわざるを得ません。

分別ふんべつ」という仏教用語から来た言葉があります。「ぶんべつ」と濁ると、 「化学的,物理的性質のよく似た物質が混合しているとき,それらを分離する操作 」の意となります。ごみの分別とか。

思慮分別しりょふんべつ は「物事の道理や正邪・善悪などを注意深く判断する能力」ですが、物事を右か左か分けるためには、まず左右で区分けするという方法論を知る必要があります。さらに、その物事を左右どちらの箱に入れるべきか、適切な判断基準という知識を必要とします。その判断基準を上手く働かせるために、似たもの、あるいは似ていないものを過去の記憶を用いてプロファイリングして初めて、その物事を左右どちらの箱にいれるといいか、判定できるのです。

ですから、「思考力」を鍛えるためには、「記憶力」に関連する技能を習得するのが早道となるといえるでしょう。

第3次ブームの渦中にあるAI(人工知能)は、ディープラーニング(深層学習)機能を用いることで、処理結果の妥当性が飛躍的に高まったことに由来しています。一度教師データを与えば、強化学習機能を用いて、AI自身の中で試行錯誤を幾度となく繰り返し、人間の判断力と遜色ない、領域によっては、人間より早く的確な判断をすることが可能になっています。

でもその力が発揮されるのは、ディープラーニングのアルゴリズム自体のすばらしさはもちろんのこと、およそ一人の人間が短い人生では蓄積し得ない莫大な数の棋譜を内に持つことが可能になったからです。

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どうして池上彰さんの話は分かりやすいか

池上彰さんのテレビ番組は、一部、選挙報道における政治家とのガチンコのやり取りが面白いというのもありますが、圧倒的に、話の分かりやすさにあると思います。では話の分かりやすさの正体は一体何なのでしょうか。

単純に、難しい言葉をやさしい言葉へ言い換えるだけで、話は分かりやすくなるものでしょうか?

「構造改革」→「しくみやルールをみんなにとって良くなるようにかえていく」

池上彰さんの圧倒的に分かりやすい解説は、べらぼうな池上さんの勉強量に秘密があります。物事の本質をわかっているからこそ、聞き手が受け入れやすいイメージを持つ用語、時として柔らかい大和言葉を適時選択するとともに、枝葉末節を切り捨てて省略したり、三段論法の途中過程をスキップしたりすることが可能なのです。それが分かりやすさを生む秘訣のひとつになっています。

これは、解説しようとするテーマについて深く知っている(知識を蓄積している)からできるからこそ可能な技なのです。

これでようやく冒頭の話に戻れるのですが、キーワード全盛のサーチエンジン型検索アルゴリズムに頼り切ることの危うさについて理解いただけたかと思います。

池上彰さんのように、本質を捉え、分かりやすく伝える技術は、多くのボキャブラリを持っているとか、話法という手先のテクニックだけに優れているのではなくて、脳内での知識・体験の組立の訓練の賜物でしょう。

1998年にGoogle社を共同設立 を創業した、ラリー・ペイジセルゲイ・ブリンがページランクアルゴリズムを世に出し、現在、ロボット型検索エンジン(Web検索型)がディレクトリ型検索エンジンを駆逐しました。

SEO(Search Engine Optimization)に特化したサービスが目を引きますが、どれもキーワードの洗練とクローラー適応技術ばかり吹聴されがち。本来の欲しい・見たい・得たい情報を提供する技法に、クローリング以外の方法論があってもいいのかなと思っています。

ディレクトリ型検索エンジンは、人間の判断によって、Webページをカテゴリ別に分類していくものです。以前は、GoogleもYahooも同様のサービスを提供していたのですが、現在ではどちらもサービス終了しています。

私は、これだけ情報過多になった現在、また歴史は繰り返し、ディレクトリ型検索エンジンが復活するのではと期待しています。「1周回って知らない話」風に。

1周回って知らない話
日本テレビ「1周回って知らない話」公式サイト。最近のテレビでは、もはや当たり前になりすぎていて、今さら誰も説明してくれないことが非常に多く存在します。それ故に、置いてきぼりを食らっている“今どきの視聴者”が知らないギモン=「1周回って知らない話」を全て本人に直接ぶつけて明らかにしていきます!

それゆえ、当サイトにて「ビジネスノート」というディレクトリ型検索エンジンを始めることにしました。今月(2019/12)から始めたばかりです。まだ蓄積情報の質量ともに、心もとないですが、長い目で見ていただきたいと思います。

結局、最後は告知だったんですね。^^;)

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